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本編
58.道徳(倫理観)
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予想に反して、午後もそれほど長くはかんじられなかった。
その日の午後、花嫁は白虎と共にいることにしたらしい。珍しく昼食後部屋に戻ってきた。
白虎の腕の中で当り前のようにくつろいでいる花嫁を少し複雑な思いで眺めていると、声をかけられた。
「エリーザ、どうかしたの? 紅夏に何か言われた?」
「い、いえ……」
基本は声を出すことも体を動かすことも許されていない為どうしても初動はぎこちなくなる。今日は延がまだしばらくは戻ってこないのでそこまで緊張することもないのだが。
紅児が気になったのはどちらかというと朱雀の科白だった。
人間で考えると、例えば花嫁が朱雀に嫁いだ場合後妻となる。紅夏は義理の息子になるから紅児が嫁げば彼女も花嫁の義娘になる。
いきなりそんな大きな息子と娘ができるのは嫌ではないのだろうか。
紅児の国では再婚をする者は稀である。跡継ぎの子供が生まれなかったとしても相手が亡くならない限り再婚はしない。朱雀は眷族とはいえ子供がいるのだからその条件にはあてはまらないように思えた。
それを決めるのはもちろん花嫁なのだが、花嫁が後妻に入る、ということが紅児としてはなんとなく嫌なのだ。それは若い娘特有の潔癖さから来ているのかもしれない。
とはいえ朱雀ではないが四神がいる場所でそんなことを聞くわけにもいかない。
そもそも花嫁はまだ四神の誰に嫁ぐかを決めていないのだ。
そこでほうっと息を吐いたが、よく考えたら花嫁は四神全ての花嫁なのである。そのことに思い至った時紅児は真っ青になった。
「エリーザ、どうしたの? 顔色が悪いわよ?」
心配そうに声をかけられてはっとする。
花嫁はこんなにも己を気遣ってくれるのに。
(今私は何を考えたの?)
一瞬でも花嫁を不潔だと思ってしまったことに紅児は愕然とした。
「も、申し訳ありません……!!」
平伏する。
こんなにも世話になっている花嫁に己はなんということを考えてしまったのか。
そのまま叩頭をしようとしたところを誰かの手によって止められた。
「これは穏やかではありませぬな」
「白雲、助かったわ……」
頭を押さえた手は白雲の物だったらしい。昼休みからちょうど戻ってきたようだった。そのまま体を起こされ、立たされる。それでも紅児は顔を上げることができなかった。
「……うーん」
だから花嫁が思案しているような表情をしていることには気づかなかった。
「私には話しづらいこと?」
聞かれて微かに頷く。そんなことを直接花嫁に言うわけにはいかない。もちろん関係者の誰にも言うことはできないだろう。
「ってことはきっと私のことなのよね……」
呟きに紅児はギクリとした。花嫁には何もかもお見通しらしい。
「よしっ! じゃあエリーザ以外は出てって。終ったら呼ぶから、心配なら扉の外とか部屋の周りにいてちょうだい」
「……え……?」
紅児の声はみなの心を代弁していたと思われる。
「香子、我もか?」
「はい、白虎様もです」
自分を抱いている白虎にもにっこりして無情に告げる。
白虎と花嫁は少しの間睨みあっているように見えたが、やがて白虎の方が折れた。
「あいわかった。話が終ったら我の室に行くぞ」
「……う、わかりました……」
その後のことは想像しないことにした。
もう1人の侍女が心配そうな表情で通り過ぎる。それを紅児はどうにか笑顔で送りだした。
パタン、と扉を閉めれば花嫁と2人きりである。
「エリーザ、いらっしゃい」
笑顔で呼ばれ、畏れ多くもお茶を淹れてもらってしまった。紅児が恐縮しているのも意に返さず、花嫁はどこまでもマイペースに見える。
そんな花嫁はお茶を一口飲んでから口を開いた。
「で、どうしたの? 私はエリーザじゃないんだから言ってくれないとわからないわ」
「……はい、そうですね……」
花嫁の少し困ったような表情に罪悪感を覚える。
こんなに世話になっているのに恩知らずなことを考えた己が嫌だった。けれど言わなければ逃がしてもらえそうにないのも事実で。
仕方なく紅児はつっかえつっかえではあったが己の気になったことを話し始めた。
例えば朱雀に嫁いだ場合後妻という立場は花嫁にとってどうなのか。
それ以前に四神の花嫁というのは最終的に四神全員の花嫁となるのか。それを花嫁がどう思っているのか。
花嫁は紅児が話している間口は挟まなかった。ところどころ詰まってしまった時は先を促してくれたりもした。
四神の花嫁という意味を理屈では理解しているつもりだった。けれど本来の状況を考えてはみなかった。
花嫁は最後まで聞くと、少し考えるように視線を巡らした。
「……正直後妻という発想はなかったわ。眷族も大事ではあるけれど四神にとって大事なのは次代が産まれることらしいから」
そこまで言って、花嫁は一旦言葉を切った。そして紅児をまっすぐ見る。
「今は、私も四神の花嫁ということを納得しているわ。でも……みながそれを当り前と見てくれても、罪悪感は消えないわね。一応私にも倫理観ってものはあるし」
倫理観。
根底にあったのはそれなのだろうか。
「とりあえずは四神の誰かを選ぶことにはなってるけど、領地に訪ねてこられるのは自由みたいだし。しかも最低四人は子供を産まなきゃいけないっていうじゃない? 出産なんて未知の世界だし子育てだって考えただけで気が狂いそうよ。
だからね、せめてこの方の子供を産みたいなって思えたらまず選べるかなって……」
にっこり笑んで話してくれた花嫁に紅児はほっとした。
花嫁の倫理観も考え方も理解できないものではない。
「軽蔑した?」
少し哀しそうな色の瞳に紅児は首を振った。
とんでもない。
「……へんなことを聞いて、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。椅子に腰かけているのでなければ平伏するところだ。
すると何故か花嫁が噴き出した。
「よかった、エリーザがまともで」
紅児は首を傾げる。言われていることがわからない。
「いいのよ。エリーザはそのままでいて」
それで話は終りだった。
やがてまた部屋に現れた白虎に抱き上げられ、花嫁は部屋を出て行った。
本当に花嫁の目がねにかなうのは誰なのか。それを考えるべきは紅児ではない。
ただ一つだけ言えるのは、やっぱり花嫁は紅児にとっても魅力的な方だということだけだった。
その日の午後、花嫁は白虎と共にいることにしたらしい。珍しく昼食後部屋に戻ってきた。
白虎の腕の中で当り前のようにくつろいでいる花嫁を少し複雑な思いで眺めていると、声をかけられた。
「エリーザ、どうかしたの? 紅夏に何か言われた?」
「い、いえ……」
基本は声を出すことも体を動かすことも許されていない為どうしても初動はぎこちなくなる。今日は延がまだしばらくは戻ってこないのでそこまで緊張することもないのだが。
紅児が気になったのはどちらかというと朱雀の科白だった。
人間で考えると、例えば花嫁が朱雀に嫁いだ場合後妻となる。紅夏は義理の息子になるから紅児が嫁げば彼女も花嫁の義娘になる。
いきなりそんな大きな息子と娘ができるのは嫌ではないのだろうか。
紅児の国では再婚をする者は稀である。跡継ぎの子供が生まれなかったとしても相手が亡くならない限り再婚はしない。朱雀は眷族とはいえ子供がいるのだからその条件にはあてはまらないように思えた。
それを決めるのはもちろん花嫁なのだが、花嫁が後妻に入る、ということが紅児としてはなんとなく嫌なのだ。それは若い娘特有の潔癖さから来ているのかもしれない。
とはいえ朱雀ではないが四神がいる場所でそんなことを聞くわけにもいかない。
そもそも花嫁はまだ四神の誰に嫁ぐかを決めていないのだ。
そこでほうっと息を吐いたが、よく考えたら花嫁は四神全ての花嫁なのである。そのことに思い至った時紅児は真っ青になった。
「エリーザ、どうしたの? 顔色が悪いわよ?」
心配そうに声をかけられてはっとする。
花嫁はこんなにも己を気遣ってくれるのに。
(今私は何を考えたの?)
一瞬でも花嫁を不潔だと思ってしまったことに紅児は愕然とした。
「も、申し訳ありません……!!」
平伏する。
こんなにも世話になっている花嫁に己はなんということを考えてしまったのか。
そのまま叩頭をしようとしたところを誰かの手によって止められた。
「これは穏やかではありませぬな」
「白雲、助かったわ……」
頭を押さえた手は白雲の物だったらしい。昼休みからちょうど戻ってきたようだった。そのまま体を起こされ、立たされる。それでも紅児は顔を上げることができなかった。
「……うーん」
だから花嫁が思案しているような表情をしていることには気づかなかった。
「私には話しづらいこと?」
聞かれて微かに頷く。そんなことを直接花嫁に言うわけにはいかない。もちろん関係者の誰にも言うことはできないだろう。
「ってことはきっと私のことなのよね……」
呟きに紅児はギクリとした。花嫁には何もかもお見通しらしい。
「よしっ! じゃあエリーザ以外は出てって。終ったら呼ぶから、心配なら扉の外とか部屋の周りにいてちょうだい」
「……え……?」
紅児の声はみなの心を代弁していたと思われる。
「香子、我もか?」
「はい、白虎様もです」
自分を抱いている白虎にもにっこりして無情に告げる。
白虎と花嫁は少しの間睨みあっているように見えたが、やがて白虎の方が折れた。
「あいわかった。話が終ったら我の室に行くぞ」
「……う、わかりました……」
その後のことは想像しないことにした。
もう1人の侍女が心配そうな表情で通り過ぎる。それを紅児はどうにか笑顔で送りだした。
パタン、と扉を閉めれば花嫁と2人きりである。
「エリーザ、いらっしゃい」
笑顔で呼ばれ、畏れ多くもお茶を淹れてもらってしまった。紅児が恐縮しているのも意に返さず、花嫁はどこまでもマイペースに見える。
そんな花嫁はお茶を一口飲んでから口を開いた。
「で、どうしたの? 私はエリーザじゃないんだから言ってくれないとわからないわ」
「……はい、そうですね……」
花嫁の少し困ったような表情に罪悪感を覚える。
こんなに世話になっているのに恩知らずなことを考えた己が嫌だった。けれど言わなければ逃がしてもらえそうにないのも事実で。
仕方なく紅児はつっかえつっかえではあったが己の気になったことを話し始めた。
例えば朱雀に嫁いだ場合後妻という立場は花嫁にとってどうなのか。
それ以前に四神の花嫁というのは最終的に四神全員の花嫁となるのか。それを花嫁がどう思っているのか。
花嫁は紅児が話している間口は挟まなかった。ところどころ詰まってしまった時は先を促してくれたりもした。
四神の花嫁という意味を理屈では理解しているつもりだった。けれど本来の状況を考えてはみなかった。
花嫁は最後まで聞くと、少し考えるように視線を巡らした。
「……正直後妻という発想はなかったわ。眷族も大事ではあるけれど四神にとって大事なのは次代が産まれることらしいから」
そこまで言って、花嫁は一旦言葉を切った。そして紅児をまっすぐ見る。
「今は、私も四神の花嫁ということを納得しているわ。でも……みながそれを当り前と見てくれても、罪悪感は消えないわね。一応私にも倫理観ってものはあるし」
倫理観。
根底にあったのはそれなのだろうか。
「とりあえずは四神の誰かを選ぶことにはなってるけど、領地に訪ねてこられるのは自由みたいだし。しかも最低四人は子供を産まなきゃいけないっていうじゃない? 出産なんて未知の世界だし子育てだって考えただけで気が狂いそうよ。
だからね、せめてこの方の子供を産みたいなって思えたらまず選べるかなって……」
にっこり笑んで話してくれた花嫁に紅児はほっとした。
花嫁の倫理観も考え方も理解できないものではない。
「軽蔑した?」
少し哀しそうな色の瞳に紅児は首を振った。
とんでもない。
「……へんなことを聞いて、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。椅子に腰かけているのでなければ平伏するところだ。
すると何故か花嫁が噴き出した。
「よかった、エリーザがまともで」
紅児は首を傾げる。言われていることがわからない。
「いいのよ。エリーザはそのままでいて」
それで話は終りだった。
やがてまた部屋に現れた白虎に抱き上げられ、花嫁は部屋を出て行った。
本当に花嫁の目がねにかなうのは誰なのか。それを考えるべきは紅児ではない。
ただ一つだけ言えるのは、やっぱり花嫁は紅児にとっても魅力的な方だということだけだった。
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