【完結】敏感なイケメン騎士は童顔騎士に溺愛される

浅葱

文字の大きさ
6 / 30

5.夕飯はカレーでした

しおりを挟む
「うむ……まぁ人は見かけによらないというからな!」

 騎士団長はよくわからないことを言い、「がんばれよ!」と無責任にもリックを励まして去っていった。

「わーい! 騎士団長に応援してもらえたー! 僕、がんばる!」

 がんばらなくていいから。頼むからやめてくれと思ったけど、みんながみんなリックに好意的でへきえきした。
 さすがに仕事場は一緒にならなかった。リックは今日は王城の外で仕事をするらしい。俺はほっとした。
 でも夕飯はどうしたって一緒になる。
 夕飯は早めにとった方がいいのか、それとも遅めにとった方がいいのか少しだけ考えた。けどやめた。そんなことを気にして大事なごはんをおろそかにするなどありえない。リックに会おうが会うまいが同僚にからかわれるのは必至である。俺は開き直ることにした。
 騎士団の食事はうまい。元々うまい飯がここ何年かで更にうまくなっていると同僚は言っていた。
 今日は異世界料理と言われるカレーである。豚肉がごろごろ入ったカレーだ。野菜もごろごろ入っている。野菜嫌いの同僚は多いが、何故かこのカレーだけは食べられるという。黄色く色づけられたごはんをこれでもかとよそり、カレーをどばどばかけていく。うん、これだけでもリックのことを忘れられる。

「えー? 何これ? 見たことないっ!」

 一昨日騎士に昇進した者たちがカレーを見て戸惑っていた。俺も最初の頃はああだったなぁとほっこりする。
 いつのまにか帰ってきていたらしいリックが、みんなの皿を見てむむむと眉を寄せていた。

「カイエー、それ何?」

 きょろきょろしていたリックが俺の姿を見つけて声をかけてきた。

「これか? これはカレーっていうんだ。異世界料理らしいぞ」
「へー。その黄色いごはんにかければいいの?」
「ああ、早く食べないとなくなるぞ。人気メニューだからな」
「わかった! ありがと、とってくる!」

 ぴゅーっ! と音がしたように、リックは急いで列に並んだ。俺はさりげなく隣にハンカチを置いて人がいることをアピールする。
 そして山盛りのサラダから手をつけはじめた。

「~~~~~~っっ! 何これっ! 超うまいんだけど!」

 リックの感動した声が食堂内に響く。反応は予想通りだったがうるさい。

「おいしいのはみんな知ってる。あとうるさい」
「あ、ごめん。でもなんでこんなうまい飯が騎士団で出るんだよ? 普通は街中の食堂とかからじゃないの?」
「お前はいったい何を夢見てるんだ」

 どういうわけかリックは冒険者になることも夢見たことがあるらしい。いろんなところを旅して世界中のうまいものを食ってやる! と思っていたそうだ。だが現実は厳しい。せめて騎士クラスにならないとこの世界を旅するのは難しいのである。

「王さまと同郷の方が料理をいろいろ教えてくれているらしいぞ。俺たちはいわば毒見役だな。評判がよければ徐々に巷に流すんだと」

 そんなことを言いながら俺の正面に腰掛けたのはリュウだった。コイツもよく姿を消すから食堂で姿を見るのは珍しい。

「へー! そうなんだ!」

 リックが目をきらきらさせている。なんか面白くなかった。

「そういえばリック」

 リュウが声を潜めた。

「みんな多分知ってるけど……お前童貞なんだって?」

 せっかく口に入れたカレーを噴きそうになったが、どうにかこらえることができた。よかった。つかなんてことを言うんだ。

「うん、そーです。ピッカピカの童貞だよっ!」

 俺は無言でぱしん、とリックの頭を叩いた。お前のチンコは何色だ。ピッカピカってことは金色か。

「痛い!」
「痛いように叩いたんだ!」
「ひどい! 僕愛されてない!」
「愛してない!」

 友情と愛情はイコールにはならん。
 リュウは一瞬呆気にとられたような顔をしたが、すぐにくくっと笑った。

「お前ら面白いなー」
「面白くないっ!」

 即答する。コイツと一緒にするなって思った。

「あー、その……話を進めたいんだが、いいか?」
「あ、ハイ。すいません」

 さすがに悪いと思ったので素直に謝った。またリュウが声を潜めた。

「リック、お前確か巨人族の混血だったよな?」
「はい、そうです」

 巨人族との混血? 俺は一瞬耳を疑った。リックがなんらかの種族との混血だという話は最初の頃に聞いた気がする。その時も確か意外だなと思った。そうだ、あれは酒の席だったから記憶があいまいなのかもしれないと思い至った。今聞くまで思い出さなかったことをちょっとだけ申し訳なく思った。

「失礼だがお前の身体は小さい。だが、魔力量が非常に多く、それから身体の一部がでかいんだったな」
「ええ、そうなんですよ」

 身体の一部と聞いて俺は背を冷汗が伝うのを感じた。アレか? アレが巨人族クラスとかいうやつか? た、確かにでかかったけど……。

「それが障害になって童貞のままでいるというのなら、「天使さま」に渡りをつけられるがどうする?」
「いえ、大丈夫です。僕はカイエを口説きますんで」
「……大丈夫なのか?」
「そういう魔物も売ってるって聞いてますし、それに僕、使はとてもうまいんですよ」
「それならかまわない。つまらないことを聞いたな」
「いえいえ、お気遣い感謝します」

 天使さま、というのはわかるがそれ以外の話はさっぱりわからなかった。俺は首を傾げながらカレーを食べた。カレーはやっぱりおいしかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

BL「いっぱい抱かれたい青年が抱かれる方法を考えたら」(ツイノベBL風味)

浅葱
BL
男という性しか存在しない世界「ナンシージエ」 青年は感じやすい身体を持て余していた。でも最初に付き合ったカレシも、その後にできたカレシも、一度は抱いてくれるもののその後はあまり抱いてくれなかった。 もうこうなったら”天使”になって、絶対に抱かれないといけない身体になった方がいいかも? と思ってしまい…… 元カレ四人×青年。 天使になってしまった青年を元カレたちは受け入れるのか? らぶらぶハッピーエンドです。 「抱かれたい青年は抱いてもらう方法を考えた」の別バージョンです。

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

目が覚めたら叔父さんの妻になっていた!?

白透
BL
交通事故で命を落とした、ごく普通の自称な医学生・早坂悠斗。 次に目が覚めたとき、鏡に映っていたのは自分ではなく、血の繋がらない叔父・鷹宮と「冷え切った政略結婚」をしていたはずの、超絶美形な「男妻」・蓮の姿だった!? 中身はガサツな医学生、見た目は儚げな美人。 「俺はバリバリのノンケだ!」と言い張る悠斗だったが、同居する鷹宮は、隙あらば鋭い眼差しと腹黒い微笑みで、最短最速の距離まで詰め寄ってくる。 女の子と手を繋ぐのにも3ヶ月かかる超・天然純情な悠斗は、叔父さんの無自覚な猛攻にいつまで耐えられるのか?

【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる

古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

処理中です...