転生したら、普通に最高なスパダリ辺境伯と溺愛結婚してました〜現代知識で悪女の妨害を華麗にスルーします!〜

紅葉山参

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離間の手紙と「直接対話」の原則

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 ローナは辺境伯領を追放されたが、あの女の悪意はそれで終わらなかった。彼女が次に仕掛けたのは、私とマクナル様の間に決定的な「不信」を植え付けることだった。

 それは、私宛の、非常に個人的な手紙だった。

「拝啓、アナスタシア様。貴女がマクナル様からどれほど愛されていないか、ご存知ないのでしょうね。マクナル様は、貴女の『素朴さ』に飽き、王都の私との密会を心から望んでいらっしゃいました」

 手紙は、マクナル様の筆跡を真似た偽造であり、私が昔の恋人と交わしたとされる架空の「密約」について触れられていた。

 私がその手紙を読んだ時、一瞬、心臓が冷たくなった。

(もし、これが事実だったら。いや、待って。マクナル様は、私にこれほどまでに愛を注いでくれている。この愛情が全て嘘だなんて、ありえない)

 私は前世の「コミュニケーションの基本」を思い出した。問題は、決して隠さず、直接当事者に話すこと。不信感は、隠し事から生まれる。

 私は、その手紙をすぐに隠したりせず、そのまま書斎で政務中のマクナル様の元へ持っていった。

「マクナル様、今、ローナ様からこのような手紙が届きました」

 私は、ためらいなく、その手紙をマクナル様の机の上に置いた。

 マクナル様は、驚いた顔で手紙を読み始めた。読み進めるうちに、その顔は怒りに染まっていった。

「馬鹿な! こんな下劣な嘘を! 私がアナスタシアを愛していないなど、天地がひっくり返ってもありえない」

 夫は、手紙を読み終わると、すぐにそれをビリビリに破り捨てようとした。

「お待ちください、マクナル様」

 私はあの方の腕を掴んだ。

「ローナ様の目的は、この手紙を読んだ私が、マクナル様を疑い、一人で悩み、夫婦仲が冷え切ることです。私がこの手紙を隠して、数週間後に『あなたが浮気していると聞いたわ』と問い詰めていたら、貴方様も驚き、きっとうまく説明できなかったでしょう」

「ですが、私はそうしませんでした。私は、マクナル様を信じています。だから、この手紙を、秘密にせず、すぐにマクナル様と共有しました」

 私の言葉に、マクナル様は深い感動と、安堵の表情を浮かべた。

「アナスタシア。そなたのその行動こそが、何よりも私の心を打つ。ローナの仕掛けた離間の策は、そなたの『信頼』という名の盾によって、一瞬で砕かれた」

 マクナル様は、立ち上がり、私の体を抱きしめた。

「君のその透明な心と、私への揺るぎない信頼こそが、私の宝だ。ローナのような悪女は、君のような真実の愛の前には、無力でしかない」

 私は、ローナが仕掛けた「貴族の悪しき慣習」である離間工作を、現代の「オープンコミュニケーション」という武器で打ち破ったのだった。

 第9話:外部圧力と「現代の投資理論」
 ローナは、私とマクナル様の間を裂くことができないと悟ると、今度は「外部」からの圧力を利用して、私を追い出そうと画策した。

 あの女は、王都の有力な商人である、アッシュフォード商会を動かし、辺境伯領の重要な資源である「鉱山」の採掘権を巡って、マクナル様に不当な取引を迫らせた。

「辺境伯様。当商会は、辺境の鉱山開発に、王都の資本を投入したい。つきましては、辺境伯夫人であるアナスタシア様を、この取引の『担保』として、一時的に王都に送っていただきたい」

 アッシュフォード商会の代表は、高圧的な態度でマクナル様に迫った。リリウス辺境伯は、怒りを押し殺し、冷静に対応した。

「アッシュフォード殿。私の妻を担保にするなど、ありえない提案だ。この話は聞かなかったことにする」

(ローナの狙いは、私が王都に送られた後、私を人質にし、マクナル様を思い通りに操ることだ)

 私は、マクナル様を安心させるように、あの方の隣に立ち、アッシュフォード商会の代表に微笑みかけた。

「アッシュフォード様。ローナ様は、随分と古風な取引を持ち込まれたのですね。妻を担保にするなど、現代の『合理的投資理論』から見れば、最も非効率で、リスクの高い行為です」

 私は、前世の金融の知識を使って、この取引の不合理性を指摘した。

「私を担保にする場合、私の逃亡や病死という『リスク』があります。しかし、この『投資証券』なら、辺境伯領の利益が上がる限り、貴方がたは永続的な利益を得ることができます。どちらが、より合理的で、よりリスクが低いか、聡明なアッシュフォード様ならお分かりでしょう」

 私は、ローナの「人質」という古い慣習を、「現代の合理的投資理論」という新しい価値観で、完全に上書きしたのだ。辺境伯領の未来の利益を担保とする、新しい形の「証券」の発行を提案した。

 マクナル様は、私の知性と、その大胆さに、誇らしげな笑みを浮かべた。

「アッシュフォード殿。妻の言う通りだ。君が求めるのは『人質』ではなく、『利益』だろう。この『投資証券』は、君の商会にとって、これ以上ない安定した未来をもたらす。どうだね」

 商会代表は、利益という魅力的な言葉の前で、ローナの指示を忘れ、私の提案を受け入れた。ローナが仕掛けた外部圧力も、私の「経済の常識」という知識によって、辺境伯領をさらに豊かにする結果となった。

「君は本当に、私の最愛の妻であり、最高のパートナーだ。君なしでは、私はこの危機を乗り越えられなかっただろう」

「私、マクナル様とこの辺境伯領のために、一生懸命働きますわ」
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