転生したら、普通に最高なスパダリ辺境伯と溺愛結婚してました〜現代知識で悪女の妨害を華麗にスルーします!〜

紅葉山参

文字の大きさ
13 / 14

ローナの惨めな末路と最後のざまあ

しおりを挟む
 ローナの結婚相手として選ばれたのは、王都の貴族社会から既に信用を失い、莫大な借金を抱えた、年老いた子爵だった。その子爵は、辺境の小さな領地を所有しているだけで、実質的な財産も権力もゼロに等しかった。

 ローナの公爵家は、形式上「辺境の貴族の元に嫁がせる」という体裁を取りながら、実際には、ローナを王都の社交界から完全に追放し、子爵の借金返済の「担保」として売り飛ばしたに等しかった。

 この結婚は、ローナがマクナル様という最高のスパダリ夫を手に入れようと目論んだ全ての行動への、決定的な報いだった。

(彼女が最も嫌っていた、権威も美しさもない、みすぼらしい生活。それを、彼女自身が望まない形で手に入れることになった)

 私がローナの惨めな末路を知ったのは、王都からの使者を通じて、公爵家から正式に「ローナの婚姻と辺境伯夫妻への謝罪」が伝えられた時だった。

 マクナル様は、その知らせを聞いても、何の感情も示さなかった。

「ローナ嬢の末路は、彼女自身が選んだものだ。私たちは、私たちの幸せだけを考えればいい」

 しかし、私は、最後に一度だけ、ローナに会いたいと思った。これは、私自身の過去、そして、この世界のアナスタシアとしての人生に、完全に区切りをつけるための儀式のようなものだった。

 私はマクナル様に相談し、あの方の立ち会いのもと、ローナが王都を離れる直前に、辺境伯邸の庭で対面することになった。

 ローナは、以前のような華やかさは失われ、顔はやつれ、その瞳からは生気が消えていた。彼女の着ているドレスも、古びて流行遅れのものだった。

「アナスタシア。何のつもりよ」

 ローナは、私を睨みつけた。その眼差しには、まだ嫉妬と恨みが残っていた。

「ローナ様。貴方様に一つだけお伝えしたいことがあって参りました」

 私は、ローナの目の前で、マクナル様の手を優しく握った。マクナル様は、私を抱きしめるように、その手に力を込めてくれた。

「私は、貴方様が何度も私たち夫婦に仕掛けた妨害工作を、全て把握していました」

 私がそう言うと、ローナの顔が一瞬、凍り付いた。

「毒入りのハーブティー、偽装された事故、離間の手紙、そして不法侵入。その全てを、私は、貴方様が想像もしていなかった『現代の常識と科学』で、簡単に見破りました」

 私は穏やかに、しかし断固とした口調で続けた。

「貴方様が私を追い出せなかったのは、私が賢かったからではありません。貴方様の悪意が、あまりにも浅はかで、古風で、そして非合理的だったからです」

「私の夫、マクナル様は、最高の知性と愛情を持つ方です。貴方様のような、古い価値観と感情論だけで動く悪意が、あの方の愛を奪えるはずがありませんでした」

 ローナは、私の言葉に、反論の言葉を失った。彼女の全ての努力が、私にとっては「子供の遊び」でしかなかったという事実が、彼女に最大の屈辱を与えたのだろう。

「さようなら、ローナ様。貴方様の未来が、貴方様の選んだ道の結果であることを、心からお祈りしています」

 私はマクナル様と腕を組み、ローナに背を向けた。

 ローナは、最後まで何も言えず、ただ庭に立ち尽くしていた。彼女の視線には、私への憎しみと、マクナル様への諦めきれない執着が混ざり合っていたが、私たち夫婦は、もう二度と振り返らなかった。

 数日後、ローナが乗った馬車は、王都の権威も富もない、みすぼらしい辺境の子爵領へと向かった。彼女の華やかな悪役令嬢としての人生は、こうして終焉を迎えたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】男運ゼロの転生モブ令嬢、たまたま指輪を拾ったらヒロインを押しのけて花嫁に選ばれてしまいました

Rohdea
恋愛
──たまたま落ちていた指輪を拾っただけなのに! かつて婚約破棄された過去やその後の縁談もことごとく上手くいかない事などから、 男運が無い伯爵令嬢のアイリーン。 痺れを切らした父親に自力で婚約者を見つけろと言われるも、なかなか上手くいかない日々を送っていた。 そんなある日、特殊な方法で嫡男の花嫁選びをするというアディルティス侯爵家のパーティーに参加したアイリーンは、そのパーティーで落ちていた指輪を拾う。 「見つけた! 僕の花嫁!」 「僕の運命の人はあなただ!」 ──その指輪こそがアディルティス侯爵家の嫡男、ヴィンセントの花嫁を選ぶ指輪だった。 こうして、落ちていた指輪を拾っただけなのに運命の人……花嫁に選ばれてしまったアイリーン。 すっかりアイリーンの生活は一変する。 しかし、運命は複雑。 ある日、アイリーンは自身の前世の記憶を思い出してしまう。 ここは小説の世界。自分は名も無きモブ。 そして、本来この指輪を拾いヴィンセントの“運命の人”になる相手…… 本当の花嫁となるべき小説の世界のヒロインが別にいる事を─── ※2021.12.18 小説のヒロインが出てきたのでタグ追加しました(念の為)

料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました

さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。 裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。 「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。 恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……? 温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。 ――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!? 胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!

聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです

石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。 聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。 やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。 女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。 素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで

嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。 誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。 でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。 このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。 そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語 執筆済みで完結確約です。

処理中です...