4 / 12
追放の日の宣告と出発
神眼が暴く、蛮王の疲弊と王宮の闇
しおりを挟む
王宮の夜は深く、静まり返っていた。
スーザンは支給された柔らかな寝間着の上に、目立たない濃紺のローブを羽織った。足元は分厚い靴下を二枚重ねにし、音を立てないよう細心の注意を払う。
(ここまできたら、もう引き返せない。生贄としてただ死を待つなんて、前世の地味OLの私でも許せなかったことだもの)
彼女の目的は、王宮の厨房だ。ロキニアス王の食事、そして王宮の食糧事情を調べ、彼を救うための糸口を見つけること。
閉所恐怖症を持つスーザンにとって、広大な黒鉄城の長い廊下を歩くことは、かなりの勇気を必要とした。壁に施された無骨な装飾や、重厚な絨毯が、かえって彼女の不安を煽る。しかし、ロキニアス王が抱える疲弊を思い出すと、不思議と足が前に進んだ。
(彼の命が危ない。この国を支える王が倒れたら、和平なんてすぐに破綻する。その前に、私が手を打つしかない)
厨房は王の寝室とは離れた城の裏手にあった。金属と石の冷たい匂い、そして肉やスパイスの残滓の匂いが漂っている。
スーザンは、誰にも見つからないよう、物陰に隠れながら厨房の中へ忍び込んだ。中は巨大な肉の塊や、樽に入った大量の保存食、そして巨大な鉄鍋が並んでおり、トロイセンの食糧の豊かさを物語っていた。
まずスーザンは、壁に吊るされた乾燥肉の塊に視線を向け、心の中で強く念じた。
「鑑定(アプレイザル)」
瞬間、彼女の視界に青白い光の文字が現れた。
乾燥保存肉(トロイセン産)
等級: B(上質)
詳細: 高いタンパク質と脂肪分を保持。戦地での携行食として最適。
真の等級: C(栄養バランス不良)
真の欠陥:
慢性的な塩分過多: 長期保存のため過剰に塩漬けされており、腎臓に負担をかける。
ビタミン・ミネラル欠乏: ほとんど含まれていないため、体の治癒能力が低下する。
備考: この食材のみを主食とすることは、疲労回復を妨げる。
「やはり」
スーザンは納得した。トロイセンが豊かであっても、王であるロキニアスは戦場育ちだ。彼にとって、「栄養のある食事」とは、高カロリーで腹持ちの良い「戦場食」のことなのだろう。常に戦いに備えている彼は、王宮に戻っても、その習慣を続けているに違いない。彼の疲労は、単なる激務だけでなく、慢性的な栄養の偏りによって引き起こされていたのだ。
次に、棚に無造作に置かれた薬草の束を手に取った。
「鑑定(アプレイザル)」
辺境の癒やし草(王宮流通品)
等級: B(良品)
効能: 軽度の鎮痛、止血
真の等級: D(ほぼ効果なし)
真の欠陥:
保存方法の誤り: 天日干しされすぎているため、有効成分の九割が揮発。
有効成分抽出ヒント: 「沸騰した湯で短時間蒸すこと」により、薬効成分を最大限に引き出せる。
「これでは、彼の深い傷が治らないわけだわ」
帝国の貴族たちが知らない、「有効成分を活かすための現代的な調理・保存技術」。それが、スーザンの神眼が教えてくれる、最大のチート能力だった。
スーザンは、持参した薬草の苗と、王宮の薬草を比較鑑定し、ロキニアスの深い傷を癒やすための薬効成分が、彼女の苗に多く含まれていることを確認した。彼女は慎重に苗から葉を数枚採取し、熱湯消毒のための準備を始めた。
さて、次に必要なのは食事だ。彼の疲弊した体と、塩分過多の食生活をリセットし、心を癒やし、そして何よりも彼の体を驚かせる一撃が必要だ。
スーザンは王宮の食材を物色した。穀物を保存している樽、地下の貯蔵庫、そして巨大な塩漬けの肉。その中で、スーザンの目に留まったのは、地下の隅にひっそりと置かれた、発酵が進んだ大豆のペーストのようなものだった。
「鑑定(アプレイザル)」
発酵した豆のペースト(トロイセン特有品)
等級: E(流通不可)
詳細: 強い匂いと独特の風味が嫌われ、民はほとんど使用しない。
真の等級: S(究極の発酵調味料)
真の効能:
必須アミノ酸の塊: 肉のタンパク質を効率よく分解し、体に吸収させる驚異的な効果。
塩分を抑える旨味成分: 強い旨味が塩分への依存を軽減する。
備考: 沸騰させすぎず、水に溶いて調理することで、「現代日本における味噌」と同様の効果を発揮する。
「味噌だわ!この世界にも、味噌のようなものがあったなんて!」
スーザンは、心の底から歓喜した。これこそ、彼女が持つ料理スキルと前世の記憶を最大限に活かすための、最高の調味料だ。この調味料を使えば、ロキニアス王の食生活を根本から変えることができる。
スーザンはすぐに、ロキニアスに与える最初の料理を決めた。
「味噌汁と握り飯(おにぎり)」
トロイセンには、ご飯を炊いて丸めるという文化も、出汁を取るという習慣も、この「味噌」を汁物に入れるという発想もないはずだ。
「まずは、彼の心を掴むこと。そして、この美味しい食事で、彼の疲弊を回復させて、私自身がこの王宮で『必要な存在』にならなくては」
スーザンは、厨房から必要な食材を慎重に選び出した。発酵豆ペースト、新鮮な野菜、そしてトロイセン独自の海草のようなもの(鑑定の結果、出汁に使えることが判明した)。
夜が明ける前に、スーザンは自分の部屋に戻った。彼女の胸には、もう恐怖の色はない。あるのは、「生きる」ことへの強い決意と、「蛮王」の世話を焼き、彼を救うという、地味OL時代には考えられなかった、壮大な使命感だった。
翌朝、スーザンは侍女長ルーナを呼び出した。
「ルーナさん。王宮の厨房を使わせていただくことはできますか?」
「え、厨房でございますか?殿下は客人でいらっしゃるので、もちろん可能でございますが」
ルーナは驚きを隠せない。帝国から生贄として送られてきた皇女が、料理をしたいなど、前代未聞だったからだ。
「はい。わたくし、ロキニアス王の体調が優れないのを見ました。長旅で培ったわたくしの知恵と、この国の豊かな食材を使えば、彼のために『究極の回復食』を作ることができると思うのです」
スーザンは真っ直ぐにルーナの瞳を見つめた。その真剣な眼差しに、ルーナは言葉を失った。
「わたくしは、もう生贄ではありません。このトロイセンの王のために、そして和平のために、できることをしたいのです」
ルーナは感動したように頷き、すぐに厨房の手配をすることを約束した。スーザンは微笑んだ。彼女の逆転劇は、静かな王宮の一室から、着々と始まろうとしていた。
スーザンは支給された柔らかな寝間着の上に、目立たない濃紺のローブを羽織った。足元は分厚い靴下を二枚重ねにし、音を立てないよう細心の注意を払う。
(ここまできたら、もう引き返せない。生贄としてただ死を待つなんて、前世の地味OLの私でも許せなかったことだもの)
彼女の目的は、王宮の厨房だ。ロキニアス王の食事、そして王宮の食糧事情を調べ、彼を救うための糸口を見つけること。
閉所恐怖症を持つスーザンにとって、広大な黒鉄城の長い廊下を歩くことは、かなりの勇気を必要とした。壁に施された無骨な装飾や、重厚な絨毯が、かえって彼女の不安を煽る。しかし、ロキニアス王が抱える疲弊を思い出すと、不思議と足が前に進んだ。
(彼の命が危ない。この国を支える王が倒れたら、和平なんてすぐに破綻する。その前に、私が手を打つしかない)
厨房は王の寝室とは離れた城の裏手にあった。金属と石の冷たい匂い、そして肉やスパイスの残滓の匂いが漂っている。
スーザンは、誰にも見つからないよう、物陰に隠れながら厨房の中へ忍び込んだ。中は巨大な肉の塊や、樽に入った大量の保存食、そして巨大な鉄鍋が並んでおり、トロイセンの食糧の豊かさを物語っていた。
まずスーザンは、壁に吊るされた乾燥肉の塊に視線を向け、心の中で強く念じた。
「鑑定(アプレイザル)」
瞬間、彼女の視界に青白い光の文字が現れた。
乾燥保存肉(トロイセン産)
等級: B(上質)
詳細: 高いタンパク質と脂肪分を保持。戦地での携行食として最適。
真の等級: C(栄養バランス不良)
真の欠陥:
慢性的な塩分過多: 長期保存のため過剰に塩漬けされており、腎臓に負担をかける。
ビタミン・ミネラル欠乏: ほとんど含まれていないため、体の治癒能力が低下する。
備考: この食材のみを主食とすることは、疲労回復を妨げる。
「やはり」
スーザンは納得した。トロイセンが豊かであっても、王であるロキニアスは戦場育ちだ。彼にとって、「栄養のある食事」とは、高カロリーで腹持ちの良い「戦場食」のことなのだろう。常に戦いに備えている彼は、王宮に戻っても、その習慣を続けているに違いない。彼の疲労は、単なる激務だけでなく、慢性的な栄養の偏りによって引き起こされていたのだ。
次に、棚に無造作に置かれた薬草の束を手に取った。
「鑑定(アプレイザル)」
辺境の癒やし草(王宮流通品)
等級: B(良品)
効能: 軽度の鎮痛、止血
真の等級: D(ほぼ効果なし)
真の欠陥:
保存方法の誤り: 天日干しされすぎているため、有効成分の九割が揮発。
有効成分抽出ヒント: 「沸騰した湯で短時間蒸すこと」により、薬効成分を最大限に引き出せる。
「これでは、彼の深い傷が治らないわけだわ」
帝国の貴族たちが知らない、「有効成分を活かすための現代的な調理・保存技術」。それが、スーザンの神眼が教えてくれる、最大のチート能力だった。
スーザンは、持参した薬草の苗と、王宮の薬草を比較鑑定し、ロキニアスの深い傷を癒やすための薬効成分が、彼女の苗に多く含まれていることを確認した。彼女は慎重に苗から葉を数枚採取し、熱湯消毒のための準備を始めた。
さて、次に必要なのは食事だ。彼の疲弊した体と、塩分過多の食生活をリセットし、心を癒やし、そして何よりも彼の体を驚かせる一撃が必要だ。
スーザンは王宮の食材を物色した。穀物を保存している樽、地下の貯蔵庫、そして巨大な塩漬けの肉。その中で、スーザンの目に留まったのは、地下の隅にひっそりと置かれた、発酵が進んだ大豆のペーストのようなものだった。
「鑑定(アプレイザル)」
発酵した豆のペースト(トロイセン特有品)
等級: E(流通不可)
詳細: 強い匂いと独特の風味が嫌われ、民はほとんど使用しない。
真の等級: S(究極の発酵調味料)
真の効能:
必須アミノ酸の塊: 肉のタンパク質を効率よく分解し、体に吸収させる驚異的な効果。
塩分を抑える旨味成分: 強い旨味が塩分への依存を軽減する。
備考: 沸騰させすぎず、水に溶いて調理することで、「現代日本における味噌」と同様の効果を発揮する。
「味噌だわ!この世界にも、味噌のようなものがあったなんて!」
スーザンは、心の底から歓喜した。これこそ、彼女が持つ料理スキルと前世の記憶を最大限に活かすための、最高の調味料だ。この調味料を使えば、ロキニアス王の食生活を根本から変えることができる。
スーザンはすぐに、ロキニアスに与える最初の料理を決めた。
「味噌汁と握り飯(おにぎり)」
トロイセンには、ご飯を炊いて丸めるという文化も、出汁を取るという習慣も、この「味噌」を汁物に入れるという発想もないはずだ。
「まずは、彼の心を掴むこと。そして、この美味しい食事で、彼の疲弊を回復させて、私自身がこの王宮で『必要な存在』にならなくては」
スーザンは、厨房から必要な食材を慎重に選び出した。発酵豆ペースト、新鮮な野菜、そしてトロイセン独自の海草のようなもの(鑑定の結果、出汁に使えることが判明した)。
夜が明ける前に、スーザンは自分の部屋に戻った。彼女の胸には、もう恐怖の色はない。あるのは、「生きる」ことへの強い決意と、「蛮王」の世話を焼き、彼を救うという、地味OL時代には考えられなかった、壮大な使命感だった。
翌朝、スーザンは侍女長ルーナを呼び出した。
「ルーナさん。王宮の厨房を使わせていただくことはできますか?」
「え、厨房でございますか?殿下は客人でいらっしゃるので、もちろん可能でございますが」
ルーナは驚きを隠せない。帝国から生贄として送られてきた皇女が、料理をしたいなど、前代未聞だったからだ。
「はい。わたくし、ロキニアス王の体調が優れないのを見ました。長旅で培ったわたくしの知恵と、この国の豊かな食材を使えば、彼のために『究極の回復食』を作ることができると思うのです」
スーザンは真っ直ぐにルーナの瞳を見つめた。その真剣な眼差しに、ルーナは言葉を失った。
「わたくしは、もう生贄ではありません。このトロイセンの王のために、そして和平のために、できることをしたいのです」
ルーナは感動したように頷き、すぐに厨房の手配をすることを約束した。スーザンは微笑んだ。彼女の逆転劇は、静かな王宮の一室から、着々と始まろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さくら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さくら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
王家の血を引いていないと判明した私は、何故か変わらず愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女であるスレリアは、自身が王家の血筋ではないことを知った。
それによって彼女は、家族との関係が終わると思っていた。父や母、兄弟の面々に事実をどう受け止められるのか、彼女は不安だったのだ。
しかしそれは、杞憂に終わった。
スレリアの家族は、彼女を家族として愛しており、排斥するつもりなどはなかったのだ。
ただその愛し方は、それぞれであった。
今まで通りの距離を保つ者、溺愛してくる者、さらには求婚してくる者、そんな家族の様々な対応に、スレリアは少々困惑するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる