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「王宮の馬車でも二日はかかりますので、いくらなんでも私とベスだけというわけにはまいりませんわ。道中ソフィア様にふさわしいドレスがあるとは限りませんし。
もう、クロード様ったらソフィア様を早く連れていきたいのは分かりますが、もう少し考えていただかなくては」
ぶつぶつ呟くマリアとほかのメイドたちはてきぱきと荷づくりを始める。
ソフィアは特に手伝いができず、ベスを抱えて部屋のなかをうろうろする。
とは言え、国王が男爵家の娘との婚姻を許すはずもない。王都に着いたらすぐトンボ帰りすることになるだろう。
思案しているうちに男爵家の優秀なメイドたちが荷づくりを完璧に終えてくれていた。
「お待たせいたしました。参りましょう、ソフィア様」
「父上、母上、ジャン。そして皆も行って参ります」
見送りに来てくれた家族や使用人にソフィアは令嬢の礼をとる。
まだ婚姻したわけでもないのに、ジャン以外はうっすら涙ぐんでいる。
「学校が始まればお会いすることもできますね、姉上」
「そうね、楽しみだわ」
ジャンの通う学校は王都の中にあるのだ。学校へは男爵と親交の深い貴族の屋敷に滞在させてもらい、そこから通っている。ソフィアも卒業するまではそうしていた。
「ソフィアを頼んだわね、マリア」
「はい、お任せください、奥さま」
夫人に言葉をかけられ、マリアは頭を下げる。
「また文を出すので、ソフィアのことは心配するな」
「ソフィアをよろしくお願いいたします、クロード様」
「うむ。では行くぞ」
「きゃっ」
抱き抱えられて声をあげたソフィアは、人前で抱かれた恥ずかしさから降りようと暴れる。
「歩けます、降ろしてくださいクロード様!」
「やっとソフィアを抱いているのに降ろすものか」
クロードは一向に降ろす気はないらしい。そのまま馬車に乗り込んでしまう。ふかふかとした座席に腰を下ろすと当然のように自分の膝の上にソフィアを座らせる。
王族が使うものだけあって、外装だけでなく内装も豪華だ。アルデンヌ男爵家も馬車を所有しているが、その比ではない。広さにゆとりがあり、窓につけられたカーテンは高価そうな生地で繊細な刺繍がほどこしてある。
長旅でも疲れることは無さそうだ。
向かい側にマリアが乗り込むと、馬車の扉が閉められ、走り始める。騎士たちは後ろの馬車で来るらしい。
「それにしてもジャンったら、私のことを毛嫌いしすぎではないかしら。あんなに追い出したがるなんて・・・」
「そうではありません、ソフィア様」
ソフィアのつぶやきに、マリアは窓のカーテンを開けた。
声は聞こえないが、夫人がジャンを抱きしめてなだめている様子だった。その二人を男爵が優しい眼差しで見つめている。大人びてはいても、ジャンはまだ13歳なのだ。
もう、クロード様ったらソフィア様を早く連れていきたいのは分かりますが、もう少し考えていただかなくては」
ぶつぶつ呟くマリアとほかのメイドたちはてきぱきと荷づくりを始める。
ソフィアは特に手伝いができず、ベスを抱えて部屋のなかをうろうろする。
とは言え、国王が男爵家の娘との婚姻を許すはずもない。王都に着いたらすぐトンボ帰りすることになるだろう。
思案しているうちに男爵家の優秀なメイドたちが荷づくりを完璧に終えてくれていた。
「お待たせいたしました。参りましょう、ソフィア様」
「父上、母上、ジャン。そして皆も行って参ります」
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まだ婚姻したわけでもないのに、ジャン以外はうっすら涙ぐんでいる。
「学校が始まればお会いすることもできますね、姉上」
「そうね、楽しみだわ」
ジャンの通う学校は王都の中にあるのだ。学校へは男爵と親交の深い貴族の屋敷に滞在させてもらい、そこから通っている。ソフィアも卒業するまではそうしていた。
「ソフィアを頼んだわね、マリア」
「はい、お任せください、奥さま」
夫人に言葉をかけられ、マリアは頭を下げる。
「また文を出すので、ソフィアのことは心配するな」
「ソフィアをよろしくお願いいたします、クロード様」
「うむ。では行くぞ」
「きゃっ」
抱き抱えられて声をあげたソフィアは、人前で抱かれた恥ずかしさから降りようと暴れる。
「歩けます、降ろしてくださいクロード様!」
「やっとソフィアを抱いているのに降ろすものか」
クロードは一向に降ろす気はないらしい。そのまま馬車に乗り込んでしまう。ふかふかとした座席に腰を下ろすと当然のように自分の膝の上にソフィアを座らせる。
王族が使うものだけあって、外装だけでなく内装も豪華だ。アルデンヌ男爵家も馬車を所有しているが、その比ではない。広さにゆとりがあり、窓につけられたカーテンは高価そうな生地で繊細な刺繍がほどこしてある。
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向かい側にマリアが乗り込むと、馬車の扉が閉められ、走り始める。騎士たちは後ろの馬車で来るらしい。
「それにしてもジャンったら、私のことを毛嫌いしすぎではないかしら。あんなに追い出したがるなんて・・・」
「そうではありません、ソフィア様」
ソフィアのつぶやきに、マリアは窓のカーテンを開けた。
声は聞こえないが、夫人がジャンを抱きしめてなだめている様子だった。その二人を男爵が優しい眼差しで見つめている。大人びてはいても、ジャンはまだ13歳なのだ。
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