昔助けた王子様に求婚されて外堀を埋められています

水無瀬雨音

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「……私は結構ですと申し上げましたのに……」
 恨みがましくソフィアが言うと、乱れた髪をクロードが優しく整える。
「今日は失神せずに頑張ったな。私の頑張りが足りなかったか?」
「そのようなことはありません」
 気恥ずかしくてソフィアは上掛けで顔を隠す。
 クロードがソフィアの体を簡単に清めてくれ、シーツまで予備の物と取り換えてくれたのでベッドに横たわっていて気持ち悪さは全くない。
「今日はアメリー様と庭園に行ったのだったな」
「はい。体調を心配してお誘いくださって」
 他の王子の妻と親しくすることを快く思っているようだが、自分が最初にソフィアと庭園を歩きたかった、とクロードは残念そうだ。
「明日少し時間が取れる。どこか出かけるか」
「うれしいです」
 クロードとの外出は初めてだ。上掛けから顔を出して喜ぶソフィアに、クロードも破顔する。
「あ、でも明日は王女様がいらっしゃるのに、出かけてよろしいのでしょうか?」
「急に訪問してくるのが悪い。こちらの都合に合わせてもらう。アメリー様が率先してお相手してくださるとのことだから問題ないだろう」
 クロードは苦々しげに顔をゆがめた。王女と何かあったのだろうか。ソフィアは不思議に思ったが、機嫌をそこねてまでは聞きたくなかったので、話題を変えることにする。
「すでにドレスをたくさんいただいてるのに、また作っていただけるようでありがとうございます。どのようなデザインにするかマリアがはりきっておりました。私の好みだと流行おくれだと言われてしまって。お礼が遅れて申し訳ありません」
 クロードはまた優しい表情に戻り、ソフィアの頬に優しく口づける。
「美しい妻をさらに美しく着飾りたくなるのは当然だ。靴や宝石は足りているか?明日買いに行くのもよいな」
「明日はお買い物はいいです」
 高価なものを際限なく買い与えられそうでソフィアは慌てて断る。ドレスや宝石もすでにたくさん与えられているのだ。それも式典などに使っても充分だろう高価そうなものばかりが。
 クロードは美しい婚約者をどこまでも甘やかし足りないらしく、幾分残念そうだった。
「では今度にする。明日はオペラでも見るか?」
「はい。クロードとならどこでもうれしいです」
 頷くとクロードも満足そうな顔をし、明日のオペラの演目や食事はどこでとるかと計画を練りだした。

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