昔助けた王子様に求婚されて外堀を埋められています

水無瀬雨音

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 目覚めたら全てが夢で王宮の自分の部屋だったらいいのに、と思いながら眠りについたが、起きるとやはり眠る直前までいた簡素な部屋だった。隣にマリアが変わらず眠っていることだけはほっとする。
 間もなくマリアも目覚めてしばらくしたころ、またオレーユが朝食を運んできた。
「一晩たちましたが、私に従う気になりましたかソフィア」
 テーブルがないため、ベッドにトレイを置く。
「私の考えが変わることはけしてありません」
「まあすぐに変わるとは思っておりませんしあなたに手荒なことはあまりしたくありませんが、いつまで待てるか分かりません。あまり気が長い質たちでもありませんので」
 飄々と言い放つオレーユにマリアが申し出た。
「私があなたと結婚します。ソフィア様は王宮にお返しください」
「マリア、だめよ。あなただけ残るなんて」
 ソフィアは慌ててマリアを押しとどめた。
「あなたとソフィアでは比較になりません。思い上がるなよ。多少見映えがいいというだけのメイド風情が」
 侮蔑の入り混じった目でオレーユはマリアに言い放つ。その言葉にマリアは嘆息した。
「求婚した相手の顔もお忘れですか?10年たっているので、多少変わってはいますけど。
 ……やはり私の身分にしか興味がなかったのですね」
 オレーユの目が見開かれる。
「そうか。似ているとは思ったがおまえは…」

「私はセヴィオ王国第一王女フランソワ・ドゥ・セヴィオです」

 堂々としたマリアには確かに王族特有の威厳があった。
 オレーユは動揺しながらも、
「フランソワ様は他国に嫁がれたということで断られましたが?」
「とりあえず証拠をお見せします」
 マリアはスカートのすそをまくり上げると白く形の良い太ももが露になる。とりつけていたものを手に取ってオレーユに見せつけた。
「これが何かお分かりですよね?」
 王家の紋章が入った短剣だった。王族の女性であれば護身用に常に身に着けている。
「ソフィア様話せば長くなるので後程詳しくお話しますが、隠していて申し訳ありません」
「それは構わないけれど……」
 事態が呑み込めず動揺を隠せないソフィアだったが、ひとまず頷く。
「父上に進言し、あなたの罪を問わないことを約束します。もちろん今していることを止めてはもらいますが。オレーユにも利がある取引だと思いますが」
「あなたがフランソワ様というのは理解しましたのであなたを手放すのは止めます。ソフィアも手放しませんが。
 ではまた正午に」
 オレーユは仰々しく礼をとり、部屋を出て行った。
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