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ライナスが処理できるものはライナスに押し付けているが、クロードではないと片付かないもののほうが多い。クロードは執務室で騎士たちに指示する合間に、ライナスとそういった執務を片付けていた。
ノックののち、ベルを見張らせていた騎士が入室してくる。
「失礼します。クロード様、ベル様が帰国されるそうです。目立たない馬車を用意しました。ご案内しますので、急ぎご準備ください」
ベルが帰国するときは後を追う、と伝えていたので、首尾よく馬車を手配してくれたようだ。
もちろんベルが黒幕なのかは分からないし、ソフィアたちのもとへ向かう確証もない。だが今は少しでも可能性があるなら縋り付きたい。
「よくやった。とりあえず騎士団長を私と同乗させろ。手すきの騎士たちも続いて後を追わせるように。相手が多すぎると私の手に余る」
ベルトに剣を装着しながら騎士に指示を出す。
「かしこまりました」
「クロード様、ご武運をお祈りしております」
仰々しく頭を下げるライナスに、クロードはフン、と鼻を鳴らす。
「お前の祈りはいらぬ。引き続き執務を片付けておけ」
「クロード様のお心のままに」
ライナスはニヤリとして応じた。
「ソフィア様とメイドのおひとりはまだお戻りにならないのですね。手がかりだけでも見つかればいいのですが。
こんな時にお伺いしてしまい、申し訳ありません」
馬車に乗ったベルが窓から顔を出し、物憂げに目を伏せる。目には涙をため、瞬きすればこぼれてしまうだろう。
この姿を見れば10人が10人「なんと優しい心を持っているのだろう」と感動するに違いない。
だが王太子妃はクロードからベルがソフィアを脅していたことを聞いている。
狸が。
心の中だけで舌打ちし、表向きは完璧な笑顔で応じる。
「ありがとうございます、ベル様。
こちらこそ場内が騒がしいうえにお見送りが私とアメリーだけで申し訳ありません」
「またお待ちしておりますわベル様」
「私の国にも遊びに来てくださいませ。国王様たちにもよろしくお伝えくださいね。それでは」
ベルが美しい笑みをたたえ、礼をすると馬車がゆっくりと走り出す。
しばらくしてそのあとを王宮に似つかわしくない町のどこにでもいそうな簡素な馬車が追う。クロードが乗っているのだろう。
「……私今でも信じられません。ベル様が誘拐なんてそんな恐ろしいことをなさるなんて」
馬車が門を通り抜けて見えなくなり、城に向かって歩きながらアメリーがぽつりとつぶやく。ベルとは付き合いが長く仲が良かったので信じたくないのだろう。
「誘拐はまだ分からないとしてもソフィアを脅していたのは確かだわ。ソフィアは私の妹も同然。
……絶対に許さない」
同時に「ベルに気を付けるように」と口頭で注意を促しただけの自分にも腹が立つ。もっとソフィアに注意を払ってやるべきだった。
「犯人が誰にせよ、第四王子婚約者と第一王女誘拐。重罪ね」
他にもメイド服や紹介状の盗難など罪を重ねており、即絞首刑でも文句は言えないだろう。
ベルがそう簡単に尻尾を出すとは思えないが、クロードの向かった先に二人がいるよう王太子妃は願った。
ノックののち、ベルを見張らせていた騎士が入室してくる。
「失礼します。クロード様、ベル様が帰国されるそうです。目立たない馬車を用意しました。ご案内しますので、急ぎご準備ください」
ベルが帰国するときは後を追う、と伝えていたので、首尾よく馬車を手配してくれたようだ。
もちろんベルが黒幕なのかは分からないし、ソフィアたちのもとへ向かう確証もない。だが今は少しでも可能性があるなら縋り付きたい。
「よくやった。とりあえず騎士団長を私と同乗させろ。手すきの騎士たちも続いて後を追わせるように。相手が多すぎると私の手に余る」
ベルトに剣を装着しながら騎士に指示を出す。
「かしこまりました」
「クロード様、ご武運をお祈りしております」
仰々しく頭を下げるライナスに、クロードはフン、と鼻を鳴らす。
「お前の祈りはいらぬ。引き続き執務を片付けておけ」
「クロード様のお心のままに」
ライナスはニヤリとして応じた。
「ソフィア様とメイドのおひとりはまだお戻りにならないのですね。手がかりだけでも見つかればいいのですが。
こんな時にお伺いしてしまい、申し訳ありません」
馬車に乗ったベルが窓から顔を出し、物憂げに目を伏せる。目には涙をため、瞬きすればこぼれてしまうだろう。
この姿を見れば10人が10人「なんと優しい心を持っているのだろう」と感動するに違いない。
だが王太子妃はクロードからベルがソフィアを脅していたことを聞いている。
狸が。
心の中だけで舌打ちし、表向きは完璧な笑顔で応じる。
「ありがとうございます、ベル様。
こちらこそ場内が騒がしいうえにお見送りが私とアメリーだけで申し訳ありません」
「またお待ちしておりますわベル様」
「私の国にも遊びに来てくださいませ。国王様たちにもよろしくお伝えくださいね。それでは」
ベルが美しい笑みをたたえ、礼をすると馬車がゆっくりと走り出す。
しばらくしてそのあとを王宮に似つかわしくない町のどこにでもいそうな簡素な馬車が追う。クロードが乗っているのだろう。
「……私今でも信じられません。ベル様が誘拐なんてそんな恐ろしいことをなさるなんて」
馬車が門を通り抜けて見えなくなり、城に向かって歩きながらアメリーがぽつりとつぶやく。ベルとは付き合いが長く仲が良かったので信じたくないのだろう。
「誘拐はまだ分からないとしてもソフィアを脅していたのは確かだわ。ソフィアは私の妹も同然。
……絶対に許さない」
同時に「ベルに気を付けるように」と口頭で注意を促しただけの自分にも腹が立つ。もっとソフィアに注意を払ってやるべきだった。
「犯人が誰にせよ、第四王子婚約者と第一王女誘拐。重罪ね」
他にもメイド服や紹介状の盗難など罪を重ねており、即絞首刑でも文句は言えないだろう。
ベルがそう簡単に尻尾を出すとは思えないが、クロードの向かった先に二人がいるよう王太子妃は願った。
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