昔助けた王子様に求婚されて外堀を埋められています

水無瀬雨音

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「馬車についたぞ」
 クロードの言葉に目を開けると、ソフィアを抱えたまま馬車に乗り込んでくれた。
 当然のようにクロードの膝の上に降ろされる。馬車の中ではここがソフィアの指定席のようだ。
「クロード。あの申し訳」
「大方の予想はついている。……今は何も言わないでくれ。女性から先に謝罪させるわけにいかぬ」
 クロードがソフィアの言葉をさえぎる。
「私が全ての責めを負う。すまない」
 いつも自信に満ちたクロードが頭を下げた。王族にそんなことをさせたことにソフィアは衝撃を受ける。
 慌てて
「謝罪すべきは私です。クロードに謝っていただくなど」
「ソフィア、君の許しを得られるならどんな贖罪でも受けよう」
「では、抱きしめてください」
「喜んで」
 ソフィアはクロードの優しい匂いに包まれた。血の臭いがうっすらしても、近づけばクロードの香りが強くなる。上着を着ていないためクロードが着ているのはシャツのみで、抱きしめられるとクロードの鼓動や体温がはっきりと感じられて気恥ずかしい。
「……指輪」
 ソフィアはクロードの指にはめられた揃いの指輪をなぞった。
「まだしていてくださって嬉しいです」
「当然のことだ」
「私はもう、クロードの」

「邪魔立てして申し訳ありません。私も疲れていますので、乗らせていただきますね」

「マリア!無事でよかった」
 騎士に連れられ乗り込んできたフランソワは、少し疲れた表情をしていたが、元気そうだ。
「お守りできず申し訳ありません。ご無事でよかったです。
 もう少し早く助けが来ると思っていたのですがねえ」
 ソフィアと手を取り合いながら、フランソワはクロードを半眼で見つめる。
「そういうな。相手の人数が不明だったので油断させる必要があったのだ。おかげで武器を所持した者もなく無警戒だったからうまく突破できた。……確かに想像以上のおてんばだったせいで危ないところではあったが」
「クロード様。オレーユやベル様を始め生きているものは全員捕らえました。囚われていたものも全員保護いたしました。順次王宮へ連れていきます」
 騎士の報告にクロードはうなづく。
「ご苦労だった。二人を連れて戻る。あとは頼んだぞ」
「はい」
 馬車の扉がしまると、馬車がゆっくりと走り出す。
 もうすぐ帰れるのだ。
 離れていたのはほんの数日なのに、ずいぶんと懐かしい。
 ソフィアは流れる景色をぼんやりと見つめた。
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