57 / 74
56
そのあとソフィアたちは、メイドの運んできてくれた昼食をとって、しばらく午睡した。
その間クロードはライナスに引きずられて溜まっていた執務をこなしに行き、ジャンはソフィアの部屋で読書をしたり、王宮を散策したりして待っていた。
ソフィアたちが起きた頃ちょうどお茶の時間だったので、使用人の買ってきてくれたマカロンで三人でお茶をした。店に並んでいる分を全部買い占めたような量だったので、残りは王妃たちにもおすそ分けすることにする。
いろいろなハーブが配合されたハーブティーは香りがよくリラックス効果があるので落ち着く。用意してくれたメイドが配慮してくれたのだろう。
「王子の婚約者になるということは他の令嬢の嫉妬などにさらされますし、ある程度の危険は予想していましたが、ここまでとは想像していませんでした」
はぁー、とジャンがため息をつく。
「父上にご報告せずに済んでよかったです」
「二度目はごめんですわね」
「そうね」
フランソワにソフィアも同意する。数日のことだったが、もっと長い間囚われていた気がする。
「ベル様たちはどうなるのかしら」
「何らかの極刑が科せられるのは避けられないでしょうね。私たちの誘拐監禁に加えて、人身売買もしていましたし」
ベルはモンブール国王の裁量に任せられるが、国王は厳しい人物なので、身内だからと言って軽減されることはないだろうとのことだった。
人身売買についてはモンブールで取引されているため、事情聴取と並行して共同で捜査することになるそうだ。
「皆家に帰れるといいのだけれど……」
「そうですね……」
フランソワは口を濁らせた。
売買されてしまった者も可能な限り取り戻すはずだが、全員は難しいと分かっているのだろう。中には最悪な事態になっているものもいるかもしれない。
「姉上たちは結局どこにいたのですか?」
「さあ?オレーユ様の別宅かしらね?」
建物の全ては見ていないしよく分からない。広さは貴族の邸宅といっても差し支えないと思うが、それにしては内装など簡素すぎるというか、きらびやかでない気がしたが。
「演習場ですよ。地方に勤めている騎士たちも使うのでいくつも部屋があるのです。
ブノワ侯爵が管理していますので、使う予定がないときはオレーユが使っていたのでしょうね。
ベルが私たちの誘拐に関わっているとすれば、オレーユとのつながりも予想がつきますので、演習場が一番悪さしやすいですからね」
「演習場……。そうなの」
敷地が広い割に何もないと思ったが、演習場ならば納得がいく。王都からさほど遠くもなかった。
「マリアは……メイドだよね?」
ジャンがもの言いたげにフランソワを見つめる。
「そうですが」
顔色を変えずにフランソワが答える。
蚊帳の外のソフィアのほうがなんだかひやひやしてしまう。いずれはジャンも知ることとなるだろうが。
「前から思ってたけど、メイドにしては裏事情に詳しい気がするんだよね。……まあいいや」
とりあえずジャンは追及するのをやめたらしい。
ソフィアはほっと胸をなでおろす。
「来月から夏休みなので帰省しようと思うのですが、姉上はどうされますか?」
「もうそんな時期なのね。どうしようかしら」
学校の夏休暇は確か一か月半ほどだ。ソフィアは実家に帰省というかそのまま返品となる気がする。
ソフィアの危惧を予想したようにフランソワが優しく言う。
「いずれにしてもクロード様にお話しになってください。ご実家に行かれるときは私も一緒に参ります」
その間クロードはライナスに引きずられて溜まっていた執務をこなしに行き、ジャンはソフィアの部屋で読書をしたり、王宮を散策したりして待っていた。
ソフィアたちが起きた頃ちょうどお茶の時間だったので、使用人の買ってきてくれたマカロンで三人でお茶をした。店に並んでいる分を全部買い占めたような量だったので、残りは王妃たちにもおすそ分けすることにする。
いろいろなハーブが配合されたハーブティーは香りがよくリラックス効果があるので落ち着く。用意してくれたメイドが配慮してくれたのだろう。
「王子の婚約者になるということは他の令嬢の嫉妬などにさらされますし、ある程度の危険は予想していましたが、ここまでとは想像していませんでした」
はぁー、とジャンがため息をつく。
「父上にご報告せずに済んでよかったです」
「二度目はごめんですわね」
「そうね」
フランソワにソフィアも同意する。数日のことだったが、もっと長い間囚われていた気がする。
「ベル様たちはどうなるのかしら」
「何らかの極刑が科せられるのは避けられないでしょうね。私たちの誘拐監禁に加えて、人身売買もしていましたし」
ベルはモンブール国王の裁量に任せられるが、国王は厳しい人物なので、身内だからと言って軽減されることはないだろうとのことだった。
人身売買についてはモンブールで取引されているため、事情聴取と並行して共同で捜査することになるそうだ。
「皆家に帰れるといいのだけれど……」
「そうですね……」
フランソワは口を濁らせた。
売買されてしまった者も可能な限り取り戻すはずだが、全員は難しいと分かっているのだろう。中には最悪な事態になっているものもいるかもしれない。
「姉上たちは結局どこにいたのですか?」
「さあ?オレーユ様の別宅かしらね?」
建物の全ては見ていないしよく分からない。広さは貴族の邸宅といっても差し支えないと思うが、それにしては内装など簡素すぎるというか、きらびやかでない気がしたが。
「演習場ですよ。地方に勤めている騎士たちも使うのでいくつも部屋があるのです。
ブノワ侯爵が管理していますので、使う予定がないときはオレーユが使っていたのでしょうね。
ベルが私たちの誘拐に関わっているとすれば、オレーユとのつながりも予想がつきますので、演習場が一番悪さしやすいですからね」
「演習場……。そうなの」
敷地が広い割に何もないと思ったが、演習場ならば納得がいく。王都からさほど遠くもなかった。
「マリアは……メイドだよね?」
ジャンがもの言いたげにフランソワを見つめる。
「そうですが」
顔色を変えずにフランソワが答える。
蚊帳の外のソフィアのほうがなんだかひやひやしてしまう。いずれはジャンも知ることとなるだろうが。
「前から思ってたけど、メイドにしては裏事情に詳しい気がするんだよね。……まあいいや」
とりあえずジャンは追及するのをやめたらしい。
ソフィアはほっと胸をなでおろす。
「来月から夏休みなので帰省しようと思うのですが、姉上はどうされますか?」
「もうそんな時期なのね。どうしようかしら」
学校の夏休暇は確か一か月半ほどだ。ソフィアは実家に帰省というかそのまま返品となる気がする。
ソフィアの危惧を予想したようにフランソワが優しく言う。
「いずれにしてもクロード様にお話しになってください。ご実家に行かれるときは私も一緒に参ります」
あなたにおすすめの小説
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした
こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】
伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。
しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。
そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。
運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた――
けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった――
※「小説家になろう」にも投稿しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041