昔助けた王子様に求婚されて外堀を埋められています

水無瀬雨音

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 頭のふわふわした感覚に目が覚めると、クロードがソフィアを優しく見つめながら髪を撫でているところだった。
「おはよう、ソフィア」
「おはようございます……。クロード」
 まだ目覚めたばかりで、頭がぼんやりしている。
「お茶を飲むか?用意がある」
「ありがとうございます。いただきます」
 体を起こすと、クロードが自ら注いでくれたお茶を飲む。
 お茶を飲んで一息つき頭の中がはっきりすると、部屋の中が昨日眠りについた時とで変わっていることに気づく。
「クロード、……これは?」
 クロードの部屋の一角を埋め尽くさんばかりのプレゼントの山、山。
 もっともクロードの部屋だから一角で済んだだけで、庶民の一般的な部屋なら完全に埋め尽くされていたか、少なくとも足の踏み場はなかっただろう。
「今日が何の日か忘れたか?誕生日おめでとう、ソフィア」
「ありがとうございます。クロード」
 クロードが軽く手にキスをしながらお祝いを口にしてくれる。
 好きな人からもらう言葉はそれだけで十分な贈り物なのだ。
 忘れてはいなかったが、あまりの量に驚いただけだ。果たして総額はいくらくらいになるだろう、とめまいがしそうなソフィアは貴族よりは庶民よりの金銭感覚を持っているのだろう。
「先日の私の誕生日にもプレゼントをもらったからほんのお返しだ。これは私が選んだものだから、ソフィアのほしいものは一緒に城下町へ買いに行こう。ライナスがぜひ休むようにと休暇をくれてな」
「プレゼントはもう十分ですがクロードと出かけたいです」
 先日もソフィアの実家に同伴するため一週間休んだばかりだったので、ライナス自ら休みを取るように勧めるとは思えないので、無理やりもぎ取った休暇だと思われるが、ライナスに感謝しつつありがたくクロードの外出をたのしませてもらうことにする。
「開けてもいいですか?」
「もちろん」
 プレゼントを開けるのはいくつになってもわくわくするものだ。
 今回のプレゼントはいささか量が多すぎるため、途中で疲れてきたが小さな宝石のついた小物入れや薔薇の香りの香水や口紅など、どれもセンスがよくかわいらしいもので、ソフィアの好みだった。クロードが頭を悩ませて選んでくれたと思うと顔がほころぶ。
「どれもかわいらしいです。ありがとうございます」
「気に入ったのならばよかった」
「薔薇はさっそく生けましょうね」
 これもプレゼントに入っていた花瓶に色とりどりの薔薇を生ける。
 クロードの部屋は花がなく殺風景だったため、少し華やかになった。
 しばらくすると、フランソワたちメイドがやってきて、口々にソフィアにお祝いの言葉をくれた。クロードは脱衣室に入りそれぞれ着替える。
 別々に着替えるのは、ソフィアが着替えているところを見るのも見られるのも恥ずかしがったからだ。当初はソフィアが脱衣室に行くと申し出たのだが、ソフィアのほうが着替えるのに場所をとるため、クロードが脱衣室に行くことになった。
 自分のわがままなのにクロードには申し訳ないし、「着替えくらいなにを今さら」とクロードは言っていたが、ソフィアがいつまでも慎ましいのは嬉しいものらしい。 

 
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