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アルバートくんの気持ち
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「シーズベルト様の後に継がれる方はいらっしゃいますか」
「いない」
オレがそう書くと、シーズベルト様がオレの手からペンを取った。オレに合わせて、シーズベルト様も筆談するらしい。
いないかー。
ご家族はいらっしゃらないって前言っていたから、多分そうだろうなと思ったけど。
「然るべき令嬢と跡継ぎを作られた方がよろしいのではないですか。オレは、あなたの跡継ぎを産めません」
そう書いた時、文字が震えてしまった。
「……アルバート」
シーズベルト様はため息をついた。思いのほか優しい目で、オレの頭を撫でてくれる。
「次、そんなこと考えようものなら怒るからな」
(怒られたって、産めないもんは産めないし)
ちゃんと結婚して、オレは愛人にするとか。
そう考えて、思ったよりもへこんでしまった。
(オレ、この人のことケッコー好きなんだなぁ……)
少なくともオレ以外の誰かを抱くことを考えたら、死にたくなるくらいには。
「結婚したところで、オレに原因があって子供が作れないかもしれない。第一、好きでもない人間を抱けるほど、節操のない人間だと思われていたなんて、いくらオレでも落ち込むぞ」
「……ごめんなさい」
「なあアルバート。確かに君に気持ちを打ち明けたのは突然だったし、強引にいきなり抱いてしまったから誤解させたかもしれない。それは悪かった。だが、オレは君が好きなんだ。オレから手放す気はないし、君に言われたって逃がさない。
どうすれば信じてくれる?毎日薔薇の花を送ろうか?君をうちの屋敷に連れて帰って、目覚めた時と、眠りにつく直前まで、君をオレの目に映すか?」
シーズベルト様は切々と訴えてきて、オレは何だか泣きそうになってしまった。男なのに泣いているところを見られるのは恥ずかしすぎるから、シーズベルト様の胸に顔をうずめて隠す。
「好きだ。オレは君を愛している」
まっすぐに気持ちをぶつけてくるシーズベルト様はきざったらしいと思う反面、好きだ、愛していると言われるのは嬉しかった。
「跡継ぎは後で考えればいい。何なら養子でもとれば全く問題ないし、オレが仕事ができなくなったら爵位は返上してもいい」
オレはまた羽ペンを手に取った。
「オレ、あなたの傍にいてもいいんですか」
「オレがいろと言っている」
「もう、離れられませんよ」
「離れるなと言ったはずだ」
「思ったより嫉妬深いみたいですよ」
「嫉妬されるようなことをするつもりはないから問題ない。嫉妬に狂う君は見てみたいが」
何なのこの人。オレと一緒にいるために爵位返上まで考えているなんて、イカレてる。オレのこと好きすぎだろ。
そしてオレも。
どうせ今は、オレの声は誰にも届かないんだから、聞かれたくないことを話しても大丈夫だ。
オレはシーズベルト様の耳朶に唇をくっつけた。
「あなたが思っているよりオレ、あなたを好きです。大好き。愛してる」
こんなこと聞かれたら死ぬ。
言い終えて唇を離そうとすると、シーズベルト様にぎゅうっと抱きしめられた。
(くる、苦しい……!)
オレはか弱い伯爵子息で、自慢じゃないが鍛えてないんだから優しくしてもらわないと。
「すまない」
シーズベルト様の胸を叩いて訴えると、すぐに開放してくれた。
「アルバートがそんなに可愛いことを言ってくれるなんてな?」
(は?言う?この人もしかして心の中読めるのか!?)
「掠れていたが、オレの耳には届いたぞ?」
(死にたい……。嬉しかったとはいえ、調子に乗って言うんじゃなかった)
へこんでいるオレに、シーズベルト様が軽くキスをする。
ディープなのしかしたことがなかったから、挨拶みたいなキスは初めてだ。
「話を聞いたら君を屋敷に帰すつもりだったが気が変わった。アルバートはオレの屋敷に連れて行く。仕事が終わるまでここで待って居ろ。いいな」
(え、よくないですけど)
反射的にオレはそう思ったが、オレの意見は聞いてくれないのは分かっていた。
「どうしようかなー」と思ったのですが、ちょっとキリのいいところまで。
またちょっと間が空きます。
「いない」
オレがそう書くと、シーズベルト様がオレの手からペンを取った。オレに合わせて、シーズベルト様も筆談するらしい。
いないかー。
ご家族はいらっしゃらないって前言っていたから、多分そうだろうなと思ったけど。
「然るべき令嬢と跡継ぎを作られた方がよろしいのではないですか。オレは、あなたの跡継ぎを産めません」
そう書いた時、文字が震えてしまった。
「……アルバート」
シーズベルト様はため息をついた。思いのほか優しい目で、オレの頭を撫でてくれる。
「次、そんなこと考えようものなら怒るからな」
(怒られたって、産めないもんは産めないし)
ちゃんと結婚して、オレは愛人にするとか。
そう考えて、思ったよりもへこんでしまった。
(オレ、この人のことケッコー好きなんだなぁ……)
少なくともオレ以外の誰かを抱くことを考えたら、死にたくなるくらいには。
「結婚したところで、オレに原因があって子供が作れないかもしれない。第一、好きでもない人間を抱けるほど、節操のない人間だと思われていたなんて、いくらオレでも落ち込むぞ」
「……ごめんなさい」
「なあアルバート。確かに君に気持ちを打ち明けたのは突然だったし、強引にいきなり抱いてしまったから誤解させたかもしれない。それは悪かった。だが、オレは君が好きなんだ。オレから手放す気はないし、君に言われたって逃がさない。
どうすれば信じてくれる?毎日薔薇の花を送ろうか?君をうちの屋敷に連れて帰って、目覚めた時と、眠りにつく直前まで、君をオレの目に映すか?」
シーズベルト様は切々と訴えてきて、オレは何だか泣きそうになってしまった。男なのに泣いているところを見られるのは恥ずかしすぎるから、シーズベルト様の胸に顔をうずめて隠す。
「好きだ。オレは君を愛している」
まっすぐに気持ちをぶつけてくるシーズベルト様はきざったらしいと思う反面、好きだ、愛していると言われるのは嬉しかった。
「跡継ぎは後で考えればいい。何なら養子でもとれば全く問題ないし、オレが仕事ができなくなったら爵位は返上してもいい」
オレはまた羽ペンを手に取った。
「オレ、あなたの傍にいてもいいんですか」
「オレがいろと言っている」
「もう、離れられませんよ」
「離れるなと言ったはずだ」
「思ったより嫉妬深いみたいですよ」
「嫉妬されるようなことをするつもりはないから問題ない。嫉妬に狂う君は見てみたいが」
何なのこの人。オレと一緒にいるために爵位返上まで考えているなんて、イカレてる。オレのこと好きすぎだろ。
そしてオレも。
どうせ今は、オレの声は誰にも届かないんだから、聞かれたくないことを話しても大丈夫だ。
オレはシーズベルト様の耳朶に唇をくっつけた。
「あなたが思っているよりオレ、あなたを好きです。大好き。愛してる」
こんなこと聞かれたら死ぬ。
言い終えて唇を離そうとすると、シーズベルト様にぎゅうっと抱きしめられた。
(くる、苦しい……!)
オレはか弱い伯爵子息で、自慢じゃないが鍛えてないんだから優しくしてもらわないと。
「すまない」
シーズベルト様の胸を叩いて訴えると、すぐに開放してくれた。
「アルバートがそんなに可愛いことを言ってくれるなんてな?」
(は?言う?この人もしかして心の中読めるのか!?)
「掠れていたが、オレの耳には届いたぞ?」
(死にたい……。嬉しかったとはいえ、調子に乗って言うんじゃなかった)
へこんでいるオレに、シーズベルト様が軽くキスをする。
ディープなのしかしたことがなかったから、挨拶みたいなキスは初めてだ。
「話を聞いたら君を屋敷に帰すつもりだったが気が変わった。アルバートはオレの屋敷に連れて行く。仕事が終わるまでここで待って居ろ。いいな」
(え、よくないですけど)
反射的にオレはそう思ったが、オレの意見は聞いてくれないのは分かっていた。
「どうしようかなー」と思ったのですが、ちょっとキリのいいところまで。
またちょっと間が空きます。
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