異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

文字の大きさ
38 / 183
異世界編 1章

第31話 手記その1

しおりを挟む
 ガザフの手記……

 ――― 一枚目 ―――

 僕の名前はガザフ。

 流石に自分の名前を忘れるようなことは無いだろうが、
 一応書き留めておく。
 
 二度目の転生を終えた君は、
 記憶の大半を無くしているはずだから。

 初めに断っておくが、
 たった一度の転生をした僕ですら記憶の欠落が極めて激しかった。
 
 これ程までに記憶が無くなるのは予想外だった為に、
 初めの僕の記録はほとんど残していない。

 だからこの記録には曖昧な部分も多々あるだろうが、
 そこは勘弁してもらいたい。

 まず、
 こうなった経緯から書いておこう。

 その理由こそ解らないが、
 問題のきっかけはマインドジェネレーターを失ったことから始まる。

 その装置が無ければ僕達、
 神の加護を受けた者は数百年しか自我を保てない。

 マインドジェネレーターの修復は試みたようではあるが、
 完全に壊れていて無理だったらしい。

 そこで新たなる対策として、
 ターナ博士が開発したのが転生の加護と呼ばれる装置だ。

 これはメディカルポッドと呼ばれる装置を改造した物で、
 新たなる体に精神を移す。

 あるいは体を生成し直して精神を正常に戻す装置らしい。

 この装置の実験は成功したかに見えた。
 
 現地の人間は問題なく再生したかに思えたからだ。

 そして、
 ターナ博士自身も転生の加護を受けた。

 もう分かっているだろうが彼女は記憶を失った。

 我々は実験に使った現地人の過去まで調べていなかったのだ。

 転生の加護を見た君ならわかるだろう、
 一見すれば何も問題はない。

 昨日の出来事は普通に覚えている。

 しかし、
 過去を失う。

 いや過去の忘れ去った記憶を整合して、
 違う記憶を組み上げているのだ。

 その問題が発覚する前にターナ博士を含め、
 技術者達が転生の加護を受けたのは失敗だった。

 その装置を改修できる人が居なくなった。

 もっとも技術者達が残っていても、
 その改修も間に合わなかったかも知れない。

 何故ならバーサーカーに近い人間が集まっている部屋が想像できるだろうか?

 あまり考えたくはないが、
 それよりも凄まじい状況なら王宮に行けば見れるはずだ。

 情報保存の名目で、
 転生をしていない技術者などを一部閉じ込めてあるから。

 今君が直面しているであろう問題の要因は、
 僕の知り得るところではこの程度だ。


 ――― 二枚目 ―――

 次に、
 ターナ博士がやろうとしていることを書いておこう。

 ターナ博士は二度目の転生から、
 ずい分と変わってしまった。

 自らを神官と名乗るようになった。

 マザーナノマシンを体内保有する彼女は、
 以前から現地人に自分のナノマシンを使い、
 生命の加護を与えていた。

 ナノマシンとは何だっただろうか?

 今では神の名前とされているのは、
 これを読んでいる僕も知っているだろう。

 だが、
 ターナ博士は神を体内に保有しているのか?

 いや。

 もっと違う何か、
 とても大切な物だったような気がする。

 そんなナノマシンのこともあり、
 何時しか自分は神の使いである神官だと名乗り、
 ターナ博士は人々を誘導し始めた。

 奴隷制度を作り上げ、
 人口の数を調整し、
 バーサーカーと化した人々を処理する。

 もっとも、
 この奴隷制度は僕にとっては助かった。

 奴隷のおかげで、
 ずいぶんと転生を遅らせることができた。

 バーサーカーになる欲望を、
 奴隷で押さえ込んだのだ。

 そしてターナ博士は、
 この大陸に三つある国に、
 自らの子供を神官として配置し、
 それらの統治を始めた。

 子供の作り方も拘っていた。

 性別だけ違う自分と同じ生態モデルを作り、
 それと子供を作ることによって、
 マザーナノマシンの保有者を作り上げる。

 また三度目の転生の際には、
 魔法の使える転生モデルを数体用意し、
 ターナ博士も魔法が使えるようになっていた。

 そんな中で偶然できあがったのが戦魔導士だ。

 通常、
 戦魔導士の適合者は居ない。

 その為、
 王族などの一部の人々のみの能力とされた。

 それに伴い居るはずもない王を作り上げ、
 自らの言葉を王の代弁とし、
 この大陸を統治していった。

 問題はここからだ。

 ターナ博士が一度目の転生の前に、
 しきりと魔導兵器の暴走を悔やんでいたのを、
 僕は僅かに覚えている。

 船を沈められたらとも言っていた。

 その強い思いが歪んで残っているのだろうか?

 ターナ博士は強い魔獣を作り始めた。

 エレメンタルストーンから魔獣を創り上げ、
 人々を襲わさせる。

 そして強くなった魔獣を討伐し、
 更に純度を増したエレメンタルストーンを回収する。

 魔獣は強くなっていった。

 僕はターナ博士に何故魔獣を創るのか聞いた。

 その答えは神の光臨であった。

 強大な魔獣の力により神が舞い降りる。

 もはや僕には神が何であるかすら検討もつかない。

 このままではいずれ手に負えない魔獣が創り出される。

 そうなればこの世界は間違いなく終わる。

 いや。

 あの日から、
 既に終わっていたのかも知れない。

 だから二度目の転生を終えた三度目の僕に託したい。


 ――― 三枚目 ―――

 どうかこの世界を救ってほしい。

 
 ――― 四枚目 ―――

 最後に、
 僕の知っている情報を残しておく。

 マインドジェネレーターの残骸は、
 北の雪山に残っている。

 もっとも、
 マインドジェネレーターがどう言う物なのか分からないが、
 バーサーカーにならないようにする装置だったのは分かる。

 もしかしら、
 あの残骸こそ船だったのかも知れない。

 一度、
 其処そこへ行ってみたが、
 残骸しか無かった。

 だけど一つだけ目ぼしい物があった。

 本当に偶然見つけた物だ、
 どうも次元を引き裂く装置らしい。

 何に使えるか分からないが、
 この手紙と一緒に添えておく。

 それから最後に、
 モノポールリングについてだ。

 月の隣に浮いているあのリングだ。

 あのリングをくぐると違う世界に行ける。

 昔からそう言われている。

 まあ、
 それは噂で聞くだろう。

 だが、
 もっと重要な何かがあそこにはあるはずだ。

 なんの確証もない。

 ただ僕の僅かな記憶がそう思わせる。

 容易では無いのは知っている。

 だけど、
 なんとかしてあそこまで行ってほしい。

 僕はもうすぐ、
 これを読んでいる君になる。

 僕は居なくなる。

 その時は。

 この壊れた世界をもう一度……

※  ※  ※  ※  ※

 三人はガザフの手記を読んでみた。

 そして、為次と正秀は思うのだ。

 3枚目は2枚目にまとめれなかったのか?

 と……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

処理中です...