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異世界編 1章
第33話 手記その3
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翌日、スイは朝早く目が覚めた。
辺りはまだ真っ暗だ。
朝と言うよりは、まだ夜と言ったほうがいいかも知れない。
昨日、酔っ払ってしまい早くに寝てしまったので変な時間に起きてしまったのだ。
ベッドから起き上がると、星明りを頼りに部屋を見回す。
どうやら知らない内に、為次のベッドで寝ていたらしい。
だが、主は見あたらないし、なんか臭い。
「ご主人様は何処でしょう?」
ベッドの下やクローゼットの中を探し回るが、部屋には居ないようだ。
壺の中も覗いて見たがやっぱり居ない。
だんだんと不安になってきた。
「ご主人様ぁ…… うえぇぇ……」
呼びかけても返事はなく、ちょっと泣きかけている。
しかし、ご主人様が居ないのに泣いても仕方ない。
部屋から出てみることにした。
「ロビーへ行って見ましょう……」
部屋を出てロビーに行くと、マヨーラがソファーで寝ている。
寝ているはずだが瞼は開き白い眼球が見えている。
どうやら寝ていると言うよりは、気絶したままのようだ。
「マヨマヨ様…… 臭いですぅ」
臭いロビーで更に異臭を放っているのだ。
そんなマヨーラを見ると、昨日のことを思い出してきた。
「そう言えば、スイはマヨマヨ様に抱きついていました。何故あんな事を、したのでしょうか? マヨマヨ様が何か吹き出したとこまでは覚えていますが…… あ! そうです、ビックリ噴水人間をご主人様に見せてあげる為ですね。間違いありません。です」
昨日の出来事を勝手に意味不明な解釈をし、適当に納得するスイ。
再び為次を探し回る。
そこら中、血の混じったゲロまみれのロビーを探すが見つからない。
人の動く気配があったので振り向いてみる。
そこには大きな鏡があって自分が映っているだけであった。
スイの全身が鏡に映っている。
口元から胸元にかけて、乾いたゲロでドロドロのカピカピになっていた……
「…………」
見なかったことにしました。
「マサヒデ様は何処でしょうか?」
正秀も居ないことに気付くが、どうでもいいので、再び為次を探し始める。
「あ、つばい様ならご存知かも知れません」
レオパルト2の存在を思い出すと外に出てみることにした。
玄関を出て庭を見ると綺麗な星空の元に、焦げた戦車が佇んでいる。
その横には小さなテントが1つ設営してあった。
「はわっ!」
テントに駆け寄ると、中を覗いて見る。
中には為次と正秀が寝袋に入って寝ていたのだ!
「ご主人様ぁ!」
主を発見したスイはとても嬉しそうだ。
しかし、中に入ろとするものの狭い、結構狭い。
とにかく正秀が邪魔だ。
「はぅ……」
考えた末、急いで部屋から布団を取って来る。
そして、ズルズルと正秀を寝袋のままテントの外へと引き摺り出した。
親切な正秀が外へと出てくれたので空いたスペースに入ると、為次の横に寝る。
だが、為次が寝袋に入っているのが気に入らない。
仕方ないので、寝袋のチャックを下まで下ろすと中から為次を出すことにした。
「これで、いいのです」
何がいいのかは、よく分からない。
とにかくスイは満足そうにしながら為次と一緒に持ってきた布団を被った。
布団の中はゲロ臭い。
だけども、儀式が終って直ぐにゲロに塗れ抱き合った仲だ。
問題は無い。
スイの解釈は、おおむね良好だった。
それでいいのだ。
ようやく安心したスイは為次に抱きつながら再び寝ようとするが、眠れない。
結構、寝たので直ぐには眠れないのだ。
だが、それは大した問題ではない。
隣に大好きなご主人様が居るだけで嬉しかった。
しばらく為次を触っていたが、あまり反応が無いので止めた。
だから、なんとなく暇になったスイは、ポケットから1枚の紙を取り出す。
それは、マヨーラが訪ねて来る少し前に貰った3枚目の手記であった。
「これを読んでから寝ましょう」
スイは下の方に、1行しか書いてない手記を読み始めるのであった。
―― 三枚目 ――
この手記だけは、
今の僕がカーラに書かせた物だ。
魔力を持った人間にしか、
読めない様にしてある。
だから、
マサヒデ君とタメツグ君には読めない。
これを読んでいる三人の内、
スイだけは読めるだろう。
これから書くことはスイ、
君にしか必要のない内容だから、
この様な方法をとらせてもらう。
君は、
ターナの転生モデルの一体だ。
ターナの胎内で受精させ、
ある程度、
成長した胎児を取り出し、
揺り籠の中で成長保存したものだ。
つまり、
君の母親はターナと言う事になる。
次に父親だ。
通常、
転生モデルの制作には、
本人の性転換したドッペルゲンガーを使う。
ドッペルゲンガーとは、
本人と瓜二つの存在であるが、
意識を持たない人形の様なものだ。
その人形と本人を、
それぞれの揺り籠に入れ、
受精させ転生モデルを創り上げる。
しかし、
君は違う。
父親は別に居る。
彼の名はサダムネ。
君も知っているだろう、
30年前に異世界から来た冒険者だ。
今はポンタの街に居るはずだ。
気が向けば、
行って見るのも良いだろう。
マサヒデ君もタメツグ君も、
彼には会うべきだから。
それから、
君には謝っておきたい。
ここ十数年、
散々君をいたぶってしまった。
だが、
そのおかげで、
他の奴隷を使わなくて済んだ。
本当は、
直接君に言うべきだろうが、
僕の立場もある。
許して欲しい。
もっとも、
謝って許される事では無いだろうが。
スイ、
本当に申し訳無かった。
これからは、
タメツグ君に大切にされる事を願う。
最後にお願いがある。
頼める立場では無いのは分かっている。
だが、
他に頼れる人も居ない。
この世界は、
本当に危機に瀕している。
君の母親である、
ターナを止めて欲しい。
マサヒデ君とタメツグ君の力になってくれ。
彼らと協力して、
どうかこの世界を救ってほしい。
―― ―― ――
スイは3枚目の手記を読み終えた時、少し涙を流していた。
しかし、よく意味が分からなかった。
「どうして、ガザフ様は私に謝るのでしょうかぁ? んー、ご主人様達と仲良くするようにってことですね、きっと。スイには、よく分かりませんけど……」
隣で寝ている主の顔を見る。
「一生、ご主人様について行きますからね」
隣で寝かせた為次に、スイはそっと話しかけるのだ。
そして、再び眠りにつく。
もう、日が昇り始めた、明け方であった……
辺りはまだ真っ暗だ。
朝と言うよりは、まだ夜と言ったほうがいいかも知れない。
昨日、酔っ払ってしまい早くに寝てしまったので変な時間に起きてしまったのだ。
ベッドから起き上がると、星明りを頼りに部屋を見回す。
どうやら知らない内に、為次のベッドで寝ていたらしい。
だが、主は見あたらないし、なんか臭い。
「ご主人様は何処でしょう?」
ベッドの下やクローゼットの中を探し回るが、部屋には居ないようだ。
壺の中も覗いて見たがやっぱり居ない。
だんだんと不安になってきた。
「ご主人様ぁ…… うえぇぇ……」
呼びかけても返事はなく、ちょっと泣きかけている。
しかし、ご主人様が居ないのに泣いても仕方ない。
部屋から出てみることにした。
「ロビーへ行って見ましょう……」
部屋を出てロビーに行くと、マヨーラがソファーで寝ている。
寝ているはずだが瞼は開き白い眼球が見えている。
どうやら寝ていると言うよりは、気絶したままのようだ。
「マヨマヨ様…… 臭いですぅ」
臭いロビーで更に異臭を放っているのだ。
そんなマヨーラを見ると、昨日のことを思い出してきた。
「そう言えば、スイはマヨマヨ様に抱きついていました。何故あんな事を、したのでしょうか? マヨマヨ様が何か吹き出したとこまでは覚えていますが…… あ! そうです、ビックリ噴水人間をご主人様に見せてあげる為ですね。間違いありません。です」
昨日の出来事を勝手に意味不明な解釈をし、適当に納得するスイ。
再び為次を探し回る。
そこら中、血の混じったゲロまみれのロビーを探すが見つからない。
人の動く気配があったので振り向いてみる。
そこには大きな鏡があって自分が映っているだけであった。
スイの全身が鏡に映っている。
口元から胸元にかけて、乾いたゲロでドロドロのカピカピになっていた……
「…………」
見なかったことにしました。
「マサヒデ様は何処でしょうか?」
正秀も居ないことに気付くが、どうでもいいので、再び為次を探し始める。
「あ、つばい様ならご存知かも知れません」
レオパルト2の存在を思い出すと外に出てみることにした。
玄関を出て庭を見ると綺麗な星空の元に、焦げた戦車が佇んでいる。
その横には小さなテントが1つ設営してあった。
「はわっ!」
テントに駆け寄ると、中を覗いて見る。
中には為次と正秀が寝袋に入って寝ていたのだ!
「ご主人様ぁ!」
主を発見したスイはとても嬉しそうだ。
しかし、中に入ろとするものの狭い、結構狭い。
とにかく正秀が邪魔だ。
「はぅ……」
考えた末、急いで部屋から布団を取って来る。
そして、ズルズルと正秀を寝袋のままテントの外へと引き摺り出した。
親切な正秀が外へと出てくれたので空いたスペースに入ると、為次の横に寝る。
だが、為次が寝袋に入っているのが気に入らない。
仕方ないので、寝袋のチャックを下まで下ろすと中から為次を出すことにした。
「これで、いいのです」
何がいいのかは、よく分からない。
とにかくスイは満足そうにしながら為次と一緒に持ってきた布団を被った。
布団の中はゲロ臭い。
だけども、儀式が終って直ぐにゲロに塗れ抱き合った仲だ。
問題は無い。
スイの解釈は、おおむね良好だった。
それでいいのだ。
ようやく安心したスイは為次に抱きつながら再び寝ようとするが、眠れない。
結構、寝たので直ぐには眠れないのだ。
だが、それは大した問題ではない。
隣に大好きなご主人様が居るだけで嬉しかった。
しばらく為次を触っていたが、あまり反応が無いので止めた。
だから、なんとなく暇になったスイは、ポケットから1枚の紙を取り出す。
それは、マヨーラが訪ねて来る少し前に貰った3枚目の手記であった。
「これを読んでから寝ましょう」
スイは下の方に、1行しか書いてない手記を読み始めるのであった。
―― 三枚目 ――
この手記だけは、
今の僕がカーラに書かせた物だ。
魔力を持った人間にしか、
読めない様にしてある。
だから、
マサヒデ君とタメツグ君には読めない。
これを読んでいる三人の内、
スイだけは読めるだろう。
これから書くことはスイ、
君にしか必要のない内容だから、
この様な方法をとらせてもらう。
君は、
ターナの転生モデルの一体だ。
ターナの胎内で受精させ、
ある程度、
成長した胎児を取り出し、
揺り籠の中で成長保存したものだ。
つまり、
君の母親はターナと言う事になる。
次に父親だ。
通常、
転生モデルの制作には、
本人の性転換したドッペルゲンガーを使う。
ドッペルゲンガーとは、
本人と瓜二つの存在であるが、
意識を持たない人形の様なものだ。
その人形と本人を、
それぞれの揺り籠に入れ、
受精させ転生モデルを創り上げる。
しかし、
君は違う。
父親は別に居る。
彼の名はサダムネ。
君も知っているだろう、
30年前に異世界から来た冒険者だ。
今はポンタの街に居るはずだ。
気が向けば、
行って見るのも良いだろう。
マサヒデ君もタメツグ君も、
彼には会うべきだから。
それから、
君には謝っておきたい。
ここ十数年、
散々君をいたぶってしまった。
だが、
そのおかげで、
他の奴隷を使わなくて済んだ。
本当は、
直接君に言うべきだろうが、
僕の立場もある。
許して欲しい。
もっとも、
謝って許される事では無いだろうが。
スイ、
本当に申し訳無かった。
これからは、
タメツグ君に大切にされる事を願う。
最後にお願いがある。
頼める立場では無いのは分かっている。
だが、
他に頼れる人も居ない。
この世界は、
本当に危機に瀕している。
君の母親である、
ターナを止めて欲しい。
マサヒデ君とタメツグ君の力になってくれ。
彼らと協力して、
どうかこの世界を救ってほしい。
―― ―― ――
スイは3枚目の手記を読み終えた時、少し涙を流していた。
しかし、よく意味が分からなかった。
「どうして、ガザフ様は私に謝るのでしょうかぁ? んー、ご主人様達と仲良くするようにってことですね、きっと。スイには、よく分かりませんけど……」
隣で寝ている主の顔を見る。
「一生、ご主人様について行きますからね」
隣で寝かせた為次に、スイはそっと話しかけるのだ。
そして、再び眠りにつく。
もう、日が昇り始めた、明け方であった……
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