異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 2章

第63話 水浴その2

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 スイとマヨーラ、二人の少女が池で水浴びをしていた。
 そこへ、遠慮なしにダイブする為次君。
 更には、巨大トカゲのモンスターまで出現して、美しく静かだった池のほとりは、なんだか騒がしくなっているのでした。

 「ぎゃーー! 出たぁーーー!」

 草むらから顔を出したトカゲを見た為次は、とりあえず叫んでみる。
 改めてビックリしたのもあるが、裸体少女のおっぱいを揉んだのも誤魔化さないとだから。

 「ひゃぁっ! なんなのこいつ…… って、ダイコンじゃないの」

 「サラマンダーではなくダイコンなのです。似てるのです」

 「そうね、ビックリしたわ」

 ダイコンは池の手前で、こちらの様子を伺っているようだ。

 「ま、池の中に居れば大丈夫よ」

 マヨーラの言った通り、ダイコンは水の中には入って来ようとはしない。
 しかし、動く気配もなかった……

 「ほ、ほんとぬでーじょーぶなぬか?」

 ようやく、おしっこの止まった為次は何故か変な喋りで訊いた。

 「大丈夫って言ってるでしょ。小心者ね、まったく」

 「小心者でいいから、なんとかして……」

 「しょうがないわねぇ」

 マヨーラは両手を構えて魔法を唱える。

 「はぁ~、ウォーターあっ!」

 ベチャ!

 魔法を放とうとしたマヨーラにネチョネチョした液体が飛んできた。
 ダイコンが口から吐き出した粘液だ。

 「うぬぬぬ、こんのぉ~! やってくれたわねっ! ウォーターぎゃ!」

 ベチャ!

 「こんのぉ…… こいつ……」

 「マヨ臭い」

 「臭いです」

 ネチョネチョの液体は強烈な異臭を放っていた。
 その液体を、マヨーラは顔面からタップリ被っている。

 「マヨはよ」

 「うるさいわねっ! 分かってるわよ!」

 マヨーラは再度、両手を構えウォーターアローを撃ち出そうしたその時だった……

 バッシャッ バッシャッ バッシャッ

 ダイコンは唐突に水の中に入ると、こちらに向かって来た。

 「え? 池に入って来たよ」

 「こっち来るです」

 「そうね……」

 「ぬわぁぁぁ! 大丈夫って言ったじゃーん! 水が苦手じゃないの!?」

 「苦手とは言ったわ…… でもね、水に入れない分けじゃないのよ…… だってトカゲですもの!」

 「ふざけんなアホマヨ!」

 「なんですって!? 誰がアホですってー!」

 「アホじゃないなら、さっさとなんとか…… っ!?」

 バッシャッ バッシャッ バッシャッ

 為次とマヨーラが言い合いをしているとこへ、ダイコンが近づくと前足を振り上げる。
 そして、二人を叩きつけようと振り下ろしてきた。

 「ぬぉ! やべ!」

 為次は咄嗟にマヨーラをかばいながら、水の中へと倒れ込む。
 次の瞬間、ダイコンの前足は二人の直ぐ上をかすめ、空を切った。
 間一髪で避けたが、結果的に為次は全裸のマヨーラを押し倒しちゃった。
 しかも為次は、まだちんちんしまってないのです。
 危ない状態で、マヨーラに覆い被さる為次。

 「あっぶねー」

 「……ちょ、ちょっと」

 見つめ合う二人。
 マヨーラは赤面する。
 ねっとりと粘液が二人に絡みつき、肉体と肉体も絡み合うのだ。

 「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 叫び、驚愕するマヨーラ。
 しかし、それ以上に驚愕するのはスイだった。
 どう見ても、二人はローションプレイをしているようにしか見えない。

 「は、はわわわ…… ご、ご主人様…… 一体何を……」

 スイは慌てて二人に近づき、粘液の糸を引く為次を持ち上げる。
 と、そのままダイコンに向かって投げてしまった。

 「どりゃぁぁぁ!」

 バッチーン!

 為次がダイコンの顔に華麗にヒットする。
 すると、ダイコンは「ムキュー」と叫びながら怯んだ。
 その隙に、スイは両手で池の水を組み上げ魔法を付与する。

 「エンチャント色々えーい!」
 
 スイが適当に呪文を唱えると、手の中の水が光る。
 そして、適当に完成した戦闘用ポーションを飲む。

 「ゴッキュ ゴッキュ ゴッキュ。ご主人様を痛めつける者は許さないのです!」

 「バカにダメージを与えたのはあんたよ…… スイ」

 「それはスイを差し置いて、変なプレイをするご主人様が悪いのです!」

 「それはそうだけど、別に変なプレイとかは……」

 「私も一緒がいいのです、一緒に縛って欲しいのです!」

 「縛ってないし、あたしは遠慮するわ…… それより、ダイコンをなんとかしてちょうだい」

 「はいです」

 全裸でダイコンと対峙するスイ。
 相手も「キュルッキュー」とか吠えながら向かってくる。

 「キュッキュキュッキュー!」

 スイも負けじと、変な掛け声をマネして突進するのだ。
 ダイコン手前まで突っ込むと、思いっ切り飛び上がる。
 そして、そのままの勢いで飛び蹴りをかます!

 「うりゃぁぁぁ!」
 
 ズコーン!

 スイの全力飛び蹴りが、ダイコンの顎にクリーンヒット!
 戦闘用ポーションで強化された蹴りの威力は凄まじかった。
 10メートル以上もあるトカゲの巨体が跳ね上がる。
 そのまま、吹っ飛ばされてしまい仰向けに倒れてしまうと、苦しそうにビチビチと池の中で悶える。

 それでも、スイは更に追い打ちをかようとする。
 着地したら直ぐに近くの木に向かって飛び上がり、その木で反動を付け再び蹴りをダイコンの腹を目掛けて蹴り下ろすのだ。

 「どっせーいっ!」

 どばっしゃーん!

 が、それは僅かな差であった。
 スイが木に向かって飛び上がったと同時に、ダイコンは体をムニュムニュと捻り起き上がっていた。
 そして、蹴り下ろしが当たる寸前に避けられてしまった。
 
 スイの蹴りが水面に突き刺さると同時に、巨大な水飛沫が跳ね上がる。
 目を回していた為次も気がついて、それを見た時にはビックリしたもんだ。
 ネチョネチョのマヨーラも、唖然として見るだけである。
 それは最早もはやバケモノ同士の戦いであった……

 「うがぁぁぁ! 避けるな! です」

 吠えるスイ。
 それに呼応するかの如く、ダイコンも「ムッキュキュッキュー」とか言っちゃってる。

 「ぬぉぉぉ!」

 スイはダイコンを睨みつけると、またもやダッシュして飛び蹴りをかます。
 
 「いい加減、おとなしくなりやがれぇぇぇ! ですぅ!」

 そんな気魄きはくまとった蹴りがダイコンに当たる!
 と、思った直前であった。

 スイは横から何かが迫って来るのに気がついた。
 それはダイコンの尻尾であった。
 体をクネらせ尻尾を前まで振っていたのだ。
 既に飛び上がってしまったスイには、なす術もない。

 バッチーン!!

 「うぎゃぁぁぁっ!」

 強烈な勢いではたかれてしまう。
 口から血を吐きながら、吹っ飛ぶスイ。
 近くの木を数本折りながら飛ばされると、その奥の木に引っ掛かってしまった。

 「あわわわ、スイが……」

 「どっか行っちゃったわね」

 「う、うん」

 木に引っ掛かった全裸少女を見る大トカゲ。
 スイは気を失っているのか? グッタリしている。
 そこへ舌をペロペロ出しながら近づいて行く。
 どうやら、食べようとしていみたいだ。

 「あわわわ、スイ食べられちゃう」

 「そ、そうね」

 「あっ! マサは? マサは何をやってるんだ?」

 為次は正秀の存在を思い出すと、戦車が駐車してある方を見てみる。
 すると、レオパルト2は茂みの邪魔していない、こちらが見える所に移動していた。
 なんと今まさに砲身をこちらに向けようとターレットを回していたのだ。

 「ま、まさか…… 撃つ気なんじゃ…… や、やめろマサ……」

 主砲を撃とうとするレオパルト2を見た為次はマジで青ざめた……

 ※  ※  ※  ※  ※

 ―― 少し前

 三人がビッグなトカゲちゃんとたわむれていた頃。
 正秀はキャンプ地で一人、大剣を振り回して遊んでいた。

 「はりゃぁっ! とりゃぁっ!」

 ブォン ブォン

 大剣が縦へ横へと暴れまくる。

 「ふぅ…… 中々、サマになってきたぜ」
 
 正秀は自分の剣捌きにご満悦である。

 「しかし、為次の奴遅いな…… いつまでションベンしてんだ? それに、マヨーラとスイちゃん、やけに騒がしいな。ま、まさか…… 為次の奴一人で……!?」

 突如、正秀は邪魔な大剣をその辺に突き刺すと、叫びながら戦車に向かって走る。
 
 「うぉぉぉ!」
 
 車長ハッチを開けると、中から双眼鏡を取り出す。
 直ぐにスイとマヨーラが水浴びしているはずの場所と反対方向へと走り出すのだ。

 「これは覗くんじゃない、為次の淫魔の手からマヨーラとスイちゃんを救ってやるんだぜ!」

 現在、戦車の駐車してある場所からは、茂みが邪魔で水浴びを覗くことはできない。
 しかし、対岸付近へと回り込めば彼女らの、あられもない姿がおがめるはずである。
 距離こそ遠いが、双眼鏡という秘密兵器があれば、それは些細な問題に過ぎない。
 だから、正秀は双眼鏡を持って全力疾走するのだ。

 「よし! ここからなら…… ゴクリ……」

 現場へと到着した正秀は、生唾を飲み込みながら双眼鏡を覗く。
 色々と期待したが、実際に双眼鏡の先での出来事をの当たりにすると驚いた。
 なんと、全裸のスイとマヨーラは巨大なトカゲに喧嘩を売っている。
 そんな中、為次はちんちん出したままブラブラしてる。
 正秀の目には、そんな感じに映ったのです。

 「なにやってんだ? あいつらは」

 しばし正秀は考える……

 「あっ、もしかして、あの大トカゲに襲われてるのか?」

 もしかしなくても、そうである。

 「しょうがねーな、イッチョ助け船出してやるか」

 急いで戦車の所に戻ると、地面に刺しておいた大剣を手に取る。
 が、やっぱり砲塔の上に置いた。

 「よく考えたら、さっきの覗きスポットから砲撃した方早いぜ。うん」

 大剣で戦うよりも戦車砲であの大トカゲを撃つことにした正秀は、レオパルト2へと乗り込む。
 まず、装填席に入り、砲弾を装填する。

 「爆発させると危ないし、鉄鋼弾でいいかな」

 そう言いながら翼安定鉄鋼弾を装填した。

 次に、操縦席にゴソゴソと移動するとエンジンを始動させるのだ。
 すると、レオパルト2は軽快なディーゼル音が鳴り響かせる。

 「よし、行くぜ」

 直ぐに戦車を走らせ、先ほどの覗きスポットへと向かう。
 そんなに距離はないので、あっという間に到着なのだが……
 ブレーキを踏むが、中々止まらない。

 「あれ? こんなにブレーキの利きわるかったか?」

 違和感を覚えるが……

 「まあ、こんなものか……」

 レオパルト2は滑るように停車するが、正秀はあまり気にしなかった。
 射撃位置につくと、ようやく慣れた砲手席へと移動し、照準装置を覗きながら砲手用ハンドルを握る。
 ここまでくれば手慣れたものだ、ハンドルをグリグリ動かしながらターゲットを捕らえる。
 後は、いつも通り射撃ボタンを押すだけだ。

 「へへっ、為次の奴あんなにビビリやがって。直ぐに、助けてやるぜ」

 照準装置を通して正秀の目に映る為次は必死に何かを訴えかけながら、こちらに向かって手を振っていた。

 「ファイア」

 次の瞬間……

 鉄鋼弾は撃ち放たれた…… 
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