異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

文字の大きさ
73 / 183
異世界編 2章

第66話 気絶

しおりを挟む
 為次は目を覚ますと、そこにはスイのおっぱいと顔が見える。
 少し戸惑ったものの、膝枕をしてもらっていることは直ぐに気がついた。
 可愛い少女にしてもらう膝枕は素晴らしい、感動的だ。
 しかし、そんなどうでもいい感動より鼻や口に水が入っていて凄くむせる。

 「ゲホッ、ゲホッ……」

 もう少し、膝枕をしてもらいたいが、鼻の中の水があまりにも鬱陶しいので、たまらず起きてしまう。
 そんな為次をスイは心配そうに、マヨーラはニヤニヤしながら見ていた。

 「気がついたようね」

 「ご主人様ぁ」

 「ゲハッ…… なんだこれは」

 「ヒールポーションですよ」

 為次は気を失う前のことを思い出して言う。

 「ああ、そう言いやマヨに酷い目にあわされんだっけ」

 「失礼ね、あんたが降りれない言うから、手伝ってあげたのよ。感謝なさい」

 「マヨマヨ様に感謝なのです」

 「せんわっ!」

 「まあいいわ、それよりマサヒデのとこに行きましょ」

 「行くのはいいけど、気ぃ失ってからどんくらい経ったの?」

 「10分程度よ」

 「直ぐに起きてしまったのです。もっとスイの膝で寝ててもいいですよ」

 「寝るのはテント入ってからです」

 「では、テントで膝枕を」

 「大人しく寝て下さい」

 「むぅ~う、つまんないですぅ」

 「そんなことはどうでもいいから、早くレオを回収しないと」

 「そうね、マサヒデも心配だわ」

 「う~、分かりました…… つばい様を助けに行くのです」

 「で、レオが吹っ飛んだ場所は、タメツグがアホ面で見てた方でいいのかしら?」

 「アホ面ではないが、そのはず」

 「じゃ、行きましょ」

 「行くです」

 「うい」

 斯くして、三人はレオパルト2を求め池沿いに歩いて行くのであった……

 ※  ※  ※  ※  ※

 少し歩くとキャンプ地までやって来た。
 設営したテントを横目に更にその先へと進むと、マサヒデが砲撃した痕跡のある場所へと辿り着く。

 「ここだな、草とかちょっと焦げとるわ。大剣も落ちとるし」

 「食べ物も、いっぱい落ちてるです」

 辺りには砲塔の上に積んであった食料品が散乱している。

 「相変わらずの衝撃ね」

 マヨーラはマンティコアと戦った時のことを思い出しながら言った。

 「そういや、マヨはレオの砲撃で血ぃ吐いとったもんな」

 「思い出したくもないわ……」

 「でも、つばい様は見当たりませんね」

 為次は砲撃跡の反対側に続く薙ぎ倒された木々を指しながら言う。

 「どう見てもこっちだな」

 「そっちですか」

 「そっちね」

 「こっち」

 「そっち」

 「そっちです」

 「ぐ……」

 とりあえず妥協した為次と得意げな少女二人は、倒れた木々をまたぎながら進んで行く。
 地面はえぐれ、大きな倒木も根本からブチ抜かれる状態で、その衝撃の凄まじさを物語っていた。

 そんな地面の惨状を見て、為次は少し不思議に思う。

 「なんだこりゃ……」

 いくら戦車砲の反動が強烈で、今のレオパルト2が軽いと言っても、ここまで吹っ飛ぶのは流石におかしい。
 これだけの大木ならば、多くとも精々数本程度しか倒れないと思う。
 それに、もっと不可解なことがある。
 正秀がリバースグラビティを付与した大剣を振り回し、借家の2階をフルボッコにしたことだ。
 例えば今この場所が無重力状態だとしよう。
 ここで正秀の大剣を振り上げたところで、本人ごと飛んでいく分けがない。
 振り上げた分の反力は、地面に係る力で相殺されるハズだ。
 もちろん大剣から手を離せば大剣だけは飛んでいく。
 しかし、あの時は正秀ごと飛んで行った……

 「んん?(なんだ…… そもそも重力をエネルギーとして扱う魔法って……)」

 「ご主人様、ご主人様。ご主人様ったらー」

 「!?」

 考え込んでしまった為次は、スイの呼びかけに現実へと引き戻される 

 「何、ボケっとしてるのよ」

 「え? あ、ああ……」

 「ご主人様、あそこなのです。つばい様が居るのです」

 スイが指す方にレオパルト2が横たわっている。

 そこは既に林を抜け、草原が広がっている場所であった。
 えぐった土であろう、車体の向こう側には大量の土が盛り上がっている。
 その手前でレオパルト2は、斜めに傾きながら静かに停まっていた。

 「こりゃ酷いな……」

 「足が取れてるです。ヒールポーションを飲ませてあげるのです」

 履帯が外れていた……

 「レオは飲まないよ、油しか」

 「では、油をヒールポーションにするです」

 「それで治ればいいんだけどねぇ」

 「治らないですか……」

 為次はレオパルト2に近づくと、とりあえず1周して車体を確認する。
 幸い履帯は外れているだけで切れてはいないようだ。
 もっとも外観は履帯以外の問題は無いようだが、エンジンやサスペンションなど内部のダメージも心配である。

 「マサヒデは大丈夫かしら?」

 「どうだろう? まあ、中に入ってみるか」

 「ええ」

 「はいです」

 三人は砲塔に登ると為次は土を払って車長ハッチを開け、スイは装填手ハッチを開ける。
 そして、為次は中を覗き込もうとすると……

 ゴチンッ

 「痛て」

 「あ痛っ」

 一緒に覗き込んだマヨーラの頭とぶつかった。
 
 「ちょっと、なんなのよっ」

 「なんなの、って……」

 マヨーラ「あんたは下から入りなさい」

 「でも、土が……」

 運転手ハッチは、結構な量の土を被っているのだ。

 「文句あるの?」

 「んもぅ……」

 渋々、為次は砲塔から降りると、積もった土を払いながら運転手ハッチを開ける。
 マヨーラとスイは、その前にさっさと車内に入った。

 心配していた運転手のハッチはすんなり開いた。
 これには為次も少し安心した。
 運転手ハッチは電動スライド式なので、バッテリーは問題無いはずである。

 為次が車内に入ると、先に入っていたマヨーラが気絶してる正秀のほっぺをペチペチと叩いていた。
 見たところ、生きてるみたいだし外傷もほとんど無い感じだ。

 「起きないわね」

 「のびちゃってるね」

 そこへ、横からスイが小瓶を差し出しながら言う

 「マヨマヨ様、ヒールポーションです」

 「ああ、ありがと。スイ」

 マヨーラは受け取ったヒールポーションを、正秀に飲ませようとする……
 為次はそれを興味深そうに見ている。

 「じぃぃぃ………」

 「な、何よタメツグ! 何みてんのよ!」

 「え? 何って、別に」

 「…………」

 「早く飲ませてよ」

 「ぐ……」

 「気絶してるけどちゃんと飲めるかなー? マサは」

 「…………」

 「あ、その量だとこぼせないね」

 「わ、分かってるわよっ」

 「マヨはよ」

 「あぅぅぅ……」

 「ねぇマヨ」

 「何よ」

 「マサは今気絶してるよ」

 「そんなの知ってるわよっ」

 「んで、その水を飲ませる分けだが…… ハッキリ言おう、現状では口移しで飲ませるのが最適解だと思うんだ!」

 「はぁぁぁ!? 何言ってんの? バカなの? アホなの? タメツグなの?」

 「まあ、餅つけマヨ。これは医療行為だ! しかし、俺は嫌だ。マサに口移しとかマジ勘弁」

 「…………」

 「それならばスイにやらせてもいい。だが、俺はスイが嫌がるかも知れないことを命令する気はない」

 「…………」

 「じゃあ、今のマサを助けれるのはマヨしか居ないじゃないか!」

 「はっ!?」

 「そうだろう!」

 「そ、そうね…… 確かに、そんな気もするわ……」

 為次は面白半分にマヨーラを説得した。
 普段ならば、説得などとは到底思えない適当な言葉ではある。
 しかし、気を失った正秀を前に気がたかぶっているマヨーラには効果てき面であった。

 「さあ! 俺の大切な仲間なんだ…… 頼むよマヨーラさんっ」

 「…………」

 「はよ」

 「え、ええ…… これは人助けなのよね」

 「そうだよ、マサを助けれるのはマヨだけなんだ!」

 「分かったわ…… し、仕方ないから、あたしが助けてあげるわ」

 「ありがとう、マヨ! ニヤニヤ」

 「す~…… はぁ~……」

 深呼吸をするとマヨーラは、正秀の居る砲手席へと移動していく。

 狭い車内だ、後ろ向きに慎重に下りて行く。
 為次からはパンツ丸見えだ。
 そして、正秀の上に乗っかっり顔を向き合わせる。

 「これは人助け、医療行為、人助け、医療行為、人……」

 「ぬぉ、良く見えん…… パンツは見えるけど」

 「はわわわ…… ドキドキなのです」

 スイもいつの間にか車長席に移動し、興味深そうに見ている。

 顔を真っ赤にしたマヨーラは小瓶の水を口に含むと……
 そっと正秀の口に自分の唇を近づけ……

 しかし、相手は空気の読めない正秀だ。

 「んん…… なんだ…… マヨーラか?」

 起きちゃった。

 「ブッバーァァァッ」

 マヨーラは口の中の水を、正秀の顔面に吹きかけてしまうのだ。

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 叫びながら暴れるマヨーラ。

 車内は狭い、前上にはスイが後下には為次が居るので逃げ場はない。
 恥ずかしさのあまり、思考がおかしくなったマヨーラはジタバタするのだが。

 ゴチンッ!

 思いっ切り頭をその辺にぶつけてしまう。

 「ぎゃ! 痛だぁぁぁい」

 「ぎゃはははははっ、おもしれぇ~」

 「おい、大丈夫か? マヨーラ」

 正秀の問いかけにマヨーラはぶつけた頭を抑え、涙目でうつ向くだけで何も言わなかった。
 そんなマヨーラを正秀は力強く腰を抱きしめ、痛そうにしている頭をそっと撫でててあげるのだ。

 「……うぅ」

 「心配してくれてたのか? マヨーラ」

 マヨーラはすっかり大人しくなった。

 「ぐすっ……」

 「何、泣いてるんだ? 誰かにいじめられでもしたのか?

 「うん…… タメツグに……」

 「はぁ!?」

 「おい、為次。女の子を泣かせるのはどうかと思うぜ」

 「いや、いや、いや、なんもしてないし」

 「えーん、えーん…… タメツグが乙女の純情をもてあそぶのよぉ」

 「くそっ(ぐ、ヤバイ、矛先がこっち向いてきたお)」

 「為次、お前……」

 「ええいっ、そんなことはもうどうでもいい!」

 「そんなことってのはないだろ、マヨーラ泣いてるぜ」

 「えーん、えーん…… チラッ」

 マヨーラは泣きながら為次を振り向くと、ちょっとニヤっとするのだ。

 「くっ……」

 「とにかく説明してくれないと、訳が分かんねーぜ」

 「んも。ほんとに、それどころじゃないんだけど……」

 そんな時もう一人の少女が割り込んできた……

 「あのー、お取込み中申し訳ありませんが、これどうぞ」

 そう言いながらスイはもう一本作ったヒールポーションを正秀に渡す。
 正秀は受け取ったヒールポーションを飲みながら思うのだ……

 まったく状況が分からん…… なんでマヨーラが俺の上に乗ってんだ?

 と……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...