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異世界編 2章
第90話 姉妹
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―― 翌朝
昨夜は遅くまでゴーレム達と戯れいたので、皆は起きるのが遅かった。
貞宗宅に戻るとクリスの作った夜食を食べて直ぐに寝た。
とても疲れていたから。
だけどクリスだけは、いつも通りに起きて朝食の準備していた。
「できたわ、そろそろ、みんなを起こさないと……」
リビングのテーブルに美味しそうな朝食を並べをると、クリスは皆を起こしに行く。
夜ふかしの多い貞宗が起きて来ないのは、いつものことである。
しかし、今朝はあと四人も起こしに行かなくてはならない。
それに、朝食も余分に作らなくてはならなかった。
だから今朝は、いつもより随分と遅い。
クリスに叩き起こされ、食卓に着いた皆はまだ眠そうであった。
寝ぼけ眼で、口からポロポロとご飯を落としながら食べている。
そんな中、スイだけは元気いっぱいに食べていた。
まだ手掴みで食べる癖は直っていなようで、たまにクリスから「スイちゃん、ダメよ」と睨まれるのだ。
「なあクリス、一杯だけ呑んでいいか?」
「あなた…… 朝から何を言ってるんですか」
「だよなぁ」
「……まったく、あなたって人は」
「隊長さん怒られちゃったね」
「当たり前ですよ」
「仕方ない、飯を食ったら山崎でも、しごくことにするか」
「あ、ご遠慮します」
「遠慮するな、むしろさせん」
「戦士の俺ですら、あの攻撃力だからな。為次は気功士だからもっと凄いんじゃないのか?」
「どうだろね……」
「特訓すれば俺みたいに強くなれるはずだぞ」
「でも、めんどくさいし」
「山崎はそればっかりだな、いい加減シャキッとしたらどうだ」
為次はしまったと思った。
この流れだと、また隊長の小言が始まりそうだからである。
せっかくの美味しい朝ご飯に、隊長の小言はまっぴらだ。
「ねぇ、ちょっと」
だが、それを救ったのは不本意ながらマヨーラであった。
「マヨナニナニマヨナニナニマヨ」
マヨーラの助け船に、喰いつかざるを得ない為次。
「おい、山崎…… 読み難いぞ」
「隊長、何を言ってるんですか?」
「気にしてはダメよ、マサヒデさん」
「それで、どうかしたの? マヨ」
「ええ、特訓もいいけど、スイに服を買ってやったらどうなの?」
スイは、まだ為次の上着だけを着ていた。
メテオで焼かれて、着る服が無いのだ。
「私はこれで構いませんが」
「俺が構うかも」
「むぅ~う」
「それでは、街の見学も兼ねて皆さんでお買い物にでも行ってはどう?」
と、クリスは提案した。
「そうしよう、そうしよう」
「逃げる気か山崎?」
「そ、そ、そんな分け無いっスよ、隊長さん」
「スイも、ご主人様とお買い物に行きたいのです」
「ほらほら、スイだったて、ああ言ってるしぃ」
と、その時だった……
ばぁっん!!
思いっ切り扉が開くと、突然シムリが突入して来た。
その後にはシャルも続いている。
「そうはさせないんだよ!」
「お、おいシムリ……」
突撃! 朝ご飯状態だ。
シャルは困惑しながら妹を制止しようとしているのだが、当のシムリはお構いなしである。
「おっ、シムリちゃんとシャルか、おはよう。朝からどうしたんだ?」
「あ、お…… はぉ……(おはようなんだよ)」
「やあ、おはよう。マサヒデ君もすっかり元気そうだな」
「おう、なんとか」
いきなり話しかけられてキョドり気味のシムリだが、今朝はテンションMAXだ。
勢いは止まらない!
「話はすべて盗み聞きさせてもらったよ!」
「こら、自分で盗み聞きとか言うんじゃない……」
「嬢ちゃん達は、いったい何をやってるんだ……」
貞宗は呆れて訊くが、シムリは我が道を行く。
「スイさん! 私の王子様をデートに誘うなんて許さないんだから!」
「は、はうぅ!?」
「そういや、ジャスティスプリンスだったな、為次」
「え? その設定まだあったの……?」
「ねぇシムリ、別にデートじゃなくて、昨日あんたが焼いたスイの服を買いに行くだけよ」
「え、え…… そま……(それはマヨーラさんも一緒にやったじゃない)」
「マヨーラ君も一緒にやっただろう、と妹は言っている」
「通訳できるんだ……」
「通訳できるのか……」
「通訳できるのね……」
「あらまあ、通訳できるのね……」
「通訳が必要なのかい」
「通訳なのです」
「と・に・か・く、二人っきりでお買い物なんてさせないよ!」
「みんなで行く予定だったけど…… 盗み聞きしてたんじゃないの?」
「あ…… え……(そうなの?)」
「なんなら、シムリちゃんとシャルも一緒に行くかい?」
正秀は言った。
「い、い…… の……?」
「いいのか? と妹は言っている」
「今のは聞き取れたかも」
「そうであったか、さすが妹の王子様だけはあるな」
「いや……」
「それじゃ、みんなで出かけましょ」
「おっと、そうは行かないぞ」
皆で出かけようするマヨーラだが、貞宗に止められてしまった。
「どうしてよ?」
「山崎と水谷は置いて行ってもらうからな」
「ええ!? 俺も行きたいよー」
「スイもご主人様と一緒がいいのです」
「え、だ…… あ……?(それは誰のことなのかな?)」
「ヤマザキとミズタニは誰か? と妹は聞いている」
「ミズタニがマサヒデで、ヤマザキがタメツグよ、ついでにタイチョーがサダムネらしいわ」
マヨーラが答えた。
「うん……(なんで違う名前で呼ぶのかな)」
「それで、タメツグ君とマサヒデ君は何か用事でも?」
シャルは通訳をやめて貞宗に訊いた。
「ああ、ちょっと野暮用がな」
「やだよー、俺も一緒に買い物行くよー」
「ダメだ、許さん」
「なぅ~、ご主人様が行かないならスイも行かないです」
「でも、行かないとあんた服が無いわよ」
「構わないのです」
「俺が構うよっ」
「では、今日は男性陣と女性陣に分かれての行動ね」
今度のクリスの提案を聞いたスイとシムリは驚きつつ、不満を露わにする。
「「ええっー!?」」
「いい加減にしてくれないと、朝食の片付けもままならないわ」
クリスはスイとシムリを睨みつけながら言った。
「はうう」
「あ…… う……(あうう)」
顔では笑っているが、あからさまに怒っているのが見て取れる。
貞宗に至ってはクリスから目を逸らしながら急いでご飯を掻き込み始めるのだ。
「今朝の朝食は一段と旨いなー、な? 山崎」
「あ、う、うん…… っスね」
「…………」
目線を貞宗に移し無言で睨みつけるクリス。
「お、お…… あぅ……(おばさんは怖いんだよ)」
「おばさんとは恐ろしい者だな、と妹は言っている」
「シャル、それは通訳しなくても……」
正秀は言った。
その横では貞宗と為次が慌てふためいている。
「「あわわわわ……」」
事実、貞宗とクリスの夫婦はおっさんとおばさんであった。
見た目は少年と美人なお姉さんなのだが、この世界では外見だけの判断は通用しない。
「シムリちゃん、今なんと?」
顔では笑っていたクリスだが、今は完全に鬼の形相となってしまっている……
「ヒィィィィィー……」
「妹は恐怖している」
「もはや通訳ですらないんだけど」
流石の為次も呆れていた。
「シムリちゃん、後でお話しましょうね……」
「ぴぎゃぁ!?」
結局、クリスの提案通りに男性女性の二手に別れての行動と決まった。
不満のある者も居るが、逆らうのも恐いので皆は黙っているのであった……
……………
………
…
スイ・マヨーラ・シムリ・シャルの4人は、女の子だけで街へお買い物に行くことになった。
残りの3人は、お見送りなのだ。
「ご主人様、スイは直ぐに戻ってまいりますので、寂しがらないで下さいね」
「うん、ゆっくりしてってね」
「直ぐに戻るのですぅ」
「うぅ…… (タメツグさんと行きたかったんだよ)」
「シムリ、女同士でもいいじゃないか、案外楽しいものだぞ」
「うん…… そうだね、お姉ちゃん」
「それじゃこれ」
と、正秀はマヨーラに金貨を10枚程渡した。
金貨1枚が約10万円の設定だったはずなので、約100万円くらいだ。
「え? こんなに…… いいのこれ?」
「みんなの服も買うといいぜ、ついでに必要な物も買ってきな」
「ありがとう! マサヒデ」
「ああ、それとだな、シャルとシムリには迎撃任務の報酬もそれなりに出るぞ」
「なんと、それは本当なのかい? サダムネ氏よ」
「かなり活躍してくれたからな、2人とも」
「なんとも、ありがたい」
それを聞いたマヨーラは、横から自分にもくれと言わんばかりに……
「あたし達は?」
「当然出るに決まってるだろ、何せゴーレム討伐の張本人だからな」
「やったわ!」
「それじゃ、気を付けて行って来るのよ」
「はーい…… (なんだよ。クリスさん)」
「うむ」
「そ…… いっ……(じゃあ行って来るんだよ)」
「行って来るぜショタババァ、と妹は言っている」
「ひぎぃ!? 言ってないよね? お姉ちゃん私言ってないよね!」
「シムリちゃん、戻ったらゆっくりお話ししましょうね」
「ぴぎゃぁぁぁー!」
クリスの目力に恐怖するシムリは、叫びながら走って行く。
「あ、シムリ待ちなさいよ」
突然、走り去るシムリをマヨーラは止めようとするが、お構いなしに行ってしまった。
「ふふ、君達と居るとシムリは楽しそうだ」
「あれでか?」
正秀は訊いたが、お金をいっぱい貰って御満悦なマヨーラはそれどころではない。
「スイ、シャル早くあたし達も行くわよ」
「はいです」
「ではまた」
こうして、お出かけする女性達はシムリを追いかけて走って行った。
そして彼女らを見送る貞宗は、クリスをチラリと見ながら思うのだ……
クリス…… 機嫌が悪くないといいが……
と……
そんなクリスは優しく微笑んでいるのであった。
昨夜は遅くまでゴーレム達と戯れいたので、皆は起きるのが遅かった。
貞宗宅に戻るとクリスの作った夜食を食べて直ぐに寝た。
とても疲れていたから。
だけどクリスだけは、いつも通りに起きて朝食の準備していた。
「できたわ、そろそろ、みんなを起こさないと……」
リビングのテーブルに美味しそうな朝食を並べをると、クリスは皆を起こしに行く。
夜ふかしの多い貞宗が起きて来ないのは、いつものことである。
しかし、今朝はあと四人も起こしに行かなくてはならない。
それに、朝食も余分に作らなくてはならなかった。
だから今朝は、いつもより随分と遅い。
クリスに叩き起こされ、食卓に着いた皆はまだ眠そうであった。
寝ぼけ眼で、口からポロポロとご飯を落としながら食べている。
そんな中、スイだけは元気いっぱいに食べていた。
まだ手掴みで食べる癖は直っていなようで、たまにクリスから「スイちゃん、ダメよ」と睨まれるのだ。
「なあクリス、一杯だけ呑んでいいか?」
「あなた…… 朝から何を言ってるんですか」
「だよなぁ」
「……まったく、あなたって人は」
「隊長さん怒られちゃったね」
「当たり前ですよ」
「仕方ない、飯を食ったら山崎でも、しごくことにするか」
「あ、ご遠慮します」
「遠慮するな、むしろさせん」
「戦士の俺ですら、あの攻撃力だからな。為次は気功士だからもっと凄いんじゃないのか?」
「どうだろね……」
「特訓すれば俺みたいに強くなれるはずだぞ」
「でも、めんどくさいし」
「山崎はそればっかりだな、いい加減シャキッとしたらどうだ」
為次はしまったと思った。
この流れだと、また隊長の小言が始まりそうだからである。
せっかくの美味しい朝ご飯に、隊長の小言はまっぴらだ。
「ねぇ、ちょっと」
だが、それを救ったのは不本意ながらマヨーラであった。
「マヨナニナニマヨナニナニマヨ」
マヨーラの助け船に、喰いつかざるを得ない為次。
「おい、山崎…… 読み難いぞ」
「隊長、何を言ってるんですか?」
「気にしてはダメよ、マサヒデさん」
「それで、どうかしたの? マヨ」
「ええ、特訓もいいけど、スイに服を買ってやったらどうなの?」
スイは、まだ為次の上着だけを着ていた。
メテオで焼かれて、着る服が無いのだ。
「私はこれで構いませんが」
「俺が構うかも」
「むぅ~う」
「それでは、街の見学も兼ねて皆さんでお買い物にでも行ってはどう?」
と、クリスは提案した。
「そうしよう、そうしよう」
「逃げる気か山崎?」
「そ、そ、そんな分け無いっスよ、隊長さん」
「スイも、ご主人様とお買い物に行きたいのです」
「ほらほら、スイだったて、ああ言ってるしぃ」
と、その時だった……
ばぁっん!!
思いっ切り扉が開くと、突然シムリが突入して来た。
その後にはシャルも続いている。
「そうはさせないんだよ!」
「お、おいシムリ……」
突撃! 朝ご飯状態だ。
シャルは困惑しながら妹を制止しようとしているのだが、当のシムリはお構いなしである。
「おっ、シムリちゃんとシャルか、おはよう。朝からどうしたんだ?」
「あ、お…… はぉ……(おはようなんだよ)」
「やあ、おはよう。マサヒデ君もすっかり元気そうだな」
「おう、なんとか」
いきなり話しかけられてキョドり気味のシムリだが、今朝はテンションMAXだ。
勢いは止まらない!
「話はすべて盗み聞きさせてもらったよ!」
「こら、自分で盗み聞きとか言うんじゃない……」
「嬢ちゃん達は、いったい何をやってるんだ……」
貞宗は呆れて訊くが、シムリは我が道を行く。
「スイさん! 私の王子様をデートに誘うなんて許さないんだから!」
「は、はうぅ!?」
「そういや、ジャスティスプリンスだったな、為次」
「え? その設定まだあったの……?」
「ねぇシムリ、別にデートじゃなくて、昨日あんたが焼いたスイの服を買いに行くだけよ」
「え、え…… そま……(それはマヨーラさんも一緒にやったじゃない)」
「マヨーラ君も一緒にやっただろう、と妹は言っている」
「通訳できるんだ……」
「通訳できるのか……」
「通訳できるのね……」
「あらまあ、通訳できるのね……」
「通訳が必要なのかい」
「通訳なのです」
「と・に・か・く、二人っきりでお買い物なんてさせないよ!」
「みんなで行く予定だったけど…… 盗み聞きしてたんじゃないの?」
「あ…… え……(そうなの?)」
「なんなら、シムリちゃんとシャルも一緒に行くかい?」
正秀は言った。
「い、い…… の……?」
「いいのか? と妹は言っている」
「今のは聞き取れたかも」
「そうであったか、さすが妹の王子様だけはあるな」
「いや……」
「それじゃ、みんなで出かけましょ」
「おっと、そうは行かないぞ」
皆で出かけようするマヨーラだが、貞宗に止められてしまった。
「どうしてよ?」
「山崎と水谷は置いて行ってもらうからな」
「ええ!? 俺も行きたいよー」
「スイもご主人様と一緒がいいのです」
「え、だ…… あ……?(それは誰のことなのかな?)」
「ヤマザキとミズタニは誰か? と妹は聞いている」
「ミズタニがマサヒデで、ヤマザキがタメツグよ、ついでにタイチョーがサダムネらしいわ」
マヨーラが答えた。
「うん……(なんで違う名前で呼ぶのかな)」
「それで、タメツグ君とマサヒデ君は何か用事でも?」
シャルは通訳をやめて貞宗に訊いた。
「ああ、ちょっと野暮用がな」
「やだよー、俺も一緒に買い物行くよー」
「ダメだ、許さん」
「なぅ~、ご主人様が行かないならスイも行かないです」
「でも、行かないとあんた服が無いわよ」
「構わないのです」
「俺が構うよっ」
「では、今日は男性陣と女性陣に分かれての行動ね」
今度のクリスの提案を聞いたスイとシムリは驚きつつ、不満を露わにする。
「「ええっー!?」」
「いい加減にしてくれないと、朝食の片付けもままならないわ」
クリスはスイとシムリを睨みつけながら言った。
「はうう」
「あ…… う……(あうう)」
顔では笑っているが、あからさまに怒っているのが見て取れる。
貞宗に至ってはクリスから目を逸らしながら急いでご飯を掻き込み始めるのだ。
「今朝の朝食は一段と旨いなー、な? 山崎」
「あ、う、うん…… っスね」
「…………」
目線を貞宗に移し無言で睨みつけるクリス。
「お、お…… あぅ……(おばさんは怖いんだよ)」
「おばさんとは恐ろしい者だな、と妹は言っている」
「シャル、それは通訳しなくても……」
正秀は言った。
その横では貞宗と為次が慌てふためいている。
「「あわわわわ……」」
事実、貞宗とクリスの夫婦はおっさんとおばさんであった。
見た目は少年と美人なお姉さんなのだが、この世界では外見だけの判断は通用しない。
「シムリちゃん、今なんと?」
顔では笑っていたクリスだが、今は完全に鬼の形相となってしまっている……
「ヒィィィィィー……」
「妹は恐怖している」
「もはや通訳ですらないんだけど」
流石の為次も呆れていた。
「シムリちゃん、後でお話しましょうね……」
「ぴぎゃぁ!?」
結局、クリスの提案通りに男性女性の二手に別れての行動と決まった。
不満のある者も居るが、逆らうのも恐いので皆は黙っているのであった……
……………
………
…
スイ・マヨーラ・シムリ・シャルの4人は、女の子だけで街へお買い物に行くことになった。
残りの3人は、お見送りなのだ。
「ご主人様、スイは直ぐに戻ってまいりますので、寂しがらないで下さいね」
「うん、ゆっくりしてってね」
「直ぐに戻るのですぅ」
「うぅ…… (タメツグさんと行きたかったんだよ)」
「シムリ、女同士でもいいじゃないか、案外楽しいものだぞ」
「うん…… そうだね、お姉ちゃん」
「それじゃこれ」
と、正秀はマヨーラに金貨を10枚程渡した。
金貨1枚が約10万円の設定だったはずなので、約100万円くらいだ。
「え? こんなに…… いいのこれ?」
「みんなの服も買うといいぜ、ついでに必要な物も買ってきな」
「ありがとう! マサヒデ」
「ああ、それとだな、シャルとシムリには迎撃任務の報酬もそれなりに出るぞ」
「なんと、それは本当なのかい? サダムネ氏よ」
「かなり活躍してくれたからな、2人とも」
「なんとも、ありがたい」
それを聞いたマヨーラは、横から自分にもくれと言わんばかりに……
「あたし達は?」
「当然出るに決まってるだろ、何せゴーレム討伐の張本人だからな」
「やったわ!」
「それじゃ、気を付けて行って来るのよ」
「はーい…… (なんだよ。クリスさん)」
「うむ」
「そ…… いっ……(じゃあ行って来るんだよ)」
「行って来るぜショタババァ、と妹は言っている」
「ひぎぃ!? 言ってないよね? お姉ちゃん私言ってないよね!」
「シムリちゃん、戻ったらゆっくりお話ししましょうね」
「ぴぎゃぁぁぁー!」
クリスの目力に恐怖するシムリは、叫びながら走って行く。
「あ、シムリ待ちなさいよ」
突然、走り去るシムリをマヨーラは止めようとするが、お構いなしに行ってしまった。
「ふふ、君達と居るとシムリは楽しそうだ」
「あれでか?」
正秀は訊いたが、お金をいっぱい貰って御満悦なマヨーラはそれどころではない。
「スイ、シャル早くあたし達も行くわよ」
「はいです」
「ではまた」
こうして、お出かけする女性達はシムリを追いかけて走って行った。
そして彼女らを見送る貞宗は、クリスをチラリと見ながら思うのだ……
クリス…… 機嫌が悪くないといいが……
と……
そんなクリスは優しく微笑んでいるのであった。
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