異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 2章

第114話 蛇女その2

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 尻尾に腕にと切断されて、発狂中のエキドナさん。
 腸をハミ出させながら、為次に向かって突進するのであった。

 「うわぁ、こっち来るよ」

 「私も加勢します!」

 傷が癒えたばかりのミミィは、立ち上がると再び精霊を呼び出す。
 咄嗟にピコ(仮)は止めようとするのだが……

 「ミミィ様、危険です!」

 「タメツグだけに、任せる分けには行きません」

 静止を振り切って立ち向かう。
 正直、怖かった。
 つい今しがた、死の一歩手前まで追い詰められたので無理もない。
 それでも、勇敢に精霊を呼び出した手を掲げると魔法を放つ。

 「はぁぁぁ!」

 電撃がほとばしる。
 しかし、エキドナは魔法などには目もくれず為次を襲う。

 バシ バシィ!

 精霊魔法版ライトニングボルトは命中するも拡散されてしまい、目くらまかしにもならない。
 無駄だとは分かっていても、何もせずにはいられなかった。

 「くっ」

 「効かないね」

 「あなたは魔法も使えないのにどうして……」

 マジックシールド持ちの魔獣に、刀だけで攻撃を加える為次を疑問に思うミミィ。
 だけども、そんな疑問もお構い無しにエキドナは鋭い爪で切りかかって来る。

 と、思った。

 「うぇ?」

 なんと、為次に攻撃を加える寸前で飛び上がった。
 申し訳程度に付けられた背中の羽で宙を舞う。

 「飛べるんかよ」

 飛んではいるが、完全にとは行かないようだ。
 それなりに軌道は変えられるが、飛び続けられる分けでもないらしい。
 滑空しながら、攻撃して来る。

 ブンッ!

 頭上から爪で薙ぎ払うエキドナ。
 それを為次は軽く避けるも、ちょっとビックリしたので反撃まではできなかった。

 「うぉぉぉ、うぜぇ……」

 再び虹色の空へ舞い上がると、起動を変え真上へと移動し攻撃して来た。
 今度は為次が避けると同時に、まだ半分以上残っている尻尾を叩きつける。

 ドドーン!

 巨大な尻尾が地面を叩きつけ、土埃が舞い上がる。

 「うへぇぇぇ! げほっ」

 「きゃぁ…… ケホッ、ケホッ」

 なんとか避けるが、意外と厄介だ。
 ミミィも埃を被り、とばっちりである。

 「なんだか危なっかしいですね」

 ピコ(仮)は為次の戦いを見て言った。

 「ええ、強いのは分かりますが、何処となく戦い方が素人な感じがします」

 連続攻撃なうえに、直ぐに上へと逃げられるので上手く迎撃できない。
 エキドナは調子に乗って、頭上からのヒットアンドアウェイ攻撃を繰り返す。

 「超鬱陶しいんすけどぉっ」

 ちょっと、イライラしてきた。

 「しょうがないなー、もー」

 ムカついてきたので、飛び上がるエキドナを追い為次もジャンプ!
 凄まじい程の跳躍力で、一瞬で追いつく。

 「ば、馬鹿なのですか!」

 それを見たミミィは焦った。
 人間が飛び上がったところで、何をしようと言うのか?
 初撃が当たらなければ、空中では只の的になってしまう。

 「でりゃぁぁぁ!」

 大ジャンプ斬りをかます為次。
 それをエキドナは、羽でヒラリと身を翻《ひるがえ》すと避けてしまった。

 「あっ、もー」

 「何をやってるのですかぁ!」

 ミミィは上空で戦う為次に向かって叫ぶと、援護に電撃を撃つ。

 バリ! バリ! バリッ!

 空中放電された電気は激しい音と光を放つも、虚しく空の彼方へと消えていった。
 空中で動き回るエキドナに、上手く狙いを定めることができなかったのだ。

 「もうっ、動き回らないで下さいっ!」

 魔獣がそんなことを聞くはずもない。
 それに、当たったところで全く効果が無いのは分かりきったことであった。

 「タメツグっ! 危ないですよ!」

 落下する為次に襲い掛かるエキドナ。
 下で見ているミミィは気が気ではなかった。

 「あ、こっち来た」

 エキドナが攻撃を仕掛ける瞬間であった。
 為次は何も無い空を蹴ると、横に避ける。

 「うっひゃっ」

 「え……!?」

 「空中で移動した!?」

 ピコ(仮)も我がを目を疑う光景であった。
 人間が何も無しで飛ぶなど有り得ない。

 実は貞宗に教えてもらった空中歩行の技である。
 気そのもので敵を攻撃をすることができる。
 すなわち、物質に対して気を干渉させられるのだ。
 それを応用して一瞬だけ足場を作り、そこでジャンプする分けだ。

 もっとも、避けたとろで攻撃は続く。
 何度も突っ込んでくるエキドナを、ぴょんぴょん跳ねては反撃の機会を伺う。

 ……………
 ………
 …

 しばらくの間、同じような空中戦が続いた。
 たまに斬撃を喰らわせることができるものの、慣れない空中では決定打を与えられない。
 結構、疲れてきてしまった為次。。

 「……ぬぅ(遅い、もう少しか…… その前に、としとくかな)」

 エキドナは一旦地上へと降りると、再び勢い良く飛び上がり地対空ミサイルの如く猛突進。
 それを狙い澄まし、為次も上下逆さまになると、空を蹴って相対あいたいする。

 「うりゃ」

 両者、凄まじい勢いで交錯する。

 ブンッ!

 残った片腕を振り、爪で切り刻もうとしてくる。
 それをで着地し紙一重で空振りをさせた。
 勢い余った本体をギリギリで避けると、すかさず抜刀する。

 ズバッ!

 今回は手応えがあった。
 「ギアァァァ」とエキドナは叫ぶ。
 二枚ある羽の一枚を斬り落とした!

 「よっしゃ」

 「す、凄い…… です」

 「やった!」

 見上げるミミィとピコ(仮)も驚いている。
 エキドナはキリモミ状態で落下して行く。
 それでも、最後の悪あがきと尻尾を振り、為次をはたき落とそうとする。

 「うわって…… っ!?」

 余裕で避けれると思った。

 しかし……

 バキッ!

 諸に直撃を喰らってしまう。

 「うげぇ、ぐはぁ!」

 「「あっ!」」

 咄嗟に防御したものの、巨大な尻尾の質量はかなりものだ。
 全身に激痛が走り、鈍い音と共に骨が折れるのが自分でも分かる。
 両者は共に、地面へと激突してしまった。

 「そんな……!」

 慌てて駆け寄るミミィ。
 
 「だ、大丈夫ですか!」

 「ガハッ!」

 口から血を吐く為次を抱き起こし、心配そうに見つめる。

 「しっかりして下さい」

 「ば、ばか、こっち来んなっ」

 ミミィを払い除けようとしながら、為次は墜落したエキドナを見る。
 すると、既に起き上がり今にも襲いかかろうと、こちらを睨んでいた。

 「2人とも! 来るぞ! 逃げるんだ!」

 「ミミィ! 邪魔だっ、逃げろって」

 「私だけ逃げる分けには行きません!」

 「ああ、もうっ」

 エキドナは「ギイシャァァァ!」と叫び、こちらに向かって来た。
 骨折が折れて、頭痛の痛い為次だが、力を振り絞ってミミィに覆い被さる。

 「ななな、何をするのですかっ!」

 「解説の日本語がおかしいけど、大人しくしてよっ」

 抱き付かれて、赤面するミミィ。
 ちょっとジタバタしてる。

 「後一回だけ防げるかどうかだって」

 「何を言って……」

 殆ど気が残っていなかった。
 さっきは、足場も張れなかったし、防御にも使ったが、あまり役に立ってない。
 それでも、なんとか耐えることはできた。

 でも、次は……

 もう少しくらいは、動けるかも知れない。
 だけど、避ければミミィが……

 「遅い…… マサめ」

 「え?」

 もうエキドナに背を向けて体で守るしかない。
 そう考えた為次は、ミミィを抱く腕に力が入る。

 「はぁ、はぁ…… ぐぁ、いてぇ……」

 「タメツグ…… どうして……」

 垂れ落ちてくる為次の血に、ミミィも少し大人しくなっていた。
 背後から恐ろしいまでの殺気が迫り、「キシャァァァッ」と鳴き声が聞こえる。

 と、その時であった!

 エキドナとは別の、変な叫び声が聞こえてくる。

 「必殺っ! ダイナマイト大剣キィーック!」

 ドドドーンッ!!

 周囲に激しい爆音が響き渡り、爆風が一面に広がる。
 エキドナは、あっちの方にぶっ飛んでしまった。

 「きゃぁぁぁぁぁ! なんなのですかぁ!」

 「うぜぇ!」

 爆風が治まり振り向く為次とミミィ。
 舞い上がる土埃の中には人影が見える。
 その姿は、目には赤いアイマスクをし、余った長い結び目から先は後頭部でたなびかせている。
 背中には真紅のマントを羽織い、熱き血潮をたぎらせるかの如く揺らめくのだ!

 「じゃじゃーん!! 正義の大剣マスタぁぁぁー!」

 腕をクロスさせてから、変なガッツポーズみたいな感じにする。
 揃えた足を開き、左膝を曲げて右足を後ろに伸ばす。

 「水谷マンっ! ここにけんざんっ!」

 本人は超カッコイイと思っている。

 「愛と勇気を踏みにじる悪党め! 成敗してくれるぜ! テーレッテレー!!」

 ポーズもキマッタと思い、ご満悦の様子である。
 効果音はセルフらしい。
 そんな水谷マンは腕を組み頷きながら言う。

 「君達、よくがんばったな」

 「「マサヒデさん!」」

 「遅いって、マサ」

 「安心するがいい、後は水谷マンに任せたまへ」

 とりあえず皆が言う自分の名前は聞こえない振りをし、エキドナに近づくことにした。

 「行くぞ! 覚悟しろ!」

 大剣を構えると、地面でのた打ち回るエキドナに向かってダッシュする。

 「はりゃぁぁぁ!」

 ぶちゅ

 尻尾の切断面にぶっ刺した。
 エキドナは「ヒギャァァァ」と呻くと起き上がり、爪を振るおうとする。
 しかし、そんなのお構いなしに大剣をエキドナごと振り上げてしまうのだ!

 「喰らえ!! 必殺滅殺撲殺斬ぁぁぁん」

 叫びながら地面に向かって叩き付けた。

 ドドドドドドドドドッ!!

 いつもの必殺技で尻尾の先から、お尻の所まで爆裂が走る。
 肉片を撒き散らしながら、大蛇の下半身は縦に裂けて行く!

 「す、凄い……」

 「凄まじい威力ですね、ミミィ様」

 後には、女性の姿をした上半身だけが残るのであった……

 「まだ生きとるっぽい」

 「だな」

 エキドナは辛うじて生きてはいるが、殆ど動けない様子だ。
 その目からは、涙を流していた。
 水谷マンは頭に近づくと……

 「悪りぃな」

 ドス ボンッ

 大剣を突き刺し、頭部がはじけた。
 胴体と片腕だけが残ったエキドナ。

 もう二度と動くことはなかった……
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