異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 2章

第119話 異世界の大空へ

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 ―― 翌朝

 異世界に飛ばされてから49日目。

 今朝は早くからレオパルト2の出発準備を皆でしている。
 昨日帰って来たばかりだが、早速モノポールリングへと向かうことにしたのだ。

 「お弁当ができたましたよ」

 「クリスさん、ありがとうございます」

 お弁当を受け取る正秀。

 「私も手伝ったんだよ」

 「おう、シムリちゃんもサンキューな」

 「あっ、それから、大きいのはタメツグさんのだから勝手に食べないでね」

 「お、おう」

 朝からシャルとシムリもやって来た。
 昨日、クリスが買い物に出かけた時に、偶然会って伝えた。
 今日、出発するのだと。
 シムリは直ぐにでも行きたかったが、「今日は疲れて休んでいるのよ」と言われ、翌日にしたのだった。

 「どうだ? なんともないか?」

 「あー、問題無いっぽいかもっス」

 「いい加減な返事だな、適当なチェックはするなよ」

 「はいはい」

 「ったく、反射パネルが壊れたら、まともに動けなくなるんだぞ? 分かってるのか?」

 「はーい、損傷もクラックも無いっスよぉ」

 貞宗と為次は車両のチェックで忙しい。
 いつもは食料の積込みは為次がするのだが、そちらまでは手が回らない。
 だから、正秀とスイで必要な物資の積込みをしている。

 「しっかし、積み過ぎじゃないのか? 食料と水、なぁ為次」

 大量の食料に正秀は文句を言っていた。
 積み込むだけなら簡単であるが、狭い車内の押し込むのは苦労する。

 「あたりまえでしょ!」

 「なんでだよ」

 「リングが何処にあると思ってんの?」

 「宇宙だろ」

 「いやいや、こっから見て月と大きさがあんま変わらないんだよ」

 「だな」

 「流石に月よりは手前っぽいけど、地球の月で考えた場合だと最悪38万キロは離れてる可能性もある分けで」

 「は? さんじゅう…… マジか?」

 「さあね、どれくらいの大きさがあるのか解らんし、リングの距離は数百から数十万キロってとこでしょ」

 「……酒も持ってくぜ」

 「あ、はい」

 何も解らない状態で宇宙へと向かう。
 はっきり言えば無謀の一言である。
 数キロ先の距離を測定こそ可能であるが、レーザー測定外の距離や速度も高度も測る方法が無い。
 モノポールリングがどの位置にあり、どの位の速度で惑星を周回しているのか?
 完全に情報不足で目視だけでランデブーしなければならない。

 それでも、可能性はあった。
 酸素も燃料もほぼ無限に使えると言っていい。
 加速も減速も思いのままだ。
 衛星軌道に居るなら、第1宇宙速度を超えることもない。
 時間を掛ければ、なんとかなるだろうと思える。
 水さえあれば人間一ヶ月は生きれるのだ。

 「水を減らして酒にしよう、そうしよう」

 「お! 為次のわりには名案じゃないか、もっと持って来るぜ」

 「よろ」

 「あなた達、バカなことばかり言ってるんじゃありませんよっ」

 「うっ……」

 意気揚々と、お酒を取りに行こうとした正秀。
 クリスの半ば呆れた制止に足を止めた。

 「だ、だぜ…… 真面目にしろよ為次!」

 「は? 俺?」

 「宇宙がどのような所か知りませんが、そんな遊び半分で行けるのかしら?」

 「そうだぜ、クリスさんの言う通りだぜ。宇宙は危険なんだ、ふざけてちゃダメだな、な? 為次」

 「あー、俺、シールの確認あるから、じゃ」

 そう言うと、為次は車内へ入ってしまった。

 「お、おい、逃げるんじゃねぇ!」

 「マサヒデさん、あまりタメツグさんの邪魔をしてはダメよ」

 「うぐっ」

 「ほら、水を運んでしまいなさい」

 「は、はい」

 「シャルも手伝ってあげて」

 「ああ、任せてくれ」

 正秀は気まずそうに水を取りに行くのだった。

 一方、車長ハッチから中に入った為次は、運転席を覗くとマヨーラが居た。
 コントロールスクロールを弄りながら、魔法の最終確認をしてくれている。
 戦車を飛ばして、更には宇宙まで打ち上げる全行程は魔法頼みなのだ。
 真剣にチェックしている様子で、こちらには気が付かない。
 邪魔をする分けにはいかないので、そっとしておくことにして自分の作業に取り掛かろうとする。

 「おい、山崎」

 と、そこへ貞宗がハッチから覗き込んできた。

 「なんスか?」

 「砲弾は後何発あるんだ?」

 「え? 砲弾…… 何発だっけ?」

 「確認しとけ」

 「どうせ、使わないっスよ」

 「何があるか分かんねーんだ、ちゃんと確認しろ」

 「……はいはい」

 渋々、残弾確認をしようと装填手席へ移動しようとした時だった。
 今度はスイが箱を持って入って来た。

 「ご主人様ぁ、入りますよ」

 「お、スイ調度いいとこに」

 「はう?」

 「砲弾どんだけ残ってるの?」

 「27発ですよ」

 異世界で使った砲弾は……

 マンティコア戦で使用した、翼安定徹甲弾1発。
 レッドドラゴン戦で使用した、翼安定徹甲弾1発、硬芯徹甲弾2発、榴弾1発、キャニスター弾1発。
 サーサラ戦で使用した、破片榴弾(DM11)1発。
 ダイコン戦で使用した、翼安定徹甲弾1発。
 ポンタ防衛戦で使用した、多目的対戦車榴弾1発、徹甲弾4発、榴弾1発、キャニスター弾1発。

 以上15発である。

 「即答かよ、偉いなスイは」

 「へぇぇぇ~、それより、この箱は何処に置きますか?」

 「ああ…… トイレか」

 時間を掛ければなんとかなる。
 そうは言っても、トイレの問題は深刻だ。
 ロシアのT-14にはトイレが内装してあるが、レオパルト2には無い。
 むしろ、殆どの戦車には付いていない。
 宇宙空間ではハッチを開けることもできず、このままでは車内で糞尿垂れ流し状態になってしまう。
 そこで考えたのが簡易トイレである。
 箱に砂の入った袋を入れただけの物だ。

 「スイの足元でいいよ」

 「なうぅ!?」

 「そこトイレね」

 「うぬぬぬぅ」

 スイはかなり不満そうだ。
 当然である、自分の居場所がトイレにされてしまうのだ。
 もっとも、ウンコできそうなスペースは、そこしかないのだが……

 しかし、彼らは気が付いていなかった。
 無重力空間では役に立たないことを……

 「車長席も空いてるのです!」

 「えー、そこだと前と横から見られるよ」

 「むぅ……」

 仕方なく装填手席の床に箱を置くスイ。
 置き終わると、正秀がハッチを覗き込んできた。

 「スイちゃん、もういいかい?」

 「あ、はいです」

 「んじゃぁ、入れるから受け取ってくれ」

 「はいです」

 正秀は砲弾サイズの筒をハッチから車内のスイに渡す。
 受け取った筒は弾薬庫へと入れていく。
 初期のレオパルト2には砲塔横に給弾ハッチがあったのだが、それ自体が弱点となってしまう為に途中で廃止されてしまった。
 面倒ではあるが、上から入れていくしかない。

 「うんしょ、うんしょ」

 「次、渡すぜ」

 「はーい」

 実はこの筒、この日の為に準備しておいた水筒である。
 宇宙空間では当然車外の雑具箱が使えない。
 宇宙服があれば話は別だが、そんな物は無いし作れない。
 その為に必要な物は全て車内に押し込む必要がある。
 だが、狭いのだ!
 元々、物を置くスペースが殆ど無いのに、食料を詰め込むと水の置き場所が無い。
 そこで考えたのが、砲弾っぽい水筒であった。
 これならば空いた弾薬庫に結構な量の液体を入れることが可能だ。

 そんな訳で為次は、せっせと水筒を給弾するスイをなんとなく見ていた。

 が…… 外から貞宗の呼ぶ声が聞こえる。

 「おい、山崎、ちょっと出て来い」

 「ふぁ?」

 「さっさしろっ」

 車内に入ってから何もしてないのに、呼び出される。
 文句を言っても聞くような、おっさんではないのは知っている。
 だから、仕方なくノソノソと為次は降車した。

 「なんすかぁ?」

 見ると貞宗が車体後方で、こちらを睨んでいる。
 もの凄く何か言いたそうな表情が嫌でも伝わってくる。

 「なんだこれは?」

 そう言いながら、APU補助動力装置のある場所をコンコンと叩いた。

 ダイコン戦で正秀がAPUを壊してしまった為に、今は魔導機関が収納されている。
 為次は思い出した。
 勝手にエレメンタルストーンを取り替えたことを……

 「やべー、見られちゃったか」

 「どうして言わなかった?」

 「あー、あれッスわ…… 忘れてた的な」

 「ふざけるなっ!」

 貞宗の叫び声に、皆が一様に振り返る。

 「こんな得体の知れない物を使って、お前は一体何を考えているんだっ!」

 「なんだ、なんだ、また何かやらしたのか? 為次の奴」

 「水谷は来なくていい! 作業を続けろ!」

 「マサ怒られてやんの、ひひっ」

 「バカヤロー!! 怒られてるのは山崎ぃ! お前だっ!」

 「うぐ……」

 怒るのも無理はない。
 エレメンタルストーンは未知の物質なのだ。
 赤色と青色の石は、ある程度の使用実績がある。
 しかし、紫色の物は噂程度にしか聞いたことが無い。
 お土産に貰った紫になりかけの石を、これから調べようとしていたが……
 既に使われていた。
 これから宇宙へ行く為のかなめとなるモノなのにだ。

 「どうして勝手に交換した?」

 「え…… だって気持ち悪いし」

 「は?」

 「リリーナが言ってたから」

 「何をだ?」

 「エレメンタルストーンは人の…… 生き物の魂だって」

 「…………」

 「でも、紫は違うってさ。生命が由来じゃ無いっぽいかも」

 「だから?」

 「だから魔獣化もしないらしいし」

 「そんな戯言…… 信用できるのか?」

 「さあ? それは知らないけど、今の隊長よりは…… ね」

 「「…………」」

 両者はしばし睨み合った。

 「ふんっ、もういい」

 「…………」

 折れたのは貞宗だった。

 「噂によれば、その石は木の実と同じらしいぞ」

 「え?」

 「単体で魔法が使えるかも知れないぞ、エーテルも生成するそうだ」

 「ああ、そうなんスか」

 「何が起こっても、俺は知らんからな」

 「はい…… すいません……」

 「あやまるな、お前が決めたならもう何も言わん」

 為次は黙って、うなずくだけであった……

 少々気まずい雰囲気にもなったが、その後の準備は順調に進んだ。
 食料は人の入れるスペースを除いて詰め込んだ。
 水筒は用意してあった、10本を全部入れておいた。
 魔導機関もエレメンタルストーンが未知数なとこもあるが、今のところ問題無く作動する。
 エアー漏れ対策のシールは何度もチェックしたが、試験はしていない。
 本来なら水に沈めて確認したいところだが、そのせいで車体の調子が悪くなれば本末転倒である。
 真空と水は同じではない。
 故障すれば、修理する手立ての無い異世界ゆえに、ぶっつけ本番で行くことにしたのだった。

 ……………
 ………
 …

 ―― 3時間後

 とりあえず一通りの準備は完了した。
 はっきり言えば、とても宇宙へ行けるような装備ではない。
 地球人から見れば、死に行くだけの愚かな行為にしか見えないだろう。

 それでも……

 「それじゃあ、そろそろ行こうぜ」

 「うい」

 「気を付けて行ってらっしゃい」

 「あまり、無茶はするなよ」

 見送る貞宗とクリス。
 正秀、為次、スイ、マヨーラの四人はレオパルト2へと搭乗していた。
 シムリも執拗に行きたがっていたのだが、4人乗りなのでどうしようもない。

 「スイちゃん! タメツグさんに変なことしたら承知しないんだよ!」

 「心配しないで、あたしがしっかり見張っててあげるわ」

 「スイは何もしないのです!」

 「ははっ、シムリちゃんは相変わらずだな」

 「妹のことは気にしなくてもいい、無事に帰って来てくれ」

 「おう」

 「もういい? 出すよ」

 「……ああ、いいぜ」

 レオパルト2のエンジンを始動させると、車庫にけたたましく轟音が鳴り響く。
 そして、開かれた大扉からゆっくりと外へと出る。
 外は風も穏やかで雲一つない快晴だ。
 まさに打ち上げ日和と言っても過言では無い。

 「為次も挨拶くらいしたらどうだ?」

 「別に…… お別れじゃないし、すぐに帰ってくるよ」

 「ふっ、それもそうか」

 「じゃ行きますか」

 魔道機関を始動させようとした、その時だった。
 ふとペリスコープを見ると、正面に貞宗の姿が見える。

 「……はぁ」

 ウィィィィィン

 運転手ハッチを開けると、為次は頭を覗かせた。

 「隊長」

 「あ?」

 「心配しないで、なんとかなるから……」

 「…………」

 「隊長のことも助けてみせるよ…… 多分ね」

 それを聞いた貞宗は何も言わずに、ただ笑っていた。
 その傍らには、クリスが寄り添い微笑んでいる。

 そして……

 マヨーラと一緒にハッチから身を乗り出している正秀が敬礼をした次の瞬間。

 「行ってきます!」

 「じゃあーねー、お土産持って帰るわねー」
 
 レオパルト2は60トンの車体を浮き上がらせた。

 異世界の大空へ魔法の翼を広げ、舞い上がるその姿は……

 やはり戦車であった。
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