異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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テラ宙域編 4章

第4話 やったぜ! 俺こそが真のヒーロになるのさ

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 メカ少女の周りを右往左往する正秀。
 エロいのもあるが、リアルな変身スーツには我慢ならない。
 色々な角度から舐め回すように見ていた。

 「なーなー、これはなんだ?」

 バックパックから生えている翼を摘みながら訊いた。

 「それは、重力ウイング」

 「飛べるのか?」

 「飛べる」

 「宇宙でも?」

 「うん」

 「ヘルメット無いのか? バイザーだけ?」

 「うん」

 「宇宙で苦しくないのか?」

 「ノーマルシールド内は大丈夫」

 「ノーマルシールド?」

 「生命維持用のシールド」

 「へー、いいなー。俺も変身したいぜ」

 「分かった」

 そう言うと、ユーナは向きを変え歩き出した。

 「お、おい? ユーナちゃん?」

 「どうしたの? スーツ作らないの?」

 あまりにも突拍子もない言葉であった。

 「え? 作ってくれるのか?」

 「頼んでみる」

 「うぉぉぉ! マジか! やったぜ!」

 「なんか唐突だな…… リアル水谷マンにでもなる気か……」

 「スイも変身したいです」

 「スイもか……」

 「駄目ですか?」

 「ダメじゃないけど…… ねぇ、ユーナ。スイのも作ってよ」

 「分かった。こっち」

 再び歩き出すユーナ。
 表情も行動も読めない少女ではあるが、宇宙服みたいなのを作ってもらえるらしい。
 なので、三人は喜々として付いて行くのであった。

 ※  ※  ※  ※  ※

 皆は通路を進みエレベーターで上にあがると、更に進んだ。

 「ここ」

 ユーナは、とある部屋の前で止まると言った。
 扉の横には『ラボ』と書かれたプレートが付けられている。

 プシュー

 ユーナが遠慮なく入って行くので、残りも後に付いて一緒に入る。

 「こんばんは」

 「あら、ユーナ。どうしたの?」

 室内にはユーナと似たような制服の上に、白衣を羽織った女性が居た。

 「アクティブスーツ作って」

 「相変わらずいきなりね…… ところで、この人達は?」

 後ろに居る三人を見て訊いた。

 「マサヒデ、タメツグ、スイ」

 「こんばんは、俺が正秀だぜ」

 「スイがスイなのです。こんばんはです」

 「やっぱり夜かよ……」

 「こいつが為次な」

 自己紹介しない為次の頭をグリグリしながら正秀は言った。

 「そう、私はこの艦のシステム担当をしているミーチェよ」

 「んじゃ、ミーチェさんよろしく頼むぜ」

 「よろしくと言われても…… 名前は聞いたけど、誰かしら?」

 「要救助者」

 簡素に答えたユーナ。

 「あら、あなた方がそうだったのね。しかも、二人は男性みたいね」

 「おう、俺は男だぜ」

 「一応、俺も」

 「一応かよ……」

 「スイはスイなのです」

 「そうだねー」

 「アクティブスーツも無しでリングを通って来たの?」

 「おう…… アクティブスーツってなんだ?」

 「これ」

 と、ユーナは自分を指した。

 「そうね、高機動宇宙服よ。みんな普通に持ってるわ。むしろ持ってないと何かあったときに危険よ。エンジェルが装備しているのは戦闘用だけどね」

 「へー、みんな持ってるのか。俺も早く欲しいんだ、できれば戦闘用が。頼むよミーチェさん」

 「戦闘用は…… 艦長に聞いてみないと無理ね」

 「んじゃ、聞いてくれよ」

 「あ、ちょっと待って。艦長の名前ってなんなの?」

 為次が訊くとユーナが素っ気なく答える。

 「アイ」

 「アイ…… なんだ」

 「アイちゃんか、可愛い名前だぜ」

 「アイ様です」

 「あの…… 分かると思うけど、名前で呼ぶと怒るわよ…… 艦長」

 ミーチェは苦笑いしながら言った。

 「どうしてだ? かわいくていい名前じゃないか」

 「多分、可愛いからと……」

 「そうね…… タメツグさんの言う通りよ」

 「それより、アイちゃんに早く聞いてくれよ」

 「しょうがないわね……」

 携帯端末を取り出すミーチェ。
 映像は無く音声のみでなにやら話し出した。

 「艦長、ちょっといいかしら?」

 『ミーチェか、どうかしたか?』

 ……………
 ………
 …

 少し待つと会話は終わったようだ。
 携帯端末をしまい、正秀を見て微笑む。

 「オッケーよ」

 「いやったぜー!!」

 大歓喜な正秀はガッツポーズをしながら飛び跳ねた。
 子供に頃に憧れた変身ヒーロー。
 今まさに実現しようとしているのだ!

 「戦闘用って…… 突然に来た何処の馬の骨か知らん奴にあげちゃって大丈夫なの?」

 為次の疑問は当然であった。
 普通はその辺の知らない人に武器をあげたりはしない。

 「おい、要らないこと言うなよ」

 「いや、だって……」

 「ふふっ、大丈夫よ。艦長のお許しが出たから」

 「いやっほぉー!」

 「ふーん……」

 釈然としない為次だが、相方のご機嫌っぷりを見ると、まあいいかと思うのであった。

 「では、作ってしまいましょ。3着で良かったかしら?」

 「あ、俺は結構です」

 為次は言った。

 「なんだよ、お前いらないのか?」

 「だって、あんな恥ずかしい格好やだよ」

 「恥ずかしくない」

 「だよなー、ユーナちゃんの言う通りだぜ。カッコイイだろ」

 「え? だって変なレオタード着るんでしょ?」

 「……まじか。変なレオタードしか無いのか?」

 「変じゃない」

 「安心して、ほらこれを見てちょうだい」

 そう言ってミーチェはスクリーンを投影した。
 そこには様々なデザインのアクティブスーツと呼ばれる宇宙服のサンプルが表情されている。
 ユーナの装着していたのに似たのから、全身タイツ状のまで様々だ。
 頭部もバイザーのみや、ヘッドギアタイプからフルフェイスまである。
 それらとは別で手足や胸部等に装着する装甲のような機械、バックパックなどがあった。

 「おお! 色々とあるじゃないか、これなら為次が気に入るのもあるだろ」

 「うーん…… やっぱ、いらない」

 「なんでだよ…… ったく。いいぜ、スイちゃん選ぼうぜ」

 「なうー……」

 スイはチラリと為次を見た。
 あるじがいらないという物を自分だけ貰ってもいいのだろうか? と悩んだから。

 「いいよスイ。遠慮しないで作ってもらって。その方が都合がいいだろうし」

 「いいのですかぁ! やりました。ありがとうございます、タメツグ様」

 「良かったなスイちゃん。どれにしようか…… 結構、悩むぜ……」

 「私はタメツグ様が気に入ったのがいいです」

 「や、俺のことは気にせず選んで」

 「はぅー」

 「うーん、やっぱ色は赤で決まりだよな。ヒーローはレッドでなくちゃならないよな? な、為次」

 「うん、まあ。マサは黄色でいいでしょ」

 「なんでだよ! ったく、イエローじゃリーダーらしくないだろ」

 「そうすか……」

 「んで、頭部はフルフェイスにしとくかな」

 「ねぇ、フルフェイスだとポーションが飲めないんじゃ……」

 「うっ…… 確かにな……」

 「タメツグ様は黄色が好きですか?」

 「いや別に」

 「はぅー」

 「おっと、スイちゃんはピンクで決まってるんだぜ。女の子はピンクじゃないとな」

 「そうなのですかぁ」

 「おう、そうだぜ」

 「私の青」

 「お、おう…… ユーナちゃんは青でも似合ってるぜ」

 「なんでもいいから早く決めてよ」

 「そう焦るなよ為次」

 「んもぉ…… あ! そうだ。外装の装備ってどんなのがあるの?」

 「外装…… ああ、アクティブアーマーね。これに一覧があるわ」

 そう言ってミーチェはもう1つスクリーンを出すと、為次の前に移動させた。

 「おお、いっぱいあるね。履帯が付いたのは無いの?」

 「え? 履帯? 履帯は…… 単体パーツではあるけど、カスタマイズしないと無いわね」

 「どうやんの?」

 「ここをこうして……」

 カスタマイズのやり方を教えてもらう為次。
 ついでに宇宙服についても少々教えてくれる。

 ピッチリスーツであるインナー部分をアクティブスーツと言うらしい。
 そして、手足や背中などに装着する機械がアクティブアーマーだそうだ。

 通常はアクティブスーツだけで宇宙服として機能し、重力制御により宇宙空間でも移動可能だ。
 更にノーマルシールドという薄いエネルギー膜によって生命維持装置も備えている。
 この上からアクティブアーマーを装着することによって戦闘用の宇宙服となる。
 アクティブアーマースーツ、通称『A.A.S』だ。

 A.A.Sにはアタッチメントに様々な武装や装備を装着可能となっている。
 ビーム兵器からレーザー兵器まで、それに高機動を生み出せる重力ウイングというスラスターまである。

 しかし、対魔獣戦闘においては通常兵器の効果は殆ど無い。
 魔獣と戦えるのはエンジェルと呼ばれる特殊能力を持った少女だけであり、能力を専用武器に付与させ、敵のシールドを貫通させることができるらしい。
 専用武器には能力を持続的に供給させる必要がある為に、近接戦闘武器しか使えない。

 「だからね…… 魔獣と戦うエンジェル達は損耗が激しいの」

 「損耗って?」

 「死ぬ」

 為次の問に平然と一言だけ答える少女の言葉は違和感しかなかった。
 あたかも死ぬのが当然のように聞こえたから。

 思わず正秀のヒーロー魂の火が付いてしまう。

 「なんだそりゃ? どういうことだ!?」

 ユーナの肩を掴み睨むように訊いた。

 「前の戦闘で2人食べられた、その前は私以外食べられた」

 「……ふざけんなよっ! 意味が分からないぜ! ちゃん説明しろよ!!」

 分からないと言いつつも、既に分かっていた。
 彼らが魔獣と戦う術を、まともに持たないのは理解できた。
 かろうじて特殊能力などというもので、対抗してきたのであろう。

 少女達を犠牲にしながら……

 「気にしないで」

 「気にするに決まってるだろ!」

 ミーチェを振り向き叫ぶ正秀。

 「ミーチェさんっ、今すぐ作ってくれ! 俺のアクティブアーマースーツをな!!」

 親指で自分を指しながらドヤ顔を決める。
 可憐な少女を救うヒーロー水谷マン!

 完璧だぜ。

 などと思っていた。

 「マサ…… だったら早く選んでよ……」

 「……お、おう」

 「スイのアーマーは俺が作ってくあげるからね」

 「はい! やったのです。私もピンクのスーツを選ぶのです」

 こうしてA.A.Sの制作が始まった。
 人体データを取得するのにカプセルに入る必要があるらしい。

 部屋の片隅に設置してあるカプセルに、デザインを決めた正秀とスイは喜々として入るのであった。
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