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惑星アクア編 終章
第1話 惑星探査
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深淵の宇宙に漂う青く美しい惑星アクア。
かつては水の恩恵により、生命で溢れかえっていた。
しかし、今は唯一の陸地である孤島に僅かばかりの陸上生物を残すばかりとなっている。
その残った命すらも魔法生命体である魔獣によって滅びの道を歩もうとしていた……
―― エクステンペスト、ブリッジ
「多数の魔獣反応あり」
惑星表面をスキャンしたセリナは報告した。
「ふむ……」
艦長は考え込むように、隣の補助席に居る為次を見る。
「大丈夫だって、こっちまでは上がってこれないよ」
「飛行タイプも居ますが、タメツグさんの言うように成層圏を超えるのは無理と思われます」
「なるほど、見た目もテラに生息しているのとはだいぶ違うようだな」
「向こうは蛇野郎ばっかだったんだぜ」
「ですです」
レオパルト2はエクステンペストへと帰還していた。
いきなり地上に降りる分けにもゆかないので、地上と海上を偵察することになった。
もっとも海は海水が一面に広がるだけで他には何もないので、もっぱら陸上をスキャンしていた。
そんな訳で皆はブリッジに集まっている。
エクステンペストとスラスキアスは上空約3百キロの地点で強制的に静止衛星起動をとっている。
シータイガーはバックアップの為にモノポールリング付近にて待機中だ。
「バハムートって居る?」
為次が訊くとセリナはスクリーンを見ながら答える。
「バハムート…… トリプルSクラスの魔獣ですか。反応はありませんね」
「まさか隊長、もうターナを……」
正秀は不安そうに言葉を濁した。
「どうだろーね、ポンタを拡大してみるか。えっと……」
セリナを見る為次は、その後の言葉に詰まった。
「セリナですよ。名前くらい覚えて下さいよ」
「あー、そうそう。セリナね。セリナセリナ」
「もう…… それで、何処を見るんですか?」
「ポンタの街なんだけど、アンカーのエリスの位置から西に百キロ位の街なんだけどぉ…… 西で合ってるのかな?」
「知りませんよ、私に聞かないで下さい」
「えっと、エリスの位置から見てミストラルの墜落現場が北かと思うんだけど」
「えーっと…… そうですね」
「じゃあ、西に百キロでいいかも」
「はい。少し待って下さい」
大まかに指定された位置の生体反応を調べるセリナ。
周囲は草原とちょっとした森があるだけなので、街はすぐに見つかった。
「ありました、この正方形の街ですね」
ポンタを上から見た映像が表示される。
「本当に四角いぜ」
「どんだけ貴重面なんだ、隊長さんは」
そう言いながら、為次は手元のパネルを操作して貞宗宅をズームした。
スキャンは様々なデータを取得するが、主に見るのは重力場と歪曲場である。
質量を持った物質は空間を湾曲させる。
原子はそれぞれの重さが僅かに違うので、空間に与える力も変わってくるのだ。
それを利用して何処にどの原子があるかを観測して、調べたい箇所をコンピューターによって再現させ映像にする。
これによって、見えない場所も見えるし様々な角度から見ることも可能だ。
しかも、空気の振動を取得することによって音も再現できる。
つまり、超々遠距離から盗み聞きすらできるのだ。
「お、マヨだ」
「マヨ姉様なのです。お風呂に入ってるです」
何故か貞宗宅で風呂に入るマヨーラを見つけた。
「おい為次。覗きはヤバイだろ」
「タメツグ、貴様は何をやっている……」
「もっと拡大してみよう。そうしよう」
「おう」
と、ヤバイと言いつつも正秀が同意した瞬間だった。
ドカッ!
「うぎゃっ」
「はうっ、タメツグ様!? 何処に転がって行くですか?」
ドン! ゴロゴロ……
為次は誰かに蹴っ飛ばされてしまい床に転がってしまう。
「痛って! んも、誰だよっ」
文句を言いながら起き上がり振り向くとユーナが居た。
「バカタメツグ、ダメ」
「うお、ユーナちゃん…… だ、だよな! 覗きはダメだぜ、言っただろ為次」
「ぬお、マサめ。裏切りやがって」
「ユーナ、来ていたのか」
艦長がそう言うと、ユーナは黙って頷いた。
「痛たた…… くそっ邪魔しに来やがって」
「お怪我はありませんか、タメツグ様」
「怪我も毛もあるよっ」
「今度覗いたら、その毛を全部むしってやる」
ユーナの冷たい目線に為次は冷や汗をかきながら、肩まである頭髪を抑えた。
「ぬぅ……」
「それより早く情報収集をして」
と、ユーナは艦長に促した。
「ああ、そうだな。タメツグ、遊んでないで真面目にやってくれ」
「はいはい」
適当な返事をしながら艦長補助席に戻ると、不満そうに操作パネルを弄り始める為次。
貞宗はすぐに見つかった。
10式戦車の傍で何かやっている様子だ。
近くにはクリスが居るのも確認できる。
「お、隊長だな。クリスさんも一緒だぜ」
「だね。何を話してるか聞いてみよう。そうしよう」
ターゲットを選択し、音声出力をオンにすると2人の声が聞こえてくる。
『あなた、いつまでヒトマルで遊んでるの』
『遊んでなどいない。たまには整備もしないとだからな』
『そんなの動かして何かするのかしら? もう、サダムネキャノンも撃てないのに』
『その名で呼ぶなと何度言えば……』
『はいはい、分かりました。とにかく昼からは街の補修予算会議がありますから忘れないで下さいね』
『分かっている。お前まで山崎みたいな返事しやがって……』
『私はお買い物に行ってきますから』
『ったく……』
会話の内容は他愛もないものであった。
あえてコメントするならば相変わらずクリスの尻に敷かれている様子だ。
「誰だ? この隊長と言うのは」
「そっか、アイちゃん達は知らないか。俺達が居た地球って星の軍隊…… 自衛隊だけど、そこの機甲師団の隊長だよ。俺達も同じ部隊だったの」
「敵の攻撃で俺達と一緒にアクアへふっ飛ばされたんだぜ。もっとも着いたのは隊長が30年先だけどな……」
「そうだったな、お前達は次元脱出装置から出て来たのだったな」
「多分ね」
「え? なんだそりゃ? 俺は初耳だぜ」
「あれ? 言ってなかったけ」
「ちゃんと教えてくれよ……」
「めんご、めんご。次元に潜った時の緊急脱出装置だってさ、ガザフが使ったのは」
「次元シールド無しでは30年など誤差の範囲だぞ」
「マジで!?」
艦長の説明は為次も初耳だったで少し驚いた。
だが、もっと驚いたのは正秀である。
「お、おい。アイちゃん艦長それって本当なのか? まさか3百年ずれることもあるのか?」
「3百年? 3千年までは誤差の範囲だと思っていいぞ」
ガビーン!
正秀は、あまりの衝撃的事実にショック!!
思わず頭を抱えて叫ぶ。
「嘘だろぉぉぉっ!」
「アチャー、87式連中の到着が早いのも嘘じゃなさそうだねぇ。マサ」
「マジかよ……」
正直、正秀は地球に帰れば皆はまだ居るのではないかと心の奥で思っていた。
現実離れしたこの世界で、夢でも見ているかの思いが無かったと言えば嘘であろう。
信じられない…… 否、信じたくないと思っていた。
「大丈夫? マサヒデ」
ガックリと跪く正秀に寄り添うユーナ。
なんでショックを受けているのかイマイチ理解できない。
「うわぁぁぁん! ユーナちゃぁぁぁん、俺はもう元の世界には帰れないかもなんだぜぇ!」
正秀は泣きながら抱きついた。
突然の出来事に思わずユーナは赤面してしまう。
「え? え? マサヒデ!? そ、そういうのは夜に……」
「むふふふ、ユーナ」
「何? タメツグ」
「何を隠そうマサの2番目の女はさっき風呂に入っていたマヨ…… マヨーラなのだ。1番目はもう居ないだろうから実質1番かも知れぬ」
「スイのお姉様なのです」
「えっ!? マサヒデ…… どういうこと?」
「おっふ。た、た、た、為次っ! 要らないこと言うなよ!!」
「要らないこと…… マサヒデ否定しない……」
「あ、しまっ…… た」
「……会いに行く」
「ユーナちゃん?」
「今からマヨーラに会いに行くっ」
「おわぁぁぁ! ま、待ってくれユーナちゃん。早まらないでくれぇ」
さすがに慌てふためく正秀。
ハーレムパーティをしていたことがマヨーラのバレたら、たまったものではない。
「よっしゃ。んなら俺達で先に降下して現状を直接聞いてこよう」
「お、おう! だな為次。俺達が先にな、な?」
「私も行く」
「待つんだユーナちゃん。ほ、ほら地上は危険も多いだろ? 俺達が安全を確認してからが安心だろ」
「うむ。レオは四人乗りだしユーナ入れて、ちょうどいいや」
「うぉぃ!! ふざけんな為次!!」
「マサヒデは私と一緒じゃ嫌なの?」
「うぐっ。そ、そう言う分けじゃ……」
「よしっ、そこまでだ!」
さすがに収集がつかないと思った艦長は、下らない痴話喧嘩を止めた。
男を艦に乗せるのは、やはり問題が多いなと改めて思うのであった。
「では、これよりレオパルトによる降下偵察を行う。タメツグ、マサヒデ、スイ。それとユーナもだ」
「アイちゃん艦長までぇ!!」
「お前らだけでは不安だ。こちらからも1人出す。ユーナなら適任であろう」
青ざめる正秀の横でユーナは納得したように頷いていた。
そんな様子を為次はニヤニヤしながら見ている。
こっちの宇宙でも神の世界でもハーレムパーティに参加できなかったことが、ちょっと不満だったから……
もっとも自業自得の部分が多いのだが、いわゆる当て付けでユーナを連れて行くのだ。
「では、作戦は30分後。頼んだぞユーナ、タメツグ」
「「うん」」
と、2人は図らずも合わせて返事をした。
「んじゃあ行きますか」
「はいです」
「くそっ…… こうなりゃヤケだぜ」
「行ってくる」
戦車へと向かう途中に為次は思う。
戻ったらマサは感動の再開と修羅場だぁ!
と……
かつては水の恩恵により、生命で溢れかえっていた。
しかし、今は唯一の陸地である孤島に僅かばかりの陸上生物を残すばかりとなっている。
その残った命すらも魔法生命体である魔獣によって滅びの道を歩もうとしていた……
―― エクステンペスト、ブリッジ
「多数の魔獣反応あり」
惑星表面をスキャンしたセリナは報告した。
「ふむ……」
艦長は考え込むように、隣の補助席に居る為次を見る。
「大丈夫だって、こっちまでは上がってこれないよ」
「飛行タイプも居ますが、タメツグさんの言うように成層圏を超えるのは無理と思われます」
「なるほど、見た目もテラに生息しているのとはだいぶ違うようだな」
「向こうは蛇野郎ばっかだったんだぜ」
「ですです」
レオパルト2はエクステンペストへと帰還していた。
いきなり地上に降りる分けにもゆかないので、地上と海上を偵察することになった。
もっとも海は海水が一面に広がるだけで他には何もないので、もっぱら陸上をスキャンしていた。
そんな訳で皆はブリッジに集まっている。
エクステンペストとスラスキアスは上空約3百キロの地点で強制的に静止衛星起動をとっている。
シータイガーはバックアップの為にモノポールリング付近にて待機中だ。
「バハムートって居る?」
為次が訊くとセリナはスクリーンを見ながら答える。
「バハムート…… トリプルSクラスの魔獣ですか。反応はありませんね」
「まさか隊長、もうターナを……」
正秀は不安そうに言葉を濁した。
「どうだろーね、ポンタを拡大してみるか。えっと……」
セリナを見る為次は、その後の言葉に詰まった。
「セリナですよ。名前くらい覚えて下さいよ」
「あー、そうそう。セリナね。セリナセリナ」
「もう…… それで、何処を見るんですか?」
「ポンタの街なんだけど、アンカーのエリスの位置から西に百キロ位の街なんだけどぉ…… 西で合ってるのかな?」
「知りませんよ、私に聞かないで下さい」
「えっと、エリスの位置から見てミストラルの墜落現場が北かと思うんだけど」
「えーっと…… そうですね」
「じゃあ、西に百キロでいいかも」
「はい。少し待って下さい」
大まかに指定された位置の生体反応を調べるセリナ。
周囲は草原とちょっとした森があるだけなので、街はすぐに見つかった。
「ありました、この正方形の街ですね」
ポンタを上から見た映像が表示される。
「本当に四角いぜ」
「どんだけ貴重面なんだ、隊長さんは」
そう言いながら、為次は手元のパネルを操作して貞宗宅をズームした。
スキャンは様々なデータを取得するが、主に見るのは重力場と歪曲場である。
質量を持った物質は空間を湾曲させる。
原子はそれぞれの重さが僅かに違うので、空間に与える力も変わってくるのだ。
それを利用して何処にどの原子があるかを観測して、調べたい箇所をコンピューターによって再現させ映像にする。
これによって、見えない場所も見えるし様々な角度から見ることも可能だ。
しかも、空気の振動を取得することによって音も再現できる。
つまり、超々遠距離から盗み聞きすらできるのだ。
「お、マヨだ」
「マヨ姉様なのです。お風呂に入ってるです」
何故か貞宗宅で風呂に入るマヨーラを見つけた。
「おい為次。覗きはヤバイだろ」
「タメツグ、貴様は何をやっている……」
「もっと拡大してみよう。そうしよう」
「おう」
と、ヤバイと言いつつも正秀が同意した瞬間だった。
ドカッ!
「うぎゃっ」
「はうっ、タメツグ様!? 何処に転がって行くですか?」
ドン! ゴロゴロ……
為次は誰かに蹴っ飛ばされてしまい床に転がってしまう。
「痛って! んも、誰だよっ」
文句を言いながら起き上がり振り向くとユーナが居た。
「バカタメツグ、ダメ」
「うお、ユーナちゃん…… だ、だよな! 覗きはダメだぜ、言っただろ為次」
「ぬお、マサめ。裏切りやがって」
「ユーナ、来ていたのか」
艦長がそう言うと、ユーナは黙って頷いた。
「痛たた…… くそっ邪魔しに来やがって」
「お怪我はありませんか、タメツグ様」
「怪我も毛もあるよっ」
「今度覗いたら、その毛を全部むしってやる」
ユーナの冷たい目線に為次は冷や汗をかきながら、肩まである頭髪を抑えた。
「ぬぅ……」
「それより早く情報収集をして」
と、ユーナは艦長に促した。
「ああ、そうだな。タメツグ、遊んでないで真面目にやってくれ」
「はいはい」
適当な返事をしながら艦長補助席に戻ると、不満そうに操作パネルを弄り始める為次。
貞宗はすぐに見つかった。
10式戦車の傍で何かやっている様子だ。
近くにはクリスが居るのも確認できる。
「お、隊長だな。クリスさんも一緒だぜ」
「だね。何を話してるか聞いてみよう。そうしよう」
ターゲットを選択し、音声出力をオンにすると2人の声が聞こえてくる。
『あなた、いつまでヒトマルで遊んでるの』
『遊んでなどいない。たまには整備もしないとだからな』
『そんなの動かして何かするのかしら? もう、サダムネキャノンも撃てないのに』
『その名で呼ぶなと何度言えば……』
『はいはい、分かりました。とにかく昼からは街の補修予算会議がありますから忘れないで下さいね』
『分かっている。お前まで山崎みたいな返事しやがって……』
『私はお買い物に行ってきますから』
『ったく……』
会話の内容は他愛もないものであった。
あえてコメントするならば相変わらずクリスの尻に敷かれている様子だ。
「誰だ? この隊長と言うのは」
「そっか、アイちゃん達は知らないか。俺達が居た地球って星の軍隊…… 自衛隊だけど、そこの機甲師団の隊長だよ。俺達も同じ部隊だったの」
「敵の攻撃で俺達と一緒にアクアへふっ飛ばされたんだぜ。もっとも着いたのは隊長が30年先だけどな……」
「そうだったな、お前達は次元脱出装置から出て来たのだったな」
「多分ね」
「え? なんだそりゃ? 俺は初耳だぜ」
「あれ? 言ってなかったけ」
「ちゃんと教えてくれよ……」
「めんご、めんご。次元に潜った時の緊急脱出装置だってさ、ガザフが使ったのは」
「次元シールド無しでは30年など誤差の範囲だぞ」
「マジで!?」
艦長の説明は為次も初耳だったで少し驚いた。
だが、もっと驚いたのは正秀である。
「お、おい。アイちゃん艦長それって本当なのか? まさか3百年ずれることもあるのか?」
「3百年? 3千年までは誤差の範囲だと思っていいぞ」
ガビーン!
正秀は、あまりの衝撃的事実にショック!!
思わず頭を抱えて叫ぶ。
「嘘だろぉぉぉっ!」
「アチャー、87式連中の到着が早いのも嘘じゃなさそうだねぇ。マサ」
「マジかよ……」
正直、正秀は地球に帰れば皆はまだ居るのではないかと心の奥で思っていた。
現実離れしたこの世界で、夢でも見ているかの思いが無かったと言えば嘘であろう。
信じられない…… 否、信じたくないと思っていた。
「大丈夫? マサヒデ」
ガックリと跪く正秀に寄り添うユーナ。
なんでショックを受けているのかイマイチ理解できない。
「うわぁぁぁん! ユーナちゃぁぁぁん、俺はもう元の世界には帰れないかもなんだぜぇ!」
正秀は泣きながら抱きついた。
突然の出来事に思わずユーナは赤面してしまう。
「え? え? マサヒデ!? そ、そういうのは夜に……」
「むふふふ、ユーナ」
「何? タメツグ」
「何を隠そうマサの2番目の女はさっき風呂に入っていたマヨ…… マヨーラなのだ。1番目はもう居ないだろうから実質1番かも知れぬ」
「スイのお姉様なのです」
「えっ!? マサヒデ…… どういうこと?」
「おっふ。た、た、た、為次っ! 要らないこと言うなよ!!」
「要らないこと…… マサヒデ否定しない……」
「あ、しまっ…… た」
「……会いに行く」
「ユーナちゃん?」
「今からマヨーラに会いに行くっ」
「おわぁぁぁ! ま、待ってくれユーナちゃん。早まらないでくれぇ」
さすがに慌てふためく正秀。
ハーレムパーティをしていたことがマヨーラのバレたら、たまったものではない。
「よっしゃ。んなら俺達で先に降下して現状を直接聞いてこよう」
「お、おう! だな為次。俺達が先にな、な?」
「私も行く」
「待つんだユーナちゃん。ほ、ほら地上は危険も多いだろ? 俺達が安全を確認してからが安心だろ」
「うむ。レオは四人乗りだしユーナ入れて、ちょうどいいや」
「うぉぃ!! ふざけんな為次!!」
「マサヒデは私と一緒じゃ嫌なの?」
「うぐっ。そ、そう言う分けじゃ……」
「よしっ、そこまでだ!」
さすがに収集がつかないと思った艦長は、下らない痴話喧嘩を止めた。
男を艦に乗せるのは、やはり問題が多いなと改めて思うのであった。
「では、これよりレオパルトによる降下偵察を行う。タメツグ、マサヒデ、スイ。それとユーナもだ」
「アイちゃん艦長までぇ!!」
「お前らだけでは不安だ。こちらからも1人出す。ユーナなら適任であろう」
青ざめる正秀の横でユーナは納得したように頷いていた。
そんな様子を為次はニヤニヤしながら見ている。
こっちの宇宙でも神の世界でもハーレムパーティに参加できなかったことが、ちょっと不満だったから……
もっとも自業自得の部分が多いのだが、いわゆる当て付けでユーナを連れて行くのだ。
「では、作戦は30分後。頼んだぞユーナ、タメツグ」
「「うん」」
と、2人は図らずも合わせて返事をした。
「んじゃあ行きますか」
「はいです」
「くそっ…… こうなりゃヤケだぜ」
「行ってくる」
戦車へと向かう途中に為次は思う。
戻ったらマサは感動の再開と修羅場だぁ!
と……
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