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エピローグ
THE・宇宙戦車
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惑星アクアを旅立ってから3週間が過ぎた……
銀河を飛び出し、何もない空間でワープアウトをしたレオパルト2。
一旦、通常空間で最後の交信を行った。
これ以上離れると、ほぼアクアやテラとは通信が不可能となるだ。
不可能とは言っても時間を掛ければ可能ではあるが、お互いの座標や軌道がズレてしまえば再送信が必要となる。
コールシュライバー銀河へと向かうレオパルト2にとっては事実上の最後のポイントであった。
通信内容といえば、こちらの変わらぬ状況と交信相手の事後報告である。
ターナはテラへと強制送還されてしまったそうだ。
本人は多大な命を奪った償いとしてアクアへ残り、より良い国へと導きたいと言っていたが軍が許さなかったらしい。
事実上、魔道科学の第一人者なので当然と言えば当然であった。
今後は宇宙魔獣対策として姉のエーマと半ば強制的に軍に属することになってしまった。
代わりにアクアの再建はスラスキアスが担当することになった。
サイクスのアンカーは新しい物と取り換えとなり、各国の近くにはそれぞれ戦闘用のアンカーを打ち込まれるとのことだ。
また、広大な海も以前のように生命溢れる場所にする為に撒かれたナノマシンを停止させた。
これは魔獣を減らす目的もある。
今後は家庭の食卓にも当たり前のように魚が並ぶようになるであろう。
エクステンペストはターナとダラスを乗せて一足先にテラへと戻ったようだ。
元々、対宇宙魔獣用の艦なので仕方がない。
ダラスは自分の船を発掘中であったが戦魔導士の能力を持っているせいで、ターナ同様に強制的に連れ帰された。
付与魔法さえあれば、当面の宇宙魔獣対策が用意になるからである。
もっとも、お陰でユーナ達エンジェル隊の損失は、ほぼゼロとなった。
今後は戦艦や戦闘機でも宇宙魔獣と渡り合えるので、エンジェル隊の解体も近いかも知れないとのことであった。
ミストラルの発掘はまだまだ時間が掛かりそうとのことである。
ガザフとカーラが指揮を取り励んでいるらしい。
なんでもガザフはミストラル防衛隊の隊長であり船にも詳しい人物であるそうだ。
大破した船を前に何を思うのかは本人しか分からない……
他にはサイクスに残った連中だが……
スレイブはギルドを再編成され新しく設立された警備隊に入りシャルと共に剣術に勤しんでいる。
サーサラはそこで受付をやっているみたいだ。
驚いたのはシムリと上手く行っているらしく、結婚を前提にお付き合いしているとのことだ。
尻に敷かれるのは目に見えているが、当人が納得しているならばいいのであろう。
最後に亀田宅の現状だが、以前とあまり変わらない様子だ。
貞宗は相変わらず魔道艇の制作に熱心であるが、今後は魔獣の減少によってエレメンタルストーンの入手が減るのを危惧している。
マヨーラも亀田宅に居付いてしまっているらしく、クリスの元で花嫁修業に勤しんでいるらしい。
母親は遠い星へと行ってしまったので、今度は父親と暮らす。
彼女にとってはそれが幸せな生活かも知れない。
以上が交信内容の大雑把な内容であった。
……………
………
…
何もない空間にワープアウトしたのは他にも理由があった。
「ここまで離れれば大丈夫でしょ」
と、為次は言った。
「そんなにヤバイのか?」
「下手したら宇宙が吹っ飛ぶかも」
「そこまでは爆発しないのです、精々銀河が吹き飛ぶ程度なのです」
観測とテストである。
テストは当然ながらモノポールドライブの起動である。
これが動かなければモノポールキャノンは撃てないし、何よりワームホールが生成できないのだ。
「魔道機関魔道係数最大っと。よっしゃ、アイス及びマジックシールド詠唱開始」
「アイス詠唱です。マジックシールド詠唱です」
「対消滅機関出力最大…… 点火と同時にシールド展開…… えいっ」
フィーン……
車体後部から微かな起動音が響く。
「出力上昇、コンディショングリーン。すべて正常値内なのです」
「いやぁったぁ!」
思わずガッツポーズを取る為次。
「動いたのか?」
「完璧、さすが俺様」
「ではでは、ワームホールを生成するのです」
「うんうん、やっちゃって」
「はいです。進路コールシュライバー銀河、その他オート入力するです」
「大丈夫なのか?」
「安心、安心」
「ワームホール展開…… です」
車体が勝手に動き座標を合わせた。
次の瞬間、前方の空間が歪み始め光を発する。
「できたです」
「なんだか、あっけないぜ……」
「そんなもんだって。それより観測は取れたかな? そろそろ出発したいけどぉ」
「はい、銀河団の映像は取得済みです」
もう一つの理由である観測……
それは地球を探す手段であった。
タブレットの中に残っていた動画。
宇宙怖いとかヤバイとかの内容である。
その中に地球から観測した銀河団の映像が映っていた。
そこで思い付いたのが銀河団マップを作ろうとの考えである。
作成したマップと動画のマップをコンピューターに入力し、どの位置からどの角度で見れば動画と同じになるかを計算させるのだ。
結果的に一致した視点の場所に地球があるとの算段だ。
この為に光学センサーを強力な物にしたのである。
「さーてトンネルの先には何があるのやら……」
「ちょっと楽しみなんだぜ」
「スイはタメツグ様と一緒なら何処でもたのしいのです」
「それでは……」
「「「パンツァーフォー!!」」」
彼らの旅は、まだまだ終わらない。
果てしない宇宙の旅……
そのお話は いつか またどこかで
to be continued ――
銀河を飛び出し、何もない空間でワープアウトをしたレオパルト2。
一旦、通常空間で最後の交信を行った。
これ以上離れると、ほぼアクアやテラとは通信が不可能となるだ。
不可能とは言っても時間を掛ければ可能ではあるが、お互いの座標や軌道がズレてしまえば再送信が必要となる。
コールシュライバー銀河へと向かうレオパルト2にとっては事実上の最後のポイントであった。
通信内容といえば、こちらの変わらぬ状況と交信相手の事後報告である。
ターナはテラへと強制送還されてしまったそうだ。
本人は多大な命を奪った償いとしてアクアへ残り、より良い国へと導きたいと言っていたが軍が許さなかったらしい。
事実上、魔道科学の第一人者なので当然と言えば当然であった。
今後は宇宙魔獣対策として姉のエーマと半ば強制的に軍に属することになってしまった。
代わりにアクアの再建はスラスキアスが担当することになった。
サイクスのアンカーは新しい物と取り換えとなり、各国の近くにはそれぞれ戦闘用のアンカーを打ち込まれるとのことだ。
また、広大な海も以前のように生命溢れる場所にする為に撒かれたナノマシンを停止させた。
これは魔獣を減らす目的もある。
今後は家庭の食卓にも当たり前のように魚が並ぶようになるであろう。
エクステンペストはターナとダラスを乗せて一足先にテラへと戻ったようだ。
元々、対宇宙魔獣用の艦なので仕方がない。
ダラスは自分の船を発掘中であったが戦魔導士の能力を持っているせいで、ターナ同様に強制的に連れ帰された。
付与魔法さえあれば、当面の宇宙魔獣対策が用意になるからである。
もっとも、お陰でユーナ達エンジェル隊の損失は、ほぼゼロとなった。
今後は戦艦や戦闘機でも宇宙魔獣と渡り合えるので、エンジェル隊の解体も近いかも知れないとのことであった。
ミストラルの発掘はまだまだ時間が掛かりそうとのことである。
ガザフとカーラが指揮を取り励んでいるらしい。
なんでもガザフはミストラル防衛隊の隊長であり船にも詳しい人物であるそうだ。
大破した船を前に何を思うのかは本人しか分からない……
他にはサイクスに残った連中だが……
スレイブはギルドを再編成され新しく設立された警備隊に入りシャルと共に剣術に勤しんでいる。
サーサラはそこで受付をやっているみたいだ。
驚いたのはシムリと上手く行っているらしく、結婚を前提にお付き合いしているとのことだ。
尻に敷かれるのは目に見えているが、当人が納得しているならばいいのであろう。
最後に亀田宅の現状だが、以前とあまり変わらない様子だ。
貞宗は相変わらず魔道艇の制作に熱心であるが、今後は魔獣の減少によってエレメンタルストーンの入手が減るのを危惧している。
マヨーラも亀田宅に居付いてしまっているらしく、クリスの元で花嫁修業に勤しんでいるらしい。
母親は遠い星へと行ってしまったので、今度は父親と暮らす。
彼女にとってはそれが幸せな生活かも知れない。
以上が交信内容の大雑把な内容であった。
……………
………
…
何もない空間にワープアウトしたのは他にも理由があった。
「ここまで離れれば大丈夫でしょ」
と、為次は言った。
「そんなにヤバイのか?」
「下手したら宇宙が吹っ飛ぶかも」
「そこまでは爆発しないのです、精々銀河が吹き飛ぶ程度なのです」
観測とテストである。
テストは当然ながらモノポールドライブの起動である。
これが動かなければモノポールキャノンは撃てないし、何よりワームホールが生成できないのだ。
「魔道機関魔道係数最大っと。よっしゃ、アイス及びマジックシールド詠唱開始」
「アイス詠唱です。マジックシールド詠唱です」
「対消滅機関出力最大…… 点火と同時にシールド展開…… えいっ」
フィーン……
車体後部から微かな起動音が響く。
「出力上昇、コンディショングリーン。すべて正常値内なのです」
「いやぁったぁ!」
思わずガッツポーズを取る為次。
「動いたのか?」
「完璧、さすが俺様」
「ではでは、ワームホールを生成するのです」
「うんうん、やっちゃって」
「はいです。進路コールシュライバー銀河、その他オート入力するです」
「大丈夫なのか?」
「安心、安心」
「ワームホール展開…… です」
車体が勝手に動き座標を合わせた。
次の瞬間、前方の空間が歪み始め光を発する。
「できたです」
「なんだか、あっけないぜ……」
「そんなもんだって。それより観測は取れたかな? そろそろ出発したいけどぉ」
「はい、銀河団の映像は取得済みです」
もう一つの理由である観測……
それは地球を探す手段であった。
タブレットの中に残っていた動画。
宇宙怖いとかヤバイとかの内容である。
その中に地球から観測した銀河団の映像が映っていた。
そこで思い付いたのが銀河団マップを作ろうとの考えである。
作成したマップと動画のマップをコンピューターに入力し、どの位置からどの角度で見れば動画と同じになるかを計算させるのだ。
結果的に一致した視点の場所に地球があるとの算段だ。
この為に光学センサーを強力な物にしたのである。
「さーてトンネルの先には何があるのやら……」
「ちょっと楽しみなんだぜ」
「スイはタメツグ様と一緒なら何処でもたのしいのです」
「それでは……」
「「「パンツァーフォー!!」」」
彼らの旅は、まだまだ終わらない。
果てしない宇宙の旅……
そのお話は いつか またどこかで
to be continued ――
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