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2人の想い
しおりを挟むそれからも私は暇があると律の元へと通っていた。
「律~!」
「来たか。」
「ふふー!今日も待っててくれたんだ?」
「別に。暇だからな。」
律は私が来る事が分かっているのか、ここに来る時には決まって社の前で待ってくれていた。
「またそんな事言って!ありがとう!」
「なんだ、素直だな。」
「えっと今日はね、律にお願いがあって。」
そう。律じゃなきゃダメな事。
「…お願い?」
「今度、うちの学校で体育祭があるんだけど、一緒に競技に出てくれないかなぁって。」
「妖の俺がか?」
「律は人間に化けられるでしょ?
あ、もしかして長い時間化けるのって辛かったりする?」
「別にそれは問題ないが。」
「じゃあ、お願い!ね?暇つぶしだと思って!」
「なんでそこまで俺に出て欲しいんだよ。」
「それはね、」
実は競技種目を決める際、『ラブラブカップルレース』なるものに出ることになってしまったのだ。
何故彼氏のいない私が!って意見したけど、別にカップルじゃなくてもいいらしい。
もちろん本物のカップルも出るみたいだけど。
全く、皆出たく無いからって私に押し付けるんだから!
私も断りきれなくて渋々受けちゃったけど、
散々私を揶揄ってきた男子達と組む事だけは絶対に嫌!
何故か柳瀬がパートナーになってやろうかと言ってきたけど、それは考える間も無くお断りしておいた。
周りが柳瀬を慰めてたのは不思議な光景だったけど。
だってその競技は、彼氏(役)が彼女(役)をどんな形でもいいから抱き上げて400㍍を走るといったもの。どうせなら私だって好きな人とパートナーになりたいもん。
その時思ったの。彼氏じゃなくてもいいなら、律とがいいって。別に学校の生徒じゃなくてもいいんだって!
そう思ってのお願いなんだけど…。
「…ふーん、人間の遊びか。まぁ暇だしな。いいだろう。」
え、すんなり!
「っほんと⁈やったぁ!ありがとう律ー!」
律と一緒なら、どんなに嫌な競技も楽しみになっちゃうよ!
嬉しさに思わず抱きついちゃった。
「おい…っ!離れろ!」
「…何よ、こないだは抱きしめてくれたのに、私から抱きつくのは嫌なの?」
別に狙った訳じゃないけど、ここまで拒否されたら悲しいんだけど。
「っ!…嫌じゃ…ないが、」
嫌じゃないなら、なんでそんなに目を泳がせてるのよ。
「…じゃあ律はこんな私は嫌い?」
「だから、嫌いじゃ…ない。」
「じゃあ好き?」
「っお前な…。」
「ねぇ、なんでいつも名前で呼んでくれないの?」
「名前って…、お前呼ばれたくないんだろ?」
「そんなの、別に律にならいいもん。むしろ律には呼んでほしいの。
私、律のこと好きだから。」
「……は?」
「だから、律のことが好き。
大好き。凄く好き!ラブユーなの!」
「…っ!?」
わぁ、律が真っ赤になった。
こんな律見たことない…ちょっと意外かも。
「……律は?私のことどう思ってる?」
「どうって…。俺は…、」
「これから私のことを好きになってもらえる可能性は少しでもある?」
少しでもあるのなら、私は諦めたくない。
初めて好きって思えた男の人だもん。
…人間じゃなかったけど。
「…可能性も何も、俺も、その……多分好きだ。」
「ん?多分?」
「なんだよ、悪いか!今まで誰かを好きになった事なんて無いんだよ!」
「え、律が…?こんなに長生きしてて?」
「あぁ。別に女に困る事なんて無かったし」
「あぁ、そう。」
遊んではいた訳ね。ついジト目になっちゃう。
「っお前は違う!今までの女は少し過ごしたら飽きてたけど、
…お前と一緒にいるのは楽しいし、いつまでも飽きないんだ。むしろずっと一緒にいたいとも思った事もある。」
「ふーん。私と一緒にいるの楽しかったんだ?」
やばい。嬉しくてにやけそうになる。
でも我慢…!こんなに自分の事を喋る律も珍しいし!
「…だから、ここに来る気配がしたら外で待ってたんだよ。お前に会うの、待ち遠しかった。
…お前に出会うまで寂しいなんて気持ち、感じた事無かったのにな。」
「それ、ほんとなんだよね?
私も…、私も律に会う事だけが最近の楽しみだったよ。もう律が側にいてくれないと寂しいの。」
「…俺はお前と一緒にいた時間が一番楽しかった。」
「じゃあ、これから私の事たくさん知って、もっともっと好きになって?」
私は、もっともっと律の事好きになる自信あるよ!
「…お前意外とグイグイ来るんだな。」
ふふ、頰を赤らめてる律って可愛い。これは初めて知った事ね。
「お前じゃないよ。ねぇ律、私の名前呼んでみてよ。」
「…姫。」
「なぁに?」
「俺も好きだよ、姫。」
頰を赤らめながらも、ニカッと笑って私の名前を呼ぶ姿は、私の心臓を握り潰す程の胸キュン度数だった。
っっわたし、幸せだ!!!
「ふは、嬉しい…。」
顔がニヤけるー!
「なんだ、そのだらしない顔は。」
「だって、ふふー!」
私にも恋人出来たんだよ!
お母さーん!私、イケメンな彼氏に、イケメンボイスで名前を呼んでもらえるよー!!
「ふ、ほんと、可愛いヤツだなお前は。」
「か、可愛い⁈」
「姫は可愛いよ。いつも思ってた。」
「いつも?っもー、やめてよ、恥ずかしいじゃん。」
「…お前は、俺のどこに惹かれたんだ?」
「律はねー、いつでもカッコいいの。寝てても、笑ってても。高い身長も、着物を着こなしてるところも、自信家なところもだし。何をしててもカッコよくて、私はずーっと心臓が落ち着かないの。」
「ふ、それは大変だな。」
「他人事⁈ねぇ、律は私のどんな所が好き?」
「そうだな。笑顔は好きだな。腹抱えて笑ってるところ、にやけてるところ、照れてるところも好きだ。」
「…何それー。」
「あとは意外と繊細な所とか、一緒にいて落ちつくところとかな。」
「それは私も一緒!」
「あぁ、そうだな。
…でも、本当にいいのか?俺たちは生きる長さも、住む世界も違う。」
まぁ、確かに私はどうやっても律より先に死んじゃうんだろう。
でも、だからってこの時間を無駄にはしたくない。
「…律は私と生きるのは辛い?」
「それは無いな。俺は姫と一緒にいたい。例え俺がいつか見送る事になったとしても、それまでの時間を共に過ごしたいと俺は思う。」
「私も、同じだよ!」
「…そうか。なら問題無いな。
姫、俺の女になってくれるな?」
そっと抱きしめてくれる。
「っうん!」
あぁ、なんて幸せなんだろう。
私にも好きな人ができて、こんなに素敵な人と想いを通わせることができた!
好きな人に名前で呼ばれる事って、こんなにも嬉しいんだね。
ありがとう、律!
これからもっともっと律との思い出作っていかなきゃ!
まずは体育祭!
皆、待っててよね!素敵なかっこいい自慢の彼氏、連れてくから!!
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