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庇護欲
しおりを挟む律 sideーー
今日は何故かあいつに逢いたいと思った。
いつも週末には会っているのにな。
だからたまには俺から逢いに行ってやろうと、あいつがいつも通ってくるあの道を使ってここまで来た。
さて、何処にいるか。少し探してみるか。
そうして校舎周りをぶらつきながら、学校の玄関口に近づいた時、聞き慣れたあの声が聞こえてきた。
「これ雨降るかなぁ?律の所に行きたいのに。」
…いた。って言うか、でけぇ独り言だな。
俺の所に来たいなんて、ほんと飽きない奴。そう言う俺もなんだが。
「これはお天気お姉さんもショック受けてるかなぁ。」
声を掛けようとした、その時だった。
「…桃原?」
「あ、柳瀬。」
…誰だあいつ?
「何、傘ねぇの?俺置き傘してたからさ。
…雨降るかもだし、寮まで送ってくぞ?」
「え。いや、」
は?何言ってる。こいつはこれから俺んとこに来るんだっての。
「ほら、行こうぜ。降ってきたら入れてやるよ。」
「えっと、」
その男はあいつの腕を掴んで連れて行こうとする。
…やめろ、触るな。
「じゃあ、お願い…」
「それには及ばない。」
俺は気がつくと、こいつの腕を掴んでいた。
「え?あ、律⁈」
なんだよ、やっと気付いたのかよ。
「…桃原、こいつは?」
「ふん、お前には関係ない。行くぞ。」
「え、律?」
「あ、おい!なんだよお前!」
「ごめんね柳瀬!私は大丈夫だから、また月曜日ね!」
「え。桃原…?」
「ねぇ、律どこ行くの?っていうか何で学校にいたの?」
「…どこ行くって社だ。」
他に何処いくんだよ。雨も降りそうだってのに。
「え?でもここ普通の道だし…。」
「別に学校からじゃなくても行ける。」
「あ、そうなんだ。」
不思議そうに見上げてくる。なんだ?
「…なんだよ。」
「今日はどうしたのかなぁって。」
「別に、ただお前の事を考えてて、たまには俺から逢いに行ってもいいかと思っただけだ。」
そう、何故か逢いたいって思ったんだよな。
「え、それほんと⁈」
「?なんだ?」
「うん?えへへ、嬉しいなって!」
「そうか。」
やっぱり、こいつといると不思議と心が落ち着く。
「…今日はどのくらいいれる?」
「そうだなぁ、門限は21時だから、それまでには帰るよ。」
「分かった。」
それから社に着いた俺達は、いつものように、たわいもない話で盛り上がる。
そうしていたらあっという間にもう門限も近い。
「あーあ、もうすぐ帰らなきゃ。」
…もう帰るのか。
ゴロゴロゴロ…
まぁ、どす黒い雷雲だったしな。雨も強くなるだろうし、そろそろ送ってやろう。
そう思っていた時、
「っうそ…。」
こいつの顔が青褪めた。
「…?どうした?」
「え?や、なんでも…」
ピカッ!!
「やっ、」
稲光と共に、小さな声をあげて目を瞑り、耳を塞ぐ。
もしかして…。
「まさか、雷が怖いのか?」
「…っ、」
なんだよそれ…、
「…ほら、こっち来い。」
「え。」
「え、え⁈律何を、」
「怖いんだろ?ならこうしてればいい。」
適当に理由をつけて抱きしめたが…相変わらず小さい。
「…う、呆れた?」
「何でだよ。可愛いだろ、たかが雷が怖いなんて。
…ぶふっ。」
「ちょっと!笑ってるじゃない!」
あー、離れるなよ。
「ほら、離れると雷が落ちてくるぞ?」
「う、嘘よ!」
「まぁ、俺は別にいいけどな。」
「…やだ。離れないで。でも雷が怖いから仕方なくなんだからね。」
「ふっ、あぁ。」
「ありがとう、律。」
あぁ。別にお前の為なら構わない。
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