姉妹チート:RE

和希

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1stSEASON

シガラミなんて飛び越えて

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(1)

「おはよう!」
「おはよう、紗奈」

新学期にはいって2カ月が過ぎた。
私にも友達が出来た。
近所の友達と登校中だった。
今日は努力遠足の日。
友達とわいわい騒ぎながら学校に向かう。
だけど友達がそんなにたくさんいるわけじゃない。
もっと積極的に友達を作りたい。
その為に遠足は重大イベント。
楽しみにしてた。
学校に着くとグラウンドで皆クラスごとに並んでいる。

「おはよう、繭」
「おはようございます、紗奈」

酒井繭、小泉優、桐谷恋、如月天、檜山秋生が一緒の班のお友達。
小泉優、如月天、檜山秋生が男子。
もっとも男子にはあまり良い感情を持たれていないけど。
原因は私の兄、喜一にあった。
いつもの事だ。
その割を食うのは妹の私。
兄のせいで私は友達作りと言う作業に難航していた。
今回の件もそうだった。
繭達が所属しているグループ「セイクリッドハート」と兄が作った組織「フォーリンググレイス」は対立している。
しかし私は兄のやる事に興味はない。
馬鹿馬鹿しい。
勝手にやってればいい。
兄たちがやっていることは私には関係ないと説明する。
ただ兄は私がSHのメンバーと仲良くしていることを良く思ってないらしい。
ただ外で文句は言わない。
6年生ですらSHを恐れている。
残り半年を無事に過ごしたい。
そう思っているのだろう。
だったら最初からやらなきゃいいのに。
そんな事を考えながら先生たちの説明を聞いていた。
最初も注意がある。
遠足中は紅白棒を被る様に言われているのにFGの皆は黒い頭巾をしている。
彼等がFGのメンバーである証らしい。
先生から注意を受けると紅白棒を被り頭巾を肩に巻き付ける。
先生達はそれでとりあえず納得したようだ。
目的地まで歩いてる中私を除く皆は仲良くおしゃべりしてた。
私は戸惑っていた。
仮にも敵の親玉の妹だ。
私を受け入れてくれるかどうか?
班の編成を呪えばいいのか、彼等に手を出した兄を恨めばいいのか?
神は私を見放したのだろうか?
だけど神が見放しても繭は私を拾ってくれた。

「どうなさいました?折角の遠足ですよ?もっと楽しまないと」
「大丈夫、楽しんでるよ」

楽しそうにしてる皆を羨んでいるだけ。

「……私の時もそうでした。友達になってくれたのは恋だけ。男子たちは敵だった」

それから同じクラスのの片桐天音たちによってSHに招かれて仲良くしてるんだと繭から聞いた。

「あなたはどう思う?天」

繭は天に聞いていた。

「そんなのどうでもいいだろ?俺達関係ないし」

如月君は言う。
SHはFGなど気にも留めてないようだ。

「とりあえずそのしけた面やめろ!せっかくの遠足が台無しだ」

小泉優が言うと皆が私を見る。
この班は私を受け入れてくれるらしい。
私の新しい友達がまた増えた。
それからは楽しい時間だった。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
その様子を見ていたFGのメンバーが兄に報告したらしい。
すぐに喜一がやってくる。

「紗奈、お前何をやってるんだ!こいつらは敵だぞ!」

兄が叱りつける。

「お兄さんが勝手にやってる事でしょ。私を巻き込まないで!」

これ以上私の友達作りを妨害しないで。
兄の怒りの矛先は小泉君に向かう。

「何人の妹に手を出してるの?」

しかし小泉君は言う。

「俺達に手を出せばどうなるか分かってて言ってるのか?」

喜一はそれ以上何も言えなかった。
喜一は私達を睨みつけると自分の群れに戻る。

「心配する事無いからな。あんなのほっとけばいい」

天が言う。
目的地に着くと皆集合する。
しかしみんなが到着するまで解放されない。
到着が遅れたのは言うまでもなく喜一のグループ。

「どこいってたの!?」

担任が怒る。

「コンビニで今日発売の漫画雑誌読んでました」

理由になってない理由を平然と答える喜一。

「あなた達の自分勝手な行動で皆が迷惑してるのよ。何か言う事無いの?」

先生が言う。

「迷惑な奴なんているのか?いるんだったら出てこいいよ謝ってやるからさ」

喜一が言うと黒い頭巾を肩に巻いた連中が笑う。
誰も何も言わない。
喜一はそれを見て「誰もいないじゃないか?」と言いたげに先生を見ていた。
先生も何も言わずに自由行動を告げた。
だが、この時喜一は勘違いをしていた。
自分たちの報復を恐れて皆黙っている。そう思っていた。
そうじゃない。
これ以上面倒事作って自由行動減らされたらたまらない。そういう人間がいたことに気付かなかった。
それは後で思い知ることになる。

(2)

「はい、今日は私が作ってきたんだよ!」

翼が言う。
翼は何でもこなす。
料理は天音に敵わないけどそれでも彼氏に食べさせるくらいの弁当は作る。
味付けは天音に敵わないけどでも僕にだけは「愛情」という調味料が発動する。
真心を込めて作りました。
そんな感情が流れてくる。

「どうかな?」
「美味しいよ」
「よかった」

翼の笑顔がより一層美味しく感じさせる。
皆も彼女の弁当を食べて満足していた。
美希も学の弁当を用意していたらしい。

「味の好み分からないから口に合うかどうかわからないけど」
「作って来てくれただけでもありがたいよありがとう」

そういって学は美希から受け取る。
学は他人から弁当を作ってもらったことなどなかったのだろう。
美味しそうに食べていた。
遊と恋の分は学の母さんが用意したらしい。
弁当を食べ終わると。水筒に入れてあったお茶を飲みながら。お菓子を食べる。
お菓子は班のメンバーで交換しながら食べていた。
すると6年生が来た。
肩に黒い頭巾を巻いてる。

「俺達に何か用か?」

光太が言う。

「お前らFGのメンバーじゃねーよな。お菓子をよこすかFGに入るか選べ」

6年生が言う。

「言ってる意味が分からんのだが?」

学が言う。

「黙って菓子を差し出せばいいんだよ!」

6年生が恫喝する。
周囲の注目を浴びる。
麗華はどうでもよさげに菓子を食べている。

「お前舐めてるのか!?」

6年生が麗華の髪を引っ張る。
立ち上がって6年生を殴りかかろうとする光太を止めたのは酒井君だった。

「やめましょうよ、折角の遠足日和が台無しだ」

酒井君が言う。

「お前は物分かりのいいやつだな」
「生憎とそうでもないんですよ」
「なんだと?」
「あなた達FGのメンバーですね?それだけで僕達にはあなた達を叩きのめす口実は十分だ。なんせあなた方のボスの自分勝手な行動で楽しい遠足が台無しになるところでしたからね?こう見えてイライラを抑えてるんですよ」
「俺達とやり合おうってのか?」
「それも選択ですが、このまま黙ってお引き取り願えるのなら今回の件は不問にしましょう。どうです?」
「俺達に手を出すとどうなるか分かってるのか?」
「あなた方こそ理解してますか?僕は祈と違って男だ。空だってそうだ。僕達はイライラしてます。手加減なんて言葉忘れてしまいましたよ」

酒井君が言うと僕達は立ち上がる。

「翼、麗華と美希任せる」
「分かった」
「大丈夫よ翼。私だって石原家の人間だって事忘れないで」

美希が言う。

「やはり皆さんやる気の様だ。今ならまだ間に合う。ここは大人しくお引き取り願えないでしょうか?」

酒井君が言う。
酒井君はさっきからすさまじい殺気を出している。にこにこしてるけど。

「何やってんだお前たち!」

先生達がやってきた。

「いや、よかった。お互い無事で済んだようだ」

酒井君がそう言って笑う。

「……ちっ。いくぞ」

6年生はそう言って引き払っていった。

「酒井もやる気だったのか?」

学が座ると言った。

「まあ、正直この場に埋めて帰る気でいましたね」

酒井君も座る。

「多少の不祥事なら母さんがもみ消してくれるからやってくれてもよかったのに」

美希も座るとお菓子を食べだす。

「しかしこうなるとやはり不安なのは……」

学が言う。
そう、天音たちが大人しくしてるはずが無かった。

(3)

「おらあ!喜一はどこだ!」

私達は6年生の所に殴り込みをかけていた。
お菓子を楽しむ時間を惜しんできたんだ。
ただじゃ帰るつもりはない。

「山本君なら1年の所に行きました」

6年生が言う。
そう来たか。

「ボーリンググレープとかいう連中はどいつだ!出てこい!」

私が叫ぶとぞろぞろと出てくる。
皆肩に黒い頭巾を巻いている、流行りのファッションか?

「俺達だけど何か用か?」
「お前らのせいでこっちは自由時間削られてイライラしてんのに詫びにもこねーからこうしてこっちから出向いてやったんだ!」
「本来ならお菓子全部巻き上げたいところだが乞食みたいな真似すんなって言われてるから土下座でかんべんしてやらぁ!」

粋が言う。
うちも同じようなルールがある「子供たちには十分物を与えている。お小遣いだってちゃんと渡している。物乞いみたいなものをして冬夜さんに恥をかかせてはいけません」と愛莉に言われてる。

「ただで帰れると思うなよ」

雑魚の群れが私たちを取り囲む。
こっちだって鬱憤が溜まってるんだ。大人しく帰ると思うなよ。

「天音遠慮することねーぞ。後始末は母さんがつけてくれる」
「正当性は僕達にある。親が出て来るなら徹底的にやってやるから遠慮なくやれと言われてます」

祈と大地が言う。

「遊と粋は自分の彼女くらい自分で守れよ」

私が遊と粋に言う。

「また天音!なにやってるの!?」

桜子が来た。
歳の差見る前に人数差を見やがれ。

「別に何もする気はねーよ。ただ普通に謝罪を要求しただけだ」
「謝罪?」
「私達の自由時間を15分も削りやがった。それだけじゃない、詫びに来るかと思えば来やしねーからこうしてお菓子食う時間割いてきてるんだ!」

大地の母親なら一家離散させる対応だぞ。

「で、誰に謝罪させたいわけ?」

桜子が聞いた。

「全員坊主頭にして裸で土下座させたいところだが、そんなもん見てもつまんねーからボス猿一匹でかんべんしてやる」
「今すぐ喜一を連れてこい!」

私が言うと粋が言った。

「山本君はどこに行ったの?」
「猿らしく年下にカツアゲに行ってるらしいぞ!」
「誰が猿だって!?調子に乗りやがって!」

集団の中か喜一が現れた。
喜一は私に殴りかかる。
それを躱してカウンターを合わせる。
喜一は吹き飛んだ。

「天音!止めなさい!」
「今のは正当防衛だろ!」

一発殴られたくらいで涙目になるなら端から仕掛けて来るんじゃねえ!
辺りには全校児童が集まっていた。
皆が喜一を見ている。

「お前は皆に迷惑かけたんだ!この場で今すぐ土下座しろ!」

私が怒鳴りつける。
喜一は暫くしてやっと土下座した。

「……皆さんすいませんでした」

喜一の言葉を皆静かに聞いていた。

「さあ、もういいでしょう!皆戻りなさい!」

桜子が言うとみんな散らばっていった。
私達も戻ってお菓子を食ってた。

(4)

「本気で言ってるのね?」

私は紗奈に聞いていた。
紗奈は頷いた。

「……分かったわ」

そう言って私は紗奈を連れて天音達の所に行った。
めんどくさそうに歩いてる集団の中に祈がいるのを見つける。

「祈」

祈に声をかけると、祈は振り返った。

「あれ?繭じゃん。隣の子は誰?」

その集団は紗奈を見る。
紗奈の意思を今一度確認してからお姉様に告げる。

「山本沙菜。山本喜一の妹」

山本喜一の名前に皆が反応する。

「一人で敵取りに来たってのか?」

祈が言う。

「その逆です。祈」

皆に事情を説明する。
兄が迷惑をかけてしまった。
にもかかわらず自分は平然と私達の輪の中にいる。
本当にそれでいいのだろうか?
山本喜一の妹というレッテルを貼ったまま楽しく遊んでいていいのか?
一度ちゃんと清算しておく必要があるのでは?
だからお詫びに来た。
そう説明する。

「勝手な言い分ですが、本当に兄が迷惑をおかけしました。すいません」

お姉様が赤毛の女子を見る。
片桐天音。4年生のリーダー格。

「ガキの癖にめんどくさい奴だな」

天音は少し機嫌が悪い様だ。

「要は仲間に入れて欲しいって事だろ?最初からそういえばいいじゃねーか」

天音はそう言って笑う。

「でも私は喜一の妹だし」
「そんな事はどうでもいいんだよ。世界中の人間がなんだかんだで繋がってるんだ。一々ほじくり返してたらキリがねーんだよ」

紗奈が言うと、天音はそう言って笑った。

「私も同感。細かい事悩む年頃じゃないよ」

多田水奈も言う。
祈がスマホを弄ってる。

「兄貴が良いってよ。繭から招待してやれ」

祈が言うので招待した。

「じゃ、よろしくな?紗奈だっけ?」

天音さんがそう言って紗奈に手を差し出す。
紗奈と天音は握手をすると私達は自分の班に戻った。

「どうだった?」

天が聞いてくる。

「良いって。もう招待してある」
「そうか、よかったな」

そう言って天は紗奈の頭を撫でる。
私はなぜかムッとした。

「とても勇気がある子です。あの天音に直接謝罪にいくのですから」
「そうだな。紗奈はすげーよ」
「それに引きかえ天は私の見込み違いだったのかしら?」
「どういう意味だよ」
「私は天も勇気のある男子だと思ってた」
「そうか?」
「なのにいまだに何も言ってくれない」
「へ?」

気づいてないだけなのだろうか?
私から手を差し伸べないと駄目なのだろうか?

「踏み出す勇気がないの?それとも私の気持ちに気付いてない?」

紗奈は気づいたようだ。
クスクス笑ってる。
天は何も分かってないようだ。

「楽しいクリスマスにしたいから。それまでには一言欲しいんだけど」
「繭、無理だよ。まだ天は子供だよ」

紗奈が言う。
そうか、気付いてないのか。
こういう時の対処法くらい酒井家の女子なら心得ている。
天の頬にキスをする。
それを見ていた。クラスメート達が囃し立てる。

「唇はさすがにあなたからして欲しいですよ」

なんともまあ間の抜けた顔をしているのかしら。

「あなたに拒否権はありません。私これでも母さんの血を引いてるの。狙った獲物は絶対に逃がさない」
「あ、ああ……」

曖昧な返事。

「この続きは帰ってからにしましょう」

そう言って私は紗奈や恋たちと話ながら帰った。
学校に帰ると解散になり紗奈と一緒に家に帰る。
今日は色々あった。
一度だけの恋を君の中で遊ぼう。
誰よりも早くキスをしよう。待ってるから。
夢の中のシガラミなんて飛び越えて。
ほら、私を攫って、迫って、このまま……。
天からメッセージが届いた。

「さっきの件だけど、本当に俺でいいの?どうして俺なの?」
「さあね、ただの気まぐれかもしれません。でも私も母様と同じ考えを持ってます」
「それはなに?」
「恋をするのは一度だけでいい。そう思っています」

壊れるまで羽ばたくまで届け。
胸の奥に秘めた祈りよ、感じるまま信じるまま飛んでいけ。

「よろしくお願いします」
「こちらこそよしなに」

幼い、未熟な恋の芽が今芽吹いた瞬間だった。
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