姉妹チート:RE

和希

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1stSEASON

親戚

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(1)

「空、綺麗だね」
「そうだね翼」

別府湾を一望しながら僕達は電車に乗っている。
母さんの実家・遠坂家は大阪にある。
偶には母さんの実家に帰ろうと僕たちは帰省していた。
天音と純也と茜はすぐに寝てしまったが、僕と翼はゆっくりと景色を見ながら話をしている。
朝早い出発のせいもあるのだろう。
ちなみに父さんのお爺さんの実家は名古屋にあるらしいが今は両親とも他界したそうだ。
お婆さんの実家も僕達が産まれる前に他界している。
お婆さんの実家の親戚とは疎遠になっている。
だからこそ純也達を引き取る時に揉めたそうだ。
向こうにしてみれば厄介者を引き取ってくれるならと進んで手続きを賭てくれたらしいけど。
電車は小倉で降りて新大阪まで新幹線に乗る。
父さんも新幹線に乗るのは初めてらしい。
大阪には行ってたけどフェリーとかが主だったそうだ。
飛行機って手段もあったんだけど、父さんが新幹線に乗ってみたいという希望もあったので乗ってみた。
新幹線に乗るといきなり関門トンネルに入る。
僕と翼と父さんはその風景に見とれていた。
お爺さん達は乗ったことがあるって聞いた。
しかし僕達の期待もそれまでだった。
ひたすら山の中とトンネルを続けていく。
残念そうな父さんを慰める母さん。
翼もあんなふうにしてくれるのかな?

「して欲しい?」

翼が語りかけてきた。

「大人の楽しみにとっておくよ」

そう返事した。

「わかった」

少し残念そうな翼がいた。
トンネルと山の繰り返しは新神戸を過ぎるまで続いた。
そして新神戸を過ぎると新大阪まですぐだった。
初めての都会。
幾つもある改札口。
どっちに行けば良いんだろう?

「こっちですよ」

母さんが誘導してくれる。
電車に乗って郊外の駅で降りると迎えが来ていた。
家に着くと親戚がたくさん集まっていた。
気が付いたら翼の膝の上で寝ていた。
気が付くとすぐに起きる。

「このままでもいいのに」

翼はそう言って笑っていた。
その日は大宴会だった。
父さん達も飲んで騒いでいた。
僕と翼はひたすら食べていた。
ご飯を食べるとお風呂に入る。
長旅で疲れていたのかそのまま寝てしまった。
気が付いたら朝だった。
翼たちは着替えて朝ごはんを待っている。
ご飯を食べると出かける準備。
テーマパークに連れて行ってくれるそうだ。
テーマパークは人で賑わっていた。
僕は翼とはぐれないようにしっかりと手をつなぐ。
それを見て悔しがる天音。
天音の手は父さんが握ってた。

「いつか大地君とくればいいよ」

父さんが天音に言っていた。
色んなアトラクションに乗って買い物をして食べて楽しんでいた。
夜になり閉園間際にテーマパークを出る。
外食をして帰った。
翌日朝ごはんを食べると帰り支度をする。
親戚一同で外食をしてそして駅に向かう。

「またおいで」

そう言われて見送られ僕達は電車に乗る。
帰りも新幹線だった。
気が付いたらトンネルの中。
翼はずっとウォークマンを聞きながら本を読んでいた。
新幹線を下りると特急で地元に向かう。
地元駅を出ると空を見る。
都会に比べて広い空。
そしてバスで家に帰る。
もう、夏休みが終ろうとしていた。

(2)

家に親戚が集まった。
叔母の高槻千歳先生。空達の担任もいた。
高槻先生の旦那さん高槻翔も中学校の教師をしているらしい。
子供は一人だけ。
高槻桃花。3年生らしい。
夕食が出来ると皆で食事をする。
父さんもいた。
いつからだろう?
「父さん」と呼ぶようになった。
必死に私のプレゼントしたカレールーを食べてる姿を見た時からだろうか?
不思議と父さんと呼ぶようになっていた。
普段は相変わらずの気持ち悪い男だけど。
あんな一面もあるんだって思った。
母さんはそんなところに惚れたのかもしれないな。
人間誰もが恋をする。
それはいつやってくるか分からない。
それは止めようと思っても止められない気持ち。
打ち明けられずにはいられない想い。
触れるだけで壊れてしまいそうだからそっとしまっておくもの。
だから貴重なものなんだ。
だから綺麗なものなんだ。
そう思ったら自然と行動に移していた。

「ほら、コップが空だぞ?」

そう言って父さんのコップにビールを注いでやる。
父さんが言う。

「神奈!水奈がビールを注いでくれた!」

そんなに大げさに騒ぐことか?

「それはよかったな」

母さんが言う。
そして母さんはこう続けて言うんだ。

「私に注いでもらうのとどっちがいい?」

父さんは悩む。

「母さんにきまってるよな」

私が言うと「いや、水奈に注いでもらえたのも嬉しかったぞ」と言う。
母さんが笑っている。
父さんも気分を良くしていた。
そして「水奈は誰にもやらん」とか言い出す。

「もう手遅れだ。水奈には好きな人がいるぞ」

母さんが言う。

「な、なんだと!?初耳だぞ!」
「てっきり友達としていると思ったが……神奈は相手を知っているのか?」
「ああ、トーヤの息子だ」
「マジかよ!」

母さんはそう言って笑う。
私は去年言われた事を思い出した。

「母さん、去年キャンプに言ったろ?」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「その時遊の父さんに言われたんだ。『私は母さんに似ているから苦労するぞ』って……」
「面白い話だな。誰から聞いたんだろうな瑛大は?」

母さんはそう言って父さんを睨みつける。

「か、神奈に似て美人だから色んな男に声をかけられるから守るのが大変だぞって意味だよきっと」

父さんは必死に弁解している。
そんな父さんが面白かった。

「そうか、冬夜の子とか……その子はどんな子なんだ?」
「やる気のない所はトーヤに似たんだろうな」
「水奈はまだ10歳なのに……なんか寂しいな」
「心配するな。まだ誠司がいる。誠司が大人になっても私がそばにいてやるよ」
「ああ……」

父さんと母さんの間にあるもの、それは恋よりももっと大切なモノだと思う。
私達にはまだ早い尊いもの。
私もいつか手に入れる時が来るのだろうか?

「じゃ、私そろそろ部屋に行くわ」

そう言って立ち上がる。

「あんまり夜更かしするなよ」
「分かってる」

母さんに返事すると部屋に戻る。
無性に空に会いたいと思った。

(3)

久しぶりに実家を訪れた。
弟も帰ってきていた。
弟も同じ小学校の校区に住んでるらしい。
なんか皆知り合いで埋め尽くされてそうな学校だね。
この時ばかりは晶ちゃんも大人しい。
念のためスマホの電源は切っておいた。
折角だから皆で外食でもと出かけた。
子供達も大人しくしてた。
何も無ければいい子たちなんだ。
何かに触発されると暴走がとまらなくなる。
間違いなく晶ちゃんの血を継いでるね。
善明はそうでもなさそうだけど。
しかし我が家に平穏と言う言葉はないらしい。
晶ちゃんのスマホが鳴る。
佐瀬さんからだ。
晶ちゃんの表情が一変する。

「そんな事で夫を呼び出すなんてあなた何様のつもり!?夫は今大事な会食中なの!適当に対応しておきなさい」

晶ちゃんはそう言って電話を切る。

「佐瀬さん何て言ってたんだい?」

僕は聞いてみた。

「うちの会社のタンカーが座礁して原油が漏れて大騒ぎらしいわ。その程度態々善君が出るまでもないでしょう」

翌朝ニュースになっていた。
結構大事になってる。
損害額は見たくもない数字になってた。
さすがに会議に出ないとまずいだろうと家を出ようとすれば

「忘れたの?今日は恵美の家のパーティに呼ばれてるの。そんな時間は無いわ」
「パーティは夜からでしょ?それまでには帰ってくるから」
「そう言って帰ってこれた試しは一度もないでしょ!それに今日は盆休みよ。会社に行く理由なんて無いわ」

晶ちゃんと揉めて機嫌を損ねるのも得策じゃない。
そんな事をすればこの海運会社を潰すことになりかねない。
役員の皆で頑張って乗り切ってもらおう。

(4)

その日は休みを取った。
慣れないスーツを着て岬の新居に向かう。
意外とでかい家だった。
車を止めて呼び鈴を鳴らすと岬が出てきた。
ピンクのドレスを着ている。

「お、陽介ひさしぶり。ちょっと待ってろ」

そう言って岬は奥に行く。
連れて来たのは岬の新しいお母さん酒井晶さんだった。
岬から聞いてたけど綺麗な夫人だった。
晶さんは俺をじっと見る。

「なるほどね、確かに根は真面目そうね」

それが晶さんの俺に対する第一印象だったらしい。
晶さんは岬に言う。

「岬、場所は分かってるわね。彼に案内と説明をお願い」
「分かった。じゃあ、行こうか陽介」

そう言って岬は外に出て俺の車に乗り込む。
これから行く先、その目的を聞いていた。
行くのは晶さんの友達石原恵美さんの実家・江口家の実家。
目的は江口家の親戚その他と集めたパーティに参加する事。

「どうして俺が呼ばれたんだ?」
「義母さんが会ってみたいって言ったから」
「そうか……」

嫌な予感がするのはなぜだろう?
江口家の家は想像を絶する広さだった。
鷲見のどこにこんな広い敷地があったというんだろう?
門を抜けると車で2分ほど走って車庫に着いた。
車を止めると係の人に鍵を渡して玄関を抜ける。
案内の人に案内されて広い広間にでた。
色んな人がいた。
市長がいるのは気のせいか?
岬も驚いていた。

「岬、来たわね。こっちにいらっしゃい」

晶さんに呼ばれて言う。

「こちらが私の友達の江口恵美よ」

晶さんに劣らず綺麗な女性だった。
恵美さんも俺を見定める。
そして言った。

「この人が岬の婚約者?」

はい?

「そうよ」

晶さんが言う。

「そう、よろしく……お名前は?」
「相羽陽介です」
「良い名前ね」
「あの、一ついいですか?」
「どうしたの?」
「岬の婚約者って?」
「あなたでしょ?違うの?」

ちなみに俺は岬に「結婚しよう」なんてことは一言も言ってない。

「あなた歳は幾つなの?」
「18です」
「じゃあ問題ないわね。岬ももうすぐ18だし結婚は出来るわ」

話を勝手に決めつける晶さん。

「あ、晶ちゃんその前に聞くことがあるんじゃないかな?」

晶さんの旦那さん。酒井コーポレーションの社長酒井善幸さんが言った。

「善君何か問題があるの?」
「彼の意思を確認しておいた方がいいんじゃないかい?」

善幸さんは割と正常な思考をしているようだ。
だけどこの家では社長と言う立場をもってしても奥さんには敵わないらしい。

「あら?付き合っているのなら結婚するものと考えていたけど」

俺に「別れる」という選択肢はないらしい。
そのとき「下手な事言うと取り返しのつかないことになりますよ」と忠告しくれたのは石原恵美さんの旦那さんETC・USEの社長石原望さん。

「そうね、小学5年生ですら婚約したんだからあなたも婚約しなさいな」

どこから突っ込んでいいのか分からない。
わかったのは岬はこうなる事態を予測していたという事。
戸惑う俺に声をかけてくれたのはその小学5年生の酒井繭さん。岬の義妹にあたる。

「指輪なんてものは後からで結構ですのよ。言葉だけでも嬉しいのですから」

全然アドバイスになっていなかった。
善明さんがまた声をかけてくれた。

「ま、まあ彼にも事情というものがあるし、何も今日しなくても」

やっぱりこの人はこの中では割とまともだった。
まともだけど発言権はないらしい。

「事情ってなにがあるの?まさか岬では不満だといいたいわけ?」

晶さんの表情が険しくなる。

「そ、そういうわけではないのですが……気持ちの整理が。それにお金もまだ溜めてないし」
「金くらいどうとでもなるわよ。娘の結婚式だもの派手に挙げてやるわよ」
「晶。愛莉ちゃんが式を挙げたあの海辺の式場がいいんじゃない?綺麗だったし」
「そうね、恵美」

俺の意に反して話がどんどん進んでいく。

「どうしたんだい?恵美。その方たちは誰だい?」
「ああ、お父さん。こちら晶の娘さんの婚約者の相羽陽介さん」

恵美さんのお父さんは体格がいい。
立場はどんどんまずくなる。

「で、何をもめていたんだい?」
「相羽さんが結婚をこばんでるみたいなの」
「それはどうしてかな?」
「結婚資金がないとかで」
「そんなことか、心配ない。知り合いの式ならただで提供するよ」

そもそも俺は結婚すると言った覚えはないんだが。

「もうそろそろ覚悟を決めた方がいいですよ。本気でやばい」

望さんがそう耳打ちした。
俺に選択肢はないらしい。
とどめを刺したのは岬だった。

「やっぱり私みたいな女じゃだめか?」

そのセリフは卑怯だぞ、岬。

「あなたやっぱりうちの岬じゃ不満なわけ!?」

晶さんの気分を害したようだ。
善幸さんはおろおろしてる。

「いえ、そういうわけではないんですけど」
「じゃあ、びしっと決めなさい!男でしょ!」

覚悟を決めないと本当に取り返しのつかないことになりそうだ。
本気でやばいの意味が今分かった。
恵美のお父さんから怒りのオーラが放たれている。
埋められる。
そう直感した。

「岬、俺みたいな何の取り柄もない男で良ければ……結婚してください」

遂に言ってしまった。
岬は喜んでいる。

「はい、喜んで。私を選んでくれてありがとう」

岬が言う。

「それでいいのよ。最初から素直に言えばいいのに」
「取り柄がないなんて、取り柄を付与していくのが妻のつとめよ」

晶さんと恵美さんが言う。
その後は普通にパーティが行われた。
俺は地元の重鎮達に「晶さんの娘の婚約者」として挨拶をして行く。
そしてパーティが終り岬を家に送って行った。

「さっきはごめんね。でも嬉しかったのは本当だから」

岬がいった。
岬の家に着くと岬を降ろす。

「じゃあまた連絡するよ」
「そうね、陽介の家にも挨拶しなきゃね」
「あ、ああ」
「じゃあまたね」

岬が家に入ると俺は車を出す。
2人のこれからの夢を心に描いてみた。
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