姉妹チート:RE

和希

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1stSEASON

物語は心の中で

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(1)

「冬夜、今日は愛莉さんはお留守番か?」
「うん、冬吾と冬莉の世話をしてるよ」
「冬夜先輩、久しぶりっす!お元気でしたか!?」
「うん、お陰様でね」

パパの周りには沢山の人が集まってる。
今日は12月31日。
カウントダウンパーティの日。
渡辺班と呼ばれる人が一堂に会して行われる宴。
去年はパパは冬吾と冬莉の世話があるから来れなかったけど今年はパパだけでもと愛莉に言われてきた。
パパは人気者の様だ。
さっきから色々な人が挨拶に来てる。
当然石原家や酒井家も来る。
如月ホテルのパーティホールで行われる。
あのALICEや人気俳優の阿南直己や理恵子まで来てる。
そしてカウントダウンが始まる。

1月1日。
新たなる年の始まり。
皆が挨拶する。
眠そうな私に気付いたパパが私に言う。

「そろそろお家に帰るかい?」
「あら?片桐君折角だから朝まで付き合いなさい。天音ちゃんは大地と一緒に新條が送るよう手配するから」
「そうだぞ、とーや。たまになんだから朝まで付き合え!」

大地の母さんと渡辺美嘉さんが言う。
父さんは朝まで残ることになった。
私は大地と家に帰る。

「天音の父さんってやっぱりすごいんだね」
「そうみたいだな……」

普段からは想像つかない。
母さんに頭の上がらない平凡な父親。
そんな風に思っていた。
家に帰ると「じゃあ、また昼頃に来るよ」と言って大地は帰って行った。
家に帰ると愛莉が出迎えてくれた。

「おかえりなさい。あれ?冬夜さんは?」
「朝まで付き合えって言われてた」
「たまにだもの、仕方ないわね」

風呂に入って寝ろと言われたので言われたとおりにする。
部屋に戻ると翼は既に眠っていた。
起こさないように気をつけながら布団に入る。
そして私も眠りについた。

(2)

1月2日。

僕達は宇佐神宮に初詣に出かけていた。
人が多い。
去年は色々あった年だった。
今年も色々あるんだろう。
翼たちは相変わらず食べまくっている。
お参りを済ませると折角だからとドライブをして帰る。
国東の海岸線を通りながら帰る。
地元に入る頃には日が暮れていた。
ファミレスで夕食を食べてから帰る。
家に帰ると梨々香とメッセージのやり取りをする。
茜はチャットをしているようだ。
21時を回ると眠くなる。
「おやすみ」と一言残して眠りについた。

1月3日。

今日もお客さんが沢山やってくる。
片桐家は大変なようだ。
俺達も挨拶にいった。
お年玉をもらえた。
それは貯金しておいた。
お爺さんがクレカの番号を教えてくれてネットで買い物を済ませるから精々遊ぶ金と買い食いする金があれば十分だった。
月のお小遣いももらってる。
服とか欲しいものがあれば買ってくれる。
現金を渡されても正直使い道に困っていた。
そんな生活が待っていたなんて思ってもみなかった。
衣食住に困らず学校生活も充実していて、友達もいて、仲間がいて、恋人もいる。
何一つ不自由の生活。
そんな生活に感謝をしながら今日もメッセージを送って眠りについた。
年を越すと冬休みはすぐに終わりを告げる。

(3)

3学期。

始業式。
退屈な話を聞いて終わる。
終礼が終ると、私達は家に帰る。
家に帰ると愛莉が昼ご飯を作ってくれる。
昼ご飯を食べると1人部屋に戻ってゲームをしていた。
冬休みの宿題なんて2,3日あればすぐ終わるよ。
ゲームをしていて退屈になると大地とメッセージを交わす。
夕食を食べて風呂に入って部屋で時間を潰してそして翼が戻って来る頃眠りにつく。
天使が別れを告げし時、私達は物語を識る。
歓びの朝も、悲しみの夜も、全ては私の物語。
見知らぬ者へ繋がる歌物語。詩を灯す物語。
偶然に出会った物語。これも運命。
君の輝き在りし日々は過去の残照。
夢見た楽園は忘却する。
そしてもうすぐ喜劇が幕を開ける。
機は熟した。
私達の心の中で物語は静かに幕を開けようとしていた。

(4)

始業式が始まる。
静かに話を聞いていた。
始業式が終ると終礼が始まる。
授業は来週頭から。
紗奈と一緒に話をしながら帰る。
紗奈の髪も大分伸びてきた。
どっちの方が似合うかな?
そんな話をしながら帰っていた。
家に帰ると、昼食をとって部屋に戻る。
部屋に帰ると、時折来る天のメッセージの相手をしながら本を読んで過ごす。
夕食の時間になるとダイニングへ向かう。
そして夕食を食べて風呂に入ると部屋へ戻る。
そして時間を潰し時間になると眠りにつく。

朝神と夜女神。
太陽神と月女神。
大地女神と海原女神
母なる物、自ら天空双神を生む。
時を運ぶ縦糸、命を灯す横糸。
其れを統べる紡ぎ手、其の理を運命と呼ぶならば。
女神はどんな世界を織り上げるおつもりなのでしょう?
語りては誰?謡いては誰?
詩女神の物語。

やがて地平線から陽が昇る
もうすぐ夜が明ける。
朝と夜の物語が始まろうとしていた。

(5)

「翼、ちょっと座りなさい」

やっぱり愛莉の耳に入ったか。
愛莉が何を言おうとしてるか分かっていた私は素直にリビングのソファに座る。
向かい合わせにパパと愛莉が座っていた。
愛莉は私の顔をみると本題から切り出す。

「恵美から話は聞きました。どうして翼は私たちに何の相談も無しに決めるのですか?」

予想通りの話だった。

「卒業するまでに話すつもりだった」

本当に。
するとパパが言った。

「空の事がまだ心配なのかい?」

パパが言うと私は頷いた。
まだ空の事を忘れられないとかじゃなくて、空に失恋という感情を残したまま去ったら、空は恋愛に怯えて暮らすことになるんじゃないか?
その為の対策はしてきた。
私の計画通りに事が進んでいるのは、最近の空の心を見ていたらはっきりわかる。
ただ最後まで見届けてからでないと不安だ。
最後まで上手くいくという保証はない。
私もそこまでは万能じゃない。
パパなら上手く出来るんだろうけど。
するとパパは言った。

「……こういう話がある。子供が傷つかないように見守るだけが親じゃない。傷ついても立ち直れる強さを信じてやることも親のつとめだ」

愛莉には何のことが分かっていないらしい。

「空は僕と愛莉の子供だ。空の事は僕達に任せて翼もそろそろ空を手放す勇気が必要なんじゃないのかい?」

パパの言う事は何となく理解できた。

「……この事は空にはまだ言ってないのね?」

愛莉が言うと私は頷いた。

「では、私たちは敢えて空には言いません。翼から伝えなさい」
「わかってる」
「何時言うつもりだったの?」
「卒業式の日」

その日に全部の歯車がかみ合うように調整してきた。
きっと上手くいく。
他人を操るなんて後ろめたい事をしてるけど、空の為ならどんな事だってしてみせる。

「……仕度はできてるの?」
「美希のお母さんが手配してくれるから」

手ぶらで旅立ってもいいくらい。

「わかりました。もう行ってもいいですよ」

愛莉が言うと私は立って部屋に戻る。
この部屋ともあと少しでお別れだ。
皆ともお別れ。
寂しくて辛いけどそれが私が選んだ道。
パパのように自分で選んだ道を完遂してみせると心に決めた。

(6)

「純也君おはよう!」

教室に入ると梨々香の声が聞こえる。
元気そうにやっているようだ。

「休みの間なにしてた?」
「特に変わったことはしてないよ」

多分普通に過ごしていたと思う。
そんな他愛もない話をしていると担任が入ってくる。
そして始業式。
始業式が終ると、終礼をして帰る
家に帰って昼食を食べると僕はゲーム、茜はチャットをしていた。

「あれ?」

茜がふと漏らした。

「どうした?」
「うん、この人ひょっとして」

茜の技術ならチャット相手の個人情報を抜き取ることなど造作でもない。
逆にどんなハッカーでも茜の個人情報には届かないよう細工がされている。

「やっぱりそうだ。この人壱郎だ」

佐原壱郎。
茜の恋人だ。
茜は「こんなところに無防備で入るのは危険だよ」とメールを送り付ける。
もちろん個人名は出さない。スカーレットの名前で送信する。

「君は誰?」

すぐに返信が来る。

「ここで正体を明かす人なんていないよ」
「君は平気なの?」
「うん」

その後もやり取りをしていた。
そして夕食の時間になると夕食を食べて風呂に入って部屋に戻る。
メールがまた来ていたらしい。

「お友達になってください」

茜はメールを返す。

「その必要は無いと思うよ」
「どうして?」
「明日になれば分かるよ。それよりあんまり怪しいチャットとかはいらない方がいいよ」

お前が言うのか?

「わかった。メッセージでやりとりできない?」

茜は迷っていた。
メッセージのIDをさらすと自分がSHのメンバーである事。片桐茜であることを知られてしまう。
考えた末答えを出した。

「いいけど、私がスカーレットであることは絶対誰にも秘密だよ」
「わかった!」

そしてメッセージのIDを伝える。
相手が素人だから問題ないと判断したのだろう?
もし何かやったら茜の過剰な復讐が待っている。

「え?茜だったの!?」

壱郎は驚いている。

「そうだよ」
「すげえ!同い年でびっくりした!」

まあ、普通驚くよな。

「絶対秘密だからね」
「わかってる。よろしく」
「よろしく」

そうして二人はスマホでやり取りをしていた。
それが始まりだと俺は分かった。
茜にも始まりの時が来た。
悲しい夜が過ぎて生まれて来る朝が来た。
僕達の物語は間もなく幕を開ける。
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