姉妹チート:RE

和希

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2ndSEASON

この予感は希望

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(1)

チャイムがなる。
中間テストの終わりの合図。
皆終わった~と背を伸ばす。
そしてそれぞれ「あの問題難しかったよな」とか話を始める。
中には問題用紙に答えをきっちり書き写していて答え合わせをする生徒もいる。
それに何の意味があるのかは分からない。
まあ、反省することは大事だと思うけど。
僕達は明日から休みだけど部活してる人は明日から県新人戦がある。
僕達もそろそろ進路を考えなければならない。
防府高校に決めてるんだけど。
多分大体の人間は同じ道を歩むんだろうなと思っていた。
けど光太は違うらしい。
大学に行くつもりはないという。
就職先は決めてるから専門科のある大区工業高校建築科を目指すそうだ。
恋人の麗華さんもそれについて行くらしい。
あとは大体防府高校だった。
大学も大体が地元大学みたい。
就職先はまだ未定みたいだ。

「週末皆でカラオケいこうぜ」

光太がやってきた。

「いいよ」

断る理由はなかった。

「ごめん、水奈を連れて行ってもいいかな?」

僕が聞いていた。

「まあ、空だけ彼女いないのも可愛そうだしな」

光太がいいと言ってくれた。
恋人がいないといえば善明もそうだ。
あまり興味ないのかな?

「まあ14歳の女子に重荷を乗せたくないというのはありますね」

善明はそう言って笑っていた。
言ってる意味がよく分からない。
次の日皆でカラオケに行った。
昼間だから皆がいたって問題なかった。
水奈は歌が上手だった。
光太はヴィジュアル系が好きらしい。
僕は適当に端末の履歴から探す。。
好きなジャンルというのが無かった。
食べる方が優先だったけど。
朝行って夕方まで歌っていた。
それから解散して家に帰る。
そして夕食を済ませて風呂に入って部屋で時間を潰す。
時間が来ると寝る。
休みが終ると授業の時間にテストの結果が出る。
中の上くらいだった。
それが気に入らない人間もいた。
中間テストが終わったら次は来月の期末テストだ。
僕達はもう勉強漬けの毎日を過ごす羽目になっていた。
望まなくてもそうなっていく。
先にある高校受験から大学受験に向かって動き出していたのだから。
でも悪い事ばかりじゃない。
期末試験のあとには修学旅行が待っている。
皆楽しみにしていた。

(2)

「テストお疲れ様」

空にメッセージを送っていた。

「ありがとう、水奈はどうだった?」
「まあ、半分以上は当たってると思う」
「そうか、お疲れ」

でも今のままの成績だと防府は難しいかな?
空が防府に行くのなら私も行きたい。
空に家庭教師でもお願いしようかな?
そしたら一緒にいられる時間が増える。
でも空の勉強時間削ったら悪いかな?
そんな事を考えていると空からメッセージが届いた。

「明日予定空いてる?」
「いつでも空いてる!」

なんかいい予感がしてきた。
明日は休日、ひょっとして期待してもいいのかな?

「明日皆でカラオケ行くんだが水奈も来ないか?」
「わかった」
「じゃあ朝10時にカラオケ店で待ってる」
「わかった」

メッセージを返すと明日着る服を探す。
少しでも大人っぽい服を。
私と母さんは服の好みが似てるみたいなので母さんの服を着る事が多い。
チェック柄のミニスカートにデニムのジャケットを羽織って白のTシャツにした。
翌日朝食を食べると支度して着替えてそして出かける。
カラオケ店までは自転車で20分もあれば着く。
空達は先に来ていた。
皆揃うと店に入ってそして歌い始める。
初めて空とデュエットした。
空は歌い終わるとすぐに料理を食べていた。
たまに歌っていたけど。
空が私を誘った理由は自分だけ彼女がいないのは辛いらしい。
カラオケは18時まで続いた。
それ以降は未成年だけではだめだから。
そして皆家に帰る。

「今日はありがとう」

空が礼を言う。

「礼が言いたいのは私の方だ。こう見えて嬉しいんだ」
「そうか。ならよかった」

空は私の家まで私を送って帰る。

「じゃあ、また帰ったら連絡する」
「ああ……、空ちょっとまって!」
「どうしたの?」

空が止まってこっちを見ていた。
女子だって勇気を見せる時が必要だと母さんが言っていた。
頑張れ私!

「……今度は空と2人っきりでカラオケに行きたい」
「……わかった」

空はそう言ってにこりと笑うと帰っていった。
私も家に帰る。
ゆっくりし過ぎたようだ。
家に帰ったのは19時過ぎだった。
怒られるのを覚悟した。
だけど母さんは言う。

「空から電話あった。律義なやつなんだな」
「ごめんなさい」
「心配はしてない。お前が非行に走るなんてことは無いと思ってるしな」

でももっと自由にしていいんだぞ。
母さんはこういう事にはおおらかな人だった。
そして夕食を食べて風呂に入ると部屋に戻り空にメッセージを打つ。

「大丈夫だったか?一応おばさんにはお詫びしておいたけど……」
「注意すらされなかったよ。ありがとうな」
「今度は2人っきり……だったね?」

2人っきりって言葉にどきっとした。

「うん、我儘言ってごめん」
「気にしないでいいよ。どうせなら今度出来るアミューズメント施設でも行こうか?」

祈の家の店だ。

「わかった、楽しみにしてる」

これから始まる予感。
それは希望。
踏み出したら止まらない事を私達は知ってる。
信じてる空の一歩、君を待ってる。
始まりの音を聞かせてくれ。

(3)

「恋、ちょっといいか?」

学が呼んでいる。
どうかしたんだろうか?

「お兄ちゃんちょっと明日出かけるから家の事任せていいか?」
「うん!」

やっと学からお墨付きをもらえたようだ。
もう私に任せても大丈夫。
そう思ってくれたんだろう。
私は張り切っていた。
これまで学が1人で支えていた。
だからこれからは私が頑張ろう。
学さんが今まで家事を全部引き受けていたんだ。
女子の私ができないはずがない。
これまで学のやってる家事を見て学んできた。
学にも彼女がいる。
自由な時間を作ってあげなくちゃ。
次の日学が出かけるのを見送って私は早速始めた。
掃除、洗濯、風呂掃除。
やる事は沢山あった。
これを学はひとりでやってきたんだ。
遊はなずなと遊びに行ってる。
お父さんは昼間は寝てる。
休前日は飲みに行っていたから。
お昼前に要からメッセージがあった。

「今日暇?」
「学の代わりに家事してるから」
「そうか……」
「どうしたの?」
「偶には一緒に遊びに行こうと思って」

デートの誘いか。
私だって女の子。
デートくらいしたい。
考えた末メッセージを送った。

「今から家においでよ。昼ごはんくらい作ってあげる」
「まじか?」
「うん」

そのくらいしても怒られることは無いだろう。
何を作ってあげようかな?
オムライスにしよう。
要がやってくると早速料理を始める。

「美味しい」

要はそう言って食べてくれた。

「へえ、恋も料理できるようになったんだな」

父さんにも褒めてもらえた。
昼食の後片づけると要の持ってきたゲームをしていた。
していると母さんが帰ってくる。

「あれ?学は?」
「今日は皆とカラオケだって」
「そうか、あいつもやっと遊ぶ時間が出来たか」

要が帰ると夕食は母さんと作った。

「恋とご飯を作る日がくるなんてな、もうそんな年頃なんだな」

母さんはそう言った。
料理が出来上がる頃、学と遊が帰って来た。
父さんはいない。
毎週の事だ。
ご飯を食べると片づけてる間に学と遊がお風呂にはいる。
片づけが終ると私がお風呂に入ってそして母さんが最後に入る。
母さんは今夜深夜勤らしい。
私が眠ってる間に仕事に行く。
翌朝起きると、学が朝食の支度をしていた。

「おはよう」
「おはよう」

挨拶をして、朝食を食べる。
その後学兄が片づけをして家事を始める。
遊は遊びに行ってる。
いつか私が学と交代してあげたい。
学はこれまで私達を支えてくれた。
その恩返しをしてあげたい。
私は学と家事を分担しながら日曜を過ごした。

(4)

「悪い、ちょっと遅れた」

粋となずなと花に謝っていた。
今日は4人でボーリングをして遊ぶ日。
天音は大地とどこかに行ってるらしい。
あの二人の行くところはいつも大人びている。
住む世界が違うってやつだろう。
俺達も変わった。
でも変わらない事だってある。
俺達の友情だ。
ボーリングが済むとショッピングモールへ行ってファストフード店に行って昼食を食べる。
その後ゲーセンに行って遊ぶ。
メダルゲームが主だ。
そしてなずなと花はプリクラを撮りたがる。
4人で撮ったりして遊ぶ。
本屋に行って本を選んだり、雑貨をえらんだり、服や靴を選んだり。
選ぶだけで買いはしない。
本くらいは買うけど。
一通り遊ぶと皆家に帰る。
なずなと一緒に帰る
なずなを家に送ると俺も家に帰る。
夕飯が準備されていた。
夕飯を食べると、風呂に入ってそして部屋でゲームする。
学は何も言わずに勉強をしている。
学の勉強が終る前に俺は寝る。
学も部屋の照明を消して机のライトだけで勉強をしている。
そして翌朝目を覚ます。
今日は恋が朝ごはんを作ったようだ。
それを食べて支度をする。
恋が片づけを済ませて準備をするとなずなが迎えに来る。
そしてまた一日の始まりの音が鳴る。

(5)

なずなと遊と粋と遊んでいた。
最近大地と天音は別行動をとることが多い。
祈も陸と遊んでいるようだ。
学校にいる間は一緒に遊んでいる。
とはいえ学校でやる事はほとんどないけど。
悪戯もめっきりしなくなった。
その事を相談していた。
夕方ごろには私達は家に帰る。
粋と私は帰る方向が違う。

「また明日」

そう言って家に帰る。
家に帰ると母さんが夕食を作って待っていた。
父さんはテレビを見ている。

「ただいま」
「おかえり」

3人で夕食を食べる。
父さんも母さんも働いているので週末だけが一家そろって夕食を食べられる。
父さんはたまに休日出勤があるけどそこまで多くはない。
受注先の志水建設がそれを許さなかかった。
そんな真似をしたら現場所長のクビが飛ぶ。
母さんの会社ETCも残業は認めない主義だった。
社員の生活を守る為なら子会社くらい簡単につぶす。
大地の母さんの権力は圧倒的だった。

「花は将来なりたいこととかないの?」

父さんが聞いていた。

「特に決めてない」

月並みだけどお嫁さんくらいか?

「大学に行く気はあるの?」
「まあ、大学くらいは出ておこうかとおもうけど」
「そうか」
「でも、学費とか大丈夫なの?」
「心配いらないよ、ちゃんと貯えてるから」

父さんはそう言って笑った。

「父さんはどうして家具職人になったの?」

せっかく父さんから話を振ってきたんだ。私は父さんに聞いてみた。

「バイト先で家具職人と仲良くなってね。この仕事に魅力を感じたからなっていた」

父さんが答えてくれた。

「だから花。焦る必要はない。僕が将来を描いたのは大学に入ってからだ。花はまだ中学生。考える時間は沢山あるんだからじっくり考えなさい」

父さんが言う。
将来やりたい事か。
粋は決めてるんだろうか?
風呂を出ると私は粋に聞いていた。

「そんな先の話考えたこともない。とりあえず高校は行こうと思うけど」

3年生になったら勉強しないとな。粋は笑って言ってた。
真面目に勉強する粋か。ちょっと想像つかないな。
中学生になって変わった事
校舎が変わる。
制服を着るようになる。
教科が変わる。
そしてテスト勉強の毎日。
部活がある。
変らない事。
私たちの友情、そして粋との絆。
それだけはきっとずっと変わらないだろう。
変らぬものに辿り着けたはずだから。

(6)

土曜日の夜。
最近の土曜の夜はだいたい江口家のパーティに呼ばれることが多い。
そして賓客に挨拶をして回る。
もう慣れた。
大地の隣にいて大地との話に合わせてまた次の賓客を迎える。

「疲れてない?少し休もうか?」
「大丈夫、これでも慣れたつもりだから」
「飲み物取ってくるからまっててね」
「分かった」

大地がいない間に偉そうな小僧が話しかけてくる。
だいたいが口説き文句だ。

「綺麗なお嬢さんですね、付き合ってる人はいるの?僕の両親は会社を経営していてね。お嬢さんの家はなにをしているの?」

そんな事を話してくる。

「うちは税理士事務所を経営してるだけです」
「僕の父さんの子会社に税理士を変えたいと希望してる会社があるんだ。仕事回してあげてもいいよ?」

親のコネを使って私を口説こうとする下種な連中だ。
相手にするのも面倒だ。

「仕事なら十分あるみたいですから。今も大変みたいだし」
「僕の言う事聞いた方がいいと思うよ?後悔することになると思うけど?」

口説き文句は最終的には脅し文句になる。
だけどそんな脅しが通用するはずがない。
殴り飛ばしてやりたいけどそんな事をしたら大地の迷惑になる。

「すいません、今交際中の彼がいるので」
「それは誰だい?そいつは僕よりいい男なのかい?」
「ええ、素敵な方です」

少なくとも親の権力をかさにして口説いてくるような下種よりはましだ。

「今日来てるのかな?ぜひ会ってみたいんだけど」
「来てますよ、私を招待してくれた方なので」
「彼女を放っておいてどこかに行ってる奴より僕は下にみられてるのかな?」
「自分の足で立っていられない人より私の前に立って守ってくれる人の方が私は素敵だと思いますけど」
「……随分言ってくれるじゃないか。本気で君の家台無しにしてもいいんだよ」

ちょっと挑発するとすぐ乗ってくる。
そして大地が戻ってくる。

「天音、お待たせ。……この方は誰?」
「お帰り、大地。ちょっと私に絡んできて困っていたの」
「お名前を聞いてもいいですか?僕の彼女が何かしましたか?」

大地が私とその男の間に割って入る。

「君は誰だ?」

男が言う。

「名乗るのはそちらからが礼儀だと思いましたが、石原大地といいます。それで僕の彼女に何の用ですか?」
「石原……?」

男の顔色が変わる。

「僕は名乗りました。次はあなたの番ですよ」

大地が言うと男は何も言わず去っていった。
大地は文字通り私の前に立って守ってくれる。

「ごめん、少しの時間だけだからと思ってみたけどやっぱり天音の側にいないと駄目みたいだね」
「大丈夫、まあずっとそばにいてくれると助かるけど」

余計な粉をかけてくる輩はいなくなる。

「お腹空いた。食べ物取りにいかない?」
「ああ、今度は同行するよ」
「ありがとう」

大地も随分頼もしくなった。
22時を回ると私達は家に帰る。

「いつもごめんね」
「これも練習だから気にしないで」

そんなやりとりを交わしながら車は私の家に着く。

「じゃあまた連絡する」
「分かった。またな」

そう言って車を降りると見送る。
家に帰って服を着替えて風呂に入って部屋に戻る。
そして大地とメッセージをやり取りして眠りにつく。
私達の生活は変化をしていた。
もう二度と戻れない生活。
大切な想い出。
それでも希望に胸は震える。
期待と言う名の予感。
私達は未知の未来に足を踏み入れていた。
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