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2ndSEASON
紅の宴、金木犀の花よ
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(1)
皆電車の中で騒いでいた。
僕は携帯ゲームで遊んでいた。
今日から修学旅行。
行き先は関西方面。
小倉まで特急に乗ってそれから新幹線で新大阪まで行く。
大半の人は特急も新幹線も初めてだった。
そして修学旅行という空気が皆のテンションをあげていた。
対面には光太と麗華がいた。
4人でトランプして遊んだりしていた。
小倉に近づくにつれて皆は盛り上がる。
初めての都市。
そして駅に着くと新幹線乗り場に行く。
小倉を出るとすぐに関門トンネルをくぐる。
トンネルを抜けると本州。
トンネルと山の中を繰り返していく。
やがて皆飽きてくる。
新大阪に着くまで眠りについていた。
新大阪に着くと。皆驚いていた。
その光景に目を奪われる。
観光バスでホテルに着くと部屋に行く。
僕の部屋には善明、光太、学が一緒だった。
その後ロビーに皆集合して説明がされる。
最近の修学旅行はちょっと特殊だ。
まず奈良、大阪、京都ならどこへも自由に行動していいというのが初日。
そして、二日目はテーマパークで自由行動。
ただし、班で行動する事。
僕達の班は僕、善明、光太、学、美希、麗華、海璃の7人だった。
どこへ行くかは事前に決めてあった。
女子の希望で京都に行くことにしてあった。
この時期に渡月橋だから渡月橋を観たいらしい。
あとは清水寺とか晴明神社とか。
自由行動が始まるとすぐに電車に乗る。
事前に調べてあった。
ICカードも事前にチャージしている。
渡月橋に行く。
紅葉がとても綺麗だった。
女子達がはしゃいでいる。
観光ショップなんかも行く。
光太は新選組の羽織を買っていた。
そんなもん何に使うんだ?
その後は神社参りをする。
女子はパワースポットなんかに興味があるらしい。
父さんが言ってた。
女子と行動するときは我慢が必要だと。
時間になると大阪のホテルに戻る。
ホテルで夕食を食べる。
ホテルの食事では満たされないからお土産屋でお菓子を買って食べた。
風呂で一日の疲れを過ごす。
他の班も女子に合わせて京都観光をしていたらしい。
この物語では女子には逆らえない。
そういう掟があるらしい。
風呂を出ると、部屋で話す。
女子の部屋に行くなんて真似はしない。
互いの彼女について話をする。
だからこの旅行が良い思い出になる。
そう言っていた。
就寝時間になると眠りにつく。
就学旅行初日は無事に終わった。
(2)
僕はこのテーマパークに来たことがある。
父さん達に連れられてだけど。
その時には天音と翼がいた。
翼との思い出がある大切な場所。
あまり翼の事は考えないようにしていたけど、ここに来た時思い出してしまった。
しかも今は水奈がいない。
でも、今だけにしよう。
水奈の悲しい顔は見たくないから。
ちょっと内容が変わっていたけど、これだけはまた乗らないとって決めていたものがある。
光太たちは初めてらしい。
だから僕が先導していた。
就学旅行二日目。
テーマパーク内での自由行動。
僕達は昼食も食べながら園内を周っていた。
昼間のパレードも見れた。
善明はやけに大人しかった。
「乗り物苦手?」
善明君に聞いてみた。
「そういうわけではないんですが……」
「じゃあ、こういう雰囲気が苦手だったり?」
「昔受けた訓練のせいだと思うんですがこういう人混みの中だとどうしても警戒してしまうんですよ」
どんな訓練を受けたんだろう?
集合時間まであと1時間というところで女子に付き合ってお土産選び。
色が、形が、あ、これも可愛い。
女子に付き合ってると1時間くらいでは買い物が終らない。
「学、どっちが良いと思う?」
美希が学に聞いている。
こういうとき2タイプある。
本当に悩んでる時と本当は決まってるんだけどなんとなくこっちも気になるって時。
本当に悩んでる時は直感でえらぶしかない。
本当に悩んでる時はどっちでもいいんだけど彼の意見も聞いてみたいとき。
だから正解はない。
思った通りにちょっと考えて選んでやればいい。
絶対にどっちでもいいなんて言ったらいけない。
僕達の班にはそういうミスをおかすものなんていなかった。
「空、水奈へのお土産悩んでるんでしょ?一緒に選んであげる」
美希に言われると僕は「ありがとう」と返した。
僕の買い物が終ると集合時間ぎりぎりになる。
何とか間に合った。
ホテルに帰って夕食を食べて風呂にはいる。
「無事に終わりましたね」
善明君がいう。
「土産話も出来たし良かったよ」
僕が言う。
「明日水族館行って帰るだけか。短かったな」
「そうだね」
僕は光太に答えた。
「もっと何かあると思ったんだけどな」
「問題は起こさないでほしいけどね」
光太が言うと学が答える。
何が起こるわけでも無いらしい。
クラスの告白ラッシュは去年終えてる。
皆楽しい思い出を修学旅行で作ってるだろう。
そして明日の水族館でも楽しい思い出を作るんだろう。
しかし何かが起きてしまった。
最初は皆部屋でスマホを操作していたんだけどいつの間にか光太が消えていた。
外で恋人と最後の夜を楽しんでいるのだろうか?
誰かがノックする。
戻ってきたのだろうか?
善明が応じる。
そして善明が驚いていた。
突然の訪問者は美希と海璃だった。
僕達は部屋に帰るように説得したが美希達はお構いなしに部屋に入る。
「まだ消灯まで時間あるからいいでしょ」
美希はそう言った。
他の皆も外で話してるか美希達の部屋にいるらしい。
だけど学から全然誘ってくれない。
だから美希から来たらしい。
美希はわかるけどどうして海璃が?
海璃を見るとしきりに善明を見ている。
何となく悟ってしまった。
「……僕水奈と電話してくるから」
そう言って僕は部屋をでた。
消灯時間まではまだある。
水奈も起きているはずだ。
水奈にメッセージで電話していいか聞いてみた。
「いいよ」
すぐに返事が返って来たので電話する。
「ずっと待ってたんだぞ」
水奈はそう言って笑っていた。
昨日から待っていたらしい。
僕は「ごめん」と謝った。
「浮気してないだろうな」
「してない……と、思う」
「どういう意味?」
テーマパークで翼の事を思い出したことを白状した。
「空は律義だな。そこは『してない』で通せば済むだけの話じゃないか」
「水奈は大切な恋人だから、どんな嘘もつきたくない」
「そう思ってくれるだけでも嬉しいよ」
その後京都見学やテーマパークの話をしていた。
帰ってからしようと思ったけど美希と海璃が部屋に来たから電話したと言った。
「私の声が聞きたくてとか言ってくれてもいいんじゃないか?」
「ご、ごめん」
「私も空の声が聞きたかった」
でも、僕の修学旅行の思い出作りの邪魔をしたくない。
連絡を強要すると重い女と思われるんじゃないか?
そう考えると出来なかったらしい。
中学生で自分の彼女を「重い」と言える男子なんているのだろうか?
「でもさ、海璃って子ひょっとして……」
水奈も僕と同じ事を考えたらしい。
「水奈もそう思うんだったらそうだろうね」
「おい、そろそろ就寝時間だぞ!」
巡回の教師に見つかった。
「ご、ごめん。明日帰ったら連絡する」
「わかった。待ってる」
電話を終えると部屋に戻る。
美希達は既に部屋に戻っていた。
学と光太は善明を見てにやにやしている。
やっぱり当たってたんだな。
「おめでとう、善明」
「な、なんでわかんだい?」
確信は無かったけどカマかけてみた。
やっぱり海璃から告白されたらしい。
「君の気持ちは嬉しいけど巻き込むわけにはいかない」
そんな謎の返事をしたらしい。
だけど美希からの強い推しがあったそうだ。
最後には善明が根負けして付き合う事になった。
とりあえずは明日水族館デートを計画したらしい。
「でも、空一人になるけど大丈夫か?」
光太が聞いてきた。
「適当に時間潰してる」
僕に遠慮しなくていいよ、と伝えた。
「すまないな」
学が謝る。
そしてその晩。皆で話をして夜を過ごす。
次の日寝不足確定だけど移動時間は寝てればいいから問題ないや。
皆水族館でも眠れるだろう。
そんな甘い考えがあった。
然し水族館デートというのはそんな甘いものじゃなかった。
(3)
次の日凄く眠かった。
それでもしっかり朝ごはんは食べた。
そして出発までの時間寝てた。
バスで移動してる間も寝てた。
水族館でも適当な場所見つけて寝てよう。
どうせ魚が泳いでるだけだ。
そんなの地元の水族館で十分だ。
男子は全員そう思っていた。
しかし女子は初めてくる水族館に感激している。
そんな彼女に「眠い」「退屈」なんて言えるはずがない。
皆必死に彼女に付き合って魚を見て回る。
この水族館ではイルカやアシカのショーはない。
ひたすら魚たちを見るだけ。
女子はひたすら写真を撮り続ける。
時間いっぱいまで楽しんで出口で皆と集合した。
男子達は疲れ果てていた。
そんな男子達の心中を察した美希が悪戯っぽく言う
「みんな楽しかったね!」
男子達はとりあえず笑っとけといった感じだった。
ご愁傷様。
昼食を食べて新大阪駅に向かう。
最後の記念にとバスガイドさんと写真をとってもらう男子達。
学達はしなかった。
だって隣にいる彼女がそれを許さなかったから。
たかが写真で彼女の機嫌を損ねたくない。
だけど光太はやらかした。
光太は連絡先を交換しようとして麗華の機嫌を損ねる。
新幹線の中でひたすら頭を下げていた。
高校生ならいざ知らずまだ中学生の僕達の相手をしてもらえるはずがない。
馬鹿な事をと思いながら新幹線では眠っていた。
関門トンネルを抜ける頃に起きた。
そして特急で地元に帰る。
「お疲れ様」
学がそう言った。
「学もね」
「空は楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ」
「水奈がいないのに?」
「それはまた将来の夢にするよ」
「やっぱりそうなるか」
学はそう言って笑う。
「学はどうだった?」
僕が学に聞いていた。
「そうだな、あまり美希とこういうデートしたことなかったから新鮮だったよ」
「なるほどね」
「デートが楽しいという事も分かったが、しんどいという事も同時にわかったよ」
それを聞いて納得してしまった。
なるほどね。
「いつか美希と2人でゆっくり行くといいよ」
「そうだな……」
空もいつか水奈と2人で来れる日がいいな。
学はそう言って笑う。
電車が地元駅に着いた。
バスで中学校に向かう。
父さん達が迎えに来ていた。
車で家に帰る。
そしてお土産を父さんと遠坂のお爺さんの家に渡す。
着替えるとお風呂に入ってすぐに水奈にメッセージを送る。
まだ起きてるかな?
「お疲れ様。疲れてるだろうから今夜はゆっくり休んで。土産話は明日じっくり聞くから」
まだ起きてたみたいだ。
水奈の言う通り今夜はゆっくり休んだ。
次の日の朝、旅の土産話を父さん達に話していた。
父さん達の思い出も聞かせてもらえた。
「神戸牛はうまいよ」
父さんが言ってた。
父さんはフェリーで関西旅行に母さんと行ったらしい。
僕もいつか車を買ったら水奈と旅に行こう。
車種はどんなのがいいかな?
「空のセンスに任せるよ。言っとくけど車の中で変な事は絶対いやだからな!」
水奈から返事がきた。
ちゃんと覚えておこう。
(4)
呼び鈴がなる。
私は玄関に行って扉を開けると空が立っていた。
「おつかれ」
空にそう声をかける。
手には何かを持っている。
「あ、これお土産」
空がそう言って紙袋を渡してくれた。
「ありがとう。取りあえずあがれよ」
そう言って私の部屋に案内した。
空は天音の部屋とかには入ったことはないんだろうか?
妙にそわそわして落ち着きがない。
私もドキドキしていた。
彼氏を部屋に入れるなんて初めてだったから。
「で、どうだった?」
楽しかったらしい。
ただ、一つ悔やんだでいたことがある。
私と一緒にいれなかったこと。
他の皆は恋人と一緒に回ってる中、空は一人でいたらしい。
やっぱり同い年の恋人に憧れるのだろうか?
私じゃ不満?
空はそんな疑問の答えを用意していた。
「きっと高校でも同じ思いをするかもしれないね」
「そうだな……」
「でもそれは水奈だって同じじゃないのかな?」
「私は平気。スマホがあるから」
「……僕も同じだよ」
「そうか」
「僕はいつか高校を卒業する」
当然だろうな。
「そしたら旅行に行こうと思うんだ。皆と行くかもしれないけど」
それがどうかしたのか?
「その時は水奈も一緒に来て欲しい」
そんな事を考えていたのか。
「私の時にも来てくれるって約束してもらえるなら」
「もちろん」
それまでは離れていても、きっとずっと一緒だ。
焦る必要はない。
空の話をずっと聞いていた。
このままずっといてくれたらいいのに。
母さんは夕食くらい一緒に食べていけと言ったけど、明日から学校だからと空は断った。
日が沈む前に空は帰っていった。
寝る前にいつものようにメッセージをやり取りして寝る。
行く道が違ってもゴールは一緒だよ。
空はそう言った。
終着点がずっと変わらないことを祈って。
いや、変わるだろう。
長い人生の通過点に過ぎないのだから。
それでも両親のように変わらない想いがあるのなら。
私はその想いに期待しよう。
空と同じ景色を見よう。
皆電車の中で騒いでいた。
僕は携帯ゲームで遊んでいた。
今日から修学旅行。
行き先は関西方面。
小倉まで特急に乗ってそれから新幹線で新大阪まで行く。
大半の人は特急も新幹線も初めてだった。
そして修学旅行という空気が皆のテンションをあげていた。
対面には光太と麗華がいた。
4人でトランプして遊んだりしていた。
小倉に近づくにつれて皆は盛り上がる。
初めての都市。
そして駅に着くと新幹線乗り場に行く。
小倉を出るとすぐに関門トンネルをくぐる。
トンネルを抜けると本州。
トンネルと山の中を繰り返していく。
やがて皆飽きてくる。
新大阪に着くまで眠りについていた。
新大阪に着くと。皆驚いていた。
その光景に目を奪われる。
観光バスでホテルに着くと部屋に行く。
僕の部屋には善明、光太、学が一緒だった。
その後ロビーに皆集合して説明がされる。
最近の修学旅行はちょっと特殊だ。
まず奈良、大阪、京都ならどこへも自由に行動していいというのが初日。
そして、二日目はテーマパークで自由行動。
ただし、班で行動する事。
僕達の班は僕、善明、光太、学、美希、麗華、海璃の7人だった。
どこへ行くかは事前に決めてあった。
女子の希望で京都に行くことにしてあった。
この時期に渡月橋だから渡月橋を観たいらしい。
あとは清水寺とか晴明神社とか。
自由行動が始まるとすぐに電車に乗る。
事前に調べてあった。
ICカードも事前にチャージしている。
渡月橋に行く。
紅葉がとても綺麗だった。
女子達がはしゃいでいる。
観光ショップなんかも行く。
光太は新選組の羽織を買っていた。
そんなもん何に使うんだ?
その後は神社参りをする。
女子はパワースポットなんかに興味があるらしい。
父さんが言ってた。
女子と行動するときは我慢が必要だと。
時間になると大阪のホテルに戻る。
ホテルで夕食を食べる。
ホテルの食事では満たされないからお土産屋でお菓子を買って食べた。
風呂で一日の疲れを過ごす。
他の班も女子に合わせて京都観光をしていたらしい。
この物語では女子には逆らえない。
そういう掟があるらしい。
風呂を出ると、部屋で話す。
女子の部屋に行くなんて真似はしない。
互いの彼女について話をする。
だからこの旅行が良い思い出になる。
そう言っていた。
就寝時間になると眠りにつく。
就学旅行初日は無事に終わった。
(2)
僕はこのテーマパークに来たことがある。
父さん達に連れられてだけど。
その時には天音と翼がいた。
翼との思い出がある大切な場所。
あまり翼の事は考えないようにしていたけど、ここに来た時思い出してしまった。
しかも今は水奈がいない。
でも、今だけにしよう。
水奈の悲しい顔は見たくないから。
ちょっと内容が変わっていたけど、これだけはまた乗らないとって決めていたものがある。
光太たちは初めてらしい。
だから僕が先導していた。
就学旅行二日目。
テーマパーク内での自由行動。
僕達は昼食も食べながら園内を周っていた。
昼間のパレードも見れた。
善明はやけに大人しかった。
「乗り物苦手?」
善明君に聞いてみた。
「そういうわけではないんですが……」
「じゃあ、こういう雰囲気が苦手だったり?」
「昔受けた訓練のせいだと思うんですがこういう人混みの中だとどうしても警戒してしまうんですよ」
どんな訓練を受けたんだろう?
集合時間まであと1時間というところで女子に付き合ってお土産選び。
色が、形が、あ、これも可愛い。
女子に付き合ってると1時間くらいでは買い物が終らない。
「学、どっちが良いと思う?」
美希が学に聞いている。
こういうとき2タイプある。
本当に悩んでる時と本当は決まってるんだけどなんとなくこっちも気になるって時。
本当に悩んでる時は直感でえらぶしかない。
本当に悩んでる時はどっちでもいいんだけど彼の意見も聞いてみたいとき。
だから正解はない。
思った通りにちょっと考えて選んでやればいい。
絶対にどっちでもいいなんて言ったらいけない。
僕達の班にはそういうミスをおかすものなんていなかった。
「空、水奈へのお土産悩んでるんでしょ?一緒に選んであげる」
美希に言われると僕は「ありがとう」と返した。
僕の買い物が終ると集合時間ぎりぎりになる。
何とか間に合った。
ホテルに帰って夕食を食べて風呂にはいる。
「無事に終わりましたね」
善明君がいう。
「土産話も出来たし良かったよ」
僕が言う。
「明日水族館行って帰るだけか。短かったな」
「そうだね」
僕は光太に答えた。
「もっと何かあると思ったんだけどな」
「問題は起こさないでほしいけどね」
光太が言うと学が答える。
何が起こるわけでも無いらしい。
クラスの告白ラッシュは去年終えてる。
皆楽しい思い出を修学旅行で作ってるだろう。
そして明日の水族館でも楽しい思い出を作るんだろう。
しかし何かが起きてしまった。
最初は皆部屋でスマホを操作していたんだけどいつの間にか光太が消えていた。
外で恋人と最後の夜を楽しんでいるのだろうか?
誰かがノックする。
戻ってきたのだろうか?
善明が応じる。
そして善明が驚いていた。
突然の訪問者は美希と海璃だった。
僕達は部屋に帰るように説得したが美希達はお構いなしに部屋に入る。
「まだ消灯まで時間あるからいいでしょ」
美希はそう言った。
他の皆も外で話してるか美希達の部屋にいるらしい。
だけど学から全然誘ってくれない。
だから美希から来たらしい。
美希はわかるけどどうして海璃が?
海璃を見るとしきりに善明を見ている。
何となく悟ってしまった。
「……僕水奈と電話してくるから」
そう言って僕は部屋をでた。
消灯時間まではまだある。
水奈も起きているはずだ。
水奈にメッセージで電話していいか聞いてみた。
「いいよ」
すぐに返事が返って来たので電話する。
「ずっと待ってたんだぞ」
水奈はそう言って笑っていた。
昨日から待っていたらしい。
僕は「ごめん」と謝った。
「浮気してないだろうな」
「してない……と、思う」
「どういう意味?」
テーマパークで翼の事を思い出したことを白状した。
「空は律義だな。そこは『してない』で通せば済むだけの話じゃないか」
「水奈は大切な恋人だから、どんな嘘もつきたくない」
「そう思ってくれるだけでも嬉しいよ」
その後京都見学やテーマパークの話をしていた。
帰ってからしようと思ったけど美希と海璃が部屋に来たから電話したと言った。
「私の声が聞きたくてとか言ってくれてもいいんじゃないか?」
「ご、ごめん」
「私も空の声が聞きたかった」
でも、僕の修学旅行の思い出作りの邪魔をしたくない。
連絡を強要すると重い女と思われるんじゃないか?
そう考えると出来なかったらしい。
中学生で自分の彼女を「重い」と言える男子なんているのだろうか?
「でもさ、海璃って子ひょっとして……」
水奈も僕と同じ事を考えたらしい。
「水奈もそう思うんだったらそうだろうね」
「おい、そろそろ就寝時間だぞ!」
巡回の教師に見つかった。
「ご、ごめん。明日帰ったら連絡する」
「わかった。待ってる」
電話を終えると部屋に戻る。
美希達は既に部屋に戻っていた。
学と光太は善明を見てにやにやしている。
やっぱり当たってたんだな。
「おめでとう、善明」
「な、なんでわかんだい?」
確信は無かったけどカマかけてみた。
やっぱり海璃から告白されたらしい。
「君の気持ちは嬉しいけど巻き込むわけにはいかない」
そんな謎の返事をしたらしい。
だけど美希からの強い推しがあったそうだ。
最後には善明が根負けして付き合う事になった。
とりあえずは明日水族館デートを計画したらしい。
「でも、空一人になるけど大丈夫か?」
光太が聞いてきた。
「適当に時間潰してる」
僕に遠慮しなくていいよ、と伝えた。
「すまないな」
学が謝る。
そしてその晩。皆で話をして夜を過ごす。
次の日寝不足確定だけど移動時間は寝てればいいから問題ないや。
皆水族館でも眠れるだろう。
そんな甘い考えがあった。
然し水族館デートというのはそんな甘いものじゃなかった。
(3)
次の日凄く眠かった。
それでもしっかり朝ごはんは食べた。
そして出発までの時間寝てた。
バスで移動してる間も寝てた。
水族館でも適当な場所見つけて寝てよう。
どうせ魚が泳いでるだけだ。
そんなの地元の水族館で十分だ。
男子は全員そう思っていた。
しかし女子は初めてくる水族館に感激している。
そんな彼女に「眠い」「退屈」なんて言えるはずがない。
皆必死に彼女に付き合って魚を見て回る。
この水族館ではイルカやアシカのショーはない。
ひたすら魚たちを見るだけ。
女子はひたすら写真を撮り続ける。
時間いっぱいまで楽しんで出口で皆と集合した。
男子達は疲れ果てていた。
そんな男子達の心中を察した美希が悪戯っぽく言う
「みんな楽しかったね!」
男子達はとりあえず笑っとけといった感じだった。
ご愁傷様。
昼食を食べて新大阪駅に向かう。
最後の記念にとバスガイドさんと写真をとってもらう男子達。
学達はしなかった。
だって隣にいる彼女がそれを許さなかったから。
たかが写真で彼女の機嫌を損ねたくない。
だけど光太はやらかした。
光太は連絡先を交換しようとして麗華の機嫌を損ねる。
新幹線の中でひたすら頭を下げていた。
高校生ならいざ知らずまだ中学生の僕達の相手をしてもらえるはずがない。
馬鹿な事をと思いながら新幹線では眠っていた。
関門トンネルを抜ける頃に起きた。
そして特急で地元に帰る。
「お疲れ様」
学がそう言った。
「学もね」
「空は楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ」
「水奈がいないのに?」
「それはまた将来の夢にするよ」
「やっぱりそうなるか」
学はそう言って笑う。
「学はどうだった?」
僕が学に聞いていた。
「そうだな、あまり美希とこういうデートしたことなかったから新鮮だったよ」
「なるほどね」
「デートが楽しいという事も分かったが、しんどいという事も同時にわかったよ」
それを聞いて納得してしまった。
なるほどね。
「いつか美希と2人でゆっくり行くといいよ」
「そうだな……」
空もいつか水奈と2人で来れる日がいいな。
学はそう言って笑う。
電車が地元駅に着いた。
バスで中学校に向かう。
父さん達が迎えに来ていた。
車で家に帰る。
そしてお土産を父さんと遠坂のお爺さんの家に渡す。
着替えるとお風呂に入ってすぐに水奈にメッセージを送る。
まだ起きてるかな?
「お疲れ様。疲れてるだろうから今夜はゆっくり休んで。土産話は明日じっくり聞くから」
まだ起きてたみたいだ。
水奈の言う通り今夜はゆっくり休んだ。
次の日の朝、旅の土産話を父さん達に話していた。
父さん達の思い出も聞かせてもらえた。
「神戸牛はうまいよ」
父さんが言ってた。
父さんはフェリーで関西旅行に母さんと行ったらしい。
僕もいつか車を買ったら水奈と旅に行こう。
車種はどんなのがいいかな?
「空のセンスに任せるよ。言っとくけど車の中で変な事は絶対いやだからな!」
水奈から返事がきた。
ちゃんと覚えておこう。
(4)
呼び鈴がなる。
私は玄関に行って扉を開けると空が立っていた。
「おつかれ」
空にそう声をかける。
手には何かを持っている。
「あ、これお土産」
空がそう言って紙袋を渡してくれた。
「ありがとう。取りあえずあがれよ」
そう言って私の部屋に案内した。
空は天音の部屋とかには入ったことはないんだろうか?
妙にそわそわして落ち着きがない。
私もドキドキしていた。
彼氏を部屋に入れるなんて初めてだったから。
「で、どうだった?」
楽しかったらしい。
ただ、一つ悔やんだでいたことがある。
私と一緒にいれなかったこと。
他の皆は恋人と一緒に回ってる中、空は一人でいたらしい。
やっぱり同い年の恋人に憧れるのだろうか?
私じゃ不満?
空はそんな疑問の答えを用意していた。
「きっと高校でも同じ思いをするかもしれないね」
「そうだな……」
「でもそれは水奈だって同じじゃないのかな?」
「私は平気。スマホがあるから」
「……僕も同じだよ」
「そうか」
「僕はいつか高校を卒業する」
当然だろうな。
「そしたら旅行に行こうと思うんだ。皆と行くかもしれないけど」
それがどうかしたのか?
「その時は水奈も一緒に来て欲しい」
そんな事を考えていたのか。
「私の時にも来てくれるって約束してもらえるなら」
「もちろん」
それまでは離れていても、きっとずっと一緒だ。
焦る必要はない。
空の話をずっと聞いていた。
このままずっといてくれたらいいのに。
母さんは夕食くらい一緒に食べていけと言ったけど、明日から学校だからと空は断った。
日が沈む前に空は帰っていった。
寝る前にいつものようにメッセージをやり取りして寝る。
行く道が違ってもゴールは一緒だよ。
空はそう言った。
終着点がずっと変わらないことを祈って。
いや、変わるだろう。
長い人生の通過点に過ぎないのだから。
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空と同じ景色を見よう。
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