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2ndSEASON
泪の向こう
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(1)
6月中旬。
酒井家の養女、酒井岬さんとその夫となる相羽陽介さんの結婚式に呼ばれた。
式・披露宴は高江にある酒井グループの結婚式が使われた。
辺鄙な場所にあったがとても美しいい建物だった。
披露宴はとても豪勢に行われた。
新郎新婦が驚くほどだ。
2次会は2人の知り合いでするそうなので僕達は帰ろうとしたら。
「せっかく皆集まったんだしちょっとは楽しんでいかない?」
晶さんがいうので僕達渡辺班、最古参メンバーだけで2次会に行くことにした。
2次会の場所は晶さんが手配してあった。
街中にある如月観光ホテルだ。
みんな昔馴染みの知り合いだから気楽に話せた。
子供達も大きくなったしお酒も飲めた。
天音もこういう場所には慣れているみたいで醜態を見せずにいた、
空は緊張することなく食べていたけど。
「このキャビアっての下のクラッカーの味しかしないし、フォアグラもなんか生臭い」
空はちょっと味覚を鍛えておく必要があるかも。
こんどからフレンチとかも連れて行ってみるかな。
「片桐君、娘たちが世話になったわね」
「あの二人は大丈夫なのかい?」
酒井君も来た。
「味は僕が保証する。経営も数字が証明してるよ」
「そう、ならいいんだけど」
「ただ将来を考えるならせめて接客を一人くらいは雇っておいた方がいいかもね」
岬さんも子供作るんでしょ?
僕はそう助言した。
「わかったわ。善君、酒井コーポレーションの経営は順調なのよね?」
「ああ、全く問題ないよ。不思議なくらいに」
「じゃあ、もう一個会社作るわよ。人材派遣会社」
「……普通に人材派遣会社に依頼すればいいんじゃないかい?」
「馬鹿ね、そんな余裕があの店にはまだないでしょ」
「ま、まあそうだろうけど……」
酒井グループも大きくなるな。
「冬夜!」
誠が来た。
「聞いたぞ、お前子供にもう英才教育かよ!しれっと名選手つくろうとしてるだろ!」
「冬吾の事?」
「ああ、聞けばドリブルテクニックは一流だわパスも精度が高いわ、無回転シュートは撃つうえに精度が高いわ、センスはお前譲りだし、文句なしのファンタジスタじゃないか」
「それは僕が教えたわけじゃないよ。無回転シュートは独学らしいよ」
「冬吾はフォワード向きだよな?」
「実際に試合したわけじゃないからまだはっきりわからないけど、フォワード向きの発想力はあるね」
「じゃあ、うちの誠司はミッドフィールダーに教育する。お前の息子を使う立場になってやる」
気持ちは分かるが子供の気持ちは確認したのか?
「本人はフォワード希望していたけどポジション争いして脱落するのも可哀そうだしな。視野も広いみたいだし」
「でもMFは確か一人いたんじゃないのか?」
高久君だっけ?
冬吾と誠司と3人でよくあそんでるみたいだけど。
「日本代表なんて4-2-3-1か4-4-1だろ?MFは多くて問題ないよ。それに3人いればトライアングル作れる。完璧だろ!」
それって3人ともレギュラー確定なのか?
確定なんだろうな。
「……誠司はレジスタ確定か」
「当然!」
レジスタとは優れたゲームの司令塔の事。将軍とか皇帝とかとか称されることが多い。
「片桐君」
次は石原君だ。
「ああ、石原君久しぶり。うちの天音が世話になってるね」
「あの子は大丈夫、立派にレディの役割をこなしてるわ。うちの息子も頑張ってるみたいだし」
恵美さんが言う。
「ところで、天音ちゃんは何が得意なの?」
「へ?」
「料理はどのジャンルが得意なの?」
「あ、ああ。何でもこなすみたいだよ」
味覚と腕前は美嘉さん以上のものがあるらしい。
「何でもいいなら日本料理とかいいかもね、料亭なら要人の接待にも使えるし」
へ?
「結婚祝いよ、天音ちゃんが専門学校卒業したらお店プレゼントしてあげようと思って」
晶には負けられない!
恵美さんはそう意気込んでる。
この世界では夢は実現するのは当たり前らしい。
誰かが言ってたな。
パイロットになりたいと言えば航空会社の社長になってしまうって。
「パイロットなんて危ない真似させられないでしょ」
晶さんが言ってた。
「恵美、学はともかくうちの出来の悪い息子の将来もどうにかしてくれないかな?」
桐谷亜依さんがやって来た。
「遊はやりたい事とかないの?」
「大学に行く意思はあるみたいだけどその先は考えてないみたい。成績考えても地元大は絶望だし」
「まあ、大学ならどこでもいいから出ておいたら私が就職先用意してあげる」
「ありがとう、こういう時の友達だわ」
「やっと冬夜も愛莉さんとこういう場所に出てこれるようになったか」
「お疲れさまだったな冬夜」
桐谷瑛大君と渡辺正志君が来た。
「お陰様でね、冬吾も冬莉も大人しいし」
珍しいくらい手のかからない子供だよと僕は笑って言う。
「でもお前が羨ましいぜ冬夜」
誠が言う。
何が?
「冬夜には空がいるだろ?息子と酒を飲める日が俺より早いじゃないか」
ああ、そういうことね。
「その分誠司が成長する楽しみがあっていいだろ?」
きっといい子に育つよ。
サムライブルーの3羽ガラスとか言われるようになるさ。
他にも木元先輩や中島君達と話をしていると時間が来た。
「冬夜さん、そろそろ帰らないと」
愛莉が言う。
「愛莉は3次会行っておいで、冬吾達の面倒は僕が見るから」
「え?ですが私だけ楽しんでよろしいのですか?」
「僕は仕事とはいえ偶に飲んでる。愛莉はずっと家だろ?こういう時くらい楽しんでおいで」
「……ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
愛莉はそう言って亜依さんやカンナと楽しそうに話している。
「神奈も誠司は俺が面倒みるから3次会行って来いよ」
「……いいのか?」
「俺も冬夜と同じだ、仕事とはいえ、飲むことは多いから」
「サンキュー。水奈に変な真似すんなよ」
「し、しねーよ!最近部屋に鍵つけたのお前だろ神奈」
鍵がなかったら何かするのか?誠。
「正志私達は朝まで行くぞ」
「子供はどうするんだ?美嘉」
「タクシーで帰れるだろ!住所くらいは言えるぞ紗理奈はもう中2だぞ」
「しかし、この時間に子供達だけ家に残すのは親としてどうなんだ?」
「子供には子供達なりのルールってのに従って生きるもんだ!そのくらいの躾はしてきたぞ!」
美嘉さんらしいな。
桐谷君達も学がいるから問題ないと両方残るようだ。
木元夫妻も中島夫妻も同じらしい。
「父さん達はまだ孫はいらないからな」
中島君が勝利君に言ってた。
気になることがあった。
「木元先輩お疲れ様です」
僕は木元先輩に話しかけていた。
「お、冬夜。お疲れ様。どうした?」
「輝夜さんは勝利君と交際されてるそうで」
「あ、ああ。そうみたいだね。娘にはすっかり嫌われてしまっていて教えてくれないんだけど」
奥さんの木元花菜さんから聞いたらしい。
「ぶっちゃけて聞きますけど輝夜さんくらいの歳で男に寝取られるってどんな気分ですか?」
「……やっぱり冬夜でも気にしていたのか?」
「ええ……」
「まあ、割り切るしかないんじゃないのか?子供はいつかは親離れするものだって」
「そうですね……」
「その話俺も興味あるな。他人事じゃないからな」
渡辺君達が混ざって来た。
そして愛莉に叱られる。
「冬夜さんいけませんよ!言ったでしょ。翼たちだっていつかは大人になるんだって。天音や茜もいっしょですよ」
「わかってるんだけどね」
知り合いの子供にとられるって結構複雑じゃないか?
「パパ、そういう話なら私にも一言言わせてくれ!」
「どうした?天音」
「大地の奴、いくら誘ってもしてくれないんだ。私ってやっぱり魅力ないのか?足りないのはおっぱいだけなのか?」
「そうか、やっぱり天音くらいだと気になるよな……」
カンナが同情する。
「天音ちゃんごめんね。私としたことがすっかり油断していたわ……。大地!ちょっと来なさい!」
恵美さんが大地を呼びつける。
「小学生の間は大目に見て来たけど中学生になって彼女に寂しい思いさせてどういうつもり!?女性に恥をかかせて平気な男に育てた覚えはないわよ!」
これがこの世界観なんだろうなあ。
僕達は家に帰ると空、天音と茜が入った後冬吾と風呂に入る。
「ねえ父さん?さっき父さん達が言ってたこと意味がよくわからなかったんだけど」
冬吾にはまだ早い。
一言ですませられるけど、放っておいてもこの情報化社会だどこからでも情報を手に入れるだろう。
だから今の冬吾に精一杯の助言をしてやりたい。
「冬吾は瞳子ちゃんの事好きなんだよな」
「うん!」
「今の気持ち大切にとっておきなさい」
喧嘩したり嫌になった時も今の気持ちを思い出しなさい。
そしたらすべてを許せるはずだから。
どんな過酷な状況もきっと切り開けるから。
それが「好き」だという感情だよ。
どんなに離れる事があってもいつか出会える冬吾達の為に夜明けが待っている。
泪のむこうで輝いているのが見えるから。
「わかった!」
冬吾はそう言った。
風呂を出ると冬吾を寝かしつける。
愛莉が帰ってくるのは朝かな。
さすがにこの歳になると徹夜はきついかな?
リビングでテレビを見て待っているといつの間にか眠っていた。
「冬夜さん、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまいますよ」
愛莉の声で目が覚めると朝だった。
「愛莉の帰りを待っていたんだけど……ごめん」
「いえ、ありがとうございます」
「楽しかった?」
「ええ、とても……」
「……とりあえずシャワー浴びておいで。話はベッドで聞くから」
「はい」
外は雨が降っていた。
降り続く現実に傘などない。
窓にはあの頃みたいに雨空が見える。
雨の町に明かりが灯るみたいに生きてゆけばいい。ただそれだけ。
どんな理由だって構わないから。
(2)
3次会は久しぶりに皆でカラオケに行った。
神奈も久しぶりみたいで亜依達と一緒に騒いでいる。
飲んで騒いで歌って楽しんでいた。
仕事の事も育児の事もこの時間だけは忘れよう。
そんな暗黙のルールが出来ていた。
でもやっぱり触れてしまう。
「それにしても、愛莉も神奈も頑張ったね。医者から何も言われなかった?」
亜依が聞いていた。
「何度も出産経験してるから大丈夫だろうって」
私が答えた。
「それでも私には無理だな。あの苦しみはもう懲り懲り」
亜依が言う。
「亜依はまだいいよ。私妊娠する前に産婦人科に配置されたじゃん。そりゃもう妊娠が恐怖だったよ」
穂乃果が言う。
「それはあるかもね~」
「でもつらくても冬夜さんが付き添ってくれたから……頑張れって励ましてくれたから」
産んだ後にちゃんと写真を撮っておいてくれたから。頑張ったねって労ってくれたから。
「やっぱり片桐君狙っとけばよかったか。瑛大は陣痛来たっていうのにアイドルのコンサートできづかなかったらしいから」
「付き添ってくれればいいってもんでもないぜ……亜依」
神奈が言う。
「何かあったの?」
私が聞いてみた。
「誠も水奈を産んだ時は付き添ってくれたよ。あの馬鹿ビデオカメラを持ち込んで出産するところを撮影してたよ」
「うわあ……」
亜依が言う。
「問題はその後だ。赤ちゃんの頭が出てくると『グロっ!無理!』って分娩室から逃げ出してしまってな」
「それは酷い話だな。正志も立ち会ってくれなかったぜ。『俺はここで待ってるから』って」
美加さんが言うと渡辺君は笑っている。
渡辺君は先輩から聞いていたらしい「立ち合いだけはやめとけ、妻を妻とみれなくなるぞ」って。
「で、それから誠司を作るまでセックスレスだ。どうして誠司を作る気になったのか気になってはいたんだがその理由もわかったよ」
自分の後継者が欲しかったんだな。と神奈は言う。
「愛莉はどうして赤ちゃん作る気になったの?」
花菜が聞く。
私は事情をそのまま伝えた。
「そんな軽いノリで作ったわけ!」
亜依が驚いていた。
「て、ことは愛莉は天音産んだ後も夜の営みは続いてたんだ?」
神奈が聞くと私はうなずいた。
「冬夜さん結構甘えてくるから」
「逃した魚はデカいって意味がよくわかるぜ!」
神奈が頭を抱える。
「私も主人が仕事で抜けられないから頑張れってメッセージ来ただけだった」
花菜が木元先輩を睨む。
「花菜、ごめんね。あの後現場所長には叱りつけておいたから」
晶が言う。
実際現場所長は田舎の現場に飛ばされたらしい。
それから木元先輩たちは異例の出世スピードで支店長になったらしい。
下手に現場に残すよりデスクワークをしてもらった方が被害が少ないと判断したんだろう。
「私は、亜依と一緒だな。同僚と勝手に出産祝いだって飲んでいたみたい」
穂乃果が言う。
せめて陣痛の時は一緒にいて欲しかった。
口をそろえて言う。
初めてのお産で心細くて不安な時くらい一緒にいてくれていいじゃないか。
冬夜さんはちゃんと付き添ってくれた。
後で「先輩から出産の恨みは死ぬまで忘れないって聞いたから」と笑っていたけど。
そんな理由でもちゃんと側にいてくれあ冬夜さんを嬉しく思う。
だから今でも上手くやっていけるんだ。
「だから冬夜の子供達はみんな真っ直ぐ育ったんだな」
渡辺君が言う。
子は親の背中を見て育つ。
私達が仲睦まじくやっているのに性格がひねくれるはずがない。
天音は困った子だけど言いつけはきちんと守る。
学校の校則も納得したらちゃんと守るようになった。
買い食いはしてるみたいだけど。
納得のいかないルールに従う理由はない。
そう思っているようだ。
そうして話していると朝になる。
カラオケ店を出るとみんな解散した。
私は神奈と帰ったけど。
「やっぱり体がきついわ。もう徹夜出来る歳じゃなーな」
神奈が言う。
「そうだね」
私の家の前で神奈と別れる。
「神奈気を付けてね」
「ああ、愛莉もおやすみ」
家に入るとリビングで寝ている冬夜さんがいた。
「冬夜さん、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまいますよ」
冬夜さんが起きる。
私が帰ってくるのを待っていたらしい。
もう無理が出来ないんだからそんなことしなくていいよ。
ベッドの中で私の話を聞いてくれるという。
私はシャワーを浴びて寝室に戻りベッドの中で冬夜さんに話をする。
そしていつの間にか眠っていく。
またはじまる次の物語まで。
6月中旬。
酒井家の養女、酒井岬さんとその夫となる相羽陽介さんの結婚式に呼ばれた。
式・披露宴は高江にある酒井グループの結婚式が使われた。
辺鄙な場所にあったがとても美しいい建物だった。
披露宴はとても豪勢に行われた。
新郎新婦が驚くほどだ。
2次会は2人の知り合いでするそうなので僕達は帰ろうとしたら。
「せっかく皆集まったんだしちょっとは楽しんでいかない?」
晶さんがいうので僕達渡辺班、最古参メンバーだけで2次会に行くことにした。
2次会の場所は晶さんが手配してあった。
街中にある如月観光ホテルだ。
みんな昔馴染みの知り合いだから気楽に話せた。
子供達も大きくなったしお酒も飲めた。
天音もこういう場所には慣れているみたいで醜態を見せずにいた、
空は緊張することなく食べていたけど。
「このキャビアっての下のクラッカーの味しかしないし、フォアグラもなんか生臭い」
空はちょっと味覚を鍛えておく必要があるかも。
こんどからフレンチとかも連れて行ってみるかな。
「片桐君、娘たちが世話になったわね」
「あの二人は大丈夫なのかい?」
酒井君も来た。
「味は僕が保証する。経営も数字が証明してるよ」
「そう、ならいいんだけど」
「ただ将来を考えるならせめて接客を一人くらいは雇っておいた方がいいかもね」
岬さんも子供作るんでしょ?
僕はそう助言した。
「わかったわ。善君、酒井コーポレーションの経営は順調なのよね?」
「ああ、全く問題ないよ。不思議なくらいに」
「じゃあ、もう一個会社作るわよ。人材派遣会社」
「……普通に人材派遣会社に依頼すればいいんじゃないかい?」
「馬鹿ね、そんな余裕があの店にはまだないでしょ」
「ま、まあそうだろうけど……」
酒井グループも大きくなるな。
「冬夜!」
誠が来た。
「聞いたぞ、お前子供にもう英才教育かよ!しれっと名選手つくろうとしてるだろ!」
「冬吾の事?」
「ああ、聞けばドリブルテクニックは一流だわパスも精度が高いわ、無回転シュートは撃つうえに精度が高いわ、センスはお前譲りだし、文句なしのファンタジスタじゃないか」
「それは僕が教えたわけじゃないよ。無回転シュートは独学らしいよ」
「冬吾はフォワード向きだよな?」
「実際に試合したわけじゃないからまだはっきりわからないけど、フォワード向きの発想力はあるね」
「じゃあ、うちの誠司はミッドフィールダーに教育する。お前の息子を使う立場になってやる」
気持ちは分かるが子供の気持ちは確認したのか?
「本人はフォワード希望していたけどポジション争いして脱落するのも可哀そうだしな。視野も広いみたいだし」
「でもMFは確か一人いたんじゃないのか?」
高久君だっけ?
冬吾と誠司と3人でよくあそんでるみたいだけど。
「日本代表なんて4-2-3-1か4-4-1だろ?MFは多くて問題ないよ。それに3人いればトライアングル作れる。完璧だろ!」
それって3人ともレギュラー確定なのか?
確定なんだろうな。
「……誠司はレジスタ確定か」
「当然!」
レジスタとは優れたゲームの司令塔の事。将軍とか皇帝とかとか称されることが多い。
「片桐君」
次は石原君だ。
「ああ、石原君久しぶり。うちの天音が世話になってるね」
「あの子は大丈夫、立派にレディの役割をこなしてるわ。うちの息子も頑張ってるみたいだし」
恵美さんが言う。
「ところで、天音ちゃんは何が得意なの?」
「へ?」
「料理はどのジャンルが得意なの?」
「あ、ああ。何でもこなすみたいだよ」
味覚と腕前は美嘉さん以上のものがあるらしい。
「何でもいいなら日本料理とかいいかもね、料亭なら要人の接待にも使えるし」
へ?
「結婚祝いよ、天音ちゃんが専門学校卒業したらお店プレゼントしてあげようと思って」
晶には負けられない!
恵美さんはそう意気込んでる。
この世界では夢は実現するのは当たり前らしい。
誰かが言ってたな。
パイロットになりたいと言えば航空会社の社長になってしまうって。
「パイロットなんて危ない真似させられないでしょ」
晶さんが言ってた。
「恵美、学はともかくうちの出来の悪い息子の将来もどうにかしてくれないかな?」
桐谷亜依さんがやって来た。
「遊はやりたい事とかないの?」
「大学に行く意思はあるみたいだけどその先は考えてないみたい。成績考えても地元大は絶望だし」
「まあ、大学ならどこでもいいから出ておいたら私が就職先用意してあげる」
「ありがとう、こういう時の友達だわ」
「やっと冬夜も愛莉さんとこういう場所に出てこれるようになったか」
「お疲れさまだったな冬夜」
桐谷瑛大君と渡辺正志君が来た。
「お陰様でね、冬吾も冬莉も大人しいし」
珍しいくらい手のかからない子供だよと僕は笑って言う。
「でもお前が羨ましいぜ冬夜」
誠が言う。
何が?
「冬夜には空がいるだろ?息子と酒を飲める日が俺より早いじゃないか」
ああ、そういうことね。
「その分誠司が成長する楽しみがあっていいだろ?」
きっといい子に育つよ。
サムライブルーの3羽ガラスとか言われるようになるさ。
他にも木元先輩や中島君達と話をしていると時間が来た。
「冬夜さん、そろそろ帰らないと」
愛莉が言う。
「愛莉は3次会行っておいで、冬吾達の面倒は僕が見るから」
「え?ですが私だけ楽しんでよろしいのですか?」
「僕は仕事とはいえ偶に飲んでる。愛莉はずっと家だろ?こういう時くらい楽しんでおいで」
「……ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
愛莉はそう言って亜依さんやカンナと楽しそうに話している。
「神奈も誠司は俺が面倒みるから3次会行って来いよ」
「……いいのか?」
「俺も冬夜と同じだ、仕事とはいえ、飲むことは多いから」
「サンキュー。水奈に変な真似すんなよ」
「し、しねーよ!最近部屋に鍵つけたのお前だろ神奈」
鍵がなかったら何かするのか?誠。
「正志私達は朝まで行くぞ」
「子供はどうするんだ?美嘉」
「タクシーで帰れるだろ!住所くらいは言えるぞ紗理奈はもう中2だぞ」
「しかし、この時間に子供達だけ家に残すのは親としてどうなんだ?」
「子供には子供達なりのルールってのに従って生きるもんだ!そのくらいの躾はしてきたぞ!」
美嘉さんらしいな。
桐谷君達も学がいるから問題ないと両方残るようだ。
木元夫妻も中島夫妻も同じらしい。
「父さん達はまだ孫はいらないからな」
中島君が勝利君に言ってた。
気になることがあった。
「木元先輩お疲れ様です」
僕は木元先輩に話しかけていた。
「お、冬夜。お疲れ様。どうした?」
「輝夜さんは勝利君と交際されてるそうで」
「あ、ああ。そうみたいだね。娘にはすっかり嫌われてしまっていて教えてくれないんだけど」
奥さんの木元花菜さんから聞いたらしい。
「ぶっちゃけて聞きますけど輝夜さんくらいの歳で男に寝取られるってどんな気分ですか?」
「……やっぱり冬夜でも気にしていたのか?」
「ええ……」
「まあ、割り切るしかないんじゃないのか?子供はいつかは親離れするものだって」
「そうですね……」
「その話俺も興味あるな。他人事じゃないからな」
渡辺君達が混ざって来た。
そして愛莉に叱られる。
「冬夜さんいけませんよ!言ったでしょ。翼たちだっていつかは大人になるんだって。天音や茜もいっしょですよ」
「わかってるんだけどね」
知り合いの子供にとられるって結構複雑じゃないか?
「パパ、そういう話なら私にも一言言わせてくれ!」
「どうした?天音」
「大地の奴、いくら誘ってもしてくれないんだ。私ってやっぱり魅力ないのか?足りないのはおっぱいだけなのか?」
「そうか、やっぱり天音くらいだと気になるよな……」
カンナが同情する。
「天音ちゃんごめんね。私としたことがすっかり油断していたわ……。大地!ちょっと来なさい!」
恵美さんが大地を呼びつける。
「小学生の間は大目に見て来たけど中学生になって彼女に寂しい思いさせてどういうつもり!?女性に恥をかかせて平気な男に育てた覚えはないわよ!」
これがこの世界観なんだろうなあ。
僕達は家に帰ると空、天音と茜が入った後冬吾と風呂に入る。
「ねえ父さん?さっき父さん達が言ってたこと意味がよくわからなかったんだけど」
冬吾にはまだ早い。
一言ですませられるけど、放っておいてもこの情報化社会だどこからでも情報を手に入れるだろう。
だから今の冬吾に精一杯の助言をしてやりたい。
「冬吾は瞳子ちゃんの事好きなんだよな」
「うん!」
「今の気持ち大切にとっておきなさい」
喧嘩したり嫌になった時も今の気持ちを思い出しなさい。
そしたらすべてを許せるはずだから。
どんな過酷な状況もきっと切り開けるから。
それが「好き」だという感情だよ。
どんなに離れる事があってもいつか出会える冬吾達の為に夜明けが待っている。
泪のむこうで輝いているのが見えるから。
「わかった!」
冬吾はそう言った。
風呂を出ると冬吾を寝かしつける。
愛莉が帰ってくるのは朝かな。
さすがにこの歳になると徹夜はきついかな?
リビングでテレビを見て待っているといつの間にか眠っていた。
「冬夜さん、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまいますよ」
愛莉の声で目が覚めると朝だった。
「愛莉の帰りを待っていたんだけど……ごめん」
「いえ、ありがとうございます」
「楽しかった?」
「ええ、とても……」
「……とりあえずシャワー浴びておいで。話はベッドで聞くから」
「はい」
外は雨が降っていた。
降り続く現実に傘などない。
窓にはあの頃みたいに雨空が見える。
雨の町に明かりが灯るみたいに生きてゆけばいい。ただそれだけ。
どんな理由だって構わないから。
(2)
3次会は久しぶりに皆でカラオケに行った。
神奈も久しぶりみたいで亜依達と一緒に騒いでいる。
飲んで騒いで歌って楽しんでいた。
仕事の事も育児の事もこの時間だけは忘れよう。
そんな暗黙のルールが出来ていた。
でもやっぱり触れてしまう。
「それにしても、愛莉も神奈も頑張ったね。医者から何も言われなかった?」
亜依が聞いていた。
「何度も出産経験してるから大丈夫だろうって」
私が答えた。
「それでも私には無理だな。あの苦しみはもう懲り懲り」
亜依が言う。
「亜依はまだいいよ。私妊娠する前に産婦人科に配置されたじゃん。そりゃもう妊娠が恐怖だったよ」
穂乃果が言う。
「それはあるかもね~」
「でもつらくても冬夜さんが付き添ってくれたから……頑張れって励ましてくれたから」
産んだ後にちゃんと写真を撮っておいてくれたから。頑張ったねって労ってくれたから。
「やっぱり片桐君狙っとけばよかったか。瑛大は陣痛来たっていうのにアイドルのコンサートできづかなかったらしいから」
「付き添ってくれればいいってもんでもないぜ……亜依」
神奈が言う。
「何かあったの?」
私が聞いてみた。
「誠も水奈を産んだ時は付き添ってくれたよ。あの馬鹿ビデオカメラを持ち込んで出産するところを撮影してたよ」
「うわあ……」
亜依が言う。
「問題はその後だ。赤ちゃんの頭が出てくると『グロっ!無理!』って分娩室から逃げ出してしまってな」
「それは酷い話だな。正志も立ち会ってくれなかったぜ。『俺はここで待ってるから』って」
美加さんが言うと渡辺君は笑っている。
渡辺君は先輩から聞いていたらしい「立ち合いだけはやめとけ、妻を妻とみれなくなるぞ」って。
「で、それから誠司を作るまでセックスレスだ。どうして誠司を作る気になったのか気になってはいたんだがその理由もわかったよ」
自分の後継者が欲しかったんだな。と神奈は言う。
「愛莉はどうして赤ちゃん作る気になったの?」
花菜が聞く。
私は事情をそのまま伝えた。
「そんな軽いノリで作ったわけ!」
亜依が驚いていた。
「て、ことは愛莉は天音産んだ後も夜の営みは続いてたんだ?」
神奈が聞くと私はうなずいた。
「冬夜さん結構甘えてくるから」
「逃した魚はデカいって意味がよくわかるぜ!」
神奈が頭を抱える。
「私も主人が仕事で抜けられないから頑張れってメッセージ来ただけだった」
花菜が木元先輩を睨む。
「花菜、ごめんね。あの後現場所長には叱りつけておいたから」
晶が言う。
実際現場所長は田舎の現場に飛ばされたらしい。
それから木元先輩たちは異例の出世スピードで支店長になったらしい。
下手に現場に残すよりデスクワークをしてもらった方が被害が少ないと判断したんだろう。
「私は、亜依と一緒だな。同僚と勝手に出産祝いだって飲んでいたみたい」
穂乃果が言う。
せめて陣痛の時は一緒にいて欲しかった。
口をそろえて言う。
初めてのお産で心細くて不安な時くらい一緒にいてくれていいじゃないか。
冬夜さんはちゃんと付き添ってくれた。
後で「先輩から出産の恨みは死ぬまで忘れないって聞いたから」と笑っていたけど。
そんな理由でもちゃんと側にいてくれあ冬夜さんを嬉しく思う。
だから今でも上手くやっていけるんだ。
「だから冬夜の子供達はみんな真っ直ぐ育ったんだな」
渡辺君が言う。
子は親の背中を見て育つ。
私達が仲睦まじくやっているのに性格がひねくれるはずがない。
天音は困った子だけど言いつけはきちんと守る。
学校の校則も納得したらちゃんと守るようになった。
買い食いはしてるみたいだけど。
納得のいかないルールに従う理由はない。
そう思っているようだ。
そうして話していると朝になる。
カラオケ店を出るとみんな解散した。
私は神奈と帰ったけど。
「やっぱり体がきついわ。もう徹夜出来る歳じゃなーな」
神奈が言う。
「そうだね」
私の家の前で神奈と別れる。
「神奈気を付けてね」
「ああ、愛莉もおやすみ」
家に入るとリビングで寝ている冬夜さんがいた。
「冬夜さん、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまいますよ」
冬夜さんが起きる。
私が帰ってくるのを待っていたらしい。
もう無理が出来ないんだからそんなことしなくていいよ。
ベッドの中で私の話を聞いてくれるという。
私はシャワーを浴びて寝室に戻りベッドの中で冬夜さんに話をする。
そしていつの間にか眠っていく。
またはじまる次の物語まで。
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秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。
主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。
* ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。
* 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。
* 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。
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