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2ndSEASON
君へのギフト
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(1)
「じゃあ、今日は皆盛り上がってくれ。乾杯」
俺がそう言うと宴のはじまり。
如月リゾートホテルのホールを借りて年を越す
部屋も用意されてある。
如月翔太の招待という形でただで提供された。
もっとも小さな子供のいる冬夜達は欠席したが。
皆それぞれ役職について忙しいが、よほどのことがない限り集まってくれる。
そしてそれぞれ昔話や近況について話をする。
渡辺班は愛莉さんが妊娠すると募集を止めた。
次々と奥さんが妊娠して活動が困難になったため。
実際子供が大きくなるまで活動は休止していた。
今も古参のメンバー以外は活動していない。
月見里君は姫島で診療所を経営している為参加は難しい。
この歳になると開業する者も増えてきた。
渡辺班の親戚は比較的開業が容易だ。
地元銀行専務取締役の檜山先輩の口添えのお蔭だ。
地元銀行がだめでも江口銀行がある。
地元銀行も江口銀行に対抗するために必死だ。
融資だけじゃない、江口銀行は保険や資産運用などにも分野を広げている。
いわゆるメガバンクという奴だ。
世界各地にも支店を作っている。
もう渡辺班の領域は世界に広がっている。
如月空港も次々と路線を広げている。
路線バスへの進出も図っているらしい。
県知事に掛け合っている最中だ。
赤字路線の穴埋め、年々値上げされている運賃。
つけこむ隙はいくらでもある。
地元には交通機関が極端に少ない。
赤字路線という障壁がある。
民間事業が参入しづらいという部分もある。
道路ですら満足に作れずに変則的なインターなんかもあり、それが新しい事故を生み出す。
赤字だから新しい駅や路線を作らない。
路線が無いから利用が出来ない。
結果自動車での移動が増える。
渋滞ができる。
排ガス規制が難しい。
車の維持費、高騰するガソリン代を考えたらまだ交通機関を利用した方が安いのだが利用したくても路線がない。
そこに如月グループが着目した。
線路を新設する必要がないバスなら。
すでに、高速バス、観光バスは運営しているそうだ。
江口、志水、白鳥、如月。この4つのグループが地元経済の基盤となっているのは間違いない。
そしてそんなグループの重鎮が俺に挨拶に来る。
「先輩。今年もお世話になりました」
楠木晴斗がやってきた。
晴斗もすでに地元支社長という役職についている。
俺は何も世話してないけどな。
「晴斗も元気そうで何よりだ。子供は元気か?」
「ええ、今年も滑ってきたっす」
子供達も晴斗の影響を受けてアウトドア派になっているそうだ。
「渡辺先輩、お久しぶりです」
如月伊織が来た。
如月家は今勢いのある企業。
しかし4家とも親戚が特定の地域に密集している。
あそこはそんな高級住宅街というわけでも無いのに不思議だ。
「正志、今日は朝まで騒ぐんだろ?」
「大丈夫なのか?」
「正俊は寝たよ。沙理奈も茉里奈も起きてるつもりらしい」
親として容認していいのか?
「沙理奈も茉里奈もあのくらいの年頃って徹夜で勉強するもんだろ?勉強は良くて遊んだらダメって理屈は通らないよ」
そういう問題なのだろうか?
まあ、教育方針は美嘉に任せているから犯罪を犯さない限りは容認しているが。
「しかしとーや達も大変だな。あの年でまさか子供が増えるとは思っても見なかっただろ」
美嘉が言う。
時間が0時に近づく。
そして0時になるとステージでUSE所属のアーティストのライブが開かれる。
「こんな時間に騒いですまんな」
「大丈夫です、主人は迷惑ならキャンセルさせても構わないと豪語したらしいですから」
伊織さんが言う。
もはや何でもありな世界だな。
「渡辺君、来年はうちのテーマパークを使ってちょうだい。貸し切りにするわよ」
石原恵美さんが言う。
「まあ、年末に考えるよ」
「わかった、大晦日は全室キャンセルさせておくわ」
年末一日くらい客を入れなかったくらいでつぶれるような会社ならいつ潰しても問題ない。
恵美さんはそういう。
普通は大事なんだけどな。
まあ、ライブを楽しみながら俺たちは3時過ぎまで騒いで、そして寝た。
さすがにオールをするにはきつい歳になって来た。
歳には勝てないな。
朝みんなで春肥神社に初詣に行くと解散する。
子供たちは家に帰るとさすがに寝た。
俺も雑煮を食って寝る。
子供たちにお年玉を配った後に。
3が日の間に実家にも顔をみせておかないとな。
新年早々忙しい。
毎年そうなんだが。
目を覚ますと夕食の時間になっていた。
御節をつまみながら酒を飲む。
「紗理奈はそろそろ酒の飲み方覚えてもいいだろ?」
俺は全力で止めた。
たまに子供の教育をチェックしておかないと飛んでもないことになる。
ちなみにタバコは美嘉も許さなかった。
「調理師になるなら味覚と嗅覚は必須条件だ。それを狂わせるような真似はするんじゃない」
夕食を食べ終わると風呂に入る。
子供たちは部屋に行く。
「しかし、最初は私に育児なんてできるのかと思ったけどなんとかなるもんだな」
美嘉がビールを飲みながら言う。
「そうだな、変に性格がねじれてないだけ大したもんだ」
「もっと褒めてくれてもいいんだぜ」
「ああ、よくやってくれてると感謝してるよ、娘たちは店を継がせるのか?」
「2人ともそのつもりらしい、もちろん茉里奈には支店を用意してやるつもりだけど」
「正俊はどうなんだ?」
「正志に似たんだろうな。小学校の先生になるって頑張って勉強してるよ」
「そうか……」
こうして夜に子供達の近況を美嘉から聞く。
3人とも美嘉には何でも話すらしい。
「明日は実家に挨拶に行くから、今日は早めに寝るとしよう」
「ま、しょうがねえな。わかったよ」
そう言って美嘉は残ったビールを飲むと寝室に行く。
渡辺班の子供で多少問題はあれど非行に走ったという子供は聞いたことは無い。
皆親の背中を見て真っ直ぐ育っているんだろう。
ありがたい事だ。
そんな事を考えながら眠りについた。
(2)
今日は水奈達がきていた。
水奈達も誠司がいるから渡辺班の忘年会に出る事が出来ない。
だったら近所だし一緒に夕食でもと多田家を誘っていた。
「考えように寄っちゃ俺達幸せだよな。また夢を見る事が出来る」
水奈の父さんが父さんにからんでる。
もうあと何年かすれば冬吾もいよいよサッカークラブに入る年。
その話を水奈の父さんと父さんが話をしていた。
だけどまずはただ練習を始めるだけ。
技術面は問題ないからとにかく上級生と張り合える基礎体力を。
そんな話をしている。
年越しそばを食べる。
食べ終わる頃学達が来た。
水奈や天音が出かける準備をする。
僕も準備をする。
「気を付けて行っておいで」
父さんがそう言うと「行ってきます」と言って家を出る。
僕達は歩いて西寒田へと向かう。
「でも、私達も一緒でよかったの?」
天音が美希に聞いていた。
「どうせなら皆で言った方が楽しいでしょ?」
今更隠す仲でもないからと美希は言った。
学と美希の関係は良好のようだ。
それを示すかのように2人は今も手をつないで歩いている。
「冬休みが明けたらいよいよ入試シーズンだな」
やっぱり話題はそこに行くか。
「学も防府だっけ?」
「ああ、南高校でもよかったんだが」
やっぱり近い方がいいらしい。
クラスの連中がは殆どが防府を狙っているらしい。
光太と麗華は大区工業を選んだ。
光太は将来やりたい事をを見据えて、麗華はどこでもいいから光太と一緒でいいやと選んだそうだ。
大区はスポーツでも有名な高校。
バレー部の沢木兄弟は大区に進学するそうだ。
それぞれの道を行くクラスメートたち。
最後まで一緒にいる事が出来るのはどれだけいるんだろう?
最後は就職というカードを選ぶ時皆バラバラになる。
それでもSHという絆は守られているだろう。
父さん達のように。
神社につくと既に長蛇の列ができ上っている。
「あ、空達も来てたんだ」
麗華や光太たちと出会う。
まあ、うちの中学生なら皆ここにくるよな。
話ながら列は進んでいく。
そしてお参りを済ませると僕達は出店に向かう。
食べるだけ食べると帰る。
「じゃあ、俺美希を送って帰るから」
途中で学達と別れた。
僕も水奈を送って家に帰ると、部屋に戻って着替えて寝る。
寝る前に水奈にメッセージを送る。
「良い初夢みれるといいね」
「水奈、初夢は元旦の夜に見るものだって父さんが言ってた」
「こういう時がそうだねって一言いうだけでいいの!」
水奈に怒られた。
本気で怒ってるわけではないらしいけど。
「ごめん、じゃあ寝ようか」
「うん、おやすみ」
そうして僕達は眠った。
(3)
1月3日。
僕達は高塚に向かっていた。
僕は原稿用紙一杯に防府高校合格と書き綴った原稿用紙を持っている。
それを持って行くと祈願が叶うらしい。
ただの神頼みだ。
最後の悪あがきともいう。
その時間に過去問でも解いた方がいいんじゃないか?というものもいる。
だけど、過去問を少し解いたくらいで受験の結果がかわるなら、皆必死に24時間過去問を解いているだろう。
普段から勉強しておけば問題ない。
母さんは言う。
ただゲン担ぎくらいしてもいいでしょ。
こういう時だけ日本人は神様を頼るらしい。
神様も大変だな。
だが同じ考えの人は沢山いる。
少なくとも駐車場が満車で入れなくなるくらい。
結局は実力勝負なんだろうな。
駐車してお参りして出店で食べ物買って食べる。
帰りに日田によって日田焼きそばを食べる。
家に帰ると勉強する。
今年だけは特別だ。
時間を計って過去問を解いていく。
母さんに採点してもらう。
僕は国語が若干苦手だった。
数式や法則は覚えていればいい。
だが、国語の作文問題は解答例もあいまいでこれが正解というのがない。
母さんにコツを習う。
「まあ、空の実力なら国語で少々ポカやったくらいで慌てる点数ではないので大丈夫でしょう」
僕の点数は防府のボーダーラインなんて余裕でクリアしているのだから。
「ご飯準備するから休んでなさい」
そう言って母さんはキッチンに向かう。
その間水奈とメッセージをやり取りする。
最近、ゲームする時間よりも増えた。
「ご飯できましたよ」
母さんが呼んでいる。
僕はご飯を食べて風呂に入って再び勉強する。
23時ごろ母さんが夜食を作ってきてくれる。
キムチ雑炊だ。
それを食べると、勉強を再開する。
約束された未来とはいえ、やはり最後の悪あがきはしたくなる。
だって相手は皆そんな悪あがきをずっと続けて来た相手なんだ。
光太ですら勉強をしてるらしい。
そして眠くなって頭がぼーっとしてくるころ水奈からメッセージが来る。
「あんまり無理するなよ」
水奈も起きてたんだな。
「今から寝るよ、水奈も早く寝て」
「わかった。大丈夫、空は頑張ってるんだから神は見捨てない」
水奈が言う。
僕は神なんて信じない。
だって頑張ったら救われるなんて皆頑張ってるんだから皆救われるべきだ。
だけど現実はそんな優しものじゃない。
残酷な結果が待っているものだっている。
だからすべり止めを受ける。
ただ、運命というものは信じてる。
それは例え高校受験が失敗したとしてもそれも運命でその先に僕達への贈り物が待っている。
それは受け取った後に気付くものだと思う。
だから己の運命を悲観してはいけない
もし神がいるのだとしたらそれは残酷な運命と戦う者にだけ微笑むのだから。
眠れない夜は星をつかんで光を抱きしめる。
沸き上がる力が目覚める瞬間を見逃さない。
深い霧が例え道を鎖しても風を起こせばいい。
痛みはきっと強くなれる僕への贈り物。
どんな使命を背負ってるのかなんて解らなくていい。ただ前を向いていればいい。
「僕達は一つ」
魂に届いた声。つないだ手の温もりを炎に変え眠れない夜に誘う悪夢を焼き払う。
空を仰いで祈りを捧げよう。
生命守る精霊の声が響く。
眠れない夜は月に寄り添い月光に抱かれよう。
降り注ぐ力目覚める瞬間は見逃さないように。
深い霧が例え道を鎖しても描いた地図は思い出せる。
強くなれる僕への贈り物。
選ばれし者がここに集う。
また高校で新しい出会いが待っているのだろう。
中学校での最後の舞台が幕をあげようとしていた。
「じゃあ、今日は皆盛り上がってくれ。乾杯」
俺がそう言うと宴のはじまり。
如月リゾートホテルのホールを借りて年を越す
部屋も用意されてある。
如月翔太の招待という形でただで提供された。
もっとも小さな子供のいる冬夜達は欠席したが。
皆それぞれ役職について忙しいが、よほどのことがない限り集まってくれる。
そしてそれぞれ昔話や近況について話をする。
渡辺班は愛莉さんが妊娠すると募集を止めた。
次々と奥さんが妊娠して活動が困難になったため。
実際子供が大きくなるまで活動は休止していた。
今も古参のメンバー以外は活動していない。
月見里君は姫島で診療所を経営している為参加は難しい。
この歳になると開業する者も増えてきた。
渡辺班の親戚は比較的開業が容易だ。
地元銀行専務取締役の檜山先輩の口添えのお蔭だ。
地元銀行がだめでも江口銀行がある。
地元銀行も江口銀行に対抗するために必死だ。
融資だけじゃない、江口銀行は保険や資産運用などにも分野を広げている。
いわゆるメガバンクという奴だ。
世界各地にも支店を作っている。
もう渡辺班の領域は世界に広がっている。
如月空港も次々と路線を広げている。
路線バスへの進出も図っているらしい。
県知事に掛け合っている最中だ。
赤字路線の穴埋め、年々値上げされている運賃。
つけこむ隙はいくらでもある。
地元には交通機関が極端に少ない。
赤字路線という障壁がある。
民間事業が参入しづらいという部分もある。
道路ですら満足に作れずに変則的なインターなんかもあり、それが新しい事故を生み出す。
赤字だから新しい駅や路線を作らない。
路線が無いから利用が出来ない。
結果自動車での移動が増える。
渋滞ができる。
排ガス規制が難しい。
車の維持費、高騰するガソリン代を考えたらまだ交通機関を利用した方が安いのだが利用したくても路線がない。
そこに如月グループが着目した。
線路を新設する必要がないバスなら。
すでに、高速バス、観光バスは運営しているそうだ。
江口、志水、白鳥、如月。この4つのグループが地元経済の基盤となっているのは間違いない。
そしてそんなグループの重鎮が俺に挨拶に来る。
「先輩。今年もお世話になりました」
楠木晴斗がやってきた。
晴斗もすでに地元支社長という役職についている。
俺は何も世話してないけどな。
「晴斗も元気そうで何よりだ。子供は元気か?」
「ええ、今年も滑ってきたっす」
子供達も晴斗の影響を受けてアウトドア派になっているそうだ。
「渡辺先輩、お久しぶりです」
如月伊織が来た。
如月家は今勢いのある企業。
しかし4家とも親戚が特定の地域に密集している。
あそこはそんな高級住宅街というわけでも無いのに不思議だ。
「正志、今日は朝まで騒ぐんだろ?」
「大丈夫なのか?」
「正俊は寝たよ。沙理奈も茉里奈も起きてるつもりらしい」
親として容認していいのか?
「沙理奈も茉里奈もあのくらいの年頃って徹夜で勉強するもんだろ?勉強は良くて遊んだらダメって理屈は通らないよ」
そういう問題なのだろうか?
まあ、教育方針は美嘉に任せているから犯罪を犯さない限りは容認しているが。
「しかしとーや達も大変だな。あの年でまさか子供が増えるとは思っても見なかっただろ」
美嘉が言う。
時間が0時に近づく。
そして0時になるとステージでUSE所属のアーティストのライブが開かれる。
「こんな時間に騒いですまんな」
「大丈夫です、主人は迷惑ならキャンセルさせても構わないと豪語したらしいですから」
伊織さんが言う。
もはや何でもありな世界だな。
「渡辺君、来年はうちのテーマパークを使ってちょうだい。貸し切りにするわよ」
石原恵美さんが言う。
「まあ、年末に考えるよ」
「わかった、大晦日は全室キャンセルさせておくわ」
年末一日くらい客を入れなかったくらいでつぶれるような会社ならいつ潰しても問題ない。
恵美さんはそういう。
普通は大事なんだけどな。
まあ、ライブを楽しみながら俺たちは3時過ぎまで騒いで、そして寝た。
さすがにオールをするにはきつい歳になって来た。
歳には勝てないな。
朝みんなで春肥神社に初詣に行くと解散する。
子供たちは家に帰るとさすがに寝た。
俺も雑煮を食って寝る。
子供たちにお年玉を配った後に。
3が日の間に実家にも顔をみせておかないとな。
新年早々忙しい。
毎年そうなんだが。
目を覚ますと夕食の時間になっていた。
御節をつまみながら酒を飲む。
「紗理奈はそろそろ酒の飲み方覚えてもいいだろ?」
俺は全力で止めた。
たまに子供の教育をチェックしておかないと飛んでもないことになる。
ちなみにタバコは美嘉も許さなかった。
「調理師になるなら味覚と嗅覚は必須条件だ。それを狂わせるような真似はするんじゃない」
夕食を食べ終わると風呂に入る。
子供たちは部屋に行く。
「しかし、最初は私に育児なんてできるのかと思ったけどなんとかなるもんだな」
美嘉がビールを飲みながら言う。
「そうだな、変に性格がねじれてないだけ大したもんだ」
「もっと褒めてくれてもいいんだぜ」
「ああ、よくやってくれてると感謝してるよ、娘たちは店を継がせるのか?」
「2人ともそのつもりらしい、もちろん茉里奈には支店を用意してやるつもりだけど」
「正俊はどうなんだ?」
「正志に似たんだろうな。小学校の先生になるって頑張って勉強してるよ」
「そうか……」
こうして夜に子供達の近況を美嘉から聞く。
3人とも美嘉には何でも話すらしい。
「明日は実家に挨拶に行くから、今日は早めに寝るとしよう」
「ま、しょうがねえな。わかったよ」
そう言って美嘉は残ったビールを飲むと寝室に行く。
渡辺班の子供で多少問題はあれど非行に走ったという子供は聞いたことは無い。
皆親の背中を見て真っ直ぐ育っているんだろう。
ありがたい事だ。
そんな事を考えながら眠りについた。
(2)
今日は水奈達がきていた。
水奈達も誠司がいるから渡辺班の忘年会に出る事が出来ない。
だったら近所だし一緒に夕食でもと多田家を誘っていた。
「考えように寄っちゃ俺達幸せだよな。また夢を見る事が出来る」
水奈の父さんが父さんにからんでる。
もうあと何年かすれば冬吾もいよいよサッカークラブに入る年。
その話を水奈の父さんと父さんが話をしていた。
だけどまずはただ練習を始めるだけ。
技術面は問題ないからとにかく上級生と張り合える基礎体力を。
そんな話をしている。
年越しそばを食べる。
食べ終わる頃学達が来た。
水奈や天音が出かける準備をする。
僕も準備をする。
「気を付けて行っておいで」
父さんがそう言うと「行ってきます」と言って家を出る。
僕達は歩いて西寒田へと向かう。
「でも、私達も一緒でよかったの?」
天音が美希に聞いていた。
「どうせなら皆で言った方が楽しいでしょ?」
今更隠す仲でもないからと美希は言った。
学と美希の関係は良好のようだ。
それを示すかのように2人は今も手をつないで歩いている。
「冬休みが明けたらいよいよ入試シーズンだな」
やっぱり話題はそこに行くか。
「学も防府だっけ?」
「ああ、南高校でもよかったんだが」
やっぱり近い方がいいらしい。
クラスの連中がは殆どが防府を狙っているらしい。
光太と麗華は大区工業を選んだ。
光太は将来やりたい事をを見据えて、麗華はどこでもいいから光太と一緒でいいやと選んだそうだ。
大区はスポーツでも有名な高校。
バレー部の沢木兄弟は大区に進学するそうだ。
それぞれの道を行くクラスメートたち。
最後まで一緒にいる事が出来るのはどれだけいるんだろう?
最後は就職というカードを選ぶ時皆バラバラになる。
それでもSHという絆は守られているだろう。
父さん達のように。
神社につくと既に長蛇の列ができ上っている。
「あ、空達も来てたんだ」
麗華や光太たちと出会う。
まあ、うちの中学生なら皆ここにくるよな。
話ながら列は進んでいく。
そしてお参りを済ませると僕達は出店に向かう。
食べるだけ食べると帰る。
「じゃあ、俺美希を送って帰るから」
途中で学達と別れた。
僕も水奈を送って家に帰ると、部屋に戻って着替えて寝る。
寝る前に水奈にメッセージを送る。
「良い初夢みれるといいね」
「水奈、初夢は元旦の夜に見るものだって父さんが言ってた」
「こういう時がそうだねって一言いうだけでいいの!」
水奈に怒られた。
本気で怒ってるわけではないらしいけど。
「ごめん、じゃあ寝ようか」
「うん、おやすみ」
そうして僕達は眠った。
(3)
1月3日。
僕達は高塚に向かっていた。
僕は原稿用紙一杯に防府高校合格と書き綴った原稿用紙を持っている。
それを持って行くと祈願が叶うらしい。
ただの神頼みだ。
最後の悪あがきともいう。
その時間に過去問でも解いた方がいいんじゃないか?というものもいる。
だけど、過去問を少し解いたくらいで受験の結果がかわるなら、皆必死に24時間過去問を解いているだろう。
普段から勉強しておけば問題ない。
母さんは言う。
ただゲン担ぎくらいしてもいいでしょ。
こういう時だけ日本人は神様を頼るらしい。
神様も大変だな。
だが同じ考えの人は沢山いる。
少なくとも駐車場が満車で入れなくなるくらい。
結局は実力勝負なんだろうな。
駐車してお参りして出店で食べ物買って食べる。
帰りに日田によって日田焼きそばを食べる。
家に帰ると勉強する。
今年だけは特別だ。
時間を計って過去問を解いていく。
母さんに採点してもらう。
僕は国語が若干苦手だった。
数式や法則は覚えていればいい。
だが、国語の作文問題は解答例もあいまいでこれが正解というのがない。
母さんにコツを習う。
「まあ、空の実力なら国語で少々ポカやったくらいで慌てる点数ではないので大丈夫でしょう」
僕の点数は防府のボーダーラインなんて余裕でクリアしているのだから。
「ご飯準備するから休んでなさい」
そう言って母さんはキッチンに向かう。
その間水奈とメッセージをやり取りする。
最近、ゲームする時間よりも増えた。
「ご飯できましたよ」
母さんが呼んでいる。
僕はご飯を食べて風呂に入って再び勉強する。
23時ごろ母さんが夜食を作ってきてくれる。
キムチ雑炊だ。
それを食べると、勉強を再開する。
約束された未来とはいえ、やはり最後の悪あがきはしたくなる。
だって相手は皆そんな悪あがきをずっと続けて来た相手なんだ。
光太ですら勉強をしてるらしい。
そして眠くなって頭がぼーっとしてくるころ水奈からメッセージが来る。
「あんまり無理するなよ」
水奈も起きてたんだな。
「今から寝るよ、水奈も早く寝て」
「わかった。大丈夫、空は頑張ってるんだから神は見捨てない」
水奈が言う。
僕は神なんて信じない。
だって頑張ったら救われるなんて皆頑張ってるんだから皆救われるべきだ。
だけど現実はそんな優しものじゃない。
残酷な結果が待っているものだっている。
だからすべり止めを受ける。
ただ、運命というものは信じてる。
それは例え高校受験が失敗したとしてもそれも運命でその先に僕達への贈り物が待っている。
それは受け取った後に気付くものだと思う。
だから己の運命を悲観してはいけない
もし神がいるのだとしたらそれは残酷な運命と戦う者にだけ微笑むのだから。
眠れない夜は星をつかんで光を抱きしめる。
沸き上がる力が目覚める瞬間を見逃さない。
深い霧が例え道を鎖しても風を起こせばいい。
痛みはきっと強くなれる僕への贈り物。
どんな使命を背負ってるのかなんて解らなくていい。ただ前を向いていればいい。
「僕達は一つ」
魂に届いた声。つないだ手の温もりを炎に変え眠れない夜に誘う悪夢を焼き払う。
空を仰いで祈りを捧げよう。
生命守る精霊の声が響く。
眠れない夜は月に寄り添い月光に抱かれよう。
降り注ぐ力目覚める瞬間は見逃さないように。
深い霧が例え道を鎖しても描いた地図は思い出せる。
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中学校での最後の舞台が幕をあげようとしていた。
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