姉妹チート:RE

和希

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3rdSEASON

悪戯な運命

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(1)

「ガタガタうるせーんだよ!嫌なら守らなきゃいいだろ!」

無茶苦茶な持論を展開する天音。
天音にとって生徒総会なんてどうでもいい。
校則がいやなら破ればいい。
破ったところで内申点が傷つくだけだ。
そんなもん悪くたって成績が良ければどうにかなるのが世の中だ。
それにファッションなんて高校以上になれば好きにやれる。
プライベートの時に着飾ればいい。
買い食いしたけりゃ勝手にしろ。
いちいちコンビニに見張りに来る暇な教師なんていねーよ!
天音はそう語る。
天音にとって生徒総会が苦痛だった。
くだらない事で時間とらせるんじゃない!
昼休みの放送が退屈ならウォークマンでも持ってこい!
正論のように聞こえて校則というものを真っ向から否定する意見だった。
当然教師から指導が入る。

「黒髪だったら人を殺さないのか?私は染めてないけど喜一を殺したくてうずうずしてるぞ!」
「片桐は女の子なんだからもう少し言葉遣いを考えなさい」
「棺桶に案内して差し上げますとでも言えば納得するのか?」
「そういうことを言っているんじゃありません!」

喜一を殺すのに理由がいるかい?
SHの過激派はそう考えている。
だけどSHの中にだってルールがある。
光太や学が相互不干渉のルールを作った以上守らなければならない。
校則は破るけどグループのルールは守る。
法律もぎりぎり守っている。
今年の生徒会長・一ノ瀬律は頭を抱えていた。
副会長の私と相談していた。
一つずつ解決していこう。

「私に良い案があるんだけど?」

私は律達に提案した。

「どんな案だ?」

私は律達に耳打ちする。
律達は納得したようだ。

「琴葉の案でいこう」

律がマイクの前に立って答弁する。
まず手っ取り早いのが昼休みの放送。
ゲームのサントラが認められてロックが認められないのは確かにおかしい。
でも余り過激なメタル等を聞きながら給食を食べたくはない。
だからロックバンドでもバラードなら可能なように教師に打診する。
そう提案した。
生徒達はその提案を受け入れた。
次はスカートの丈だ。
律は言った

「スカートの下からショートパンツが見えるほどの長さ、男子目線から見てもみっともないから容認できない」

そんな状態でお洒落だと思ってる方が矛盾してる。
だからスカートなのだから膝にかかる程度が容認できる最低条件だ。
しかしそれを守らない生徒がたくさんいる。
それを男子がどういう目で見てるのか考えたことがあるのか?
それでも短くしたいなら私服でやれ。好きにすればいい。
男子も一緒だ。
今時変形学生服を着てみっともないと思わないのか?
腰パンや学ランの下にパーカーを着てだらしがないと思わないのか?
百歩譲って今は良いかもしれない。
だけど将来必ずルールを守れない奴は必要ないと自然に淘汰されていく時代が来る。
腰パンをしているサラリーマンがいるか?
パンツが見えるかもしれない長さのスカート穿いてるOLがいるか?
歩きたばこすら許されない世の中でしているのは学生だけだ。
それは学生だから許されるのではない、大目にみてもらえてるだけだ。
その証拠に面接になれば自分の個性なんてものは認められない。
最低限の常識を持ってないものは容赦なく切り捨てられる。
今はその訓練だ。
公の場とプライベートの場はきちんと分けるべきだ。
買い食いだってそうだ。

「不必要な金銭や貴金属は持って来てはならない」

その大前提のルールを破っている。
防犯の役に立つスマホの所持は授業中は使用しないという最低条件で認められるように交渉する。
だけど前提のルールを守らない上で買い食いという行為を認めることはできない。
不必要な金銭を持ち込むことはカツアゲや窃盗などの犯罪の温床になる。
実際にそういうトラブルが発生してる。
それは校則じゃない、法に抵触している。
最低限のルールを守れないのに改正しろと言われて出来るはずがない。

「学校はルールを守ることを学ぶ場所。犯罪者を養成する場所じゃない」

律が言う。
それが無くなれば最低限の金銭の持ち込みは許容してもらえるようにかけあう。
中学生になればもう13歳。
法を犯せば少年院に送致される。
自由を得る代わりにその行動に責任を取らなければならない。
校則は生徒を縛るものじゃない。
生徒を犯罪から守るための最低限のルールだ。
そして最低限のルールも守れないものが淘汰されていくのが高校以上。
義務教育という枠からはずされる。

「守れないのなら辞めてもらって結構」

そういう社会にいずれは足を踏み入れる。
律の答弁が終ると皆は黙ってしまった
生徒総会が終わった後も皆が校則を守っているわけじゃない。
だけどそれは個人の自由だ。
それがどんな形で自分に跳ね返ってくるのかはそいつが味わえば良い。
非常識な人間。
そんなレッテルを張られたら必ず後悔するときがくる。
生徒総会は例年に漏れず2時間を超えてしまった為、回答書を作成して配らなければならない。
そんな中こんな要望があった。
文化祭でライブがしたい。
文化祭のライブは志願者がいないためだいたい生徒会が楽器を練習して行っていた。
私達は審議した。
結果、過激なものじゃなければ手配すると回答した。
するとデモCDが渡される。
とても素敵な曲だった。
話を聞くと夏にはメジャーデビューするユニットらしい。
タダでそんなユニットのライブが聴ける。
反対する者はいなかった。

「しかし琴葉も生徒会役員が板についてきたね」

律が言う。
ちなみに今年は天音と大地が学級委員になった。
当然生徒総会の準備に天音達は駆り出された。
その結果、言う事を聞かない生徒に天音はキレた。

「てめーらの戯言に付き合うために休日返上したんじゃねーぞ!」

文句があるなら直接言え。
みんな平等に処刑してやる。
そんな事を言って生徒対生徒会は教師対天音に変わる。
私が生徒会役員。
そんな悪戯な運命が降りかかろうと私と律の繋がりあう想いは壊れはしなかった。

(2)

体育大会。
私は今日も駆り出された。
散々走らされた挙句、騎馬戦もさせられへとへとだった。
帰りにコンビニでから揚げとジュースを買って帰る。
冬莉はファッション雑誌をみて時間を潰してる。
空はまだ帰って来てない。
水奈の家庭教師にでかけたのだろう。
私は部屋にかえって着替えるとゲームをしていた。
しばらくすると空が帰ってくる。
空が着替えてダイニングに戻る頃夕食の時間だった。
夕食を終えると風呂に入って部屋に戻って寛いでいるとスマホが鳴る。
大地からだ。

「もしもし?」
「あ、夜分遅くごめん」
「いいよ、どうした?」
「明日からの2連休暇?」
「暇だけどどうした?」
「良かったらうちに泊まりに来ない?」

最近デート出来てなかったし。
生徒会の仕事は大体片付いた。
デートのお誘いか。

「わかった。で、どこに誘ってくれるんだ?」
「明日は夜パーティがあるんだ」
「分かった、で明後日は?」
「天音言ってただろ?バイキングに行きたいって」

覚えてくれてたんだな。

「いいよ」

どうせ家にいても暇だし。

「じゃあ、明日夕方迎えをよこすから」
「分かった」
「じゃあ、また」

電話を終えると愛莉たちに知らせる。
翌日仕度を済ませて部屋で遊んでいると大地の送迎が来た。
車はまっすぐ江口家へ向かう。
そしていつものパーティが始まる。
近頃は私にちょっかいを出してくるものは減って来た。
軽く挨拶をする程度だ。
それもだいたい大地が対応してくれる。
挨拶をそこそこ済ませると祈や繭達が来てるので話をする。
繭の妹の梓も来ているそうだ。
3人とも恋人がいた。
そして酒井家に関わったら関係を作られる。
逃れられることのできない悪戯な運命。
パーティが終ると大地の家に向かう。
次の日は振り替え休日だった。
昼頃まで寝ていて昼前にバイキングに向かう。
焼肉だけじゃない、ラーメンや寿司、ごはんにピラフに焼きそばにたこ焼きなど様々なものがある。
片っ端から食べる。
肉は新條さん……今は須田さんだった。が、焼いてくれる。
食事を終えると須田さんは少し回り道をして帰ってくれる。
今日は晴れてて海が綺麗だ。
海岸線沿いを走っていた。
ツーリングしているバイクとすれ違った。
バイクで旅も悪くないな。
でもやっぱり大地の車の助手席に座ってるのが一番かな?

「大地は将来車の免許とるのか?」
「そのつもりだよ」

地元で車の免許がないと移動手段がないに等しいから。

「大地はどんな車に乗るんだ?」
「天音に合わせるよ」
「私は自分で買うから大丈夫。大地はどんな車が好きなんだ?」
「ただのSUV車だよ」

大地の言った車種はただのSUV車ではなかった。
左ハンドルの外車だった。

「もちろん天音に助手席に座ってもらうつもりだよ」

それは楽しみだ。

「天音はどんなのに乗るの?」

私が乗るのは国産の白いスポーツカー。
中古車だけど走り回るならそれでいだろう。

「天音らしいね」

大地はそう言った。
車は家に着く。

「じゃ、また明日な」
「うん、また明日」

家に帰ると「ただいま~」と挨拶する。
冬吾達が「おかえり~」とやってくる。

「ちょっとお姉ちゃん着替えてくるから」

そう言って部屋に帰る。
その後夕食の時に聞いてみた。

「空は免許取るのか?」
「地元で免許ないと就職すらできないだろ?」

翼が答えた。

「どんな車に乗るんだ?」

空に聞いてみた。
空は大体決めてるらしい。
大型のSUV車。

「天音は決めてるの?」
「ああ、前に車の中古車の雑誌見て決めたんだ」

私が車種を言うとパパは笑っていた。
愛莉は「女性の乗る車じゃありません!」と怒っていたけど。
今は女性でも走り屋っているんだぞ?
それにただかっこよかったから欲しいだけ。

「天音なら危ない真似はしないよ」

パパがそう言って弁護してくれた。
パパの血を継いでるから危険な真似はしない。
パパはそう言っていた。
だけどそんな心配端からする必要ない。
私だって遊ぶ時は大地の隣に座ってるだけなのだから。
夕食が終ると風呂に入って部屋でくつろいでいた。
茜は車とか興味があるのか?と聞いてみた。

「特に車種は決めてないけど弄り甲斐のある車が良い」

色々弄りまわしたいらしい。
車の件らしい

「天音は良くやかましくて乗り心地の悪い車に乗る気になったね」
「かっこよかったからな」

茜が弄ってくれるだろうし。

「愛莉が心配してた。高校に入ったら単車に乗りたいなんて言い出すんじゃないかって」

私は笑っていた。

「そんなつもりはねーよ、大人しくバス通学にするよ」
「ならいいんだけど」

光太の通ってる高校は免許を取っただけで停学らしい。

「あんまり愛莉を心配させないほうがいいよ」
「それはいいんだけどさ、車庫大丈夫なのか?」

私も入れたら3台増えるんだぞ。
だけどそれは心配無用らしい。
空は高校卒業したら1人で生活を始めるらしい。

「天音も大地と同棲できると良いね」
「大地がその気になったらするよ」
「そっか。じゃ、おやすみ」

茜もPCから離れてベッドに入る。

「消さなくていいのか?」
「今ちょっと作業中だから。明日の朝には済んでる。じゃ、おやすみ」

そう言って茜も寝た。
私も寝るか。
大地と車で旅行か。
長崎にもう一度行ってみたいな。
今度は食べつくす!
そんな事を考えながら私も眠っていた。
望まれる明日がこの先にあると頭の奥で誰もが気づいてるはず。
例えこの身体がいくら燃え尽きても大地に捧ぐなら構わない。
いつか生まれ変わるこの世界がその目に届くと良いな。

(3)

「すごいな!空のお蔭だぞ!」

水奈の中間テストの点数は前年度の年末テストを大きく上回っていた。
僕はとりあえず安心した。
バイト代を貰っている以上、結果を残さなければならない。
最初に水奈の成績を見た時は絶望した。
そんな僕の表情を見て「やっぱりだめか?」と水奈も不安になったそうだ。
だけど、僕はあることに気付いた。
水奈の答案用紙を見てあることに気付いた。
間違え方はでたらめだった。
だけど正解しているところは模範解答の様に正確だった。
その差はなんだろう?
問題用紙を見てすぐに分かった。
水奈は成績は最悪だったが頭が悪いわけじゃない。

いい国作ろう鎌倉幕府。
鳴くよウグイス平安京。

誰でも聞いたことがあるだろう。
こう言う風に何かに紐づけされたものは、水奈はすぐに暗記する。
逆に数学の様にぱっと公式を出してこれにあてはめろと言ってもできない。
だから一つずつ紐づけしてやればいい。
これが公式!って押し付けるんじゃなくその仕組みをわかりやすく説明してあげる。
いい意味でも悪い意味でも水奈の暗記力は凄かった。
英語や国語にも共通する。
どうしてそうなの?という疑問点から解いてやればいい。
一つ解けたら褒めてやる。
そこからさらに次の理屈につなげていく。
中1の問題すら危うかった水奈の成績は見違えるほどに伸びた。
どうして僕にそんな事ができるのか?
簡単だよ。
翼や天音は全く逆だったから。

「そんなの見たらわかるじゃん?」

母さんに似たらしい。
理屈や過程をすっ飛ばして答えをだす。
天音はそれでも茜たちにレベルを合わせて教えていたけど翼は苦手だった。
だから自分で学習するしかなかった。
教科書を読んでるだけで大体理論は理解できる。
それだって立派なチートだと思うけど。
とにかく水奈の成績は上がった。
そのことに水奈の両親も驚いていた。

「これなら防府のボーダー超えてる」

担任のお墨付きをもらったらしい。

「ありがとな!空」
「僕だって水奈と高校生活送りたいからね」
「それなんだけど、私……空に迷惑かけてないか?」
「どうして?」
「だって、他の高校生組は放課後遊んでるじゃん。空だけ一人なんじゃないかって」

皆が遊んでいるのはSHのグループチャットを見れば分かる事だ。

「僕も毎日こうして水奈に会えてるから大丈夫だよ」
「それなんだけどさ……いつになったら私は誘ってもらえるんだ?」

何を?なんてことは聞かなかった。
大体わかるから。
水奈はじっと僕を見ている。
シャーペンをノートの上に置いて手を重ねてくる。
行くなら今だろ?って事くらい分かる。
だけど水奈の家だからあるイベントが発生する。

「誠!水奈の部屋に近づくなと何度言わせるんだ!」
「神奈は娘を男と一緒にしておいて何も思わないのか!?」
「空はもう高校生だ!好きにさせてやれ!っていつも言ってるだろ!」

そんな声が部屋の外から聞こえてきたら雰囲気なんてすぐに吹き飛ぶ。
その度に水奈はため息を吐いて「ごめん」という。

「やっぱり天音に先越されてくやしい?」
「空は悔しくないのか?」
「……高校にいって、大学にいって……そしたらいつか水奈と一緒にいられる」

そこまで待つ必要もない。
高校を卒業したら僕は一人暮らしを始めるから。
そしたらいつでも好きな時に水奈を呼べる。

「合鍵は水奈に渡そうと思ってるよ」

そう言ってやると水奈は嬉しそうに抱きついてくる。
水奈の勉強が終ると宿題を出してそして家に帰る。

「いつも勉強ばっかりでごめん」と水奈がメッセージを送ってくる。
「……たまにはデートでも行こうか?」と返してやる。
返事はすぐに返ってくる。
そんなやりとりをしながら僕は自分の勉強も進める。
僕だって大学入試に備えなければならない。
たった一つだけ歳が違うという悪戯な運命。
だけど水奈はいつもそばにいる。
想いは繋がっている。
どんな運命が降りかかろうとも壊れる事は無いだろう。
この体が燃え尽きるまで水奈に捧げよう。
いつか変る世界がその目に届くように。
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