姉妹チート:RE

和希

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3rdSEASON

光抱きしめる願い

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(1)

私と光太は湯布院に来ていた。
紅葉を見に行きたいというから。
途中鶴見山に寄った。
湯布院の紅葉はとても綺麗だった。
ただでさえ、温泉街、観光町としてにぎわっているのに今日は異常に人が集まっていた。
紅葉だけ見に来ただけじゃ寂しいからお店にも寄った。
光太は退屈そうだったけど買い物に付き合ってくれた。
買い物を終えると昼食を食べて来た道を変える
別府湾が見える光景はとても綺麗だった。
文化祭は無事行われた。
今は紅葉が綺麗だ。
それだけでいい。

「ねえ光太。一つ聞いてもいい?」
「どうした?」
「どうして湯布院だったの?」

紅葉ならもっと見頃のスポットあったんじゃないか?
せっかく足を手に入れたのに。
そんな質問に光太は振り向くと笑って答えた。
もちろん、信号で停止中に。

「あるけど、渋滞で混んでるし、それしかないだろ?」
「まあ、そうだけど二輪なら抜けられるでしょ?」
「麗華を乗せてるのにそんな真似できねーよ」

煽られたりしたら面倒だと光太は言う。

「それに、やっぱり彼女と行くデートスポットって言ったら湯布院だろ?」

まあ、地元ならそうなるだろう。
破局したいなら別府という手もあるが。

「あそこには車の免許取ったら行くよ」
「わかった」

地元に帰るといつものファミレスによって夕食にして家に送ってもらう。

「あのさ、前から気になってたんだけど」
「どうしたの?」
「本当に大区でよかったのか?麗華なら大学行くって選択肢もあったんじゃないのか?」

そんなことか。

「特に目的も夢もないのに大学行ってもしょうがないじゃん」

就職先も決まってる事だし、それなら迷う必要もない。

「それでももっと制服の可愛い高校とかあったんじゃないのか?」

大区のセーラー服は色からして地味だ。

「わたしに城科の制服着て欲しかった?」
「……まあ、着てほしくないって言ったら嘘になるな」
「残念でした。私短い丈のスカート嫌いなの」
「そっか」
「じゃ、また明日ね」
「ああ、またな。冬の間は寒いからバイクは辞めとくよ」
「そうね」

今日も大分冷えたし。

「またイルミでも見に行こうぜ、イブに」
「ええ、楽しみにしてる」

光太はそう言うと「じゃあ、また」と言って帰って行った。

「まだ高校生の娘があまり遅くまで遊んでるのは感心しないぞ」
「別にいいじゃない、どうせ来月も遅くなるんでしょ」

父さんとお母さんが言ってる。
父さんは遊ぶのが悪いと言ってるわけじゃない。
単に私が変なのに絡まれないか心配してるだけ。
光太がいるから大丈夫。
そういうと大体納得する。
母さんも別に子供に関心がないわけじゃない。
年頃なんだから好きに恋愛させてやれ。
取り戻す事が出来ない思い出になるから。
風呂に入ると部屋にもどる。
数学の嫌いな私が測量なんて面倒な科目がある建築科に入ったのが不思議なくらい恋愛という感情は不思議なものだ。
でもここまで一緒に来たんだ。
最後まで一緒にいよう。
きっと私達2人これから駆け抜けていく日々に意味があるのだから。

(2)

チャイムが鳴る。
皆シャーペンを机に置いて背伸びをする。
最後尾の席の人が答案用紙を集めていく。
期末考査が終った。
家に帰ってから着替える。
着替えたら水奈の家に行く。
水奈もそろそろ大詰めだ。
私立高校の入試を控えている。
水奈はもしもの時は天音と一緒の高校生活を過ごそうと思ったらしい。
私立の希望は桜丘にしておいた。
もちろん本命は僕と同じ防府高校。
水奈の実力は間違いなく伸びてる。
水奈の母さんにも礼を言われた。
僕と同じ学校に行きたいという気持ちが強く伝わってくる。
それは勉強にかこつけていちゃつきたいという気持ちを抑える程に強かった。
そんな必死さがあるから僕も出来る限りの努力をする。
過去問等を漁っては対策を練っていた。
週末は水奈の家に泊まっていく事もあった。
もちろん変な事はしていない。
どうしてだろうか?
娘を持つ親はみんなそうなんだろうか?
水奈のお父さんは水奈が行為をしている時の声が気になるらしくていつも聞き耳を立ててる。
それがわかるのは必ず水奈の母さんが怒鳴りつけて引きずっていく音がするから。
水奈は何かが起きるのを期待しているみたいで落ち込んでいる。
まあ、僕も水奈みたいな魅力的な女子をして変な気を起こす事もあるけどやっぱり親が気になる。
僕達の進展は精々抱き合って寝るくらいだ。
何もしてこない僕に水奈は自分に魅力がないのか?と不安を覚えるらしい。
そんな水奈に「大丈夫だよ」って伝える方法を模索していた。
次にあるイベントはクリスマスイブだ。
今年は水奈とイルミネーションを観に街に行こうと思ってる。
高校生だからと母さん達は許してくれた。
街で手頃な店を予約しておかなければならない。
忘年会とかも重なる時期で早めにとっておかないと取れなくなってしまう。
PCを見ながら店を選ぶ。
いい店を見つけると電話して予約する。
時間を潰していると母さんが夕飯が出来たと知らせる。
テレビを消してダイニングに向かう。
冬吾はもう一人でお風呂に入れるらしい。
僕が入った後に天音、茜とは言って冬吾、冬莉と続く。
風呂に入ると部屋に戻って寛ぐ。
スマホには水奈からのメッセージが入っていた。
水奈とメッセージをしながらテレビを見ていた。
日付が変わる頃そろそろ寝ようとベッドに入る。

(3)

夏休みが過ぎたころから変わった事。
空が帰った後も食事と風呂を済ませて勉強するようになった。
空が言ってた。

「人はそんなに長時間集中力を維持できない」

空の父さんから聞いたらしい。
だから1時間集中して15分休憩というのを繰り返す。
勉強している間は一切スマホを触らない。
休憩時間にスマホをチェックする。
空も察したのか私がメッセージするまで一切してこなくなった。

「彼女にかまってくれないの?」

たまにそんな意地悪をする。
困ってる空の顔を想像して一人で笑ってる。
ドアをノックする音が聞こえた。

「いいよ」

母さんが鍋焼きうどんを持ってきてくれた。

「水奈が必死に勉強する時がくるなんてな」

母さんは笑っていた。
夜食を終えると再び勉強を始める。
記憶ではなく理解を。
どうしてそうなるのかを考えてみよう。
今まで身につけてきた知識の中に必ずヒントが隠されているから。
どうしてもわからない時はメモしておけば次の日に空が教えてくれる。
難しい公式ばかりで拒絶していた数学も、空の一言で簡単にパズルが組み上がるように解けていく。
パズルを組み立てるような楽しみが詰まっていた。
他の科目も一緒だ。
毎日の積み重ねが明日を作る。
そう言う風にカリキュラムが組まれているんだそうだ。
空は色んな事を教えてくれる。
いきなり答えを示すようなことはしない。
一緒に悩んでさり気なくヒントを差し出して私を正解に導いてくれる。
月の導きなんてものがあるとしたら、私にとってそれは間違いなく空だ。
空の示す光を追いかけるだけ。
でもそれだけじゃだめだ。
いつか空の背中に追いつきたい。
空を思いっきり抱きしめたい。
私のたった一つの希望という名の光。
カレンダーをふと見た。
もう12月。
クリスマスプレゼント何がいいだろう?
高校生ともなればそれなりの物がいるだろうから。
父さんに聞いてみるかな?
嫌な予感しかしないけど……。

「そんなの簡単だ!」

先に言っておく。
こいつはビールを飲んでいた。

「リボンだよ!」
「リボン?」

空がリボンをつけてるところなんて見たくないぞ。

「そうじゃなくて水奈がリボンをつけるんだ」
「……どうして?」
「リボンをつけて『私をあげる』って……いてぇ!」

やっぱりそう言うオチか
聞いた相手をやっぱり間違えていた。
しかし他に誰に聞けばいいのやら……。
そんな私を見ていた母さんが私の部屋に連れていく。

「ずっと空を見ていて何か気づいたことないか?」
「気づいた事?」
「そうだ、どんな些細な事でもいい。水奈だって空の事をただぼーっとみてたわけじゃないだろ?」

私は空の事を思い出していた。
一つだけ思い当たる節があった……。

「マフラーがぼろぼろ……」
「……そういうことだ」

でもそんなのでいいの?
高校生だからもっとアクセサリーとか色々あるんじゃないのか?
靴も傷んでたみたいだし。

「水奈の小遣いの範囲内でいいんだ。空が普段そんな高そうなのつけてたか?」

私は首を振った。

「だろ?空の気持ちになって考えてやることが一番大事なんだ」

どうして最初に母さんに聞かなかったのだろう?

「今考えてるってことはクリスマスプレゼントか?」

母さんが言うと私はうなずいた。

「なら時間はあるな……手編みでもしてみるか?」
「私やったことない」
「大丈夫だ、初めてでも一週間あればなんとかなる」

母さんが明日一緒に毛糸を買いに行こうという。

「心配するな。空なら水奈の気持ちを分かってくれるよ」
「うん」

次の日母さんと毛糸を買いに行った。
空の好きそうな色を選んだ。
それは毎日見ていたから分かる。
いつか空の服も一緒に選んでやりたいな。
空はそういうのに全く拘りなさそうだし。
大方翼が選んでいたのを自分に似合った物だと思っているのだろう。
私がそれを変えてやる。
私の色に染めてあげる。
だから私をずっと見ていて欲しい。
その日から一目ずつ丁寧に編み込んでいった。
ずっと胸に抱いている光を織り込むように。
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