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3rdSEASON
車輪は廻る
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(1)
クリスマスパーティ。
今年も江口家に招待された。
大地のパートナーとして。
今年も大地はパーティドレスをプレゼントしてくれた。
私のプレゼントは単なる手編みのマフラー。
「凄く温かいよ。ありがとう」
大地はそう言って笑ってくれた。
この一年色々な事があった。
いつも大地に頼りっぱなしだ。
大地は中学生になってどんどん頼もしくなっていく。
「天音、何も食べなくてもいい?」
「それじゃ、何かつまもうかな」
こういう場でのマナーくらい身についた。
愛莉にも色々教えてもらった。
結構面倒くさいけど、大地に恥はかかせられない。
それなりの振る舞いをする。
とりあえずは食事をする前に大地のお爺さんに挨拶をする。
「そんなに固くなることは無いよ、大事な孫娘になるんだ。堂々としてなさい」
大地は少し困ってた。
お爺さんが他の客との挨拶に向かうと大地に囁く。
「私が嫁じゃ不満か」
「そ、そんな事無いけどまだ先の話だから」
「私はいつでもいいぞ」
なんなら大地が大学に行ったら同棲するか?
自分の生活費くらい稼げるから。
私がそう言うと大地は困っていた。
そんな大地を見てくすりと笑うと大地に言った。
「私の希望は伝えたつもりだ、大地も男だ。ちゃんと伝えてくれるのを待ってる」
「……ありがとう」
「天音ちゃんお久しぶり」
美希がやって来た。
今日は学は来ていない。
「もうしっかり場に馴染んでるみたいね」
「そう見えてるなら安心したよ」
もっとも毎月のようにパーティに呼ばれていたら慣れもする。
そして私に悪戯をする賓客もいなくなった。
それを大地のお爺さんが許さなかった。
もちろん大地のお母さんも。
「私の息子の大事な婚約者に何か用があるのかしら?」
大抵の奴はその一言でその場を去る。
パーティは立ち食い形式だ。
だからといって一つの更に大量に置いたり複数の料理を並べたりしては行けない。
料理一品につき皿一枚。
手間だけど仕方ない。
あまり大食いしてもみっともないかな?
ドリンクを飲む時は新しいグラスを取る。
同じグラスを使い回ししない。
私達の飲んでるのはグレープフルーツジュース。
炭酸飲料とかもあったけどゲップが出るのを用心した。
江口家は鷲見にあるけど来てる連中は大体がうちの中学校の校区の連中だ。
だから知り合いが多い。
江口家の親戚もいる。
同じ学校だった。
そんな奴らと談笑しているとパーティの終わりの時間が来る。
私達はここから先は同行できない。
大人たちで2次会に行く。
「大地、ちゃんとお送りするのよ」
大地の母さんが言った。
帰りの車の後部座席に乗ってゆったりと座る。
車にはワインセラーやカクテルキャビネットがついてる。
当然飲めない。
須田さんから注意が入る。
だけど飲めなくてもいい。
この不思議な空間が心地よかった。
大地が私をみて微笑んでる。
「私がどうかしたか?」
「天音がどんどん女性らしくなっていくのが嬉しくてね」
「これまでは女性らしくなかったて言うのか?」
少し意地悪な質問をしてみた。
「それが悪いとは言わない、そんな天音を好きになったんだから。ただ歳を重ねると女性らしさが増していくんだなって。今の天音は十分素敵だよ」
大地のやつこっそり飲んでるんじゃないのか?
こんな饒舌な大地初めて見た。
そして大地に認められたことが嬉しかった。
「ありがとう、大地も日毎に大きくなってるよ。もっと自信を持て」
それは私にも言える事だけど。
「努力するよ」
大地はそう言った。
22時を回ると私と大地は家に帰る。
「天音は忘年会に来るの?」
「いや、家で過ごすと思う」
「そっか、うちも行かないって言ってた」
「じゃ、次に会うのは来年だな」
「そうだね、初詣にでも行こうか?」
「たまには春肥神社でも行くか?」
もう中学生だし許してくれるだろ。
「わかった」
私の家の前に車は止まる。
「じゃ、おやすみ」
「大地も気を付けて帰れよ」
「ありがとう。それじゃあ」
大地の車が去っていくのを見ると私は家に入る。
「おかえりなさい」
愛莉が迎えてくれた。
「愛莉、大晦日春肥神社行ってもいいかな?」
「帰りはどうするの?」
「大地に送ってもらう」
「わかったわ。いいわよ」
その後着替えると風呂に入って部屋に戻る。
茜は壱郎とメッセージを交わしてるようだ。
私はベッドに横になると大地のメッセージを待った。
そしてやがてくる「ただいま、おやすみ」のメッセージを受け取ると「おやすみ」と返して眠りについた。
今年も残りわずか。
そして新しい年がやってくる。
年が明けたらあっという間に4月だ。
1年という単純なサイクルは私達は何度も繰り返す。
だけど全く同じ年ということは無い。
私たち自身が環境がかわっていくのだから。
私達に出来ることは迷うことなく進むだけ。
それが思い出という軌跡を描いて進むのだろう。
(2)
今夜はパーティ。
母さん、今年は茜も料理を手伝ったらしい。
沢山の料理が用意されていた。
父さん達はお酒を飲んでいる。
もちろん食べる事も忘れない。
料理を食べてケーキを食べてそして片付ける。
父さん達はテレビを見てる。
冬吾と冬莉は寝た。
僕も風呂に入ると部屋にジュースを持って上がってテレビを見る。
スマホを見ていた。
大晦日にSHの高校生組が春肥神社に行くらしい。
善明君達も行くそうだ。
僕達は遠慮した。
皆と会えないのは残念だけど家族と過ごすのと秤にかけて家族を選んだ。
あと2回しか一緒に過ごせないのだから。
友達と年を越す、そう言う遊びは高校卒業するまで取っておこう。
クリスマス特番が終る頃天音が帰って来た。
また新しいドレスを大地に買ってもらったらしい。
もうすぐ今年が終る。
すると皆一年を振り返る。
だけど僕達学生はまだ終わっていない。
3学期が残っている。
特番が終るとネットの動画サイトを見る。
サンタの姿をしたバイクに乗った人が街の中を走っている。
こんな人達もいるんだな。
地元では紫やら黒やら白やらの特攻服を着た暴走族が走り回っている。
きっと大晦日も走っているんだろう。
寒くないのだろうか?
動画を見終わると僕はPCをシャットダウンして、眠りにつく。
暁の車を見送って、オレンジの花びらが今もどこかで揺れている。
いつか見た安らかな夜明けをもう一度手にするまで灯し日は消えずに車輪は廻る。
(3)
神奈と水奈が作った料理を食べながら酒を楽しんでいた。
誠司は相変わらず落ち着きがなくて神奈が注意してる。
料理が粗方片付くと二人は片づけをする。
その間の誠司の面倒を俺が見る。
誠司は小学生になると同時にサッカーチームに参加させようと思ってる。
冬夜の子供、冬吾も同じチームに入るようだ。
桜子の従兄が監督をやっている那奈瀬のチームに入れる。
すでに二人のプレイは体験で見てもらっている。
そのうえで俺と冬夜の意思を伝えた。
監督にはしっかり伝わったようだ。
それにしても二人には驚かされた。
軽い体験で練習に混ぜてもらったが小学校6年生も混ざっているチームの中で誠司は隙間を縫うようなパスを出し、そして冬吾はそれを受け取りシュートを決める。
冬夜と冬吾の違いはやはりボールコントロールにあった。
冬夜はドリブルすることを嫌っていたが冬吾は積極的にドリブルをする。
自分にマークが集まれば出来たスペースをすぐに見つけてボールを送る。
同級生の高久隼人君と3人で幾つものトライアングルを形成し攻撃を仕掛ける。
冬吾のプレイスタイル、ドリブル技術、パスやシュートの精度、挙句の果てには無回転シュート、何よりその意外性のあるプレイは一瞬で観客を虜にする。
近年ファンタジスタと言う言葉が使われなくなったが、冬吾のプレイはまさにファンタジスタだろう。
そして誠司は見事に冬吾を使いこなし、高久君も冬吾のプレイに応える。
監督の佐倉祐翔も感心していた。
3人が入ったらすぐにでもユニフォームを与えたいくらいだと言う。
しかし3人の将来を考えたらそれは避けるべきだ。
無理に試合に出して取り返しのつかない負傷をしたら一生を棒に振ることになる。
監督も理解を示してくれた。
那奈瀬のチームにいる間は試合には使わない。
とにかく体力を養う。
そう約束してくれた。
その後は俺の出番だ。
冬吾と誠司に教えることは試合に勝つことじゃない。
まずはサッカーを楽しむこと。
すでにそれを2人とも知っているがチームでサッカーするという意味を理解していない。
それを教えてやらなければならない。
小学生の間は2人の準備期間。
2人の才能は確かなものだ。
それを磨き上げる事に専念したいと思っている。
まだ当分先の話だけど。
子供の将来を考えるのは楽しい。
子供を授かりし親の特権だろう。
今日は気分が良かった。
「おい、もうそろそろ風呂に入れ」
神奈が言うので風呂に入った。
そしてリビングでニュースを見ながらビールを飲んでいた。
神奈もソファに座るとビールを開けた。
「今日はやけに気分がよさそうじゃないか」
神奈が言う。
確かに気分がいい。
その理由を神奈に話す。
「水奈の事も忘れてやるなよ」
神奈がそう言う。
「水奈はもう自分の将来を決めてるんだろ?本当はモデルにしたいくらいだが」
「確かにUSEにいれたらすぐにモデルにでもなれるだろうな」
神奈が賛同した。
「だけど、モデルって色んな所に行かなきゃいけないだろ?」
「……空と離れるのが辛いって事か?」
「今だって歳の差で一緒にいられる時間が少ない。大人になったら一緒にいたい。そう思ってるらしい」
「なるほどな」
「水奈のやつ言ってたよ。空が大学に通って一人暮らしを始めたらいつでも遊びに来いって言われたそうだ」
とても嬉しそうに話してたそうだ。
「なあ、神奈」
「どうした?」
「その時俺はどうしたらいい?」
父親としてどうしてやればいい?
「精一杯温かい目で見守ってやれ。そしてその先の未来が来たらお前の仕事は終わりだ。あとは空に任せたらいい」
「……もう一本飲んでもいいか?」
「まだ感動するのは早いぞ」
神奈はそう言ってビールを渡してくれた。
冬夜もそんな日が来ることを分かっているのだろうか?
もう子供たちにしてやれることはあとわずかとなっている。
自分たちの将来に向かって巣立っていく子供たちを見守る事。
それが親の最後の務め。
「そろそろ寝ようか。明日は練習あるんだろ?」
「そうだな」
俺は今でも沢山の子供達を見守っている。
やがてプロへの狭き門を通っていく子供たちを見守っている。
学校生活という青春時代をサッカーに捧げて来た子供達。
皆夢が叶えば良い。
叶うように導いてやる事が俺の仕事だった。
躓いても敢えて手を出さない。
自分の力で立ち上がることを教える。
その意味を今噛みしめていた。
(4)
「じゃあ、皆今年もお疲れ様。精一杯楽しんでくれ」
俺がそう言うと宴が始まった。
IME所属のミュージシャンのライブが始まる。
USEの芸能界での影響力は年々強まっている。
支社も各地に作ったそうだ。
そして今年IME初のミュージシャンがデビューした。
如月グループや白鳥グループも負けていない。
新事業を展開しながら既存の企業も拡大している。
白鳥カンパニー地元支社長に就任した楠木晴斗が挨拶に来た。
「渡辺先輩お疲れ様っす。来年もよろしくっす」
「仕事の方はどうだ?晴斗」
「難しい事はよくわかんないので春奈と相談してるっす」
「なるほどな。お前の娘の来年受験だったか?」
「ええ、防府に行くってきめてるらしいっす」
「うちの娘は桜丘に行くらしい」
「店を継ぐんですね」
「みたいだな」
今日は冬夜や誠は来てない。
子供の世話で手一杯だそうだ。
他にも来てないやつは沢山いたがそれでも人数は多かった。
今年は去年言われた通り酒井リゾート・フォレストを貸し切ってパーティをしていた。
昼間は子供たちが遊園地で遊んでいる中俺達はゴルフなどを楽しんでいた。
中にはまだ小さな子供もいたが上は高校生がいるので面倒を任せても大丈夫だった。
そして酒井リゾートフォレスト内になる如月リゾートホテルで宴会は行われている。
如月グループは観光・交通網・ホテル部門に特化し、白鳥グループは飲食店の経営に特化していった。
江口グループと志水グループはジャンルに構うことなく通信事業、製造部門、ソフトウェアの開発など手掛けていない分野をあげた方が早いほど分野を広げている。
酒井フーズは農家や漁師などと専属契約をして新鮮な食材を提供しているらしい。
提供先は酒井グループ、白鳥グループの飲食店が主だった。
酒井グループは米などの品種改良にも手を出しているそうだ。
自社のブランド米を作る。
そう意気込んでいる。
渡辺班に所属していれば就職に困ることは無い。
開業しても冬夜がしっかり経営を管理してくれる。
冬夜も仕事が増える一方で困ってるそうだ。
冬夜の会社にも社員がいる。
社員が独立したいと言えばサポートしてやってる。
その事を恵美さん達に話すと顧客を紹介してくれる。
税理士は独立する際自分の顧客を引き抜くことは禁じられている。
だから新しく顧客を作る必要がある。
そして恵美さんは文字通り顧客となる会社を作っていた。
もちろん、美嘉たちのように親戚に独立開業したいと申し出る者もいる。
そんな人達も紹介してやってるそうだ。
渡辺班の皆が俺に挨拶にやってくる。
冬夜がいないなら当然そうなるのだろう。
挨拶が一通り済む頃には時間は23時55分にかかっていた。
ライブが中断し、MCが始まる。
そして59分になるとカウントが始まる。
新しい年が明けた時花火があがる。
「あけましておめでとう」
皆が挨拶する。
ライブが再開される。
3時頃になると皆部屋にもどる。
子供達も眠る。
今年も色々あるだろう。
子供たちの受験もそうだが。
皆次々と出世している。
独立したものも成功している。
誠のように一線を退くものもいる。
朝になると皆起きて朝食を食べる。
食べ終わると解散していく。
「そっちは順調か?」
俺は月見里秋空に声をかけていた。
月見里は姫島で小さな診療所を開いていた。
1人遠方にいるので年一回ある忘年会には必ず奥さんのつばめさんと一緒に参加している。
「お陰様で順調です。子供も来年には中学生です」
「そうか、大変だろうが頑張ってな」
「はい」
そう言って二人は帰って行く。
俺達も帰ることにした。
帰りに神社に初詣に寄る。
今年も良い一年でありますように。
そう祈って帰った。
(5)
今夜は水奈が遊びに来ていた。
初詣に一緒に行こうという事で。
毎年ある歌番組を見ている。
どういう勝敗基準なのかよくわからない番組。
なぜか視聴率が40%を超えている人気番組。
他に見るのもないのでたまには歌番組でもいいかと水奈と二人で見ていた。
天音は大地が迎えに来ると初詣に出かけた。
僕達は年が明けたら西寒田にでも行こうかと話をしている。
茜と純也は数日前からハワイに行ってる。
歌番組もトリが歌いだすころ母さんが「蕎麦出来ましたよ」という。
僕達は部屋を出る。
そばを食べながらリビングのテレビで歌番組を見ている。
歌番組が終わってゆく年くる年が始まる頃微かに聞こえてくる除夜の鐘。
そして年が明けると皆で挨拶する。
「あけましておめでとう」
挨拶をしてお年玉をもらうと僕達は初詣に出かけた。
自転車をこいでいく。
そして適当な場所に自転車を置いて列に並ぶ。
挨拶を済ませて4人で話をしながら列を進んでいく。
お参りを済ませると出店で食べものを買って食べる。
食べ終わると水奈を家に送って家に帰る。
「今年はどんな1年になるかな?」
水奈からメッセージが届いた。
「とりあえずは水奈は受験だね」
「大丈夫かな?」
「僕が保証する」
「ミスは出来ないな」
「いつも通りでいいんだよ」
適度な緊張は必要だけど過度な緊張はミスを呼ぶ。
水奈は十分頑張った。
きっと大丈夫だと伝える。
「ありがとう、あっという間だったな」
「そうだね」
でも、年が明けてからの3か月はスピードが異常に早い。
卒業というシーズンも迎える。
だけどその翌月には入学という出会いが待っている。
運命の車輪は止まることは無い。
ひたすら回り続ける。
ぼーっとしていたらあっという間に1年なんて経ってしまう。
「私ももう卒業か」
「そうだね」
「そしたら空とまた一緒だな」
「水奈が高校生になったら僕も一度やってみたい事があるんだ」
「なんだそれ?」
「制服デート」
高校の周りには飲食店が沢山あるけど、バイトがあるからあまり寄ってない。
それに一人で行くのもなんか寂しい。
水奈と一緒に行ってみたい
そんな気持ちを水奈に打ち明けていた。
「私はそんなに食べられないぞ?」
「食べるだけじゃなくて一緒に帰るだけでもいい」
近所にはSAPというアミューズメント施設だってある。
水奈と一緒ならどこでもいいよ。
そんな夢を語っていた。
「私の役割は空の夢をかなえる事。頑張るよ」
「夢は終わらないよ。物語が終るその日まで」
物語はここで終わりじゃない。
この先もずっと続く。
だからずっと夢を見続けよう。
水奈と一緒に夢を探そう。
どこで終わるのかなんて誰も知らない。
ただ今の僕達に言えることは唯一つ。
何が有ろうと僕達はずっと一緒だ。
家に帰ると皆寝静まっていた。
部屋に戻り着替える。
この日だけはテレビは深夜もやっていた。
音楽番組の特番だ。
あまり興味ないし疲れたので寝る。
そして朝目を覚ますとご飯を食べる。
天音がいない。
夜更かしし過ぎたようだ。
母さんに叱られながらも「まだ眠いから寝させて」と言って寝ていた。
天音が起きてきたのは昼頃。
まだ眠そうな天音に渡されるお年玉。
母さん達は宇佐神宮にお参りに行った。
天音は夕方まで寝てた。
僕達は部屋でテレビを見ながら時間を潰した。
夜父さん達が帰ってくると夕食を食べる。
片づけをして風呂に入ると部屋で時間を潰す。
冬休み最後の日にSAPに集まろう。
そんなメッセージが飛んできた。
僕達の絆はまだ終わっていない
これからも回り続ける。
ずっと走り続ける。
運命というキセキをなぞって進んでいくんだ。
クリスマスパーティ。
今年も江口家に招待された。
大地のパートナーとして。
今年も大地はパーティドレスをプレゼントしてくれた。
私のプレゼントは単なる手編みのマフラー。
「凄く温かいよ。ありがとう」
大地はそう言って笑ってくれた。
この一年色々な事があった。
いつも大地に頼りっぱなしだ。
大地は中学生になってどんどん頼もしくなっていく。
「天音、何も食べなくてもいい?」
「それじゃ、何かつまもうかな」
こういう場でのマナーくらい身についた。
愛莉にも色々教えてもらった。
結構面倒くさいけど、大地に恥はかかせられない。
それなりの振る舞いをする。
とりあえずは食事をする前に大地のお爺さんに挨拶をする。
「そんなに固くなることは無いよ、大事な孫娘になるんだ。堂々としてなさい」
大地は少し困ってた。
お爺さんが他の客との挨拶に向かうと大地に囁く。
「私が嫁じゃ不満か」
「そ、そんな事無いけどまだ先の話だから」
「私はいつでもいいぞ」
なんなら大地が大学に行ったら同棲するか?
自分の生活費くらい稼げるから。
私がそう言うと大地は困っていた。
そんな大地を見てくすりと笑うと大地に言った。
「私の希望は伝えたつもりだ、大地も男だ。ちゃんと伝えてくれるのを待ってる」
「……ありがとう」
「天音ちゃんお久しぶり」
美希がやって来た。
今日は学は来ていない。
「もうしっかり場に馴染んでるみたいね」
「そう見えてるなら安心したよ」
もっとも毎月のようにパーティに呼ばれていたら慣れもする。
そして私に悪戯をする賓客もいなくなった。
それを大地のお爺さんが許さなかった。
もちろん大地のお母さんも。
「私の息子の大事な婚約者に何か用があるのかしら?」
大抵の奴はその一言でその場を去る。
パーティは立ち食い形式だ。
だからといって一つの更に大量に置いたり複数の料理を並べたりしては行けない。
料理一品につき皿一枚。
手間だけど仕方ない。
あまり大食いしてもみっともないかな?
ドリンクを飲む時は新しいグラスを取る。
同じグラスを使い回ししない。
私達の飲んでるのはグレープフルーツジュース。
炭酸飲料とかもあったけどゲップが出るのを用心した。
江口家は鷲見にあるけど来てる連中は大体がうちの中学校の校区の連中だ。
だから知り合いが多い。
江口家の親戚もいる。
同じ学校だった。
そんな奴らと談笑しているとパーティの終わりの時間が来る。
私達はここから先は同行できない。
大人たちで2次会に行く。
「大地、ちゃんとお送りするのよ」
大地の母さんが言った。
帰りの車の後部座席に乗ってゆったりと座る。
車にはワインセラーやカクテルキャビネットがついてる。
当然飲めない。
須田さんから注意が入る。
だけど飲めなくてもいい。
この不思議な空間が心地よかった。
大地が私をみて微笑んでる。
「私がどうかしたか?」
「天音がどんどん女性らしくなっていくのが嬉しくてね」
「これまでは女性らしくなかったて言うのか?」
少し意地悪な質問をしてみた。
「それが悪いとは言わない、そんな天音を好きになったんだから。ただ歳を重ねると女性らしさが増していくんだなって。今の天音は十分素敵だよ」
大地のやつこっそり飲んでるんじゃないのか?
こんな饒舌な大地初めて見た。
そして大地に認められたことが嬉しかった。
「ありがとう、大地も日毎に大きくなってるよ。もっと自信を持て」
それは私にも言える事だけど。
「努力するよ」
大地はそう言った。
22時を回ると私と大地は家に帰る。
「天音は忘年会に来るの?」
「いや、家で過ごすと思う」
「そっか、うちも行かないって言ってた」
「じゃ、次に会うのは来年だな」
「そうだね、初詣にでも行こうか?」
「たまには春肥神社でも行くか?」
もう中学生だし許してくれるだろ。
「わかった」
私の家の前に車は止まる。
「じゃ、おやすみ」
「大地も気を付けて帰れよ」
「ありがとう。それじゃあ」
大地の車が去っていくのを見ると私は家に入る。
「おかえりなさい」
愛莉が迎えてくれた。
「愛莉、大晦日春肥神社行ってもいいかな?」
「帰りはどうするの?」
「大地に送ってもらう」
「わかったわ。いいわよ」
その後着替えると風呂に入って部屋に戻る。
茜は壱郎とメッセージを交わしてるようだ。
私はベッドに横になると大地のメッセージを待った。
そしてやがてくる「ただいま、おやすみ」のメッセージを受け取ると「おやすみ」と返して眠りについた。
今年も残りわずか。
そして新しい年がやってくる。
年が明けたらあっという間に4月だ。
1年という単純なサイクルは私達は何度も繰り返す。
だけど全く同じ年ということは無い。
私たち自身が環境がかわっていくのだから。
私達に出来ることは迷うことなく進むだけ。
それが思い出という軌跡を描いて進むのだろう。
(2)
今夜はパーティ。
母さん、今年は茜も料理を手伝ったらしい。
沢山の料理が用意されていた。
父さん達はお酒を飲んでいる。
もちろん食べる事も忘れない。
料理を食べてケーキを食べてそして片付ける。
父さん達はテレビを見てる。
冬吾と冬莉は寝た。
僕も風呂に入ると部屋にジュースを持って上がってテレビを見る。
スマホを見ていた。
大晦日にSHの高校生組が春肥神社に行くらしい。
善明君達も行くそうだ。
僕達は遠慮した。
皆と会えないのは残念だけど家族と過ごすのと秤にかけて家族を選んだ。
あと2回しか一緒に過ごせないのだから。
友達と年を越す、そう言う遊びは高校卒業するまで取っておこう。
クリスマス特番が終る頃天音が帰って来た。
また新しいドレスを大地に買ってもらったらしい。
もうすぐ今年が終る。
すると皆一年を振り返る。
だけど僕達学生はまだ終わっていない。
3学期が残っている。
特番が終るとネットの動画サイトを見る。
サンタの姿をしたバイクに乗った人が街の中を走っている。
こんな人達もいるんだな。
地元では紫やら黒やら白やらの特攻服を着た暴走族が走り回っている。
きっと大晦日も走っているんだろう。
寒くないのだろうか?
動画を見終わると僕はPCをシャットダウンして、眠りにつく。
暁の車を見送って、オレンジの花びらが今もどこかで揺れている。
いつか見た安らかな夜明けをもう一度手にするまで灯し日は消えずに車輪は廻る。
(3)
神奈と水奈が作った料理を食べながら酒を楽しんでいた。
誠司は相変わらず落ち着きがなくて神奈が注意してる。
料理が粗方片付くと二人は片づけをする。
その間の誠司の面倒を俺が見る。
誠司は小学生になると同時にサッカーチームに参加させようと思ってる。
冬夜の子供、冬吾も同じチームに入るようだ。
桜子の従兄が監督をやっている那奈瀬のチームに入れる。
すでに二人のプレイは体験で見てもらっている。
そのうえで俺と冬夜の意思を伝えた。
監督にはしっかり伝わったようだ。
それにしても二人には驚かされた。
軽い体験で練習に混ぜてもらったが小学校6年生も混ざっているチームの中で誠司は隙間を縫うようなパスを出し、そして冬吾はそれを受け取りシュートを決める。
冬夜と冬吾の違いはやはりボールコントロールにあった。
冬夜はドリブルすることを嫌っていたが冬吾は積極的にドリブルをする。
自分にマークが集まれば出来たスペースをすぐに見つけてボールを送る。
同級生の高久隼人君と3人で幾つものトライアングルを形成し攻撃を仕掛ける。
冬吾のプレイスタイル、ドリブル技術、パスやシュートの精度、挙句の果てには無回転シュート、何よりその意外性のあるプレイは一瞬で観客を虜にする。
近年ファンタジスタと言う言葉が使われなくなったが、冬吾のプレイはまさにファンタジスタだろう。
そして誠司は見事に冬吾を使いこなし、高久君も冬吾のプレイに応える。
監督の佐倉祐翔も感心していた。
3人が入ったらすぐにでもユニフォームを与えたいくらいだと言う。
しかし3人の将来を考えたらそれは避けるべきだ。
無理に試合に出して取り返しのつかない負傷をしたら一生を棒に振ることになる。
監督も理解を示してくれた。
那奈瀬のチームにいる間は試合には使わない。
とにかく体力を養う。
そう約束してくれた。
その後は俺の出番だ。
冬吾と誠司に教えることは試合に勝つことじゃない。
まずはサッカーを楽しむこと。
すでにそれを2人とも知っているがチームでサッカーするという意味を理解していない。
それを教えてやらなければならない。
小学生の間は2人の準備期間。
2人の才能は確かなものだ。
それを磨き上げる事に専念したいと思っている。
まだ当分先の話だけど。
子供の将来を考えるのは楽しい。
子供を授かりし親の特権だろう。
今日は気分が良かった。
「おい、もうそろそろ風呂に入れ」
神奈が言うので風呂に入った。
そしてリビングでニュースを見ながらビールを飲んでいた。
神奈もソファに座るとビールを開けた。
「今日はやけに気分がよさそうじゃないか」
神奈が言う。
確かに気分がいい。
その理由を神奈に話す。
「水奈の事も忘れてやるなよ」
神奈がそう言う。
「水奈はもう自分の将来を決めてるんだろ?本当はモデルにしたいくらいだが」
「確かにUSEにいれたらすぐにモデルにでもなれるだろうな」
神奈が賛同した。
「だけど、モデルって色んな所に行かなきゃいけないだろ?」
「……空と離れるのが辛いって事か?」
「今だって歳の差で一緒にいられる時間が少ない。大人になったら一緒にいたい。そう思ってるらしい」
「なるほどな」
「水奈のやつ言ってたよ。空が大学に通って一人暮らしを始めたらいつでも遊びに来いって言われたそうだ」
とても嬉しそうに話してたそうだ。
「なあ、神奈」
「どうした?」
「その時俺はどうしたらいい?」
父親としてどうしてやればいい?
「精一杯温かい目で見守ってやれ。そしてその先の未来が来たらお前の仕事は終わりだ。あとは空に任せたらいい」
「……もう一本飲んでもいいか?」
「まだ感動するのは早いぞ」
神奈はそう言ってビールを渡してくれた。
冬夜もそんな日が来ることを分かっているのだろうか?
もう子供たちにしてやれることはあとわずかとなっている。
自分たちの将来に向かって巣立っていく子供たちを見守る事。
それが親の最後の務め。
「そろそろ寝ようか。明日は練習あるんだろ?」
「そうだな」
俺は今でも沢山の子供達を見守っている。
やがてプロへの狭き門を通っていく子供たちを見守っている。
学校生活という青春時代をサッカーに捧げて来た子供達。
皆夢が叶えば良い。
叶うように導いてやる事が俺の仕事だった。
躓いても敢えて手を出さない。
自分の力で立ち上がることを教える。
その意味を今噛みしめていた。
(4)
「じゃあ、皆今年もお疲れ様。精一杯楽しんでくれ」
俺がそう言うと宴が始まった。
IME所属のミュージシャンのライブが始まる。
USEの芸能界での影響力は年々強まっている。
支社も各地に作ったそうだ。
そして今年IME初のミュージシャンがデビューした。
如月グループや白鳥グループも負けていない。
新事業を展開しながら既存の企業も拡大している。
白鳥カンパニー地元支社長に就任した楠木晴斗が挨拶に来た。
「渡辺先輩お疲れ様っす。来年もよろしくっす」
「仕事の方はどうだ?晴斗」
「難しい事はよくわかんないので春奈と相談してるっす」
「なるほどな。お前の娘の来年受験だったか?」
「ええ、防府に行くってきめてるらしいっす」
「うちの娘は桜丘に行くらしい」
「店を継ぐんですね」
「みたいだな」
今日は冬夜や誠は来てない。
子供の世話で手一杯だそうだ。
他にも来てないやつは沢山いたがそれでも人数は多かった。
今年は去年言われた通り酒井リゾート・フォレストを貸し切ってパーティをしていた。
昼間は子供たちが遊園地で遊んでいる中俺達はゴルフなどを楽しんでいた。
中にはまだ小さな子供もいたが上は高校生がいるので面倒を任せても大丈夫だった。
そして酒井リゾートフォレスト内になる如月リゾートホテルで宴会は行われている。
如月グループは観光・交通網・ホテル部門に特化し、白鳥グループは飲食店の経営に特化していった。
江口グループと志水グループはジャンルに構うことなく通信事業、製造部門、ソフトウェアの開発など手掛けていない分野をあげた方が早いほど分野を広げている。
酒井フーズは農家や漁師などと専属契約をして新鮮な食材を提供しているらしい。
提供先は酒井グループ、白鳥グループの飲食店が主だった。
酒井グループは米などの品種改良にも手を出しているそうだ。
自社のブランド米を作る。
そう意気込んでいる。
渡辺班に所属していれば就職に困ることは無い。
開業しても冬夜がしっかり経営を管理してくれる。
冬夜も仕事が増える一方で困ってるそうだ。
冬夜の会社にも社員がいる。
社員が独立したいと言えばサポートしてやってる。
その事を恵美さん達に話すと顧客を紹介してくれる。
税理士は独立する際自分の顧客を引き抜くことは禁じられている。
だから新しく顧客を作る必要がある。
そして恵美さんは文字通り顧客となる会社を作っていた。
もちろん、美嘉たちのように親戚に独立開業したいと申し出る者もいる。
そんな人達も紹介してやってるそうだ。
渡辺班の皆が俺に挨拶にやってくる。
冬夜がいないなら当然そうなるのだろう。
挨拶が一通り済む頃には時間は23時55分にかかっていた。
ライブが中断し、MCが始まる。
そして59分になるとカウントが始まる。
新しい年が明けた時花火があがる。
「あけましておめでとう」
皆が挨拶する。
ライブが再開される。
3時頃になると皆部屋にもどる。
子供達も眠る。
今年も色々あるだろう。
子供たちの受験もそうだが。
皆次々と出世している。
独立したものも成功している。
誠のように一線を退くものもいる。
朝になると皆起きて朝食を食べる。
食べ終わると解散していく。
「そっちは順調か?」
俺は月見里秋空に声をかけていた。
月見里は姫島で小さな診療所を開いていた。
1人遠方にいるので年一回ある忘年会には必ず奥さんのつばめさんと一緒に参加している。
「お陰様で順調です。子供も来年には中学生です」
「そうか、大変だろうが頑張ってな」
「はい」
そう言って二人は帰って行く。
俺達も帰ることにした。
帰りに神社に初詣に寄る。
今年も良い一年でありますように。
そう祈って帰った。
(5)
今夜は水奈が遊びに来ていた。
初詣に一緒に行こうという事で。
毎年ある歌番組を見ている。
どういう勝敗基準なのかよくわからない番組。
なぜか視聴率が40%を超えている人気番組。
他に見るのもないのでたまには歌番組でもいいかと水奈と二人で見ていた。
天音は大地が迎えに来ると初詣に出かけた。
僕達は年が明けたら西寒田にでも行こうかと話をしている。
茜と純也は数日前からハワイに行ってる。
歌番組もトリが歌いだすころ母さんが「蕎麦出来ましたよ」という。
僕達は部屋を出る。
そばを食べながらリビングのテレビで歌番組を見ている。
歌番組が終わってゆく年くる年が始まる頃微かに聞こえてくる除夜の鐘。
そして年が明けると皆で挨拶する。
「あけましておめでとう」
挨拶をしてお年玉をもらうと僕達は初詣に出かけた。
自転車をこいでいく。
そして適当な場所に自転車を置いて列に並ぶ。
挨拶を済ませて4人で話をしながら列を進んでいく。
お参りを済ませると出店で食べものを買って食べる。
食べ終わると水奈を家に送って家に帰る。
「今年はどんな1年になるかな?」
水奈からメッセージが届いた。
「とりあえずは水奈は受験だね」
「大丈夫かな?」
「僕が保証する」
「ミスは出来ないな」
「いつも通りでいいんだよ」
適度な緊張は必要だけど過度な緊張はミスを呼ぶ。
水奈は十分頑張った。
きっと大丈夫だと伝える。
「ありがとう、あっという間だったな」
「そうだね」
でも、年が明けてからの3か月はスピードが異常に早い。
卒業というシーズンも迎える。
だけどその翌月には入学という出会いが待っている。
運命の車輪は止まることは無い。
ひたすら回り続ける。
ぼーっとしていたらあっという間に1年なんて経ってしまう。
「私ももう卒業か」
「そうだね」
「そしたら空とまた一緒だな」
「水奈が高校生になったら僕も一度やってみたい事があるんだ」
「なんだそれ?」
「制服デート」
高校の周りには飲食店が沢山あるけど、バイトがあるからあまり寄ってない。
それに一人で行くのもなんか寂しい。
水奈と一緒に行ってみたい
そんな気持ちを水奈に打ち明けていた。
「私はそんなに食べられないぞ?」
「食べるだけじゃなくて一緒に帰るだけでもいい」
近所にはSAPというアミューズメント施設だってある。
水奈と一緒ならどこでもいいよ。
そんな夢を語っていた。
「私の役割は空の夢をかなえる事。頑張るよ」
「夢は終わらないよ。物語が終るその日まで」
物語はここで終わりじゃない。
この先もずっと続く。
だからずっと夢を見続けよう。
水奈と一緒に夢を探そう。
どこで終わるのかなんて誰も知らない。
ただ今の僕達に言えることは唯一つ。
何が有ろうと僕達はずっと一緒だ。
家に帰ると皆寝静まっていた。
部屋に戻り着替える。
この日だけはテレビは深夜もやっていた。
音楽番組の特番だ。
あまり興味ないし疲れたので寝る。
そして朝目を覚ますとご飯を食べる。
天音がいない。
夜更かしし過ぎたようだ。
母さんに叱られながらも「まだ眠いから寝させて」と言って寝ていた。
天音が起きてきたのは昼頃。
まだ眠そうな天音に渡されるお年玉。
母さん達は宇佐神宮にお参りに行った。
天音は夕方まで寝てた。
僕達は部屋でテレビを見ながら時間を潰した。
夜父さん達が帰ってくると夕食を食べる。
片づけをして風呂に入ると部屋で時間を潰す。
冬休み最後の日にSAPに集まろう。
そんなメッセージが飛んできた。
僕達の絆はまだ終わっていない
これからも回り続ける。
ずっと走り続ける。
運命というキセキをなぞって進んでいくんだ。
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