姉妹チート:RE

和希

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3rdSEASON

君に逢うために

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(1)

「ごめん!まさか本当に付き合うとは思ってなかった」

片桐天音は私に謝っていた。
私が相談した後大垣美穂に相談を受けたそうだ。
美穂の話を聞いて断ることが出来なかった。
どうせ上手くいくはずがないと思っていた天音は美穂に無理矢理告白させたらしい。
そして予想通り断られた。
しかしその後の朝倉先生の行動までは天音にも予測できなかったらしい。
朝倉先生は美穂が告白した晩に美穂の家を訪れたそうだ。
結婚を認めてもらいにいったらしい。
美穂と二人で長時間頭を下げて、そして認めてもらえた。
もちろん私達は16歳。結婚はみとめられない。
高校を卒業するまでは認めない。
中退も同棲もみとめない。
そして結婚するまでは妊娠は認めない。
そういう条件の下2人の交際は認められた。
そんな噂はあっという間に校内に広まった。
美穂が毎日朝倉先生のお弁当を作って持って行ってたら嫌でも気づく。
そしてそれは私の失恋を意味した。
私も朝倉先生が好きだったのだから。
卒業式に告白しよう。
正統派で勝負しようと思っていたのに。
その事を天音にも相談していた。
だから天音も美穂の相談を受けた時に困惑したらしい。
でも美穂の気持ちを知ったら放ってはおけなかった。
そして今私に謝っている。

「そう落ち込むなよ美砂。他に男なんていくらでもいるよ。天音の知り合いにもフリーの男子いるみたいだし。今度紹介してもらおうぜ」

渡辺紗理奈が言う。
美砂というのは私の名前。
私の名前は鴨川美砂。
今年桜丘高校に入学した天音達の同級生。
私のクラスは大半が女子だ。
調理科という学科だからだろうか?
でも男子も少なからずいる。
商業高校なんかも女子の方が多いらしい。
桜丘高校にも女子だけのコースがある。
しかし同年代の男子にあまり興味が無かった。
朝倉先生を好きになった理由は優しいから。
ありきたりな理由だった。
高校1年生だ。
そんなに深く恋愛について考えないだろう。
この世界ではそうではないらしいけど。
ただ今は「失恋した」って事を認識することで精一杯だった。

「今はそっとしておいてくれないかな?」

それが精一杯の対応だった。
だけど紗理奈は言う。

「いつまでも悔やんでいてもしょうがねーだろ!さっさと次の男探そうぜ!私も男欲しいし」

紗理奈は遊んでいそうで実はそうでもないらしい。
中学まで男子に恵まれなかったそうだ。

「わかった!今度友達集めてやるよ。防府とか伊田高に友達いるからさ」

そうして私は天音の友達と遊ぶことになった。
放課後SAPに集まる。
SAPは複合型アミューズメント施設。
地元の中高生なら大体ここをデートスポットにする。
もちろん街やショッピングモールで買い物したり映画も見るけどアクセス面が悪くて高校生でも難しい。
SAPは幾つも支店を作っていた。
私達は街に集合することにした。
やっぱりこれと言った男に出逢えなかった。
だいたいが彼氏持ちというのもあるけど、一番の理由は今はそういう感情を持てなった。
でもいい気晴らしにはなった。

「今日は部活でいない奴もいるからさ」

天音がそう言う。

「大丈夫、今日はありがとうね」

そう言って家に帰る。
その日から放課後天音たちと遊ぶようになった。
映画を見に行ったりカラオケに行ったり。
皆気を使ってラブソングは歌わないようにしてくれた。
失恋の歌も絶対に歌わない。
そんな心遣いが痛かった。
今日も学校で朝倉先生に弁当を届ける美穂を見て思う。
私が先に告白していたら。
普通はそんなのがばれたら教師は職を失うらしい。
だから先生は交際は出来ないと断ったらしい。
でも結婚を前提にした付き合いなら。
そう朝倉先生は考えてプロポーズをしたそうだ。
ある日天音が言った。

「美砂も一度自分の気持ち伝えろよ。ダメだと分かっていても伝えろよ。じゃないといつまでだっても引きずったまままだぞ?見ているこっちもつらい。踏ん切り着いたら新しい恋に巡り合えるかもしれない」

逃げるな!
天音はそう言った。
自分の気持ちに嘘つくな。
私は放課後先生を呼びとめた。

「どうした?鴨川」

私は自分の気持ちを打ち明けた。
案の定先生は首を振った。

「悪いな。先生付き合ってる人がいるんだ」
「それは本当に好きなんですか?」
「その人をそういう気にさせてしまった。先生という立場上本来なら断るべきなのかもしれない。だけどその人が本気だと知った以上誠実に付き合う必要がある」
「そんな義理で付き合うような事で先生は幸せになれるんですか?」
「それは鴨川でも一緒なんじゃないのか?」

たまたま先に美穂が自分の気持ちを伝えてきた。
それは必死だった。
そして先生は同情した。
その想いに応えてあげたいと悩んだ末最大の妥協案が結婚だった。
遊びじゃない、本気で付き合う。
そういう結論に至ったらしい。
そう思えたのは「美穂が好き」という感情じゃないのか?
巡り合わせって本当にあるんだな。

「……わかりました。ありがとうございます」

先生は最後まで美穂の名前を言わなかった。
やはり結婚するまでは隠しておきたいのだろう。
もうすでに手遅れだけど。
しかしこの世界は本気で恋愛している人には優しい世界。
女子高なんかでは生徒と結婚した教頭や校長もいるらしい。
道徳を教える教師という立場を考えると禁断の恋愛。
自分の娘に手を出す教師のいる学校に通わせたがる親がいるわけない。
だから先生は親に挨拶に行ったのだろう。
必死に訴えたのだろう。
胸ががすっきりした。
やっと前に進める。そんな気がした。
帰りに美穂と会う。
私も美穂もSHの人間。美穂も私の事は知っている。

「美砂……ごめん」
「ごめんと思うなら絶対に諦めないで。幸せになってね」

その日も天音達とカラオケに行って遊んだ。
これまでの感情を振り払うように。
いつか誰かと恋に落ちるまで。
今は悲しいラブソング。
でもきっと新しい歌が歌える時が来るだろう

(2)

天音の友達と遊んでいた。
SHというグループの連中。
その中でも私達とタメの連中だけで遊んだ。
目的は鴨川美砂の彼氏を探す事。
しかしほとんどの男に彼女がいた。
いない奴もいるけど部活をやっている。
中学からの付き合いじゃしょうがないな。
まあ、他の高校からでも探して来ればいい。
上級生と付き合うのもありだろう。
人生何とかなる。
現に私達桜丘高校と防府高校の間のカップルなんて沢山いた。
高校でだめなら大学に行って探せばいい。
高校で彼氏を作れなかったからと言って焦る必要はない。
私だっていないんだから。
まあ、今みたいな皆カップルで仲良くやってるのを見ると肩身が狭く感じるけど。
そんな中私と盛り上がっている男子がいた。
西松康介。防府高校1年生。
見た目は悪くない。成績も良いらしい。
その割にはチャラい。
だからノリが合う。
西松と話をしていた。
地元じゃ有名な西松医院の子供らしい。
見た目よくて頭もいい、しかも金持ち。
普通に考えたら彼女いるよな?
だけど西松にはいないらしい。
地位と金目当てな女子に嫌気がさしてどうしても続かないらしい。
そんなもん気にしてどうするんだ?
自分の遊ぶ金くらい自分で稼げ!
そう言って私は高校生になったらバイトしようと思ったが母さんに止められた。

「大人になったら否応なく仕事しなきゃ生きていけないんだから今のうちに遊んでおけ」

そんな時間があるなら勉強しろ!と言わないのがうちの両親だが。
私だけかと思ったら天音や水奈も言われたらしい。
天音にいたっては母親に言われたらしい。

「子供がバイトしないと遊ぶことも出来ないような小遣いではありません。足りないとしたらあなたの使い方が間違っている証拠です。今のうちに金銭のやりくりを勉強しなさい。どうしても足りない時は相談しなさい」

兄がやれているんだから天音が出来ないはずがない。
今やるべきことはお金を稼ぐという社会勉強じゃない。
そんなのは社会に出てからでも遅くはない。
だけど金銭感覚は親が面倒を見ていられるうちにやっておくべきことだ。
そう天音は言われたらしい。
ちなみに私はお小遣い制じゃない。
足りなくなったらその都度申請する。
服や下着を買うお金はその都度くれる。
もちろんそんなに高いブランド物の服を着るわけじゃない。
髪を切る時とかもお金をくれる。
まあ、小遣いに困ったことはない。
遊びに行くときにもらうくらいだ。
男子は漫画やゲームを買って小遣いが足りないと喚いているらしいけど。
天音も遊びに行くときはお金に困らないらしい。
服も困ったことがないそうだ。
彼氏の石原大地が払ってくれるから。
「私も払う」と財布を出すことはあってもあまりしつこくは言わないらしい。
大地に恥をかかせたくないと思っているそうだ。
まあ、そんなわけで西松の身分に特別凄いとは思わなかった。

「ああ、医者かすげーな」

そのくらいは思うけど。

「お前も医者になるのか?」

私は西松に聞いていた。

「まあね、そんな難関大学に行く必要もないんだけど」

資格が取れる医学部のある大学ならどこでもいい。
医者にさえなれたらあとの知識はいくらでも学べる。
自分の母親は間違いなく名医と呼ばれる存在なのだから。
そんな母親の指導の下で研修期間は学ぶといっていた。
それで選んだのが一番近い地元大医学部だった。
そして家から近い防府高校を選んだ。
私も母さんの店を継ぐために調理師になれる学校を選んだ。
勉強が嫌いだったというのもあるけど。
お互いの身の上話を聞きながら偶に歌を歌ったり騒いだりする。
でも皆学校に通い始めて一か月足らず。
そして私と美穂をのぞいて皆カップルという不思議な状態。
2人でお互いの学校での生活を話していた。

「皆うらやましいな」

西松がつぶやく。

「お前も彼女が欲しいのか?」

私が西松に聞いた。

「そりゃな、俺だって健全な男子だぜ」
「じゃ、私と付き合うか?」
「え?」

は?
自分で何を言ったのか不思議だった。

「俺みたいなチャラいのでいいの?」

西松は言う。
自分なんかよりもっといい男がいるよ。
だが、見た目良し、頭もいい、チャラいと自分で言うけど女性関係は誠実そうだ。
そして優しい、話していて楽しい。
高校生がそんな好物件を見逃すはずがない。

「私じゃ不満か?」
「そんなことはないけど、紗理奈は自分では気づいてないけど見た目と違ってしっかりしてるし」

ちゃんと将来を見据えている。
桜丘高校というブランドが世間の見る目を変えているけど私はそういうのが一切ない。
西松は私をそう評価した。
だったら断る必要もないだろ?

「だったら付き合おうぜ。何も結婚してくれと言ってるわけじゃない」
「紗理奈がそう言うなら俺は喜んで受けるよ」
「よろしくな」
「こちらこそ」

人が付き合う理由なんて色々ある。
そして人が付き合うと色々ある。
そんなのを乗り越えられた者だけが結婚という場所に辿り着くのだろう。
私の生まれて初めての恋人がたった今出来た。
本当は美砂の彼氏を見つけるのが先だと思ったんだけどな。
美穂はまだ引きずっているみたいだし西松はタイプじゃないのかもしれない。
遠慮はしない。
欲しいと思ったら手を伸ばす。
掴んだ手は離さない。
カラオケの時間が終るとフードコートで夕飯食って帰った。
私達は乗るバスが一緒だった。
私の方が先に降りる。

「じゃ、帰ったら連絡するよ」
「ああ、俺も連絡する」

家に帰ると風呂に入って部屋で妹の茉里奈と一緒に遊んでいた。
スマホが鳴る。
西松からのメッセージだ。
返事を返すとまたメッセージが来る。
ゲームを止めてメッセージに没頭する。

「紗理奈彼氏でも出来たの?」

茉里奈が聞いた。

「まあな」
「私も高校生になったら出来るかな?」

茉里奈が言う。

「焦ることねーよ」

私はそう返した。
焦ることはないけど、この人だって思ったらすぐに動ける心の準備はしておけ。
それはいつ訪れるか分からない不確かな夢なのだから。

「そろそろ寝るよ。おやすみ」
「おやすみなさい」

そう返事をして時計を見ると1時をまわっていた。
学生にしてみたら早い方だと思うけど私も寝る。
恐らく朝になったら来るだろう「おはよう」に備える為に。

(3)

僕達は映画館にいる。
もちろん映画を観に来ている。
中国の春秋戦国時代を舞台にした漫画が実写化された作品。
水奈が選んだ。
水奈が中国の歴史に興味があったり、漫画を読んでいたりすることは無い。
単に俳優が気になっただけ。
水奈だって女子高生だ。気になる俳優の一人や二人いるさ。
ファッション雑誌とかもあまり興味がないらしい。
自分に合った服くらい自分で探す。
そう言っている。
その割には「空の好みに合わせる」と僕に選択をさせるけど。
父さんは母さんの服を選ぶ際自分の好きな音楽グループの衣装を参考にしたらしい。
その血は僕も継いでるみたいだ。
3人組の音楽グループのボーカルの子が好きなのでその子の衣装を参考にしてる。
彼女はとてもお洒落で色んな服装をするのでその中から気に入った服を翼に選んでやる。
もちろん水奈にはバレバレだ。
でも水奈は不満を言わずにそれを着てくれる。

「似合うかな?」
「似合ってるよ」
「ありがとう」

映画が終わった後そんなやりとりをしながら、昼食をたべていた。
連休の予定がなかった。
だから一日くらいデートしよう。
水奈の提案だった。
そしてショッピングモールに遊びに来た。
映画を観て買い物して今ファストフード店で昼食を食べてる。
この後どうするか水奈に聞いてみた。

「空はどこに行きたい?」

私に付き合ってくれたから次は空の好きなところでいいよ。
水奈はそう言った。
2人でゆっくり落ち着きたいなあ。
だけど僕の家だと皆が気を使うかもしれない。
僕は答えた。

「カラオケでも行かない?」

簡単に2人だけの密室を作り出せる空間だった。
もちろん変な事をしたいわけじゃない。
ただ2人でゆっくりしたいだけ。
カラオケもそんなに歌うわけじゃない。

「私もカラオケが良いなと思ってたんだ」

正解だったみたいだ。
その証に水奈は満面の笑みを浮かべている。
僕達は自転車でカラオケ店に移動した。
部屋にはいるとすぐに食べ物と飲み物を注文する。
そして注文が来るまで二人で話をしている。
歌ってる最中にやってくるとちゃんと歌えなかったりするから。
水奈と二人でくるのは初めてだ。
だから水奈も緊張している。
水奈は僕の好きな女性ボーカルのグループの曲を歌ってくれる。
僕は水奈の好きな男性ボーカルの曲を歌ったりする。
あとはアニソンを歌ったり水奈がボカロ曲を歌ったり。
話をしながら食べながら二人で数時間過ごす。
店を出ると夜になっていた。
水奈と相談する。

「チャンポンとうどんどっちがいい?」
「空の好きな方でいいけど、デートなんだぞ?他の選択肢はなかったのか?
「とんかつの方が良い?」
「……空に合わせるよ」

量も値段もそんなに変わらない。
殆ど気分で選ぶ。
この日はチャンポンにした。
チャンポンをダブルで頼んでチャーハンと餃子をつける。

「相変わらずよく食べるな」

水奈は呆れていた。
食べ終わると自転車で水奈を家に送って、そして僕の家に帰る。
家に帰ると風呂に入って部屋に戻る。
テレビを見る。
無人島に色々作ったり農作業をしたりアイドルとは程遠い活動をしている番組を見ていた。
あまりそう言うのに興味を示さない。
見た目はあまり関係ない。
純粋に歌詞と曲で選ぶ。
あとは皆とカラオケに行くときの為にはやりの歌を抑えておく程度だ。
僕もあまりアイドルに興味は無かった。
どうせ地方だから握手券があっても意味がない。
学の父さんとかは地下アイドルと言われる地元のアイドルの発掘に勤しんでるらしいけど。
番組が終わってバラエティ番組に変わる。
大河ドラマにあまり興味は無かった。
僕はTVゲームを始める。
RPGと呼ばれるジャンルのゲーム。
もう長い事続いているシリーズ物。
シリーズ物と言っても話が続いてるわけじゃない。
それぞれ独自の世界観をもっている。
キャラクターデザインが好きなので買ってる。
ゲームによって2人のキャラクターデザインを起用している。
僕は片方のだけ買ってる。
2人で描いてるものも買ってる。
アクション要素もあって楽しい。
戦闘もアクション要素があってコマンド入力で必殺技を出したりできる。
戦闘も難易度がいくつかあって、一度ゲームをクリアするとさらに高難易度のモードが増える。
ゲームの腕は父さんに似たらしい。
天音もだけど。
すると水奈からメッセージが届く

「空は彼女を放っておいて何してるのかな?」
「水奈は何してたの?」
「空のメッセージを待ってた」

忘れてた。

「ちょっと待っててもらえないかな?」
「取り込み中だった?」
「すぐ終わるから」

そう言ってセーブポイントと呼ばれる場所に着くとセーブしてゲームを止める。
その後に水奈に電話をする。
まだ時間的には大丈夫だろう。
特に遅くまで電話していて怒られることは無いけど。
話す内容は何でも良かった。
僕は今やっていたゲームの話を水奈に聞かせていた。
水奈もゲームはするほうだ。
ただRPGやシミュレーションはやらない。
リズムゲームとかシューティングゲーム、アクションなんかを好む。
それでも話は気になるらしい。
最近は僕の家で過ごす事も増えた。
もちろん隣の部屋にいる天音に気を使って変な真似はしない。
ただ僕がゲームをしているのを見ているだけ。
ゲームのOPのアニメーションとかに興味を示すみたいだ。
OP曲を気に入るとすぐにサイトで曲をダウンロードする。
でもたまに悪戯をしてくる。
急に隣にくっついてきたり。
水奈が甘えてくると僕はそれに応える。
だから水奈と一緒にいる時はあまりゲームはしないようにしていた。
ゲームにのめり込んでしまって水奈の存在を忘れてしまうから。
ふと気づくと寂しそうにしてる水奈がいる。
そんな思いはさせたくないから水奈が何かしているとき以外はゲームはしないようにしてる。
それを嫌だと思ったことは無い。
私に構って。
そう思ってくれてるうちが花だと思ってる。
もし、お互いが違う家に育っていたとして一緒になれる可能性なんて誰にも分からない。
それが運命だったとしたら呪いではなく奇跡だろう。

「そろそろ寝るよ」
「わかった。おやすみ」

そう言って僕は眠る。
明日も明後日もこの奇跡が続く事を願っていた。

(4)

連休最終日に僕達は集まった。
SHの高校生組が集まった。
部活組は無理だったけどそれ以外は集合した。
SAPで遊ぶ約束をしていた。
まずはボーリングから始める。
その後昼食を食べてゲーセンで遊ぶ。
リズムに合わせてボタン等を操作するゲーム。
難易度が上がると譜面を暗記していないと絶対無理な曲になる。
ちゃんと出来るとカッコいいけどミスると恥ずかしいゲーム。
光太は太鼓のゲームをやっていた。
麗華にいい所を見せたいのか別にしなくてもいいアクションをする。
ばちを回転させたりとか。
麗華はどうでも良さそうに見ていた。
最後にカラオケに行く。
大部屋を予約してあった。
予約してあったので当然ご馳走にありつける。
十八番の曲を歌ったり、いわゆるネタ曲を歌って不評を買ったりそれぞれ楽しんでいた。
水奈は女子同志で話が盛り上がっていた。
そう言う水奈を見ているのもなんか楽しい。
そんな水奈を眺めている僕に水奈が気づくと言う。

「空も盛り上がりなよ」
「分かってる」
「だったらなんか歌えよ!」

光太が端末を差し出す。
こういう時に選曲をミスるのが僕。

「お前の選曲はどうしていつもそうなんだ」

好きな曲を歌えと言うから入れただけなんだけどな。
他人が歌ってる間に男子も男子だけで盛り上がる。
どんなバイクが好き?とか車何買う?とか。

「光太バイク乗ってるのに車も買うの?」
「バイクなんて18までの暇つぶしだよ」

雨降ると面倒なんだよ。と光太は言う。

「光太と麗華は卒業したら働くんだっけ?」

学が聞いていた。

「まあな、工業高校通ってて共通テストはさすがに無理だろ」

光太が答える。

「頼むぜ善明。お前に期待してる」
「母さんには言ってるよ」

善明君が答える。
履歴書送ってきたら採用するつもりらしいから安心して面接に来い。
善明君の母さんはそう言ったらしい。
カラオケを終えるとファミレスに寄って夕食を食べる。
夕食を食べるとみんな解散する。
明日からまた学校生活が始まる。
家に帰って風呂に入ると部屋に戻る。
時間はもう23時を過ぎていた。
すぐにベッドに入る。

「女子同志で話してたんだけどさ」

水奈が話しかけてきた。

「どうしたの?」
「やっぱり大学で離れ離れになる子もいるみたい」

運命のいたずらなのか、策者のミスなのか分からないけどいるらしい。
だけど僕は運命だと思う。
それぞれの夢を叶えてまた巡り会う時偶然は運命に変わる。
破れた約束さえも誓いに変える事が出来たら、あの場所で出会う時あの頃の2人にきっと戻れるだろう。
明日にはぐれて答えが何も見えなくても君に逢うその為に重ねていく今日という真実。
遠く離れてるほどに近くに感じる。
寂しささえも強さへと変わっていく。君を想ったなら。
切なく胸を刺すのは夢の欠片。
ありのままで出会えてたその奇跡をもう一度信じてみよう。

「遠く離れてるほど近くに感じる事が出来らしいよ」

僕は水奈に言った。

「私達はいつもいっしょだよな」

水奈が言う。

「わかってる」

希望も夢も全部抱きしめる。例えなくしても水奈は諦めないでと言ってくれるだろう。
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