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3rdSEASON
散らない花の様に
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(1)
冬吾はもちろん冬莉も運動能力はそれなりにあるらしい。
運動会の徒競走で1位になっていた。
そして誠達に怒られていた。
「片桐家は全員揃いも揃って反則だろ!」
親としては何か運動をさせた方がいいんじゃないのか?
そうも考えたけど冬莉はスポーツには全く興味を示さない。
好きな事をさせておくのが一番なのか?
そんな事を愛莉と相談していた。
そして運動能力が抜き出ているのは冬吾のクラスは冬吾だけじゃない。
誠司もだけど、隼人や伽夜達、いわゆるSH組はほとんど1番を取っていた。
そして那奈瀬のサッカースクールに通う組はみんな抜き出た運動能力を持っている。
そんな中でも誠司と冬吾、特に冬吾は一つ飛びぬけていた。
玉入れでも密かに練習を重ねていたのだろうか。複数の球を集めてまとめて投げて全部かごに入れるという荒業を披露していた。
紅白リレーでも冬吾達は活躍していた。
問題は親の方にあった。
父兄リレーは僕と愛莉が走ったからいいものの綱引きはどうにもならない。
あれほど止めとけと言ったのに誠とカンナは飲んでいる。
そんな状態で綱引きで力が込められるはずがなく、そして説明にきた桜子に匂いでバレて怒られる。
「子供たちが大人しくしてるかと思えば先輩たちは何をやってるんですか!」
「まあ、そう言うな桜子。年に一度のお祭りじゃねーか」
「神奈先輩は小学校の運動会を宴会の会場にしないでください!」
「まあ、いいじゃないか。私だって色々溜まってるものがあるんだよ」
「そう言うのを吐き出す場所にしないでください!」
桜子が逆にストレスを溜めてそうだ。
今年はSH組が増えたこともあり運動会は白組が優勝した。
久々の優勝にみんな喜んでいる。
冬吾も初めての勝利に喜びを隠せずにいた。
そんな子供たちを見ると僕達は家に帰る。
それからしばらくして冬吾が帰って来た。
「優勝したよ」とはしゃいでいる。
「じゃあ、今日はバイキングでも行きましょうか?」
愛莉が言うと子供たちは喜んでいる。
みんなで夕食を食べると家に帰って冬吾と茜は風呂に入ってすぐに寝た。
疲れていたのだろう。
そんな茜に配慮して天音はリビングのソファに寝そべってスマホを弄っている。
「天音、少しは親に勉強してますとアピールくらい出来ないんですか?」
愛莉が天音に言う。
「別に大学行くわけじゃないからいいだろ?」
「冬夜さんからも何か言ってください」
そうだな……。
「天音、学校は楽しいか?」
「色々料理して食ってる」
「今度僕達にも披露してくれないか?」
「任せとけ!」
それからしばらくして天音は部屋に戻っていった。
多分寝たのだろう。
「冬夜さん。あれではあの子全く勉強しませんよ。勉強についていけるかわかりませんよ」
「それはないって、愛莉も分かってるんだろ?」
「まあ、それはそうですけど」
「それに学校にはちゃんと行ってるから問題ないだろ」
天音も大学に進学するつもりは無いと言ってるし。
「さてと、僕達もいい加減寝ようか」
「はい」
そう言って僕達も寝室に入って寝る。
秋も始まったばかりだ。
(2)
「店長、あとは俺達がやっときますんで」
「すまない、任せる」
俺は着替えるとすぐに病院に向かった。
焦る気持ちを抑えて慎重に運転する。
無事でいてくれ。
病院に着くと岬の両親がいた。
もうお産が始まっているそうだ。
「申し訳ありません。これでも急いだつもりなんですけど」
「仕方ないよ。僕達はここで見守ることにしよう」
岬のお父さんが言う。
しばらくして元気な産声が聞こえた。
その声に気付く。
「自分の子供の顔を見てやりなさい」
岬のお母さんに言われて中に入る。
可愛らしい赤子がいた。
自分の子供だからだろうか。
世界で一番かわいい子に思えた。
「元気な男の子ですよ」
助産師の人がそう言って俺に赤子を差し出す。
生まれて初めて自分の息子を抱いた。
「陽介……来ていたの?お店は?」
「スタッフに任せてきたよ。よく頑張ったな」
「ありがとう……子供の顔見せてくれないかな?」
岬に元気な赤子を見せてやる。
疲れ切った岬の表情に少し笑顔が見える。
そして少し涙を浮かべていた。
分娩台で少し休んだ後病室に戻る。
母親は休む暇もない。
すぐに授乳の時間が来る。
それでも元気に母乳を飲む子供を優しい笑顔で見る岬。
「ねえ、陽介。この子の名前陽介が考えてあげて」
岬が言った。
「いいのか?」
「私は自分で産んだから自分の子供だって確かめられる。でも陽介は実感ないでしょ?だから名付け親になってあげて」
「わかった」
俺は少し考える。
そして思いついた。
「爽一郎なんてどうだろう?」
「いい名前だと思うよ」
よろしくね、爽一郎。
岬は爽一郎にそう語りかける。
これからよろしく。
大事にお前を育ててやるからな。
決して散らせやしない。
俺達の子育ては今日から始まった。
(3)
水奈と大区工業高校の体育大会を見学しに来ていた。
他の高校とは全く違う独特な競技で競うと聞いた。
大区工業高校までは上り坂が激しく自転車ではきつい。
なんとか上ると校門に辿り着いた。
自転車を止めてチェーンをかける。
「チェーンすら切って盗むやつもいるから気をつけろ」
光太が言ってた。
各科ごとに校舎があるので建物が多い。
体育館を越えた先は階段になっていてその先にグラウンドがある。
もうすでに始まっていた。
各科の応援席の後ろに大きな絵がある。
生徒が描いたそうだ。
その絵の上手さに驚いた。
どうやらプログラムは応援合戦になっていたようだ。
どこの高校も応援団がいて応援団が歌に合わせて振り付けを舞う。
そう思ってた。
だが大区工業は違う。
科の全員がグランドに広がり応援団が振る旗のリズムに合わせて腕を振り大声で叫ぶ。
歌うんじゃない、叫んでいる。
何を言っているかさっぱりわからない。
これが大区工業の伝統なのだそうだ。
応援合戦が終ると応援席に戻って競技が始まる。
その競技が謎だった。
種目の名前も謎だったけど、競技の内容も謎だったが。
二人一組で妙な姿勢になってゴールを目指して進んでいく。
水奈と呆然と見ていた。
想像していた体育大会とは全然違う。
色々な競技を見ていた。
舞踊という種目があった。
日本舞踊を踊る科もあればヒップホップなダンスを踊る科もある。
俵上げというまた謎の種目もあった。
内容は種目の名前の通り。
男が俵を担ぎ上げ一番長く持っていられた人の勝ち。
一番シンプルで分かりやすかった。
そして最後の競技が終ると閉会式がある。
優勝した科に優勝旗が渡される。
今年は建築科だったようだ。
大区の科の中で一番優勝回数が多いそうだ。
その後に全校ストームというプログラムがあった。
生徒会長が校旗を振るい応援歌を叫ぶ。
それが終ると各科ストームというのに移る。
生徒は各科ごとに分かれそして応援を始める。
皆盛り上がっていた。
それが終ると各科ごとに、打ち上げ反省会があるらしい。
僕達一般客は帰りに着く。
「すごかったな」
水奈が言うと僕もうなずいた。
それより昼を抜いたからお腹空いたよ。
水奈にそう言うと「……実は私もなんだ」という。
坂を下りた国道沿いに回転ずしがあった。
そこで食べて帰ろうという。
たまには違うもの食べるのも良いな。
水奈と寿司を食べて帰る。
家に帰ると光太に「見てたよ、おめでとう」とメッセージを送る。
「ありがとう」と返ってくる。
水奈も麗華に送ったようだ。
「早くシャワーを浴びたい」
麗華はそう返して来たらしい。
麗華は絵を描く担当だったはず。
別に汗をかいたわけでも無いしどうしたんだろう?
水奈と考えていた。
夕食を食べると風呂に入って部屋でテレビを見る。
今月から秋の新ドラマをやっていた。
弁護士資格をはく奪された主人公が弱小弁護士集団を率いて不利な訴訟に立ち向かう話。
これと刑事ドラマと法医研究員のドラマを見ていた。
刑事ドラマと法医研究員のやつは毎年やってる。
刑事ドラマの主人公が好きだった。
相方の方は一番最初の奴が好きだったな。
ドラマが終ると僕は寝る。
明日からまた学校が始まる。
僕はベッドに入る。
今年度も下半期に突入していた。
そんな疑問も浮上していた。
でも天音なりに将来の事を考えているのは知っていた。
良くも悪くも大地が大学を卒業したら天音の身分は確かなものになる。
それはとてつもなく重圧だろう。
だから今のうちに精一杯学校生活を満喫する。
父さんも同じ事を考えているようで特に天音の行動を注意する事は無かった。
(4)
「それじゃ、皆お疲れ様でした!」
総務の人が言うとみんなコーラの蓋を開ける。
勢いよくコーラが噴き出す。
それを皆で掛け合う。
悲鳴を上げながら歓声をあげる。
優勝の喜びを分かち合った。
俺達建築科は今年体育大会で優勝した。
みんな頑張った。
俺も俵上げで勝ち残った。
競技に参加してない者も夜遅くまでバックボードを書いていた。
皆の努力が報われた瞬間だった。
もちろん麗華にも浴びせた。
麗華は怒っていたけど顔は笑っていた。
沢木3兄弟も今日は喜んでいた。
コーラ掛けが終ると皆教室に戻ってタオルで拭いて体育着から学ランに着替える。
麗華達女子は女子の更衣室で着替える。
麗華が着替えるのを待つと俺達は下校する。
「帰りに何か食って帰らね?」
「コーラでべとべと。早く帰ってお風呂に入りたい」
仕方ないのでまっすぐ家に帰る。
家に帰ると母さんに驚かれた。
「あんたどうしたの?その格好」
母さんに今日体育大会で優勝したことを告げる。
「とりあえずお風呂に入りなさい。洗濯物もちゃんと入れておいてね」
言われたとおりに体育着を洗濯機に放り込みシャワーを浴びる。
その後部屋に戻ってスマホを見る。
空と水奈は見学にきてたらしい。
「おめでとう」とメッセージが入っていた。
「ありがとう」と返す。
疲れていたので夕食の時間まで寝ていた。
夕食を食べた後もすぐに寝た。
翌日は振り替え休日だった。
俺達SH大区工業組はSAPで遊ぶことにした。
大区工業組は皆建築科だった。
皆で盛り上がっていた。
女子は麗華一人だったのでまずいかなと思ったけどしっかりはしゃいでいる。
腕に力が入らなくなるまでボーリングをして声が枯れるまで歌っていた。
そして夕食を食べて解散する。
家に帰ると風呂を浴びてジュースとお菓子を持って部屋に戻る。
麗華とメッセージを深夜までやり取りしてから寝る。
大区工業では体育大会の終わりが一年の締めくくり。
新しい年に向けて組織が改編される。
来年3年になる俺が新しい応援団長に抜擢された。
重大な責任を負うことになる。
後日文化祭で絶叫大会が開かれる。
3年生の建築科の元応援団長が叫ぶ
「建築科連覇狙えよ!」
俺もステージに立った
「建築科連覇狙うぞ!」
先輩からバトンをしっかり受け取った。
大区工業は縦社会が他の高校よりしっかりしている。
体育会系の色が一段と強い。
だからいじめなどもない。
もちろんそんなノリを嫌う生徒もいる。
でも他の職種は分からないけど工業系の職種は縦社会がはっきりしている。
大区工業の卒業生は殆どが就職する。
色んな職種に就職する。
共通しているのは先輩と後輩がしっかりしている事。
今のうちに慣れておく事は重要だった。
文化祭が終ると2年生は修学旅行が待っている。
部活生も大会に向けて頑張っている。
3年生も就職先が決まり、卒業研究に終われている。
大学推薦入試を受ける者はレポートを必死に書いている。
就職先が決まった者は自動車免許を取りに学校に通う。
俺達は来年に向けての準備が始まっていた。
(5)
「お疲れ様でした」
1日の仕事が終ると俺はまっすぐ家に帰る。
まあ、そもそも寄る店も無いんだけど。
車通勤だから飲みにも行けないしギャンブルには興味がない。
精々山に走りに行くか友達とカラオケに行くかだけどそれも今は封印してる。
今最大の楽しみは家にあった。
家に帰るとすぐに寝室に向かう。
「ただいま~」
「静かにして、やっと爽一郎が寝たところなんだから」
岬に注意された。
店の開店時間の関係でどうしても息子が起きている時間を見てられない。
……って事も無かった。
ごはんを食べて風呂に入ってさあ寝ようかという時爽一郎は突然泣き出す。
ただの夜泣きなら俺が岬に代わってあやしてやる。
おむつの交換もしてやる。
でも授乳だけは岬にしかやれない。
「ごめんね、陽介も仕事で疲れてるのに」
「子供の為にしてやれることがあるなら何でもするよ」
岬だって日中家事に育児に大変なんだろ?
「私は日中は母さんが様子見に来てくれるから平気だけど」
2人で子育てに奮闘している。
岬の代わりに出来る事なら何でもしていた。
岬は文字通り24時間見てやらないといけないのだから。
休む暇もない。
岬は産みの母親に「あんたなんて産むんじゃなかった」と言われたらしい。
だから意地になってる。
自分の子供にはそんなこと絶対に言わない。
爽一郎が産まれた後も「私達の下に産まれて来てくれてありがとう」と涙していた。
子供が泣き止んで寝ると俺達も寝る。
だがそれも数時間だけ。
「陽介は明日仕事なんだから少しでも休んで」
岬はそう言って爽一郎をリビングに抱きかかえて行く。
比較的客の少ない水曜日を定休日にしていた。
デパートが休みだからという理由もあるのだろう。
休日には2人で爽一郎の世話をする。
「助かるよ」
岬はそう言っていた。
赤ちゃんの事は岬が良く知っている。
それは毎日岬が面倒見ているのだから当たり前だ。
だから俺が休みの日くらい岬を休ませてやりたい。
とはいえやはり授乳の時間は岬に頼るしかない。
父親のやれることなんて知れてる。
母親は妊娠した時から母親になる準備を始めるという。
だけど父親は子供が生まれてから父親になる準備を始める。
10カ月の差はなかなか埋まらないそうだ。
俺も最初子供を抱くときはびくびくしていた。
「首が座る頃にはなれますよ」と助産師は言っていたが。
どんなに仕事で疲れて帰ってきてもこどもの無垢な寝顔を見ているとやる気が湧いてくる。
岬は「3か月たったら保育園に入れて自分も職場に戻る」と言っていたが断った。
店はスタッフと切り盛りすればやっていける。
小さな店なのに調理師が多すぎるくらいいる。
だから岬は育児に専念してほしいと俺は言う。
「いい旦那に恵まれて幸せだよ」と岬は言う。
最初は慣れていなかったけど今は少しはましになったと思う。
岬からアドバイスを受けながら必死に育児を覚える。
半年もすれば離乳食に切り替わるらしい。
岬の母さんがアムールという子育てのママの集まりがあると聞いた。
それに岬も友達と羽を伸ばしたいだろう。
離乳食に切り替われば俺が休みの日に育児を変わってやれる。
そしたら岬の休暇にしてやろう。
俺の休みなんてどうでもいい。
この子の為なら何でもしてやれる。
離乳食のレシピは育児書で学んでいる最中だ。
この子は将来何になるのだろう?
出来たら店を継いでくれると嬉しい。
「この子の手がかからくなったら今度は女の子が欲しい」
岬はそう言う。
きっと出来るだろう。
「俺も頑張るよ」
そう返した。
女の子か。きっと岬ににてやんちゃな子になるんだろうな。
でも元気に育ってくれるならどんな子でも構わない。
女の子の名前も考えておかないとな。
俺達の未来は爽一郎によって明るいものになっていた。
冬吾はもちろん冬莉も運動能力はそれなりにあるらしい。
運動会の徒競走で1位になっていた。
そして誠達に怒られていた。
「片桐家は全員揃いも揃って反則だろ!」
親としては何か運動をさせた方がいいんじゃないのか?
そうも考えたけど冬莉はスポーツには全く興味を示さない。
好きな事をさせておくのが一番なのか?
そんな事を愛莉と相談していた。
そして運動能力が抜き出ているのは冬吾のクラスは冬吾だけじゃない。
誠司もだけど、隼人や伽夜達、いわゆるSH組はほとんど1番を取っていた。
そして那奈瀬のサッカースクールに通う組はみんな抜き出た運動能力を持っている。
そんな中でも誠司と冬吾、特に冬吾は一つ飛びぬけていた。
玉入れでも密かに練習を重ねていたのだろうか。複数の球を集めてまとめて投げて全部かごに入れるという荒業を披露していた。
紅白リレーでも冬吾達は活躍していた。
問題は親の方にあった。
父兄リレーは僕と愛莉が走ったからいいものの綱引きはどうにもならない。
あれほど止めとけと言ったのに誠とカンナは飲んでいる。
そんな状態で綱引きで力が込められるはずがなく、そして説明にきた桜子に匂いでバレて怒られる。
「子供たちが大人しくしてるかと思えば先輩たちは何をやってるんですか!」
「まあ、そう言うな桜子。年に一度のお祭りじゃねーか」
「神奈先輩は小学校の運動会を宴会の会場にしないでください!」
「まあ、いいじゃないか。私だって色々溜まってるものがあるんだよ」
「そう言うのを吐き出す場所にしないでください!」
桜子が逆にストレスを溜めてそうだ。
今年はSH組が増えたこともあり運動会は白組が優勝した。
久々の優勝にみんな喜んでいる。
冬吾も初めての勝利に喜びを隠せずにいた。
そんな子供たちを見ると僕達は家に帰る。
それからしばらくして冬吾が帰って来た。
「優勝したよ」とはしゃいでいる。
「じゃあ、今日はバイキングでも行きましょうか?」
愛莉が言うと子供たちは喜んでいる。
みんなで夕食を食べると家に帰って冬吾と茜は風呂に入ってすぐに寝た。
疲れていたのだろう。
そんな茜に配慮して天音はリビングのソファに寝そべってスマホを弄っている。
「天音、少しは親に勉強してますとアピールくらい出来ないんですか?」
愛莉が天音に言う。
「別に大学行くわけじゃないからいいだろ?」
「冬夜さんからも何か言ってください」
そうだな……。
「天音、学校は楽しいか?」
「色々料理して食ってる」
「今度僕達にも披露してくれないか?」
「任せとけ!」
それからしばらくして天音は部屋に戻っていった。
多分寝たのだろう。
「冬夜さん。あれではあの子全く勉強しませんよ。勉強についていけるかわかりませんよ」
「それはないって、愛莉も分かってるんだろ?」
「まあ、それはそうですけど」
「それに学校にはちゃんと行ってるから問題ないだろ」
天音も大学に進学するつもりは無いと言ってるし。
「さてと、僕達もいい加減寝ようか」
「はい」
そう言って僕達も寝室に入って寝る。
秋も始まったばかりだ。
(2)
「店長、あとは俺達がやっときますんで」
「すまない、任せる」
俺は着替えるとすぐに病院に向かった。
焦る気持ちを抑えて慎重に運転する。
無事でいてくれ。
病院に着くと岬の両親がいた。
もうお産が始まっているそうだ。
「申し訳ありません。これでも急いだつもりなんですけど」
「仕方ないよ。僕達はここで見守ることにしよう」
岬のお父さんが言う。
しばらくして元気な産声が聞こえた。
その声に気付く。
「自分の子供の顔を見てやりなさい」
岬のお母さんに言われて中に入る。
可愛らしい赤子がいた。
自分の子供だからだろうか。
世界で一番かわいい子に思えた。
「元気な男の子ですよ」
助産師の人がそう言って俺に赤子を差し出す。
生まれて初めて自分の息子を抱いた。
「陽介……来ていたの?お店は?」
「スタッフに任せてきたよ。よく頑張ったな」
「ありがとう……子供の顔見せてくれないかな?」
岬に元気な赤子を見せてやる。
疲れ切った岬の表情に少し笑顔が見える。
そして少し涙を浮かべていた。
分娩台で少し休んだ後病室に戻る。
母親は休む暇もない。
すぐに授乳の時間が来る。
それでも元気に母乳を飲む子供を優しい笑顔で見る岬。
「ねえ、陽介。この子の名前陽介が考えてあげて」
岬が言った。
「いいのか?」
「私は自分で産んだから自分の子供だって確かめられる。でも陽介は実感ないでしょ?だから名付け親になってあげて」
「わかった」
俺は少し考える。
そして思いついた。
「爽一郎なんてどうだろう?」
「いい名前だと思うよ」
よろしくね、爽一郎。
岬は爽一郎にそう語りかける。
これからよろしく。
大事にお前を育ててやるからな。
決して散らせやしない。
俺達の子育ては今日から始まった。
(3)
水奈と大区工業高校の体育大会を見学しに来ていた。
他の高校とは全く違う独特な競技で競うと聞いた。
大区工業高校までは上り坂が激しく自転車ではきつい。
なんとか上ると校門に辿り着いた。
自転車を止めてチェーンをかける。
「チェーンすら切って盗むやつもいるから気をつけろ」
光太が言ってた。
各科ごとに校舎があるので建物が多い。
体育館を越えた先は階段になっていてその先にグラウンドがある。
もうすでに始まっていた。
各科の応援席の後ろに大きな絵がある。
生徒が描いたそうだ。
その絵の上手さに驚いた。
どうやらプログラムは応援合戦になっていたようだ。
どこの高校も応援団がいて応援団が歌に合わせて振り付けを舞う。
そう思ってた。
だが大区工業は違う。
科の全員がグランドに広がり応援団が振る旗のリズムに合わせて腕を振り大声で叫ぶ。
歌うんじゃない、叫んでいる。
何を言っているかさっぱりわからない。
これが大区工業の伝統なのだそうだ。
応援合戦が終ると応援席に戻って競技が始まる。
その競技が謎だった。
種目の名前も謎だったけど、競技の内容も謎だったが。
二人一組で妙な姿勢になってゴールを目指して進んでいく。
水奈と呆然と見ていた。
想像していた体育大会とは全然違う。
色々な競技を見ていた。
舞踊という種目があった。
日本舞踊を踊る科もあればヒップホップなダンスを踊る科もある。
俵上げというまた謎の種目もあった。
内容は種目の名前の通り。
男が俵を担ぎ上げ一番長く持っていられた人の勝ち。
一番シンプルで分かりやすかった。
そして最後の競技が終ると閉会式がある。
優勝した科に優勝旗が渡される。
今年は建築科だったようだ。
大区の科の中で一番優勝回数が多いそうだ。
その後に全校ストームというプログラムがあった。
生徒会長が校旗を振るい応援歌を叫ぶ。
それが終ると各科ストームというのに移る。
生徒は各科ごとに分かれそして応援を始める。
皆盛り上がっていた。
それが終ると各科ごとに、打ち上げ反省会があるらしい。
僕達一般客は帰りに着く。
「すごかったな」
水奈が言うと僕もうなずいた。
それより昼を抜いたからお腹空いたよ。
水奈にそう言うと「……実は私もなんだ」という。
坂を下りた国道沿いに回転ずしがあった。
そこで食べて帰ろうという。
たまには違うもの食べるのも良いな。
水奈と寿司を食べて帰る。
家に帰ると光太に「見てたよ、おめでとう」とメッセージを送る。
「ありがとう」と返ってくる。
水奈も麗華に送ったようだ。
「早くシャワーを浴びたい」
麗華はそう返して来たらしい。
麗華は絵を描く担当だったはず。
別に汗をかいたわけでも無いしどうしたんだろう?
水奈と考えていた。
夕食を食べると風呂に入って部屋でテレビを見る。
今月から秋の新ドラマをやっていた。
弁護士資格をはく奪された主人公が弱小弁護士集団を率いて不利な訴訟に立ち向かう話。
これと刑事ドラマと法医研究員のドラマを見ていた。
刑事ドラマと法医研究員のやつは毎年やってる。
刑事ドラマの主人公が好きだった。
相方の方は一番最初の奴が好きだったな。
ドラマが終ると僕は寝る。
明日からまた学校が始まる。
僕はベッドに入る。
今年度も下半期に突入していた。
そんな疑問も浮上していた。
でも天音なりに将来の事を考えているのは知っていた。
良くも悪くも大地が大学を卒業したら天音の身分は確かなものになる。
それはとてつもなく重圧だろう。
だから今のうちに精一杯学校生活を満喫する。
父さんも同じ事を考えているようで特に天音の行動を注意する事は無かった。
(4)
「それじゃ、皆お疲れ様でした!」
総務の人が言うとみんなコーラの蓋を開ける。
勢いよくコーラが噴き出す。
それを皆で掛け合う。
悲鳴を上げながら歓声をあげる。
優勝の喜びを分かち合った。
俺達建築科は今年体育大会で優勝した。
みんな頑張った。
俺も俵上げで勝ち残った。
競技に参加してない者も夜遅くまでバックボードを書いていた。
皆の努力が報われた瞬間だった。
もちろん麗華にも浴びせた。
麗華は怒っていたけど顔は笑っていた。
沢木3兄弟も今日は喜んでいた。
コーラ掛けが終ると皆教室に戻ってタオルで拭いて体育着から学ランに着替える。
麗華達女子は女子の更衣室で着替える。
麗華が着替えるのを待つと俺達は下校する。
「帰りに何か食って帰らね?」
「コーラでべとべと。早く帰ってお風呂に入りたい」
仕方ないのでまっすぐ家に帰る。
家に帰ると母さんに驚かれた。
「あんたどうしたの?その格好」
母さんに今日体育大会で優勝したことを告げる。
「とりあえずお風呂に入りなさい。洗濯物もちゃんと入れておいてね」
言われたとおりに体育着を洗濯機に放り込みシャワーを浴びる。
その後部屋に戻ってスマホを見る。
空と水奈は見学にきてたらしい。
「おめでとう」とメッセージが入っていた。
「ありがとう」と返す。
疲れていたので夕食の時間まで寝ていた。
夕食を食べた後もすぐに寝た。
翌日は振り替え休日だった。
俺達SH大区工業組はSAPで遊ぶことにした。
大区工業組は皆建築科だった。
皆で盛り上がっていた。
女子は麗華一人だったのでまずいかなと思ったけどしっかりはしゃいでいる。
腕に力が入らなくなるまでボーリングをして声が枯れるまで歌っていた。
そして夕食を食べて解散する。
家に帰ると風呂を浴びてジュースとお菓子を持って部屋に戻る。
麗華とメッセージを深夜までやり取りしてから寝る。
大区工業では体育大会の終わりが一年の締めくくり。
新しい年に向けて組織が改編される。
来年3年になる俺が新しい応援団長に抜擢された。
重大な責任を負うことになる。
後日文化祭で絶叫大会が開かれる。
3年生の建築科の元応援団長が叫ぶ
「建築科連覇狙えよ!」
俺もステージに立った
「建築科連覇狙うぞ!」
先輩からバトンをしっかり受け取った。
大区工業は縦社会が他の高校よりしっかりしている。
体育会系の色が一段と強い。
だからいじめなどもない。
もちろんそんなノリを嫌う生徒もいる。
でも他の職種は分からないけど工業系の職種は縦社会がはっきりしている。
大区工業の卒業生は殆どが就職する。
色んな職種に就職する。
共通しているのは先輩と後輩がしっかりしている事。
今のうちに慣れておく事は重要だった。
文化祭が終ると2年生は修学旅行が待っている。
部活生も大会に向けて頑張っている。
3年生も就職先が決まり、卒業研究に終われている。
大学推薦入試を受ける者はレポートを必死に書いている。
就職先が決まった者は自動車免許を取りに学校に通う。
俺達は来年に向けての準備が始まっていた。
(5)
「お疲れ様でした」
1日の仕事が終ると俺はまっすぐ家に帰る。
まあ、そもそも寄る店も無いんだけど。
車通勤だから飲みにも行けないしギャンブルには興味がない。
精々山に走りに行くか友達とカラオケに行くかだけどそれも今は封印してる。
今最大の楽しみは家にあった。
家に帰るとすぐに寝室に向かう。
「ただいま~」
「静かにして、やっと爽一郎が寝たところなんだから」
岬に注意された。
店の開店時間の関係でどうしても息子が起きている時間を見てられない。
……って事も無かった。
ごはんを食べて風呂に入ってさあ寝ようかという時爽一郎は突然泣き出す。
ただの夜泣きなら俺が岬に代わってあやしてやる。
おむつの交換もしてやる。
でも授乳だけは岬にしかやれない。
「ごめんね、陽介も仕事で疲れてるのに」
「子供の為にしてやれることがあるなら何でもするよ」
岬だって日中家事に育児に大変なんだろ?
「私は日中は母さんが様子見に来てくれるから平気だけど」
2人で子育てに奮闘している。
岬の代わりに出来る事なら何でもしていた。
岬は文字通り24時間見てやらないといけないのだから。
休む暇もない。
岬は産みの母親に「あんたなんて産むんじゃなかった」と言われたらしい。
だから意地になってる。
自分の子供にはそんなこと絶対に言わない。
爽一郎が産まれた後も「私達の下に産まれて来てくれてありがとう」と涙していた。
子供が泣き止んで寝ると俺達も寝る。
だがそれも数時間だけ。
「陽介は明日仕事なんだから少しでも休んで」
岬はそう言って爽一郎をリビングに抱きかかえて行く。
比較的客の少ない水曜日を定休日にしていた。
デパートが休みだからという理由もあるのだろう。
休日には2人で爽一郎の世話をする。
「助かるよ」
岬はそう言っていた。
赤ちゃんの事は岬が良く知っている。
それは毎日岬が面倒見ているのだから当たり前だ。
だから俺が休みの日くらい岬を休ませてやりたい。
とはいえやはり授乳の時間は岬に頼るしかない。
父親のやれることなんて知れてる。
母親は妊娠した時から母親になる準備を始めるという。
だけど父親は子供が生まれてから父親になる準備を始める。
10カ月の差はなかなか埋まらないそうだ。
俺も最初子供を抱くときはびくびくしていた。
「首が座る頃にはなれますよ」と助産師は言っていたが。
どんなに仕事で疲れて帰ってきてもこどもの無垢な寝顔を見ているとやる気が湧いてくる。
岬は「3か月たったら保育園に入れて自分も職場に戻る」と言っていたが断った。
店はスタッフと切り盛りすればやっていける。
小さな店なのに調理師が多すぎるくらいいる。
だから岬は育児に専念してほしいと俺は言う。
「いい旦那に恵まれて幸せだよ」と岬は言う。
最初は慣れていなかったけど今は少しはましになったと思う。
岬からアドバイスを受けながら必死に育児を覚える。
半年もすれば離乳食に切り替わるらしい。
岬の母さんがアムールという子育てのママの集まりがあると聞いた。
それに岬も友達と羽を伸ばしたいだろう。
離乳食に切り替われば俺が休みの日に育児を変わってやれる。
そしたら岬の休暇にしてやろう。
俺の休みなんてどうでもいい。
この子の為なら何でもしてやれる。
離乳食のレシピは育児書で学んでいる最中だ。
この子は将来何になるのだろう?
出来たら店を継いでくれると嬉しい。
「この子の手がかからくなったら今度は女の子が欲しい」
岬はそう言う。
きっと出来るだろう。
「俺も頑張るよ」
そう返した。
女の子か。きっと岬ににてやんちゃな子になるんだろうな。
でも元気に育ってくれるならどんな子でも構わない。
女の子の名前も考えておかないとな。
俺達の未来は爽一郎によって明るいものになっていた。
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