30歳魔法使いが新卒の女の子に恋される話

和希

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多忙な日々

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「先輩起きてますか?」

先輩の部屋の前に来て声をかけてみる。

「やばい!寝過した!!」

予想通りの返事が返ってきた。

「先に行ってて!すぐ準備するから」

そう言われたので先にコンビニに行って朝食を買って食べていたら石井先輩の車が来た。

「悪い悪い。昨夜ゲームしててさ……」

サッカーゲームに嵌って明け方近くまでやっていたそうだ。
そこかから約束のコンビニまで移動する。
もうすでに合流する相手は来ていた。
俺達の担当の人と挨拶する。
斎藤信行というらしい。
やっぱり俺より若かった。
挨拶を済ませると工場に急ぐ。
俺達の資料はバッグに入る程度だったが斎藤さんは段ボール箱を抱えていた。
設計室に入ると客先の担当の課長に挨拶をして、先輩たちに挨拶をする。
俺達の使う製図ソフト「CAD」は自由にカスタマイズが出来る。
この工場でもカスタマイズされていた。
また、図面管理ソフトとも連結されている。
分かりやすくいうと、自動でサーバーに図面が登録されて、そして図番等を自動で設定されてその書類を提出する。
一日かけてそのソフトの使い方を覚えると、実際に部品図を描いていく。
当然の用に手こずる。
俺達の人件費は時間給。
しかしだいたい部品図でA4サイズだと30分以内とか目安がある。
それを大幅に超えると時間給が下げられる。
しかし、俺達の親会社が俺達の会社に払う単価は決まっている。
赤字になったら単価を下げられるか、最悪「もう来なくていいよ」の一言が待っている。
それだけは避けたいので必死だった。
幸い俺達は「新人」だったので元から安い。
しかし、会社でやっていた検討図よりも複雑な構造になっている。
その機械がどういう仕組みで動くのか?
今回の仕様がどういうものか?
今回の機械の改良点はどこか?
そういうものを一つずつミーティングで説明を受ける。
それをメモする。
意味がわからないけど、言われた事。スクリーンに映されている事を丸写しする。
一連の作業が済んだら定時になっていた。
だけどここからが本番。
夕食を食堂で食べてから実務に入る。
なれないCADと初めて見る機械図面。
当然部品図を描くのも大変な作業だ。

「宮成、この寸法は公差内だからここまで細かく記載しなくていい」

機械図には公差というのがある。
工場によって定められた許容範囲みたいなもので、その誤差の中なら問題ないというもの。
例えば±0.5㎜なら0.01mmなんて寸法は必要ない。
特殊な場合だけ使う寸法公差もちゃんと記号がある。
位置決めのピンなんかの穴は特殊な記号を使ってそれを表示する。
他にもいくつか決まりごとがある。
もちろん素人の俺は便覧を見ながらそれを調べなければならない。
そんな作業を深夜25時くらいまでする。
残っているのは俺達のグループのみとなった。
リーダーの下田さんが「そろそろ帰ろうか」というと俺達は帰り支度をする。
帰る前に時間を表計算ソフトに記入して帰る。
誤魔化しは聞かない。
この工場には入退出する際にICカードを利用する。
それで誰が何時に入って何時に出たかを管理されている。
そのカードは便利で、売店で買い物したり食堂で食券を買う際にも使用する。
夕方には夕飯を食べたけど当然腹が減る。
帰りにコンビニによって弁当を買って帰る。
冬莉に連絡しようと思ったけどさすがに26時を回っていたら寝ているだろう。
メッセージだけ送って寝た。
冬莉も気を使っているのか朝は連絡してこない。
こっちから「おはよう」と送ってやれば返事が返ってくる。
昼休みなんかにもメッセージを送っておいた。

「彼女でも出来たんですか?」

石井先輩が聞いてきた。

「まあね」
「ついに出来たんですね。今度紹介してくださいよ」
「考えておく」

冬莉を紹介していいのか悩んでいた。
そんな忙しい毎日を送っていた。
くたくたになってメッセージを送る事すら忘れてしまう事もあった。
週末になると休日は地元に帰ろうと石井先輩と話していた。
2時間ちょっとでつく。
冬莉の様子も気になるしそうすることにした。
しかし金曜の作業が終ると俺と石井先輩に残れと言われた。
俺達の歓迎会をするそうだ。
当然飲む。
そして酔っぱらって朝まで寝る。
石井先輩はまだ寝ていたけど俺は家に帰る事にした。
家に帰ると死んだように寝てしまう。
土曜日はそうして潰れてしまった。

「今地元にいるんだけど」

そう冬莉にメッセージを送ると「ゆっくり休んで」と返ってくる。
その言葉に甘えて休むことにした。
日曜の夜には熊本に帰らないといけない。
その間に洗濯等する事は沢山ある。
冬莉に会う時間が無かった。
そしてまた新しい一週間が始まる。
仕事のコツはつかんだ。
掴むからミスを冒す。
修正に時間を取られる。
図面を描くだけが仕事じゃない。
出図処理というものがある。
描いた図面に図番をいれて管理ソフトに登録。
プリントアウトされた用紙にサインを入れて担当の人に渡す。
OKが出たらサインをもらって製造に図面を送る。
不具合があったら図面が返ってくる。
その修正をしてまた同じ作業の繰り返し。
作業が終盤に入ると部品図は大体追われて出図処理が主な仕事になる。
そのくらいになると余裕が出てくる。
仕事の終わりに飲みに行ったり、遊んだりしていた。
石井先輩は相変わらずぎりぎりまで寝ている。
その間にシャワーを浴びる。
こっちの生活での大きな変化だ。
帰るのが遅いので朝シャワーを浴びるようになった。
石井先輩も同様だ。
余裕が出て来て油断していたのか、自分で大きなミスを冒していたことに気付かないでいた。
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