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(1)
「じゃあ、お疲れ様。麗華頑張ってね」
「ありがとう。道香も後で話聞かせてね」
定時を過ぎると私は同僚の岡沢道香に挨拶をして家路についた。
私がこの会社で勤めてちょうど2年目になる。
今は新入社員に受付対応を指導している最中だ。
夫の光太も小さな現場を任せられるようになり、安定した生活をしている。
帰りにスーパーに寄って買い物をすませると家に帰って夕食の準備をする。
光太も定時には上がるのだけど、この界隈は帰宅ラッシュが激しいため遅くなってしまう。
今日は光太に伝えなければいけないことがある。
それは道香も一緒だ。
夕食の支度が終わる頃に光太が帰ってくる。
「ただいま。今日の晩飯は何かな?」
「おかえり。とりあえずシャワーにしたら?」
「ああ、そうするよ」
光太がシャワーを浴びている間に出来た料理を食卓に並べる。
まだ肌寒いのに上半身裸で出てきた光太はキッチンの冷蔵庫を開け缶ビールを手に取ると一気に飲み干す。
「子供のころから不思議に思ってたけどやっぱこれはたまらんわ!」
そんな感想を述べていた。
だが、仕事から疲れた光太の楽しみを奪う事になる。
光太は私のお願いを受け入れてくれるだろうか?
2人で向かい合って椅子に座ると夕食にする。
「光太。食事の後でいいから聞いて欲しい事があるんだけど」
「どうした?今度の花見の事か?」
「それも関係するかもしれない」
「?。わかんないけどいいよ。悩み事?」
「うん……」
「ま、取りあえず食ってから話をしようぜ」
そう言って光太は食べだした。
そして私があまり食べていないことに気付く。
「どうした?食欲ないのか?最近ずっとおかしいけど」
「それも後で話すから」
「なんかやばい話なのか?」
ある意味やばいかもしれない。
食事をして片付けると、風呂に入ってリビングで光太と話をする。
「で、話ってなんだ?」
そう言って缶ビールを空けようとする光太を止めた。
「まずそれ止めて欲しい」
「禁酒しろって話か?急にどうしたんだ?」
「順を追って説明するから。まず……」
1週間前私は産婦人科に行った。
道香も一緒だった。
来た理由も一緒だった。
そして二人とも同じ結果が出たと光太に告げる。
「それって……まさか、麗華お前……」
光太も気づいたようだ。
私は黙ってうなずく。
「やったじゃないか!じゃあ、これからは麗華の分も働かないとな」
「それが相談なの」
福利厚生が手厚い会社なので最長3年間の産休がとれる。
しかしその後の子育てを考えるとその後勤めに出られるのか?
保育所に預けると言っても近くにあるわけじゃない。
実家で見てもらうという手もある。
だけど光太は躊躇うことなく言った。
「麗華が仕事をしたいってのなら話は別だけど、育児に専念したいなら俺は応援するぜ。文字通り一家の大黒柱になってやる。任せろ!」
頼もしい夫だ。
すると光太のスマホにメッセージがなっている。
恐らく光太の同僚の岡沢克樹からだろう。
きっと道香が私と同じように報告したに違いない。
光太も返事を返していた。
そして当然のように疑問が湧く。
「それが俺の禁酒とどう関係するんだ?」
光太が聞いてきたので答えた。
「お酒の匂いが気持ち悪くて。安定期に入ったら戻るそうだけど……」
「そっか。女性は大変だもんな。それに比べたら俺の禁酒くらいどうってことねーな。わかったよ」
そして、週末SHの花見が催された。
今年は人数が多い。
どこにこんな広場があったのか分からないくらいの広さを確保していた。
確保するのは今年社会人、もしくは大学1年生組。
あれから光太は酒を一切断った。
それは克樹も同じらしい。
それとは対照的に片桐天音は同棲相手の石原大地と揉めていた。
「18で成年なんだ!それに歳なんて言わなきゃバレやしねーよ!」
「運転は私がするって言ったのは天音だよ?飲ませられるわけないだろ」
「水奈だって飲んでるんだぞ!花見で飲めないなんて拷問だぞ!」
「私は飲まないよ?」
桐谷水奈が言った。
「どうしたんだ?いつもなら飲むだろ普通」
「学にはめられた。”まさか運転手の隣で酒を飲むなんて酷い事しないよな?”って言われてさ……」
帰ったら2人で飲むらしい。
しかし、天音は納得しなかった。
「運転手の替わりになるのがハンドルキーパーだろ!?そんな理屈通用しねーぞ!」
「そのハンドルキーパーになるって言ったのが天音だろ!?」
「天音!いい加減にしな!愛莉に言いつけるよ!」
仲裁に入ったのが天音の姉の片桐翼。
「チクるとかせこい真似すんな翼!」
「愛莉から頼まれてるの。天音が羽目を外さないように監視しろって」
「翼も飲む気なんだろ!?帰りどうするんだよ」
「飲まないよ、初めて飲むのはパパとって決めてるから」
「うぬぬ……」
「ところで光太はどうしたの?ソフトドリンクばかり並べてるけど」
翼の双子の弟の片桐空が光太に気付いたようだ。
光太も頃合いと見たのか立ち上がって言った。
「皆揃ったようだし始めようと思うけどその前に聞いて欲しい話がある。酔うのはその後にしてくれ」
「どうしたの光太?」
翼が聞き返すと光太はにやりと笑う。
「俺は今日を持ってSHのリーダーを降りる!」
光太が言うと皆が騒めいた。
1人冷静に聞いていたのは空だった。
「理由を話してくれるんだよね?」
「ああ、回りくどいのは苦手だから単刀直入に言う。麗華が妊娠した」
またもや驚きの声が上がった。
「でもそれって麗華の問題だよね?光太関係ないんじゃ……」
ぽかっ
「空、それ母さんの前で言わないでね」
妊娠が女性側だけの問題なんて間違っても思ってはいけない。
男性側の協力だって必要なんだと美希が空に説明していた。
空と同じような疑問を抱く者は他にもいた。
そんな皆に光太は説明する。
「これから麗華は色々大変な事になると思う。実家に帰ってもらう事も考えた。でも一番麗華を支えてやらないといけないのは夫の俺だ」
私の世話をしていると今後の合宿や花火やキャンプなんかの仕切り役なんて無理だ。
だって私が外出すらままならない状態になるのだから。
SHのリーダーとして務める事が出来ない。
だから自分は降りる。
光太はそう告げた。
「じゃあ、この後SHはどうするんだ?解散か?」
天音が言うと光太は首を振ってにやりと笑う。
「ちゃんと後釜は考えてある」
光太はそう言って空の顔を見る。
空も気づいたようだ。
「空、これからはお前にSHを託す」
光太が言うと皆が空を見た。
異論を言う者はいなかった。
「空か……確かに適役だな」
桐谷学が言う。
「空、引き受けてくれないか?発足当初から随分デカくなって文字通り重荷かもしれないけど」
「本当に僕でいいんだね?」
「お前は俺がリーダーの時からずっと蔭でSHを先導してきた。お前なら大丈夫だ」
「……わかったよ。引き受けた」
空がそう言うと光太はにやりと笑った。
「よし、新しいリーダーの誕生を祝して乾杯と行こうぜ!」
光太が言うと皆飲み物をかざす。
そして宴が始まった。
その様子を見て光太も腰を下ろす。
「本当によかったの?」
私が光太の負担になってる?
そんな事を聞いていた。
「そんな事言うなよ。子供の世話は親の仕事だろ?俺に出来る事があるならなんだってやるよ」
「……ありがとう」
宴が終ると帰る者と2次会に行く者に別れた。
私達は家に帰る。
風呂に入ってリビングでジュースを飲んでいると光太が奇妙なお願いをしてきた。
「ところでさ、赤ちゃんの音ってもう聞こえるのか?聞かせて欲しいんだけど」
私はくすっと笑った。
「まだそんなに大きくなってないよ」
「お腹触ってもいいか?」
「どうぞ、何も分からないわよ」
私がそう言うと光太は耳を私のお腹にあてて、目を閉じる。
「待ってるからな。元気に生まれてこい」
まだ見ぬ小さな夢に焦がれる光太。
私達は文字通り温かな春を迎えていた。
「じゃあ、お疲れ様。麗華頑張ってね」
「ありがとう。道香も後で話聞かせてね」
定時を過ぎると私は同僚の岡沢道香に挨拶をして家路についた。
私がこの会社で勤めてちょうど2年目になる。
今は新入社員に受付対応を指導している最中だ。
夫の光太も小さな現場を任せられるようになり、安定した生活をしている。
帰りにスーパーに寄って買い物をすませると家に帰って夕食の準備をする。
光太も定時には上がるのだけど、この界隈は帰宅ラッシュが激しいため遅くなってしまう。
今日は光太に伝えなければいけないことがある。
それは道香も一緒だ。
夕食の支度が終わる頃に光太が帰ってくる。
「ただいま。今日の晩飯は何かな?」
「おかえり。とりあえずシャワーにしたら?」
「ああ、そうするよ」
光太がシャワーを浴びている間に出来た料理を食卓に並べる。
まだ肌寒いのに上半身裸で出てきた光太はキッチンの冷蔵庫を開け缶ビールを手に取ると一気に飲み干す。
「子供のころから不思議に思ってたけどやっぱこれはたまらんわ!」
そんな感想を述べていた。
だが、仕事から疲れた光太の楽しみを奪う事になる。
光太は私のお願いを受け入れてくれるだろうか?
2人で向かい合って椅子に座ると夕食にする。
「光太。食事の後でいいから聞いて欲しい事があるんだけど」
「どうした?今度の花見の事か?」
「それも関係するかもしれない」
「?。わかんないけどいいよ。悩み事?」
「うん……」
「ま、取りあえず食ってから話をしようぜ」
そう言って光太は食べだした。
そして私があまり食べていないことに気付く。
「どうした?食欲ないのか?最近ずっとおかしいけど」
「それも後で話すから」
「なんかやばい話なのか?」
ある意味やばいかもしれない。
食事をして片付けると、風呂に入ってリビングで光太と話をする。
「で、話ってなんだ?」
そう言って缶ビールを空けようとする光太を止めた。
「まずそれ止めて欲しい」
「禁酒しろって話か?急にどうしたんだ?」
「順を追って説明するから。まず……」
1週間前私は産婦人科に行った。
道香も一緒だった。
来た理由も一緒だった。
そして二人とも同じ結果が出たと光太に告げる。
「それって……まさか、麗華お前……」
光太も気づいたようだ。
私は黙ってうなずく。
「やったじゃないか!じゃあ、これからは麗華の分も働かないとな」
「それが相談なの」
福利厚生が手厚い会社なので最長3年間の産休がとれる。
しかしその後の子育てを考えるとその後勤めに出られるのか?
保育所に預けると言っても近くにあるわけじゃない。
実家で見てもらうという手もある。
だけど光太は躊躇うことなく言った。
「麗華が仕事をしたいってのなら話は別だけど、育児に専念したいなら俺は応援するぜ。文字通り一家の大黒柱になってやる。任せろ!」
頼もしい夫だ。
すると光太のスマホにメッセージがなっている。
恐らく光太の同僚の岡沢克樹からだろう。
きっと道香が私と同じように報告したに違いない。
光太も返事を返していた。
そして当然のように疑問が湧く。
「それが俺の禁酒とどう関係するんだ?」
光太が聞いてきたので答えた。
「お酒の匂いが気持ち悪くて。安定期に入ったら戻るそうだけど……」
「そっか。女性は大変だもんな。それに比べたら俺の禁酒くらいどうってことねーな。わかったよ」
そして、週末SHの花見が催された。
今年は人数が多い。
どこにこんな広場があったのか分からないくらいの広さを確保していた。
確保するのは今年社会人、もしくは大学1年生組。
あれから光太は酒を一切断った。
それは克樹も同じらしい。
それとは対照的に片桐天音は同棲相手の石原大地と揉めていた。
「18で成年なんだ!それに歳なんて言わなきゃバレやしねーよ!」
「運転は私がするって言ったのは天音だよ?飲ませられるわけないだろ」
「水奈だって飲んでるんだぞ!花見で飲めないなんて拷問だぞ!」
「私は飲まないよ?」
桐谷水奈が言った。
「どうしたんだ?いつもなら飲むだろ普通」
「学にはめられた。”まさか運転手の隣で酒を飲むなんて酷い事しないよな?”って言われてさ……」
帰ったら2人で飲むらしい。
しかし、天音は納得しなかった。
「運転手の替わりになるのがハンドルキーパーだろ!?そんな理屈通用しねーぞ!」
「そのハンドルキーパーになるって言ったのが天音だろ!?」
「天音!いい加減にしな!愛莉に言いつけるよ!」
仲裁に入ったのが天音の姉の片桐翼。
「チクるとかせこい真似すんな翼!」
「愛莉から頼まれてるの。天音が羽目を外さないように監視しろって」
「翼も飲む気なんだろ!?帰りどうするんだよ」
「飲まないよ、初めて飲むのはパパとって決めてるから」
「うぬぬ……」
「ところで光太はどうしたの?ソフトドリンクばかり並べてるけど」
翼の双子の弟の片桐空が光太に気付いたようだ。
光太も頃合いと見たのか立ち上がって言った。
「皆揃ったようだし始めようと思うけどその前に聞いて欲しい話がある。酔うのはその後にしてくれ」
「どうしたの光太?」
翼が聞き返すと光太はにやりと笑う。
「俺は今日を持ってSHのリーダーを降りる!」
光太が言うと皆が騒めいた。
1人冷静に聞いていたのは空だった。
「理由を話してくれるんだよね?」
「ああ、回りくどいのは苦手だから単刀直入に言う。麗華が妊娠した」
またもや驚きの声が上がった。
「でもそれって麗華の問題だよね?光太関係ないんじゃ……」
ぽかっ
「空、それ母さんの前で言わないでね」
妊娠が女性側だけの問題なんて間違っても思ってはいけない。
男性側の協力だって必要なんだと美希が空に説明していた。
空と同じような疑問を抱く者は他にもいた。
そんな皆に光太は説明する。
「これから麗華は色々大変な事になると思う。実家に帰ってもらう事も考えた。でも一番麗華を支えてやらないといけないのは夫の俺だ」
私の世話をしていると今後の合宿や花火やキャンプなんかの仕切り役なんて無理だ。
だって私が外出すらままならない状態になるのだから。
SHのリーダーとして務める事が出来ない。
だから自分は降りる。
光太はそう告げた。
「じゃあ、この後SHはどうするんだ?解散か?」
天音が言うと光太は首を振ってにやりと笑う。
「ちゃんと後釜は考えてある」
光太はそう言って空の顔を見る。
空も気づいたようだ。
「空、これからはお前にSHを託す」
光太が言うと皆が空を見た。
異論を言う者はいなかった。
「空か……確かに適役だな」
桐谷学が言う。
「空、引き受けてくれないか?発足当初から随分デカくなって文字通り重荷かもしれないけど」
「本当に僕でいいんだね?」
「お前は俺がリーダーの時からずっと蔭でSHを先導してきた。お前なら大丈夫だ」
「……わかったよ。引き受けた」
空がそう言うと光太はにやりと笑った。
「よし、新しいリーダーの誕生を祝して乾杯と行こうぜ!」
光太が言うと皆飲み物をかざす。
そして宴が始まった。
その様子を見て光太も腰を下ろす。
「本当によかったの?」
私が光太の負担になってる?
そんな事を聞いていた。
「そんな事言うなよ。子供の世話は親の仕事だろ?俺に出来る事があるならなんだってやるよ」
「……ありがとう」
宴が終ると帰る者と2次会に行く者に別れた。
私達は家に帰る。
風呂に入ってリビングでジュースを飲んでいると光太が奇妙なお願いをしてきた。
「ところでさ、赤ちゃんの音ってもう聞こえるのか?聞かせて欲しいんだけど」
私はくすっと笑った。
「まだそんなに大きくなってないよ」
「お腹触ってもいいか?」
「どうぞ、何も分からないわよ」
私がそう言うと光太は耳を私のお腹にあてて、目を閉じる。
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