姉妹チート

和希

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君の温もり

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(1)

「翼や、いい加減に起きておくれ」

そう言って私の体を揺さぶるのはきっと善明。
私はうっすらと目を開けると、やっぱり善明の顔が映っていた。

「今日は休みじゃないの?」
「そろそろ朝食の時間だよ」

 それは起きないとまずいな。
 私はベッドから起き上がると……あれ?いつものベッドより大きい。
 こんなに大きいのいつ準備したんだろう?
 まあ、いいや。
 とりあえずダイニングに向かおう。
 ……今日は善明が準備してくれたのかな?

「翼!!そんな恰好で部屋を出るのはやめておくれ」

 善明に呼び止められて私は自分の姿を見る。
 何もつけてない。
 しかしそんなのいつものことじゃん。
 ……あれ?
 ここ私達の部屋じゃない。

「……ここどこ?」

 私が善明に聞くと、善明はため息を吐いて答えた。

「忘れたのかい?僕達連休の合宿に来てるんだよ」

 あ、そうだった。
 SHの2泊3日の合宿。
 今年は善明の家のリゾートを使うんだっけ?

「思い出したら早く服を着ておくれ」

 もたもたしてると天音に全部食べられてしまうかもしれない。
 私は慌てて服を着て善明と一緒に部屋を出る。
 レストランに向かいながら善明に気になることを聞いてみた。

「何でもう少し早く起こしてくれなかったの?」
「善明が早く寝させてくれなかったからだよ」
「……それが事実だったとして、普通言う?」
「あ、ごめん」

 ま、今さらだしいいか。
 朝食を済ませるとここからは自由行動。
 また遊園地に遊びに行く者もいれば、乗馬体験をしようとする者もいる。
 天音達はカート場に行った。

「峠でもサーキットでも水奈には負けねーぞ!」
「まあ、カートだと天音が有利だよな」
「なんでだ?」
「カートは馬力一緒だから単純にドライバーが軽い方が有利なんだよ」
「うぬぬ……」

 そんな天音と水奈のやりとりを大地と学は苦笑しながら見ていた。
 さてと。私達は……。

「ねえ、翼」
「どうしたの?」
「本当にこんなのでいいの?」
「いいから来たんじゃない」

 私達は人工池に来て、鯉に餌をやっていた。

「善明ってボート漕げる?」
「まあ、少しは」
「じゃあスワンボートじゃなくていいね」

 と、いううわけでボートに乗る。
 誰もいない、天気もいい。
 心地よい風が偶に吹いてくる。
 水面を見れば鯉が餌を求めて口をパクパクしている。
 だけどこの良さが善明にはいまいち理解できないようだ。
 どう説明してあげたらいいだろう?
 こんなにいい景色の中で静かな湖畔のボートの上にいるのは私と空の2人だけ。
 それがどれだけ穏やかで平和な時間なのかわかるかな?
 分かっていないようだ。
 常に周りを警戒している善明。

「どうも訓練の癖が抜けなくて」

 善明はどんな訓練を受けて育ってきたのだろう?
 ボートを降りると美希と空が待っていた。

「そろそろお昼の時間だよ」

 昼食はホテルではなく遊園地のレストランでジンギスカンを食べる。
 私達の同級生はだいたいここでビールを飲む。

「せっかくだからゴルフでもどうだい?空や」

 善明が提案する。
 空は困っていた。
 理由は空はあらゆる球技が苦手だから。

「用具は貸してくれるみたいだし、折角だからやっていかない?」

 私も空を誘ってみる。
 すると空はあまり気乗りしないみたいだけどゴルフをする事にした。

「ナイスショット!」

 私の打ったティーショットは真っすぐに飛んでいく。

「翼本当に初めてなの?あんなに飛ばしてる」

 美希が驚いていた。
 次は空の番。
 空はクラブをどう握ったらいいのか悩んでいる。
 そうなることは予想していた。

「ほら、空。まず右手を……」

 空の背後から空の手をとって姿勢を教える。
 もちろんこれをやってみたかっただけじゃない。

「何も考えずに……行くよ?」

 私は目を閉じて空と心を同調させる。
 空もその事を感じ取ったらしい。
 空は私の心の波長に自分の心を重ねる。
 双子だからできるスキル。
 空の放った球も私を越える速度で飛距離も私をはるかに上回っていた。

「2人ともさすがだねえ」

 善明が呆気に取られている。
 
「でも翼。姉弟とはいえ彼女の前でそういう真似するの?」

 美希が少し妬いているようだった。
 空は困惑している。
 だけど、調子がよかったのも最初のうちだけ。
 昼食でアルコールを入れた体ではハーフを回るだけでも精一杯だった。

「今日はいい汗かいたね」

 空がそう言って笑っている。
 ホテルに戻ってシャワーを浴びて汗を流すと私達は夕食に向かった。
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