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はみ出した気持ち
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(1)
12月に入ってすぐだった。
私と大地と遊となずな、粋と水奈、祈と陸で三重町までドライブをしている。
大地の運転だけど大地の車じゃない。
理由はガソリン臭くなるのは嫌だから。
目的地は三重野高校。
何があったのかは以下の通り。
岩沢鞆 これはまだ天音達が報復する前の出来事で、ある時ちょっとした行違いから彼氏と言い争いしてしまい、取り敢えずこの流れではお互い気まずいだけなので今日は帰りますと告げた。
広太の家から出て自宅まで歩いていると「ちょっと待って」と広太が走って追いかけて来た。
追い付いた広太が「一人で外出たら駄目だよ。最近大区工業高校をターゲットにしている」という。
威堕天とかいう暴走族がここら辺を徘徊してるんだから何かあってからでは遅いし、もっと用心した方が良いよと言う。
そんな話をしていた所に、バイクに乗った威堕天が現れて流石に怖くなり彼氏の袖を掴む。
するとその暴走族の中の一人が「はーい、呼びましたか?」と聞いてくるがガチガチ震えて声が出ず、そんな状況を見て「これまたお呼びでは無い?失礼しました」とニタニタ笑っている。
「お前らも大区工業高校の生徒だよな?嘘ついたって大区工業高校の生徒の名前は全部こっちで把握してるから意味ないよ」
そしてまた別の一人が接近してきて「鞆ちゃん、これから一緒に遊ばない?」と聞いてくるが広太が「何、人の彼女に気安く話かけてるんだ!」と睨みながらその一人 に殴りかかるが、ひょいと交わされてしまった。
「ハイ、残念でした」
族はニタニタしている。
「先に手を出した方が負けだよ」
そんな私達の隙をついて、急に背後から抱きつかれ、クロロホルムを嗅がされ、二人とも拉致されてしまい、気がつくと、倉庫の中だった。
そして、二人とも両足、両腕を縛られていた。
で、ドアが開き「おはよう」と連中が寄ってきて彼氏が見ている前でキスをされ、再び意識が遠退いていき、意識が回復した時には、そこは病院のベットの上だった。
不幸中の幸いでキス以外は何にもされてなかった。
連中は私達二人を気絶させ、拉致した現場に放置しその際に私のスマホで天音のスマホにメールを送り、立ち去ったという。
威堕天が何故大区工業高校生をターゲットにしているのかは、上の意向というだけで、威堕天の連中にも、分からないらしい。
ってなことがあった。
読むのがめんどくさい人もいるだろうから要約する。
「勝次が殺してくださいと言ってきた」
準備は前からしてきた。
勝次が調子に乗ってる。
殺す理由は十分だった。
空の許可はちゃんととってる。
「殺すなよ。策者が怒られる」
そう釘を刺された。
三重野高校に着くと校門にたむろしている化石がいる。
無視して校庭に入ると車を降りる。
後に積んであった一斗缶を取り出そうとすると大地に止められた。
「これは僕がやるから。天音今日香水つけて来てるんでしょ?ガソリン臭くなったら台無しだ」
大地は妙なところで優しい。
大地と遊達が作業してる中邪魔しようとする連中を水奈と祈で袋叩きにしてた。
「平等に燃やしてやるから大人しくしやがれ!」
その間に大地達は校舎にガソリンをぶちまける。
作業が終ると大地が合図する。
用意してあったライターを点火しようとすると、遊が「ちょっと待った!」と言って私からライターを奪う。
「今日くらいしかないから一度やってみたい事があるんだ」
遊はそう言ってポケットから煙草を取りだし火をつけようとする。
ぽかっ
遊がなずなに怒られている。
「タバコはダメっていつも言ってるでしょ!タバコ臭い人とキスしたくない!」
「こうしないと煙草に火が付かないんだよ」
そもそもなぜ煙草に火をつける必要があるんだ?
タバコは息を吸わないと火が付かない。
遊は少しタバコを吸っている。
むせていた。
吸い過ぎだ馬鹿。
そんな遊を見て笑っている三重野の生徒達。
その笑い顔は一瞬で引きつった。
遊は大声で叫ぶ
「地獄で会おうぜベイビー!」
お前ただそれ言いたかっただけだろ!
遊はそう言ってタバコの火をぶちまけたガソリンに投げ込む。
一瞬で炎上を始め校舎が燃え上がる。
これが汚い花火だ。
「やることやったし帰るか」
私がそう言うと皆車に乗り込んで燃え上がる校舎を後にする。
途中無数の消防車やパトカー、救急車とすれ違っていた。
私と大地はFMラジオを聞きながら楽しくドライブをしていた。
ちなみに大地達は学校は早退した。
その分の清算もきっちりしたから文句は言わない。
その日の夜ニュースになっていた。
三重野高校が火災。
原因は煙草の火に寄る出火。
出火場所はトイレ。
まあ、トイレが喫煙所だと勘違いしてる馬鹿ばかりだから不自然ではないだろ。
火遊びはほどほどにしておけ。
他人事のようにニュースを見ていた。
ちなみに大地は母さんに怒られたらしい。
「そんな真似を天音ちゃんにさせて、天音ちゃんが火傷したらどう責任をとるの!?」
ここまでは多分普通の親の対応だろう。
「そういう事をしたいならUAV使っていいから危ない真似は止めなさい!」
流石にヘルファイアミサイルで攻撃したら死人0は無理がある気がするんだが。
ああ、ちなみに死傷者はいなかった。
ニュースで言ってるんだから間違いないだろ。
馬鹿は死んでも治らない。
だから焼却してしまえ。
それが私達の結論だった。
それでもまだ牙をむいてくるなら今度はソマリアにでも派遣してやる。
祈の家の企業では人材不足らしい。
弾除けでもいいから欲しがっているそうだ。
ただの人材派遣会社だ。
業種はいろいろあるけど。
しかしゴキブリは踏みつぶしても生き残るように奴らに反省という二文字は無かった。
ちなみに学校が休校という事は無かったらしい。
プレハブの校舎を急遽立ててそこでやっているそうだ。
真夏にやらなかったのは「暑くて授業にならないだろう」という優しい配慮があった。
感謝しろ。
(2)
ある時、卒業前に大掃除しなければと考えて、覇苦徒と不死道とと亡霊の集会場所を、佐良が呼びかけて結成したギャング「捨愚魔」を結成して襲撃しその暴走族達を一網打尽にしてしまう。
その三つのグループの暴走族達は、たった数人に壊滅に追い込まれる程の強さしかなかったらしい。
それも素人にやられてしまった為、その日の内に三つのグループは消滅した。
……はずが無かった。
相手もただやられたわけじゃ無いようだ。
3つの暴走族が大連合を組織して大区工業高校に直接殴りこんできた。
大型のバイクに巨大な体の特攻服を着た男が来た。
多分2Mは越えてるだろう。
ガタイもいい。
高校生には見えなかった。
「佐良作人ってやつ出てこい!俺が相手になってやる!出てこないとこの学校内を焦土ににしてやるぞ!」
電話は通じないらしい。
スマホで教師が警察に通報してるそうだ。
ほっといても良いと思ったがそうもいかないらしい。
運の悪い事に次の授業の為に学科棟に移動していた女子が捕まった。
「どうした!佐良ってのはそんなにチキンなのか!?この女がどうなっても良いって言うならびびってろ!」
そう言うと族の連中は笑いだす。
「捨愚魔って連中は寝込みを襲うくらいしかできないしょぼい連中なのか!?」
言いたい放題の大男。
自分たちが徒党を組んで大勢で群れている事は忘れているらしい。
捨愚魔。スティグマと読む。
聖痕を意味する言葉。
大区工業高校生のみで結成されたギャング。
友達の迫田寛治が返り討ちにしてやると意気込んでいるのを止める。
他の連中にも「絶対に校舎から出るな!」と伝達しておいた。
「どうしてだ!?SHが舐められてたまるか!」
「お前らは内定決まってるんだぞ!こんなところで暴れたら誤魔化しがきかない。内定取り消しどころか退学だってあり得るぞ」
「じゃあ、どうするんだよ!?」
「……俺が一人で行く。お前らはここで見てろ」
「ちょっと佐良君一人じゃいくらなんでも無謀だよ」
寛治の友達の阪上伴絵が言う。
「もとはと言えば俺が始めた事だ。俺がけじめをつける。心配するな」
「そうはいかない。俺達も一緒だ」
何人かがそう言う。
そいつらはずっと一緒に暴れて来た連中だった。
守るべき彼女もいない奴等。
「……わかった。だけど覚悟しとけ。きっと痛いぞ」
「ばーか、倍返しにしてやらあ」
俺はそいつらだけ連れて校門の前に行く。
既に女子の制服が破られて下着が露になっていた。
女子は泣いている。
「その子を離せ。俺が佐良だ」
そう言うと男は女子を開放する。
女子に学ランを着せて教室に戻るように言う。
「じゃあ、落とし前をもらおうか?殴り飛ばされるのがいいか大人しく土下座するか選べ」
俺はどちらも選ばない。
男に殴りかかる。
しかし男は軽く俺の拳を受け止めると逆に俺を殴り飛ばす。
そのまま徹底的に踏みつけられていた。
ボロボロになってそれでも立ち上がろうとした。
負けることは怖くない。
むしろ逃げ腰になる自分に嫌になる。
勝手に他人が築き上げた誇りを俺が踏みにじる様な真似はしたくない。
俺が勝手に始めた事。
手前の尻くらい手前で拭け。
父さんから言われてきた事を守っていた。
しぶとい俺に最後通告が下る。
男は日本刀を取り出し振り上げる。
「この場で”SHは卑怯物です。ごめんなさい”と土下座するか。無駄死にするか選べ」
男が言うと俺は笑った。
「残念だがSHは関係ない。それに関係あったとしてもSHはお前らに頭を下げるなんて無様な真似は死んでもしねーよ」
「そうか、じゃあそんなちんけな誇りの為に死ねや」
そう言って男は刀を振り下ろす。
俺の命もここまでか。
だが、神は「ここで死ぬ運命ではない」と言っているようだ。
痛みも血もなかった。
顔を上げると一人の男が刀を持って暴走族の斬撃を受け止めていた。
普通くらいの体格だったが、どこにそんな力が宿っているのだろう?
「良く吠えた。この勝負、君の勝ちだ」
男はそう言うと暴走族を刀ごと吹き飛ばす。
「君、大分やられたみたいだね?ちょっと待ってね。片付いたら病院に連れて行ってあげる」
「美希、その人具合はどう?」
「外傷だけが目立つくらいで後は大したことないみたい」
「ごめんね、母さんからこれ借りて来るのに時間かかってた」
美希と言う名前はSHなら一人の女性をすぐ思いついただろう。
酒井美希。
ということは男は片桐空か。
こっちを見て笑う空さんに襲い掛かるさっきの大男。
「気取ってんじゃねーよ!」
大男が刀を振り下ろす。
地面にたたきつけられ刀が折れる。
しかし空の体はそこには無かった。
一瞬で空は跳躍して大男の頭上にいる。
そして脳天に目掛けて刀を振り落とす。
本当にどこにそんな力があったのだろう?
男は倒れアスファルトの舗装にひびが入り地面に頭をめり込ませていた。
「取り込み中だから大人しくしてろ」
冷徹な空の声が響き渡る。
「空!大丈夫!?」
「ああ、大丈夫。木刀だと耐久性に問題あったから借りて来たけど、ちょっと木刀より重いけどその方がかえってやりやすいみたい」
「そうじゃなくて」
「いたって冷静だよ。心配しないで、美希。それよりその人の事お願い」
「任せて。やりすぎちゃだめだよ」
「うん」
日本刀持ち出して「やりすぎるな」って無理があるんじゃないのか?
「やっぱりSHが関係してたんじゃねーか!?」
暴走族がいうと空の目つきが変わる。
「分かってるなら話が早い。こっちもわざわざ授業の合間を縫ってきてるんだ。皆殺しにしてやるからさっさと来い」
空がそう言うと暴走族が一斉に襲い掛かる。
対多数の戦闘になれているのだろうか?
躊躇うことなく暴走族の群れに突進する。
戦闘は数が多ければ有利だけどそれには条件がある。
暴走族の相手は空一人。
空と接敵する事の出来る人間は限られている。
そして空の戦闘能力はそれを一度に始末するだけの物があった。
次々と屍を築き上げていく空。
何人かは美希を人質に取ろうとこっちに来た。
しかし美希はポシェットから拳銃を取り出し、族の足元を狙う。
「大地ほどじゃないけど護身用にと訓練は受けてるの」
そう言って美希は拳銃を構えていた。
圧倒的優勢だった暴走族は2人の餌でしかなかった。
半数以上が狩り取られると逃げ出そうとする。
しかしいつの間にか来た2台の車が校門を封鎖していた。
男が2人と女が2人降りて来た。
「やっぱり空に美味しいとこ取られちゃいましたね。翼や、お願いだから無茶しないでおくれ。こう見えても妻の身を一番案じているんだよ?」
「分かってますよ善明さん。私は善明の後ろを守ってるだけだからから安心して」
「水奈もだ!お前に万が一の事があったら親御さんに合わせる顔がない」
「分かってるって」
どうやらSHの大学生のようだ。
最後の一人になるまで終始圧倒している5人。
そして最後の一人の前に空が立つ。
男は腰を抜かしていた。
「ま、待て。あいつはSHは関係ないと言ってたぞ!話が違うじゃないか?」
今さら何を言ってるんだと思ったけど空は違う反応をした。
「それがどうかしたのか?」
そんなの端から関係ない。
その後に学に説明するように空が支持する
「目の前に映る鬱陶しい奴等がいたら容赦なく潰す。それがSHのやり方だ」
「と、言うわけだ。何か他に言い残す事あるか?」
「ま、待ってくれ。俺達が悪かった。今回は見逃してくれ」
「分かった。誰に伝えたらいいか知らないけど覚えておくよ。じゃあ、死ね」
そう言って空が刀を振り下ろそうとするとサイレンの音が聞こえて来た。
警察が来たようだ。
そして警察は状況を見て誤解をした。
無理もない。
武装した男と築かれている屍の山。
空達を襲撃者だと思ったらしい。
だから状況を美希が説明した。
一度言ってみたかったらしい。
「私達は何もしてませんよ。ただ事故が起こっただけです。きっと”不運と踊った”のでしょうね」
そんな説明で警察が納得するはずがない。
空に手錠をかけようとする。
「俺達は何も悪い事をやってないけどそっちがその気なら俺もそれなりの対応をするぞ?」
一触即発の2人に善明という男性が割って入る。
「そっちの事情は十分把握してますが、ここは穏便に済ませませんか?こっちも国家権力相手に全面戦争なんて無駄な事はしたくない」
「わかってるなら大人しくパトカーに乗りなさい」
「渡瀬新次郎」
善明がその言葉を口にすると警察がぴたりと動きを止めた。
その様子を見て善明がにこりと笑って言う。
「ご理解頂けたらお引き取り願えないでしょうか?」
「し、しかしこれだけの事件があって我々としても……」
なんらかのけじめは必要だ。
だから俺が名乗りを上げた。
「全部は俺の責任です。それで納得してくれませんか?」
「ちょっと!何勝手な事言ってるの!?」
翼が俺に言う。
「これだけ事を荒立てたんです。誰かが責任を取らなきゃいけない」
そう言うと翼は何も言わなかった。
ただ一言「悪いようにはしない。安心して行ってきなさい」と言った。
俺はパトカーに乗り南署に連行された。
だが、軽い事情聴取を受けただけで無罪放免になった。
気になることがあったので警察に聞いてみた。
「渡瀬新次郎って何者なんですか?」
警察は答えた
「地元県警の本部長だよ。警察署長でも逆らえない」
渡瀬新次郎は片桐翼の母方の祖父遠坂佑太の部下だったそうだ。
県警はSHの主要メンバーの親が作っているグループ渡辺班のお世話にもなってる。
だから多少のお願いが聞いてくれるらしい。
しかし学校はそうはいかなかった。
もちろんSH経由で圧力をかけたがこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
俺と何人かの友達が責任を取って退学という処分になった。
どのみち卒業まで学校に残れるわけじゃないので構わない。
来年には東京に引っ越すことが決まっている。
そして引越しの時にSHの仲間が見送りに来ていた。
俺達は笑って東京に旅立った。
多くを語る必要はない。
俺達はしっかり、メッセージを学校に残して来た。
教室の黒板にはでかでかと「総理大臣上等!」と書かれているはずだ。
いつか地元に戻ってくると誓った。
もっと大物になって戻ってくるつもりだ。
12月に入ってすぐだった。
私と大地と遊となずな、粋と水奈、祈と陸で三重町までドライブをしている。
大地の運転だけど大地の車じゃない。
理由はガソリン臭くなるのは嫌だから。
目的地は三重野高校。
何があったのかは以下の通り。
岩沢鞆 これはまだ天音達が報復する前の出来事で、ある時ちょっとした行違いから彼氏と言い争いしてしまい、取り敢えずこの流れではお互い気まずいだけなので今日は帰りますと告げた。
広太の家から出て自宅まで歩いていると「ちょっと待って」と広太が走って追いかけて来た。
追い付いた広太が「一人で外出たら駄目だよ。最近大区工業高校をターゲットにしている」という。
威堕天とかいう暴走族がここら辺を徘徊してるんだから何かあってからでは遅いし、もっと用心した方が良いよと言う。
そんな話をしていた所に、バイクに乗った威堕天が現れて流石に怖くなり彼氏の袖を掴む。
するとその暴走族の中の一人が「はーい、呼びましたか?」と聞いてくるがガチガチ震えて声が出ず、そんな状況を見て「これまたお呼びでは無い?失礼しました」とニタニタ笑っている。
「お前らも大区工業高校の生徒だよな?嘘ついたって大区工業高校の生徒の名前は全部こっちで把握してるから意味ないよ」
そしてまた別の一人が接近してきて「鞆ちゃん、これから一緒に遊ばない?」と聞いてくるが広太が「何、人の彼女に気安く話かけてるんだ!」と睨みながらその一人 に殴りかかるが、ひょいと交わされてしまった。
「ハイ、残念でした」
族はニタニタしている。
「先に手を出した方が負けだよ」
そんな私達の隙をついて、急に背後から抱きつかれ、クロロホルムを嗅がされ、二人とも拉致されてしまい、気がつくと、倉庫の中だった。
そして、二人とも両足、両腕を縛られていた。
で、ドアが開き「おはよう」と連中が寄ってきて彼氏が見ている前でキスをされ、再び意識が遠退いていき、意識が回復した時には、そこは病院のベットの上だった。
不幸中の幸いでキス以外は何にもされてなかった。
連中は私達二人を気絶させ、拉致した現場に放置しその際に私のスマホで天音のスマホにメールを送り、立ち去ったという。
威堕天が何故大区工業高校生をターゲットにしているのかは、上の意向というだけで、威堕天の連中にも、分からないらしい。
ってなことがあった。
読むのがめんどくさい人もいるだろうから要約する。
「勝次が殺してくださいと言ってきた」
準備は前からしてきた。
勝次が調子に乗ってる。
殺す理由は十分だった。
空の許可はちゃんととってる。
「殺すなよ。策者が怒られる」
そう釘を刺された。
三重野高校に着くと校門にたむろしている化石がいる。
無視して校庭に入ると車を降りる。
後に積んであった一斗缶を取り出そうとすると大地に止められた。
「これは僕がやるから。天音今日香水つけて来てるんでしょ?ガソリン臭くなったら台無しだ」
大地は妙なところで優しい。
大地と遊達が作業してる中邪魔しようとする連中を水奈と祈で袋叩きにしてた。
「平等に燃やしてやるから大人しくしやがれ!」
その間に大地達は校舎にガソリンをぶちまける。
作業が終ると大地が合図する。
用意してあったライターを点火しようとすると、遊が「ちょっと待った!」と言って私からライターを奪う。
「今日くらいしかないから一度やってみたい事があるんだ」
遊はそう言ってポケットから煙草を取りだし火をつけようとする。
ぽかっ
遊がなずなに怒られている。
「タバコはダメっていつも言ってるでしょ!タバコ臭い人とキスしたくない!」
「こうしないと煙草に火が付かないんだよ」
そもそもなぜ煙草に火をつける必要があるんだ?
タバコは息を吸わないと火が付かない。
遊は少しタバコを吸っている。
むせていた。
吸い過ぎだ馬鹿。
そんな遊を見て笑っている三重野の生徒達。
その笑い顔は一瞬で引きつった。
遊は大声で叫ぶ
「地獄で会おうぜベイビー!」
お前ただそれ言いたかっただけだろ!
遊はそう言ってタバコの火をぶちまけたガソリンに投げ込む。
一瞬で炎上を始め校舎が燃え上がる。
これが汚い花火だ。
「やることやったし帰るか」
私がそう言うと皆車に乗り込んで燃え上がる校舎を後にする。
途中無数の消防車やパトカー、救急車とすれ違っていた。
私と大地はFMラジオを聞きながら楽しくドライブをしていた。
ちなみに大地達は学校は早退した。
その分の清算もきっちりしたから文句は言わない。
その日の夜ニュースになっていた。
三重野高校が火災。
原因は煙草の火に寄る出火。
出火場所はトイレ。
まあ、トイレが喫煙所だと勘違いしてる馬鹿ばかりだから不自然ではないだろ。
火遊びはほどほどにしておけ。
他人事のようにニュースを見ていた。
ちなみに大地は母さんに怒られたらしい。
「そんな真似を天音ちゃんにさせて、天音ちゃんが火傷したらどう責任をとるの!?」
ここまでは多分普通の親の対応だろう。
「そういう事をしたいならUAV使っていいから危ない真似は止めなさい!」
流石にヘルファイアミサイルで攻撃したら死人0は無理がある気がするんだが。
ああ、ちなみに死傷者はいなかった。
ニュースで言ってるんだから間違いないだろ。
馬鹿は死んでも治らない。
だから焼却してしまえ。
それが私達の結論だった。
それでもまだ牙をむいてくるなら今度はソマリアにでも派遣してやる。
祈の家の企業では人材不足らしい。
弾除けでもいいから欲しがっているそうだ。
ただの人材派遣会社だ。
業種はいろいろあるけど。
しかしゴキブリは踏みつぶしても生き残るように奴らに反省という二文字は無かった。
ちなみに学校が休校という事は無かったらしい。
プレハブの校舎を急遽立ててそこでやっているそうだ。
真夏にやらなかったのは「暑くて授業にならないだろう」という優しい配慮があった。
感謝しろ。
(2)
ある時、卒業前に大掃除しなければと考えて、覇苦徒と不死道とと亡霊の集会場所を、佐良が呼びかけて結成したギャング「捨愚魔」を結成して襲撃しその暴走族達を一網打尽にしてしまう。
その三つのグループの暴走族達は、たった数人に壊滅に追い込まれる程の強さしかなかったらしい。
それも素人にやられてしまった為、その日の内に三つのグループは消滅した。
……はずが無かった。
相手もただやられたわけじゃ無いようだ。
3つの暴走族が大連合を組織して大区工業高校に直接殴りこんできた。
大型のバイクに巨大な体の特攻服を着た男が来た。
多分2Mは越えてるだろう。
ガタイもいい。
高校生には見えなかった。
「佐良作人ってやつ出てこい!俺が相手になってやる!出てこないとこの学校内を焦土ににしてやるぞ!」
電話は通じないらしい。
スマホで教師が警察に通報してるそうだ。
ほっといても良いと思ったがそうもいかないらしい。
運の悪い事に次の授業の為に学科棟に移動していた女子が捕まった。
「どうした!佐良ってのはそんなにチキンなのか!?この女がどうなっても良いって言うならびびってろ!」
そう言うと族の連中は笑いだす。
「捨愚魔って連中は寝込みを襲うくらいしかできないしょぼい連中なのか!?」
言いたい放題の大男。
自分たちが徒党を組んで大勢で群れている事は忘れているらしい。
捨愚魔。スティグマと読む。
聖痕を意味する言葉。
大区工業高校生のみで結成されたギャング。
友達の迫田寛治が返り討ちにしてやると意気込んでいるのを止める。
他の連中にも「絶対に校舎から出るな!」と伝達しておいた。
「どうしてだ!?SHが舐められてたまるか!」
「お前らは内定決まってるんだぞ!こんなところで暴れたら誤魔化しがきかない。内定取り消しどころか退学だってあり得るぞ」
「じゃあ、どうするんだよ!?」
「……俺が一人で行く。お前らはここで見てろ」
「ちょっと佐良君一人じゃいくらなんでも無謀だよ」
寛治の友達の阪上伴絵が言う。
「もとはと言えば俺が始めた事だ。俺がけじめをつける。心配するな」
「そうはいかない。俺達も一緒だ」
何人かがそう言う。
そいつらはずっと一緒に暴れて来た連中だった。
守るべき彼女もいない奴等。
「……わかった。だけど覚悟しとけ。きっと痛いぞ」
「ばーか、倍返しにしてやらあ」
俺はそいつらだけ連れて校門の前に行く。
既に女子の制服が破られて下着が露になっていた。
女子は泣いている。
「その子を離せ。俺が佐良だ」
そう言うと男は女子を開放する。
女子に学ランを着せて教室に戻るように言う。
「じゃあ、落とし前をもらおうか?殴り飛ばされるのがいいか大人しく土下座するか選べ」
俺はどちらも選ばない。
男に殴りかかる。
しかし男は軽く俺の拳を受け止めると逆に俺を殴り飛ばす。
そのまま徹底的に踏みつけられていた。
ボロボロになってそれでも立ち上がろうとした。
負けることは怖くない。
むしろ逃げ腰になる自分に嫌になる。
勝手に他人が築き上げた誇りを俺が踏みにじる様な真似はしたくない。
俺が勝手に始めた事。
手前の尻くらい手前で拭け。
父さんから言われてきた事を守っていた。
しぶとい俺に最後通告が下る。
男は日本刀を取り出し振り上げる。
「この場で”SHは卑怯物です。ごめんなさい”と土下座するか。無駄死にするか選べ」
男が言うと俺は笑った。
「残念だがSHは関係ない。それに関係あったとしてもSHはお前らに頭を下げるなんて無様な真似は死んでもしねーよ」
「そうか、じゃあそんなちんけな誇りの為に死ねや」
そう言って男は刀を振り下ろす。
俺の命もここまでか。
だが、神は「ここで死ぬ運命ではない」と言っているようだ。
痛みも血もなかった。
顔を上げると一人の男が刀を持って暴走族の斬撃を受け止めていた。
普通くらいの体格だったが、どこにそんな力が宿っているのだろう?
「良く吠えた。この勝負、君の勝ちだ」
男はそう言うと暴走族を刀ごと吹き飛ばす。
「君、大分やられたみたいだね?ちょっと待ってね。片付いたら病院に連れて行ってあげる」
「美希、その人具合はどう?」
「外傷だけが目立つくらいで後は大したことないみたい」
「ごめんね、母さんからこれ借りて来るのに時間かかってた」
美希と言う名前はSHなら一人の女性をすぐ思いついただろう。
酒井美希。
ということは男は片桐空か。
こっちを見て笑う空さんに襲い掛かるさっきの大男。
「気取ってんじゃねーよ!」
大男が刀を振り下ろす。
地面にたたきつけられ刀が折れる。
しかし空の体はそこには無かった。
一瞬で空は跳躍して大男の頭上にいる。
そして脳天に目掛けて刀を振り落とす。
本当にどこにそんな力があったのだろう?
男は倒れアスファルトの舗装にひびが入り地面に頭をめり込ませていた。
「取り込み中だから大人しくしてろ」
冷徹な空の声が響き渡る。
「空!大丈夫!?」
「ああ、大丈夫。木刀だと耐久性に問題あったから借りて来たけど、ちょっと木刀より重いけどその方がかえってやりやすいみたい」
「そうじゃなくて」
「いたって冷静だよ。心配しないで、美希。それよりその人の事お願い」
「任せて。やりすぎちゃだめだよ」
「うん」
日本刀持ち出して「やりすぎるな」って無理があるんじゃないのか?
「やっぱりSHが関係してたんじゃねーか!?」
暴走族がいうと空の目つきが変わる。
「分かってるなら話が早い。こっちもわざわざ授業の合間を縫ってきてるんだ。皆殺しにしてやるからさっさと来い」
空がそう言うと暴走族が一斉に襲い掛かる。
対多数の戦闘になれているのだろうか?
躊躇うことなく暴走族の群れに突進する。
戦闘は数が多ければ有利だけどそれには条件がある。
暴走族の相手は空一人。
空と接敵する事の出来る人間は限られている。
そして空の戦闘能力はそれを一度に始末するだけの物があった。
次々と屍を築き上げていく空。
何人かは美希を人質に取ろうとこっちに来た。
しかし美希はポシェットから拳銃を取り出し、族の足元を狙う。
「大地ほどじゃないけど護身用にと訓練は受けてるの」
そう言って美希は拳銃を構えていた。
圧倒的優勢だった暴走族は2人の餌でしかなかった。
半数以上が狩り取られると逃げ出そうとする。
しかしいつの間にか来た2台の車が校門を封鎖していた。
男が2人と女が2人降りて来た。
「やっぱり空に美味しいとこ取られちゃいましたね。翼や、お願いだから無茶しないでおくれ。こう見えても妻の身を一番案じているんだよ?」
「分かってますよ善明さん。私は善明の後ろを守ってるだけだからから安心して」
「水奈もだ!お前に万が一の事があったら親御さんに合わせる顔がない」
「分かってるって」
どうやらSHの大学生のようだ。
最後の一人になるまで終始圧倒している5人。
そして最後の一人の前に空が立つ。
男は腰を抜かしていた。
「ま、待て。あいつはSHは関係ないと言ってたぞ!話が違うじゃないか?」
今さら何を言ってるんだと思ったけど空は違う反応をした。
「それがどうかしたのか?」
そんなの端から関係ない。
その後に学に説明するように空が支持する
「目の前に映る鬱陶しい奴等がいたら容赦なく潰す。それがSHのやり方だ」
「と、言うわけだ。何か他に言い残す事あるか?」
「ま、待ってくれ。俺達が悪かった。今回は見逃してくれ」
「分かった。誰に伝えたらいいか知らないけど覚えておくよ。じゃあ、死ね」
そう言って空が刀を振り下ろそうとするとサイレンの音が聞こえて来た。
警察が来たようだ。
そして警察は状況を見て誤解をした。
無理もない。
武装した男と築かれている屍の山。
空達を襲撃者だと思ったらしい。
だから状況を美希が説明した。
一度言ってみたかったらしい。
「私達は何もしてませんよ。ただ事故が起こっただけです。きっと”不運と踊った”のでしょうね」
そんな説明で警察が納得するはずがない。
空に手錠をかけようとする。
「俺達は何も悪い事をやってないけどそっちがその気なら俺もそれなりの対応をするぞ?」
一触即発の2人に善明という男性が割って入る。
「そっちの事情は十分把握してますが、ここは穏便に済ませませんか?こっちも国家権力相手に全面戦争なんて無駄な事はしたくない」
「わかってるなら大人しくパトカーに乗りなさい」
「渡瀬新次郎」
善明がその言葉を口にすると警察がぴたりと動きを止めた。
その様子を見て善明がにこりと笑って言う。
「ご理解頂けたらお引き取り願えないでしょうか?」
「し、しかしこれだけの事件があって我々としても……」
なんらかのけじめは必要だ。
だから俺が名乗りを上げた。
「全部は俺の責任です。それで納得してくれませんか?」
「ちょっと!何勝手な事言ってるの!?」
翼が俺に言う。
「これだけ事を荒立てたんです。誰かが責任を取らなきゃいけない」
そう言うと翼は何も言わなかった。
ただ一言「悪いようにはしない。安心して行ってきなさい」と言った。
俺はパトカーに乗り南署に連行された。
だが、軽い事情聴取を受けただけで無罪放免になった。
気になることがあったので警察に聞いてみた。
「渡瀬新次郎って何者なんですか?」
警察は答えた
「地元県警の本部長だよ。警察署長でも逆らえない」
渡瀬新次郎は片桐翼の母方の祖父遠坂佑太の部下だったそうだ。
県警はSHの主要メンバーの親が作っているグループ渡辺班のお世話にもなってる。
だから多少のお願いが聞いてくれるらしい。
しかし学校はそうはいかなかった。
もちろんSH経由で圧力をかけたがこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
俺と何人かの友達が責任を取って退学という処分になった。
どのみち卒業まで学校に残れるわけじゃないので構わない。
来年には東京に引っ越すことが決まっている。
そして引越しの時にSHの仲間が見送りに来ていた。
俺達は笑って東京に旅立った。
多くを語る必要はない。
俺達はしっかり、メッセージを学校に残して来た。
教室の黒板にはでかでかと「総理大臣上等!」と書かれているはずだ。
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