234 / 535
脆く崩れる未来
しおりを挟む
(1)
「冬吾。瞳子が来たわよ」
母さんが言うと僕はゲームを止めて玄関に向かう。
びっくりした。
瞳子は浴衣姿だった。
「とりあえず褒めとけ」
父さんが言ってたのを思い出した。
「似合ってるよ」
「ありがとう。……でもそれもお父さんに言われたの?」
偶に瞳子は意地が悪い。
そんな僕達を見て母さんが、さらに悪戯をする。
「瞳子。こういう時期は着物姿でいるのが一番なのよ」
父さんも母さんが着物姿だと優しかったらしい。
きっと僕も同じだと言って笑っていた。
「参考にします」
瞳子の機嫌は良いみたいだ。
「じゃ、そろそろ行ってきます」
「ちゃんと瞳子の事を考えてあげなさい」
歩幅やトイレの事も気づかってあげて。
浴衣姿でお手洗いはあるようでないから。
ただでさえ混雑するから。
浴衣だから大股で歩けない。
手を繋いでゆっくり歩いてあげなさい。
母さんが教えてくれた。
結構大変なんだな。
母さんから色々アドバイスを受けるとバス停に向かう。
自転車で行こうと考えたけど事前に瞳子が浴衣で来るって言ってたから止めといた。
早めのバスに乗って早めに夕食を済ませる。
小さいときは読めなかった短冊の願い事が読めるようになった。
商店街の短冊を見ながらのんびりと会場に向かった。
しかし、やっぱり観客が多い。
何とか場所を確保すると、瞳子に「座りなよ。きついでしょ」と言った。
「ごめん、気持ちは嬉しいんだけどそれは無理だよ」
折角の浴衣を土で汚したくない。
そっか。
こんなところに瞳子一人残して出店で食べ物買うわけにもいかないな。
大人しく花火が上がるのを待っていた。
花火が始まると黙ってそれを見ていた。
しっかり瞳子の手は握っている。
ふと瞳子の横顔に見とれていた。
花火の明かりに照らされる瞳子がとても綺麗だった。
写真に収めたいくらい。
そんな僕の視線に気づいた瞳子がこっちを見た。
「だめだよ、花火見に来たんだから」
そう言って瞳子が笑っていた。
そして花火が終ると皆が大移動を始める。
近くの駐車場に車を止めてる人も橋が何本もかかっていない道路で大混雑に巻き込まれる。
会場からバス停まで10分くらいかかる。
「足痛くない?」
「ありがとう、本当に浴衣だと優しいんだね」
「普段の僕優しくない?」
「……冬吾君の意地悪」
瞳子はそう言って僕の頭を小突いた。
何事もなく今日が終ると思った。
すると瞳子が僕の腕を引っ張る。
「冬吾君。あれ冴じゃない?」
「え?」
瞳子がさす方向を見ると浴衣姿だけど冴がいた。
それは良いんだけど隣にいる男子は誰?
気づかないふりをした方がいいんだろうけど、無理な話だった。
だって同じバスに乗るんだから。
「あ、瞳子……」
冴も僕達に気づいたみたいだ。
少し怯えているみたいだった。
後ろめたい事があるのは何となく分かった。
「冴、その人誰?」
兄ってわけじゃなさそうだけど。
「ああ、中学になってからの友達」
冴はそう言ったけど、僕が見たら友達以上の存在になっているのは間違いなさそうだ。
「冴の知り合い?」
その男子が言う。
「私の友達の瞳子と、その彼氏の冬吾君。瞳子、友達の白石識君」
冴がそう言うとお互い挨拶した。
「今日は誠司君と一緒じゃないの?」
瞳子に悪意はなかった。
だけど冴はぴくっとしていた。
「あいつは今頃川の側のホテルでゆっくりしてるよ」
誠司の母親から聞いたそうだ。
あの馬鹿……
でもそれより……
「誠司はさとり君の事知ってるの?」
僕が聞いてみた。
すると冴は頭を下げてお願いしていた。
「誠司には私からちゃんと話す。だから今は黙ってて」
誠司に悪いんじゃないの?と言える状態じゃないのは何となく分かった。
黙っておくつもりは冴にはないらしい。
ただ夏休みに入って会う機会もない。
誠司は冴の相手をするつもりが無いみたいだし。
そのまま4人でバスに乗って同じバス停で降りてお互い家に帰る。
僕は瞳子を家に送っていた。
「冬吾君は何か感じたの?」
僕の様子がおかしいのに気づいた瞳子が聞いてきた。
「さとり君の事友達って言ってたけど……」
もうそんなレベルの仲の良さじゃない。
冴が動いたら行くところまで一気に行くだろう。
ただ、誠司の存在がそれをとどめているだけ。
誠司に言おうか言うまいか悩んでると言うレベルじゃない。
多分2学期が始まったら時間の問題だろう。
「そうなんだ……誠司君大丈夫かな?」
こんな状態でも誠司の心配をしている瞳子。
だけど僕は非情な判断をする。
「もう駄目だと思う。あいつ自身冴を思い遣る気持ちが無いみたいだし」
僕達が今さら何を言っても駄目だろう。
なるようになるしかない。
どうしてこうなるまで誠司は冴を放っておいた?
瞳子を家に届けると家に帰る。
誠司にメッセージを送っていた。
「誠司今何してる?」
「ああ、ラブホにいる」
「え?」
「中学生でラブホだぜ!?凄いだろ!」
「冴といるの?」
冴と会ったことは隠しておいた。
「んなわけねーじゃん。もっと大人の女性だよ」
「夏休みに冴と会う約束とかしてるの?」
「お前も姉さんみたいなこと言うんだな。あいつ会うと必ず文句言うんだぜ。あってもしらけるだけだよ」
「悪い事言わないから少しは冴の事考えた方がいい」
「大丈夫だよ。どうせ最後には冴と一緒になるんだから、今のうちに楽しんでおかないと」
経験した女性が冴一人じゃつまんねー人生だろ?
誠司は本気で言ってるのだろうか?
最近の冴をちゃんと見たのだろうか?
「じゃ、彼女がシャワーから出てきたからまた今度な」
最初に出会った女性と必ず結ばれる運命。
だけど渡辺さんが言っていた。
「それはお互いの努力があってこその物だ」
縁結びの神様だった渡辺班でもどうにもならないことがあった。
誠司は勘違いしている。
頑張って転がって初めて触れ合う二人の心。
だけど誠司は選択を間違えていることに気づいていない。
恋の神様はいる。
少し悪戯好きの神様。
だけど不誠実な者には容赦しない。
誠司は遠くない未来にその報いを受ける事になる。
「冬吾。瞳子が来たわよ」
母さんが言うと僕はゲームを止めて玄関に向かう。
びっくりした。
瞳子は浴衣姿だった。
「とりあえず褒めとけ」
父さんが言ってたのを思い出した。
「似合ってるよ」
「ありがとう。……でもそれもお父さんに言われたの?」
偶に瞳子は意地が悪い。
そんな僕達を見て母さんが、さらに悪戯をする。
「瞳子。こういう時期は着物姿でいるのが一番なのよ」
父さんも母さんが着物姿だと優しかったらしい。
きっと僕も同じだと言って笑っていた。
「参考にします」
瞳子の機嫌は良いみたいだ。
「じゃ、そろそろ行ってきます」
「ちゃんと瞳子の事を考えてあげなさい」
歩幅やトイレの事も気づかってあげて。
浴衣姿でお手洗いはあるようでないから。
ただでさえ混雑するから。
浴衣だから大股で歩けない。
手を繋いでゆっくり歩いてあげなさい。
母さんが教えてくれた。
結構大変なんだな。
母さんから色々アドバイスを受けるとバス停に向かう。
自転車で行こうと考えたけど事前に瞳子が浴衣で来るって言ってたから止めといた。
早めのバスに乗って早めに夕食を済ませる。
小さいときは読めなかった短冊の願い事が読めるようになった。
商店街の短冊を見ながらのんびりと会場に向かった。
しかし、やっぱり観客が多い。
何とか場所を確保すると、瞳子に「座りなよ。きついでしょ」と言った。
「ごめん、気持ちは嬉しいんだけどそれは無理だよ」
折角の浴衣を土で汚したくない。
そっか。
こんなところに瞳子一人残して出店で食べ物買うわけにもいかないな。
大人しく花火が上がるのを待っていた。
花火が始まると黙ってそれを見ていた。
しっかり瞳子の手は握っている。
ふと瞳子の横顔に見とれていた。
花火の明かりに照らされる瞳子がとても綺麗だった。
写真に収めたいくらい。
そんな僕の視線に気づいた瞳子がこっちを見た。
「だめだよ、花火見に来たんだから」
そう言って瞳子が笑っていた。
そして花火が終ると皆が大移動を始める。
近くの駐車場に車を止めてる人も橋が何本もかかっていない道路で大混雑に巻き込まれる。
会場からバス停まで10分くらいかかる。
「足痛くない?」
「ありがとう、本当に浴衣だと優しいんだね」
「普段の僕優しくない?」
「……冬吾君の意地悪」
瞳子はそう言って僕の頭を小突いた。
何事もなく今日が終ると思った。
すると瞳子が僕の腕を引っ張る。
「冬吾君。あれ冴じゃない?」
「え?」
瞳子がさす方向を見ると浴衣姿だけど冴がいた。
それは良いんだけど隣にいる男子は誰?
気づかないふりをした方がいいんだろうけど、無理な話だった。
だって同じバスに乗るんだから。
「あ、瞳子……」
冴も僕達に気づいたみたいだ。
少し怯えているみたいだった。
後ろめたい事があるのは何となく分かった。
「冴、その人誰?」
兄ってわけじゃなさそうだけど。
「ああ、中学になってからの友達」
冴はそう言ったけど、僕が見たら友達以上の存在になっているのは間違いなさそうだ。
「冴の知り合い?」
その男子が言う。
「私の友達の瞳子と、その彼氏の冬吾君。瞳子、友達の白石識君」
冴がそう言うとお互い挨拶した。
「今日は誠司君と一緒じゃないの?」
瞳子に悪意はなかった。
だけど冴はぴくっとしていた。
「あいつは今頃川の側のホテルでゆっくりしてるよ」
誠司の母親から聞いたそうだ。
あの馬鹿……
でもそれより……
「誠司はさとり君の事知ってるの?」
僕が聞いてみた。
すると冴は頭を下げてお願いしていた。
「誠司には私からちゃんと話す。だから今は黙ってて」
誠司に悪いんじゃないの?と言える状態じゃないのは何となく分かった。
黙っておくつもりは冴にはないらしい。
ただ夏休みに入って会う機会もない。
誠司は冴の相手をするつもりが無いみたいだし。
そのまま4人でバスに乗って同じバス停で降りてお互い家に帰る。
僕は瞳子を家に送っていた。
「冬吾君は何か感じたの?」
僕の様子がおかしいのに気づいた瞳子が聞いてきた。
「さとり君の事友達って言ってたけど……」
もうそんなレベルの仲の良さじゃない。
冴が動いたら行くところまで一気に行くだろう。
ただ、誠司の存在がそれをとどめているだけ。
誠司に言おうか言うまいか悩んでると言うレベルじゃない。
多分2学期が始まったら時間の問題だろう。
「そうなんだ……誠司君大丈夫かな?」
こんな状態でも誠司の心配をしている瞳子。
だけど僕は非情な判断をする。
「もう駄目だと思う。あいつ自身冴を思い遣る気持ちが無いみたいだし」
僕達が今さら何を言っても駄目だろう。
なるようになるしかない。
どうしてこうなるまで誠司は冴を放っておいた?
瞳子を家に届けると家に帰る。
誠司にメッセージを送っていた。
「誠司今何してる?」
「ああ、ラブホにいる」
「え?」
「中学生でラブホだぜ!?凄いだろ!」
「冴といるの?」
冴と会ったことは隠しておいた。
「んなわけねーじゃん。もっと大人の女性だよ」
「夏休みに冴と会う約束とかしてるの?」
「お前も姉さんみたいなこと言うんだな。あいつ会うと必ず文句言うんだぜ。あってもしらけるだけだよ」
「悪い事言わないから少しは冴の事考えた方がいい」
「大丈夫だよ。どうせ最後には冴と一緒になるんだから、今のうちに楽しんでおかないと」
経験した女性が冴一人じゃつまんねー人生だろ?
誠司は本気で言ってるのだろうか?
最近の冴をちゃんと見たのだろうか?
「じゃ、彼女がシャワーから出てきたからまた今度な」
最初に出会った女性と必ず結ばれる運命。
だけど渡辺さんが言っていた。
「それはお互いの努力があってこその物だ」
縁結びの神様だった渡辺班でもどうにもならないことがあった。
誠司は勘違いしている。
頑張って転がって初めて触れ合う二人の心。
だけど誠司は選択を間違えていることに気づいていない。
恋の神様はいる。
少し悪戯好きの神様。
だけど不誠実な者には容赦しない。
誠司は遠くない未来にその報いを受ける事になる。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる