姉妹チート

和希

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奥の手

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(1)

「メリークリスマス」

 そう言って父さん達がクラッカーを鳴らした。
 今日はよく分からないけどおめでたい日なんだそうだ。
 キリストって神様の誕生日らしい。
 きっと今頃ベガスで楽しんでいるんだろうな。
 ベガスってどんなところなんだ?
 美味しい物あるのかな?
 とりあえずは目の前にある料理を食べる事にしよう。
 今日は茉奈達も親を連れて家に来ていた。
 家の広さはどうなっているのか策者にも分からないらしい。

「美希が全部作ったのか?」

 水奈が聞いていた。

「いや、まだ愛莉さんから教わってる最中」

 母さんがそう言っていた。
 片桐家の味を学ぶんだそうだ。
 片桐家の味。
 この世界で一番おいしいのは玉子の入った味噌ラーメン。
 その価値観も改善していかないといけないと愛莉と母さんが悩んでいた。
 父さんは「美希の料理ならどれも美味しいよ」と言っている。
 その理屈で言うと俺も茉奈の料理が一番になるのだろうか?
 そんな風に茉奈を見ていた。

「結、どうしたの?」

 俺の視線に気づいた茉奈が聞いてきた。
 正直に答える事にした。

「俺も茉奈の料理が一番って言う日が来るのか?ってさ……」

 俺が言うと茉奈は少し照れていた。

「じゃあ、しっかり茉奈に料理教えておかないとな」
「水奈はまず自分で料理をすることから始めろ!」

 今のままだと水奈の味じゃなくて学の味になってしまいかねないらしい。
 実際昼間水奈は寝ているので優翔と茉奈が電子レンジを使ってちょっとしたお昼を作って優菜や愛菜に与えているそうだ。
 食材があればオール電化なので茉奈でもフライパンや鍋を使った料理は出来る。
 クリスマス料理も優翔と二人で用意しようかと学に相談して学ぶが水奈を叱った。

「お前はクリスマスまで子供をこきつかうつもりか!」

 で、その結果茉奈のプレゼントにと家で夕食を食べることになったそうだ。
 茉奈と優翔なら刃物を持たせても大丈夫らしい。
 茉莉は鋏を使って、ぬいぐるみの綿を全部抜き取ってばらまいているのを保母さんに見つかって叱られていた。
 なんでだろう?
 学達は家が近くだからと徒歩で来ている。
 お酒を飲んだら車を運転したらダメだと決められているんだそうだ。
 次々と「行方不明者」が増え続ける世界で気にすることなんだろうか?と思ったけど。
 料理を食べている間常にそばには茉奈がいる。
 それはとても羨ましい事なんだそうだ。
 料理を食べ終えるとケーキが待っている。
 ケーキは茉奈と優翔の合作らしい。
 さすがに学が手伝ったそうだけど。
 普通に売られているクリスマスケーキじゃない。
 ブッシュドノエルと言うロールケーキみたいなケーキ。
 木の幹のような見た目をしている。
 俺達はシャンパンは飲めないからシャンメリーを飲んでいた。
 クリスマスは歌番組を見る人が多い。
 どうしてだかわからない。
 讃美歌ならなんとなくわかるけど、アイドルの曲とかそんなのばっかり。
 どうしてだろう?
 でも父さんと大地が誰かからメッセージを受け取ってチャンネルを変えるのを拒否していた。

「クリスマスはテレビを観る物じゃない」

 秋久はそう言ってた。
 陽葵と菫は毎年楽しみらしいけど。
 
「しかし結莉と茉莉はいいんだけど、陽葵と菫はどうなんだ?」
 
 2人に交際相手が出来たって話は聞いた事ない。

「腐った根性の持ち主と付き合うつもりはない」

 2人とも同じ考えだったらしい。
 天音は笑っていた。
 でも恵美はいっていた。

「恋人が情けないなら鍛えなおしてやる」

 そう言われると俺は不安になって来た。

「なあ、茉奈」
「どうしたの?」
「俺の根性は腐ってないのか?」
「……そんな人を私は選ばないよ」

 そう言って茉奈は笑っていた。

「結、多分この世界で一番頼りになる男がいるとしたら結だよ」

 母さんがそう言って笑う。
 俺はまだ子供だと思ってたんだけどな。
 父さん達にはきっと叶わない。
 でもアニメで行ってた。
 いつの日か父親を越える時が大人になる時だって。
 俺も父さんみたいになれるといいな。
 しばらくして茉奈達が家に帰る事になった。

「今度いつ会える?」

 茉奈が聞いてくる。
 今は冬休みだから幼稚園では会えない。

「多分次は年越しパーティだな」

 水奈が言った。
 地元中からパパの仲間とかが集まるらしい。
 
「じゃあ、またね」

 そう言って手を振る茉奈に僕も手を振る。
 いつもより遅い時間まで起きていたから眠い。
 お風呂に入ってすぐに眠りについた。
 朝起きると枕元に何か置いてある。
 何だろう?
 包装紙を破ると箱があった。
 ロボットアニメのプラモデルらしい。
 俺が毎週見てるやつだ。
 とりあえず箱を開けてみる。
 困った。
 組立図が読めない。
 リビングに行って父さん達に聞いてみた。

「ちゃんと、ありがとうって言うんだよ」

 茜達が言ってた。
 サンタさんから貰った物なのになんでだろう?
 まあ、いいや。
 父さん達に礼を言って組立図が分からないという。

「あ、それがあったか」

 父さんは悩んでいた。

「もうじき年末年始のおやすみがあるからその時に父さんと一緒に作ろうか?」

 父さんがそう言うので「分かった」と伝えた。
 これもビームとか撃てるのかな?

(2)

 翼の作った料理を子供達と食べていた。
 陽葵達も料理を食べてケーキを食べると風呂に入れてテレビを観ている。
 始まった。
 でもそんな事は予想していた。
 それに菫の性格は決まってしまった。
 今さらじたばたしても無駄だ。
 秋久は雰囲気で「つまらない」と思ったのかさっさと寝てしまった。
 戦時中、戦後を描いたアニメが原作の実写版。
 アニメのような感動は完全に取り除いてサイコな人間と徹底的にぐろい場面だけで構成したアニメ。
 なぜこれをクリスマスにやるのか、僕はテレビ局に怒鳴りつけたくなったね。
 だけど地元のローカル局に文句を言っても無駄だ。
 地元のテレビ局は時間と曜日でテレビ局が決まっていて、そこから放送権を買っているので抵抗できない。
 いっそ父さんに頼んでテレビ局作ろうかと打診したほどだ。
 しかし父さんはそこにまで介入して地元経済を乗っ取るような真似は出来ないから我慢してくれと言っていた。
 しかしこれを放送することを決めた人間は何を考えているのだろう。
 クリスマスに感動を?
 ”ナイスボート”くらい方向を間違っていると思うんだけど。
 まだ洋画のアニメとか色々あっただろうになぜこれを選んだのだろうか?
 残虐じゃないからというだけくらいしか理由が見つからない。
 さすがに翼はこれを見て辛そうにしている。
 辛そうにしているだけでチャンネルを変えようとしない。
 菫には刺激が足りないのだろう。
 何も言わずに部屋に戻っていった。
 映画が終ると少し沈んでる。
 
「もっと明るい映画が良かったね」

 菫の事を気にしていただけの様だ。
 
「翼はどんな映画が好きなんだい?」

 何となく聞いてみた。

「うーん、特に苦手なのが無いですね」

 そうだろうね。付き合い始めた時から不満を言わなかった。

「それはいつも善明と見ているから」

 普通の夫ならこんな事言われたら嬉しいだろう。
 しかし旦那と一緒ならと嬉々として駅の線路に飛び込む映画や中学生が殺し合いをする映画を見て喜ばれても僕はどう反応したらいいんだい?
 そもそもこの物語で「戦争はよくない」なんて訴えても誰が納得するんだい?
 平気でセメントに変えたり、子供まで「海外にホームステイ」なんて言葉使う世界だよ。
 何かのアニメで言っていた。

「核兵器はなぜか政治家しか所有できない」

 それが当たり前なのに普通にミサイル原潜を福利厚生と称して所持している家。
 一歩間違えたら日本が核の炎に包まれる直前まで来てたんだ。
 絶対持たせたらいけない人が所有している世界。
 一般的にはそれを抑止力と称しているけど天音達は絶対使いたくてうずうずしているね。
 そう言えば天音達はどうやってクリスマスを過ごしているんだろう?
 翼に聞いてみた。

「今年は空達とホームパーティしてるみたい」

 それだ!
 それしかない!
 僕はスマホを取ると空に電話した。

「来年は僕達も参加していいかな?」
「どうしたの急に?」

 どうせ年越しパーティがあるのにどうしたんだ?と聞いてくる。
 一番シンプルな手段で伝えた。

「今日の番組表見てごらん」
「……なるほどね。ちょっと待ってて」

 多分美希と相談しているのだろう。
 しかし忘れていたことがあった。
 翼は美希がホラーや戦争物の映画を見ると思っていたんだろう。
 だけど翼はそれが苦手だ。
 それを見たくないから提案したんだけど分かってくれなかったらしい。
 翼のスマホが鳴る。
 多分美希からだろう。

「どうしたの?……わかった」

 そう言って翼は電話を切ると僕に言った。

「善明、スマホを貸して」

 笑顔でそう言っている。
 下手に抵抗しても無駄だ。
 素直に翼にスマホを渡す。

「もしもし、空?ごめんね、善明が無理言って……」

 少し話すと電話を切る。

「善明はダメだよ。他人様の団欒を邪魔したら」

 美希に「まだ子供が小さいし集まり出したらきりがないからクリスマスは穏やかに過ごそう」と言われたらしい。
 美希の言う通りだ。
 僕は穏やかに過ごしたいんだ。
 決して包帯まみれの重傷者に蛆が湧いてる実写なんて見たくない。

「どうしてもなら晶さんの家に行くのはどうでしょう?」

 絶対にダメな気がする。
 一体来年はどんなネタを仕込んでくるのか不安でしょうがなかった。

(3)

 今日は特別だ。
 空達も陽葵や冬夜を連れてその時を待っていた。
 USEの若いアイドルがステージに立っている。
 ご丁寧にミニスカートだ。
 誠や桐谷君、遊や天がステージにかじりついて見上げている。
 それをみて嫁さん達がため息をついている。
 特に繭は不安なんだろう。
 あれで大企業の社長なんだから。
 晶さん達も頭痛の種のようだ。
 まあ、天の父親もいるんだからもうどうしようもない。
 カウントが始まる。

「3,2,1……ハッピーニューイヤー!」

 そう言うとクラッカーが鳴る。
 近くにいる者に「あけましておめでとう」とあいさつする。
 楠木知事が僕に頭を下げているのはさすがに困惑していた。
 空達とも話をした。
 挨拶が終ると子供達を寝かせに翼が連れていく。

「まだいいじゃん!冬莉達が歌うんでしょ!」
「だ~め。中学生になるまで我慢しなさい」
「けち~」

 そう言いながらも親の言う事には素直に従うらしい。
 翼が戻ってくる頃に恵美さん達が来た。

「次が冬莉達の出番よ」

 何でも驚く仕掛けがあるらしい。 
 何となく予想がついたのは恵美さんのそばに泉と育人がいたから。
 停電したかのようにホールが暗くなる。
 そしてマイクスタンドの前に立つ黒いドレスを着た冬莉と志希。
 前回の曲とは打って変わった応援ソング。
 どんなことがあっても自分に嘘を吐くな。
 最後まで自分を信じろ。
 失敗や挫折があってもいい。
 大事なのは最期に自分をよくやったと認められるか。
 そんな事を歌っていた。
 みんな拍手をしていた。
 
「あのドレスは育人が作ったの?」

 恵美さんに聞いていた。

「ええ、まるで学生の時の片桐君みたいで面白かったわよ」
「どういうこと?」

 愛莉が聞くと泉と育人が笑っている。
 服を作る際に採寸する。
 今回のモデルは泉じゃない。
 だから他のスタッフに計ってもらうつもりだったらしい。

「それで、衣装合わせの時はどうするの?」

 冬莉は普通に聞いたらしい。
 最終的に衣裳合わせするのはデザイナーの仕事じゃないのか?

「これからいくつものモデルの服を作っていくのにそんな事気にしてどうするの!?」

 恵美さんが怒ったらしい。
 泉も「私がモデルの裸見るくらいで怒る器の小さな彼女だと思ってるわけ?」と注意したそうだ。
 で、戸惑いながら冬莉の採寸をしたらしい。

「泉とどっちがいい?」

 そんな意地の悪い質問を冬莉がしたそうだ。

「ああ、そういう職業もあるのか。それも悪くないな」

 誠司が言う。

「あんた変な目でモデル見そうだから絶対無理」

 泉が返す。
 
「お前たちは相変わらず賑やかだな」

 渡辺君が来た。

「正俊君は?」
「あそこで冬吾と競ってるよ」

 そう言って正俊君を指差す。
 冬吾と正俊と……天音が混ざっていた。

「あの子はいい歳して何を考えているのでしょうか……」

 愛莉が呆れてる。

「で、例の問題はどうなんだ?」
「ああ、それなら誠が詳しいはずなんだけど……」
「……ちょっとまってろ」

 カンナがステージに食い入るように見ている誠を捕まえて来た。

「どうしたんだよ、いいところだったのに?」
「お前は自分の歳を考えろ!」
「……いや、リベリオンとやらの動向が気になってな」
「そんなことか。冬夜の言ってた通りだ」

 信じられない速度で拡散しているらしい。
 もう東日本は網羅してるそうだ。

「だとすると九州まで来るのも時間の問題か?」
「だろうね」
「で、指揮官様はどう対処するのかい?」

 公生が聞いてくる。
 僕は即答した。

「何もしないよ」

 皆が驚いている。
 空だけは平然としていた。
 予測していたのだろう。
 この様子だと空は対策を考えているのだろう。
 あれだけヒントを与えてやれば対策くらい考えるか。
 頼もしい息子に育ったようだ。

「どういうつもりだよ!そりゃ県外なら納得するけどこっちの縄張りで好き勝手されるのは納得いかねーぞ!」

 美嘉さんが言うと恵美さんや晶さんも言う。

「じゃあ、皆はどうするつもり?」
「そんなもん叩きつぶすに決まってるでしょ?」
「どうして?」
「どうしてって……」

 ほら、理由が無い。
 狙っているのはSHなんだ。
 僕達の出る幕じゃない。

「片桐、何度も言うが焦らすな。お前の中では答えが出てるのだろう」

 丹下さんが言った。

「また奥の手を用意してるのか?」

 カンナが言うと「無い」と答えた。

「だからそれ止めろって……」
「だから、回答が”何もしない”なんだよ」
「だからなんでだよ」
「カンナも少しは考えたらどうだ?」
「……そういう事か。僕達が手を出すとややこしくなるからだね」

 公生は気づいたようだ。
 僕は頷いた。
 奴らの狙いは似非SHで天下を狙うとかそういうものじゃない。
 SHへのヘイトを高める事。
 そこに渡辺班が介入したら彼等にしてみたら都合がいい。
 同時に渡辺班へのヘイトも貯めれるから。
 と、なると相手の本命は次の段階だろう。

「それって例のあれか?」

 誠が聞くと頷いた。

「それは何なんだ?」
「SHの対抗馬」
「それってリベリオンじゃなくて?」

 恵美さんが聞く。

「リベリオンは似非SHと接触してる。気づかれたら馬鹿でも分かるよ」

 自分たちは利用されているんだって。
 それだとせっかくの仕掛けが台無しになる。
 だから用意したんだろう。

「そこまで分かってて何もしないのは何故だ?」

 カンナが聞いたので答えた。

「標的はSHだから。そして地元まであと一歩のところまで拡大してる。そうなればあとは空が対処するよ」

 僕がそう言って空を見る。

「少し悩んだけど手は考えた。後は相手を待ち伏せるだけ」

 それは茜や真香がしっかり見つけてる。
 リベリオン……神谷と違いあっさりと情報を見せて来る。
 隠す気もないんだろう。
 こっちも何もしないから油断してるのか分からないけど。
 多分、神谷十郎が力を貸しただけで頭は別の人間なんだろう。

「冬夜さん、回答を教えてくれませんか?私にはさっぱりで……」

 愛莉が困ってる。

「似非SHによるSHの反抗心、そして地元にまで伸ばして来た。あと必要なのはSHへの反抗心の暴発」

 それを扇動するのは神谷だろう。
 似非SHの事は仲間とも何とも思ってない。
 ただの餌だ。

「そこまで手の内を見せて来たならこっちも対策を考えてる。そうだな?空」

 僕が言うと皆が空を見る。

「考えたら単純だったよ」

 茜達が監視している。
 絶対に逃さないはずだ。
 タイミングは向こうが次の局面に移った時。
 その時に必ず神谷十郎が出てくるはず。
 それに経緯を評して空の王がわざわざ出向いてやるつもりらしい。
 天音が言っていた。

「日本を核の炎に包んでやる」

 SHは九州最悪なんてものじゃ物足りないらしい。
 手札は揃った。
 後は相手の出方に合わせて切っていくだけだ。
 彼等が僕達……というか晶さん達にどんな恨みを持ってるか知らないけど、手を出してくるなら容赦しない。
 失くせない物なんていくらでもある。
 それを狙うのなら徹底的にやってやる。

「じゃあ、話付いたし俺行くな」

 そう言ってステージに釘付けになる誠。
 その行動が歩美たちがどう受け止めているのかいい加減学習した方がいいと思うんだが。

「あれは病気だ……諦めるしかない」

 カンナは諦めていた。
 形はどうであれ神谷と真っ向からぶつかる事になる。
 それがどれだけ長引くのかは予測はつかなかった。
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