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(1)
「もう一回乗りたい」
「いいよ」
茉奈はただレールの上を走っていくだけの乗り物が気に入ったらしい。
ちょっと高い場所を回るだけだけど。
俺達の年齢だと子供だけで乗れないから母さんと一緒に乗る。
水奈は優菜たちの面倒を見るから茉奈は母さん達に任せると言って別行動をしている。
正直退屈だけど「こういう時はそういう態度をみせたらいけない」と父さんが言っていたから付き合っていた。
「茉奈、大きくなったら二人で遊びに来ようか」
「いいの?」
「茉奈は絶叫系とか大丈夫なのか?」
「結と一緒なら多分平気」
よくわからないけど大きくなったら分かるのかな?
恐怖感がいいのならお化け屋敷なんてどう?って茉奈に誘ってみた。
「怖いからやだ」
そう言って拒否された。
意味が分からない。
母さんもホラーは怖いからやだって言っていたな。
「旦那様、結を連れて入ってもらえない?」
「それはいいんだけどそれでいいの?」
母さんが父さんに相談するとそう言った。
「茉奈が入らないならいいよ」
別に興味があったわけじゃないし。
俺たちは湖にキャンプに行くついでに遊園地に来ていた。
じいじたちはのんびりカフェに入ってるらしい。
しかし俺の年齢では乗れるアトラクションが少ない。
ただ高い場所に上がるだけの乗り物とか、ただ回るだけの乗り物とか。
そう言って退屈な時間を過ごしていると茉奈がある乗り物に興味を示した。
「結、あれ一緒に乗りたい!」
メリーゴーランドだった。
ただ回るだけの何が楽しいのかわからない乗り物。
だけどこういう時は彼女に付き合ってあげなさいと父さんから前の日に教えてもらっていた。
「いいよ」
父さん達は俺たちがそれに乗っている様子をビデオで撮影していた。
「あれなら大丈夫なんじゃないの?」
父さんが提案したのは迷路。
ゴールを目指すアトラクション。
「結、塀を乗り越えるとか空中を移動するとかしたらダメだからね」
母さんに注意された。
二人で頑張ってゴールまでたどり着いてみなさい。
母さんたちはゴールで待っているという。
俺と茉奈は二人で中に入る。
結構歩いたと思ったら行き止まり。
なるほど、これは意外と難解だ。
中にいる人は皆四苦八苦していた。
「これ出られるのかな」
茉奈がそう言うけど俺は茉奈の手を握った。
「大丈夫だから心配するな」
それより絶対にはぐれるなよと茉奈に言う。
そして、少しの間立ち止まっていた。
「どうしたの?」
「多分こっち」
そっちはさっきいって行き止まりだったから。
母さんは飛んだり塀を乗り越えたらいけないといった。
地図を作ったらいけないとは言ってない。
僕は空中に物体を飛ばしてその映像を頭の中で認識する。
わかりやすい地図に変換していく。
当然ゴールまでは一本道だ。
だから大体把握した。
でも母さんは「二人で」って言ったから黙っていた。
さりげなくヒントを茉奈に与えながら二人で道を探す。
時間がかかったけど理解した。
こういうのは二人で悩むのが正しい楽しみ方なんだ。
父さんと母さんが俺の育て方を悩んでいるように。
どんなに困難があっても二人なら乗り越えられると言っていた。
きっとそういうことなんだろう。
二人で悩んでそしてゴールに父さんと母さんが立っていてにこりと笑っていた。
「美希!」
そう言って茉奈がゴールに向かって駆け出そうとしたのをとっさに止めた。
「どうしたの?」
茉奈がそう言って俺の方に振り返った時だ。
「美希!!危ない!」
父さんがそう言って母さんを庇うようにする。
母さんは何も気づいてなかったので転んでしまった。
父さんもそのまま母さんを押し倒して伏せる。
母さんが立っていた時にちょうど頭があった位置を何かが通り抜けていくのを僕の目は逃さなかった。
周りが騒然とする。
「美希、大丈夫?」
「転んだ時に肘を擦りむいただけ。旦那様こそ大丈夫?」
「うん」
そう言いながら父さんは一点を見ていた。
「茉奈はそこから動くな」
そう言って迷路から出ると父さんの目線の先を追う。
あいつか……。
折角の休日にふざけた真似しやがって。
だけど人が死んだら純也たちが休日に仕事をしなくちゃいけなくなる。
だから俺は別の手段をとった。
「結!何したんだ?」
父さんが俺に言う。
俺が何かをしたことに気づいたんだろう。
当然だ、父さんが追いかけていた男が突然消失したのだから。
「消した」
わかりやすく答えたつもりだったけど、分からなかったみたいだ。
機械をつかえば写真に写ったん人間を消すことが出来る。
鉛筆で書いた人間の絵は消しゴムで消せる。
だから男が見えたから消した。
俺の持ってる知識を使って可能な限り説明したつもりだった。
殺したら死体が残るから事件になる。
冬眞達が受けたプリズンとやらではまだ生きている。
だけど僕の能力は存在そのものを否定する能力。
「なるほどね」
父さんと母さんは理解したみたいだ。
「でもその力はむやみに使ったらだめだよ」
ムカつくから消したなんて絶対にダメ。
母さんがそう言うから「わかった」って答えた。
「おーい、美希」
天音がやってきた。
母さん達を探していたらしい。
「ちょうどよかった。天音達襲撃受けなかった?」
「いや?お前ら何かあったのか?」
天音が聞くと母さんが説明した。
「なんでもありだな、結の奴。それならちょっと力を貸してくれ」
「何かあったの?」
「緊急事態だ、案の定やりやがった!」
そう言って茉莉とと菫と優奈と愛菜を見る。
なぜかびしょ濡れだ。
学は水奈を睨みつけている。
「普通やるだろ!?そんだけ度胸があるってことだからいいじゃねーか!?」
「3歳の子供がそんな度胸つけてどうするんだ!?大体悠翔は大人しくしてたのはどう説明するんだ!?」
「喧嘩なら後にしろ!今は問題を片付けないと!結、お前火を出せただろ!?すぐに出してくれ」
天音が俺にお願いする。
何があったんだろう。
アトラクションに水が流れていて船が浮かんでいるアトラクションがある。
それは機械で坂を上って行ってそして下り坂を落下する物だ。
水しぶきが通行人にかからないように屋根がある部分がある。
そして茉莉と菫達は思いついた。
「おい、チキン。勝負しねーか?」
「誰がチキンだ小便野郎。勝負ってなんだ?」
菫が聞くと茉莉はそのアトラクションを指差した。
「あの水しぶきを防ぐためにこの屋根あるんだろ?」
どっちがぎりぎりまで残っていられるか勝負しようぜ。
「私が水ごときでビビると思ってるのかアホンダラ」
「そうこないとな、次の一発で決めるぞ」
茉莉がそう言うと優奈と愛菜も加わったらしい。
「菫、分かってるだろうな。まさか愛菜達より先に逃げたりしねーだろうな?」
「ふざけるな。お前こそちびんじゃねーぞ」
そして4人は勝負を始めた。
ちょうど学はジュースを飲みながらなずな達と地図を見て相談していたらしい。
結果はドロー。
誰か一人が逃げ出すのを確認するまで意地を張ったらしい。
そして4人共水を思いっきり浴びた。
びしょ濡れの茉莉達を愛莉や恵美に見られたらヤバイ。
そんな大惨事になって学は気づいたそうだ。
で、俺達を探していた。
「……ってなわけだ。急いで火を出してくれ」
「天音、火くらいじゃ乾かないんじゃないかな」
「じゃあ、あれだ!熱風を出してくれ。火傷しない程度に」
人を消すことに比べたらそのくらい簡単だろ?
天音がそう言うので試してみることにする。
「その必要はありません。騒ぎを起こすつもりですか?」
愛莉とじいじ達が来た。
さっきの騒ぎで人が集まっていたので気になって様子を見に来たらしい。
天音と水奈は笑っていた。
「やっぱりやらかしたか……」
神奈がそう言ってため息をついている。
「子供だからしょうがないだろ?」
「天音の言う通りですね。……問題はそこじゃありません!」
親がついていながら止めようとしなかった理由を説明しなさい!
「大地!あなたもでしょ!どうして止めなかったの!?」
「さすがに最後まで動かないなんて分からなかったんだ!」
天音が小さい時にやらかしたのを思い出した時は茉莉達が水を被っていたそうだ。
「水奈も他人事だと思うなよ!3歳がする行動じゃないだろ!」
「3歳でそんな度胸あるんだからすげーじゃねーか!」
「そうじゃないだろこのバカ。お前はどんな娘に育てるつもりだ」
「結、火は出したらだめ。騒ぎになる。冬夜の力は簡単につかったらいけないよ」
じいじが言うのでやめておいた。
「き、着替えはあるしとりあえず着替えさせた方がいいんじゃないかい?」
菫のじいじが言うと晶が「そうね……」と答えた。
ちょうどキャンプ場に移動する時間だしいいだろうと言って遊園地を後にした。
消した男がどうなったか?
別にどこかに閉じ込めたわけじゃない。
消し去ったんだ。
精々行方不明者が増えるだけだろう。
(2)
「いや、参ったな……」
僕たちは夜キャンプ場でBBQを楽しんでいた。
学は神奈さんや母さんに叱られていた。
誠さんも頭を抱えていた。
相手が悠翔だったら「少々のやんちゃくらいしょうがないだろ」で済む。
しかしやったのは優奈と愛菜だった。
「絶対にお前の日ごろの教育の結果だぞ!」
神奈さんに水奈はかなり怒られていた。
もちろん天音は母さんにこってり叱られていたけど。
善明も晶さんに絞られていた。
「善明、ごめん。私もどうしてああなったのか理由が分からなくて」
「いいよ、子育ては僕も責任あるんだから」
翼も悩んでいるみたいだ。
「お前らは子供も規格外の事やらかすよな」
光太はそう言って笑っていた。
「でも陽葵はどうしておとなしいんだ?」
「大人しいのは私が見てる間だけだから」
翼が答えた。
翼は大変らしい。
陽葵達が何もしなくてほっとしていたら結を怒らせる馬鹿が出てくる。
結の理由が正しいから叱ることもできない。
せいぜい「少しやりすぎだから加減しなさい」くらいだ。
それで相手の親が引き下がってくれたらいい。
あまり翼にうるさく言うと恵美さんが出てくる。
どうしてか?
結を怒らせる原因の8割くらい先に結莉や茉莉に手を出すか揶揄うかくらいだから。
だから天音も翼と一緒に幼稚園に行く。
すると恵美さんが気づく。
恵美さんも天音一人では手に負えないと頻繁に訪れるらしい。
いない理由は夕飯の買い出しか幼稚園に呼び出されるか。
なずな達とお茶するときは恵美さん達に知らせておく。
しかしさすがに「幼稚園に呼び出された」なんて事を知らせたら園長の首がいくつあっても足りない。
知らせなくても行き先が決まってるから感づいてしまう。
天音も翼と相談しているそうだ。
その度に反省しているらしい。
「私達もちょっとやりすぎたかな?」
そう思うらしい。
母さんに相談すると「だから言ったでしょ」と笑っているらしい。
母さんは二人が育児で困惑しているのを楽しんでいるんだそうだ。
手を貸してやってもいいけどまだ4歳。
これから先もっと大変な問題を必ずしでかすだろう。
ずっと母さんの手を借りるつもり?
そう言われたら自分で何とかするしかない。
翼は善明によく相談している。
まだ陽葵と秋久はいい方だ。
今も大人しく肉を食べている。
「大地はどうなの?」
僕は大地に聞いてみた。
「叱る理由がなくて困ってるんです」
大地はそう言って笑った。
茉莉も結莉も大地の前では大人しい。
「パパー」
と抱き着いてくるくらいだ。
「あまり天音を困らせたらいけないよ」
そのくらいは注意した。
しかしその注意の仕方が問題だったみたいだ。
翌日暴行した子供を呼び出してリベンジする。
「お前のせいで天音が苦労してるんだぞ。いい加減にしろ!」
そう言って菫と痛めつけるそうだ。
すると子供は学習する。
「どうしたの?」
と、保母さんに聞かれても「転びました」と真実を隠す。
しかし保母さんをごまかすことはできない。
「女の子らしくしなさい」
絶対に天音の前で言えない。
天音が怒らなくても天音が恵美さんに相談して恵美さんの耳に届く。
そして大地が呼び出されて叱られる。
「遊はどうなんだ?」
水奈が遊に聞いていた。
「父親って大変だなって今日味わった」
遊も今日はもう疲れて暴れる余裕もないらしい。
「もういいだろ?」
そう言っても琴音は何度でもメリーゴーランドに乗りたがるらしい。
「たまにくらい父親らしいとこ見せなよ」
なずなはそう言って二人をカメラに収めているらしい。
「遊はよくやってくれるようになったよ。だから動画に収めてるの」
将来琴音がお嫁に行くときにきっと遊のいい思い出になるからと撮っているそうだ。
「なんでそんなに苦労するんだ?」
天が言った。
男は仕事して金稼いでくるんだから子育てくらい嫁に任せておけばいいだろ?
だから仕事してないんだろ?
子育てが仕事なんだから任せとけばいいんだよ!
すると善明が言った。
「天……それは絶対に母さんの前で言ったらいけないよ」
「なんでだよ?」
「……すぐ分るよ」
善明は遅かったことを悟ったようだ。
「天……あなたの子供でもあるのよ。少しは協力しようとか思わないの?」
天は晶さんの声を聞いて青ざめた表情で振り返る。
「ちょっと天を借りてもいいかしら。みっちり教育する必要があるみたいだから」
だれも晶さんを止めようとしなかった。
「この裏切り者ー!!」
そんな天の悲鳴を聞いていた。
「でも、天はああいってるけど手伝ってくれるんですよ」
繭がにこりと笑って言う。
毎日帰ると娘の綺羅の寝顔をしっかり見ているそうだ。
「やっぱりそうなるよな」
遊は天と同感の様だ。
「やっぱり娘だとそうなるのか?」
粋が聞いていた。
「そうだな。ほら”よく娘は誰にも渡さない!”っていうだろ?」
光太が説明する。
そのくらい娘は可愛いんだと力説していた。
「大地はそんなふざけた事言ったら殺すからな」
天音が大地を睨みつける。
大地は天音を見て笑う。
「二人とももう相手を見つけたからね」
結莉が結婚するときは僕と一緒に祝杯をあげるよと言う。
「なるほどな」
粋にはいまいち伝わらないらしい。
そんな粋を見て花が言う。
「娘欲しいなら私頑張ってもいいけど?」
娘が欲しいと願えばきっとできるだろうし。
「い、いや。出産って大変なんだろ。何度もそんな目にさせられないよ」
粋は花に苦労をかけたくないと思っているらしい。
だけど花は首を振る。
「粋は態度で示してくれた。私にも快にも同じくらい愛情を注いでくれる」
そんな粋との子供なら私だって何の不安もなく産めるから。
「……帰ったら頑張るか?」
「さすがにテントの中は嫌だしね」
いい家族を作ってるんだな。
と、なると問題は水奈だ。
「いい加減にしないとゲーム機売りに出すぞ!」
「ま、学は私にどうやってストレスを解消させる気なんだ!」
学が相手してくれるのか?
花は粋が相手してくれるって言ったぞ!?
「今でも育児に手こずってるお前がこれ以上子供作ったら不安以外何もないだろうか馬鹿!」
神奈さんが来た。
「ゲームくらいいいだろ!?天音だってやってるぞ!」
「ば、馬鹿!余計なこと言うな水奈!」
「天音……まだやっていたの?」
母さんも一緒だったようだ。
「ちゃんと結莉達が幼稚園にいないときにちょこっとやってるだけだって!」
「天音はそれでとりあえずいいとして水奈はいつやってるの?」
「こ、子供が寝てるときに……」
とはいえ3歳だ。
茉奈達と同じように幼稚園に通っている。
そしてその回答を母さんは予知していた。
だからにやりと笑う。
「あれ、たしか天音と対戦するゲームだよね?」
「そうですけど?」
天音が必死にジェスチャーを送っているけど水奈は気づかない。
「一つ聞いてもいい?もうそろそろ夜と昼寝くらいしかしないと思うんだけど」
「まあ、そうですね」
母さんの罠にはまっていることに気づかないようだ。
「おかしいわね。幼稚園は午前中しかないはずだったけど。どう説明するの?天音」
「ひ、帰ってから昼寝してるからその間にするだけだよ」
「午前中にゲームして結莉達が昼寝してる間もゲームしてるわけ?」
「ちょっとくらい息抜きしたっていいじゃん」
「……で、いつ家事をしているの?」
「ちゃんとやることはやってるよ」
朝、結莉や大地達を送り出してから家事をするらしい。
夕飯だってちゃんと結莉達が起きてから買い物にいったりしているそうだ。
「……愛菜ちゃんたちはいつゲームを見てるの?」
母さんが突然愛菜たちに話を振って来た。
「夜だよ!」
「寝なくていいの?」
「ママ達が起きてるから起きてるー」
「水奈は誰と遊んでるの?」
必死に天音がジェスチャーを送っている。
「わ、私だってちゃんと夜家事をした後に……」
「それは何時ごろなの?」
「あ……」
「天音、どういう事?そもそも夜はどうしてるの?」
そういって大地を恵美さんと母さんが睨む。
さすがに隠し事は通じないみたいだ。
天音は言った通り夜にゲームをしていた。
それを見て「結莉もする!!」と主張する結莉。
茉莉も面白そうに見ている。
大地は必死に結莉達を寝室に連れて行こうとするが天音は予想外の手段に出た。
「二人ともやりたがってるし買ってやろうぜ」
そう言ってゲーム機とソフトを部屋に置いたらしい。
美希と僕は思い当たる節があった。
「ねえ、芳樹。膝枕して♪」
「結莉眠いの?まだ朝だよ?」
「うぅ……だめ?」
「別にいいけど、夜眠れなくなるよ?」
「寝ないから大丈夫」
そんなやり取りを聞いた結は不思議で翼に聞いたらしい。
夜は寝るものじゃないのか?
もちろん美希はちゃんと説明したけど、それでも結莉が寝ない理由が分からなかった。
その理由が今判明した。
「大地、お前何ばらしてんだよ!ふざけるな!」
「あんなゲーム買ってくるなんて言わなかったじゃないか」
コミカルなキャラがアクションするゲームとか箱庭ゲームを想像していたらしい。
そう言うゲームなら教育にも役に立ちそうだしいいかと許可したらしい。
「ふざけてるのは天音でしょ!何考えてるの!?」
「別にホラーとか殺して埋めるとかそう言うのじゃないからいいだろ!」
父さんだってやってたと主張する。
確かに父さんはゲームが大好きだ。
それでも「娘の前でするのだけはやめてください!」と母さんが説得してたらしい。
小学校くらいで天音がゲームやりだしたら全部水の泡になったけど。
父さんが買ってくるゲームをやってるわけだから当然だろう。
その度に父さんたちは喧嘩してたな。
翼はどういうわけかああいう残酷なゲームは苦手だった。
母さんに似たんだと言っていたな。
まあ、母さんが怒るのも無理はない。
「このボケナス!頭ぶち抜くぞ!」
そんなことを孫娘に言われたら怒るに決まってる。
「愛莉ちゃんも言われたのね……」
恵美さんも言われたみたいだ。
と、いうことは……。
「祈だって一緒だぞ!」
天音は周りに飛び火させていく。
「まあ、よくやるよ……」
翼がそう言って笑っている。
「パパ、花火打ちたい」
BBQが終わる頃茉莉達がやってきた。
「天音ライター貸して。菫の尻にロケット花火ぶち込んでやる」
「上等だ!善明、私にもライター。茉莉の頭に風穴開けてやらぁ!」
天音達はもう反論する余地がなかった。
「結、花火しよう?」
「親がいないと無理だよ」
「旦那様、ここは私に任せて」
美希がそう言うので茉奈と結を連れて花火に行った。
「もう一回乗りたい」
「いいよ」
茉奈はただレールの上を走っていくだけの乗り物が気に入ったらしい。
ちょっと高い場所を回るだけだけど。
俺達の年齢だと子供だけで乗れないから母さんと一緒に乗る。
水奈は優菜たちの面倒を見るから茉奈は母さん達に任せると言って別行動をしている。
正直退屈だけど「こういう時はそういう態度をみせたらいけない」と父さんが言っていたから付き合っていた。
「茉奈、大きくなったら二人で遊びに来ようか」
「いいの?」
「茉奈は絶叫系とか大丈夫なのか?」
「結と一緒なら多分平気」
よくわからないけど大きくなったら分かるのかな?
恐怖感がいいのならお化け屋敷なんてどう?って茉奈に誘ってみた。
「怖いからやだ」
そう言って拒否された。
意味が分からない。
母さんもホラーは怖いからやだって言っていたな。
「旦那様、結を連れて入ってもらえない?」
「それはいいんだけどそれでいいの?」
母さんが父さんに相談するとそう言った。
「茉奈が入らないならいいよ」
別に興味があったわけじゃないし。
俺たちは湖にキャンプに行くついでに遊園地に来ていた。
じいじたちはのんびりカフェに入ってるらしい。
しかし俺の年齢では乗れるアトラクションが少ない。
ただ高い場所に上がるだけの乗り物とか、ただ回るだけの乗り物とか。
そう言って退屈な時間を過ごしていると茉奈がある乗り物に興味を示した。
「結、あれ一緒に乗りたい!」
メリーゴーランドだった。
ただ回るだけの何が楽しいのかわからない乗り物。
だけどこういう時は彼女に付き合ってあげなさいと父さんから前の日に教えてもらっていた。
「いいよ」
父さん達は俺たちがそれに乗っている様子をビデオで撮影していた。
「あれなら大丈夫なんじゃないの?」
父さんが提案したのは迷路。
ゴールを目指すアトラクション。
「結、塀を乗り越えるとか空中を移動するとかしたらダメだからね」
母さんに注意された。
二人で頑張ってゴールまでたどり着いてみなさい。
母さんたちはゴールで待っているという。
俺と茉奈は二人で中に入る。
結構歩いたと思ったら行き止まり。
なるほど、これは意外と難解だ。
中にいる人は皆四苦八苦していた。
「これ出られるのかな」
茉奈がそう言うけど俺は茉奈の手を握った。
「大丈夫だから心配するな」
それより絶対にはぐれるなよと茉奈に言う。
そして、少しの間立ち止まっていた。
「どうしたの?」
「多分こっち」
そっちはさっきいって行き止まりだったから。
母さんは飛んだり塀を乗り越えたらいけないといった。
地図を作ったらいけないとは言ってない。
僕は空中に物体を飛ばしてその映像を頭の中で認識する。
わかりやすい地図に変換していく。
当然ゴールまでは一本道だ。
だから大体把握した。
でも母さんは「二人で」って言ったから黙っていた。
さりげなくヒントを茉奈に与えながら二人で道を探す。
時間がかかったけど理解した。
こういうのは二人で悩むのが正しい楽しみ方なんだ。
父さんと母さんが俺の育て方を悩んでいるように。
どんなに困難があっても二人なら乗り越えられると言っていた。
きっとそういうことなんだろう。
二人で悩んでそしてゴールに父さんと母さんが立っていてにこりと笑っていた。
「美希!」
そう言って茉奈がゴールに向かって駆け出そうとしたのをとっさに止めた。
「どうしたの?」
茉奈がそう言って俺の方に振り返った時だ。
「美希!!危ない!」
父さんがそう言って母さんを庇うようにする。
母さんは何も気づいてなかったので転んでしまった。
父さんもそのまま母さんを押し倒して伏せる。
母さんが立っていた時にちょうど頭があった位置を何かが通り抜けていくのを僕の目は逃さなかった。
周りが騒然とする。
「美希、大丈夫?」
「転んだ時に肘を擦りむいただけ。旦那様こそ大丈夫?」
「うん」
そう言いながら父さんは一点を見ていた。
「茉奈はそこから動くな」
そう言って迷路から出ると父さんの目線の先を追う。
あいつか……。
折角の休日にふざけた真似しやがって。
だけど人が死んだら純也たちが休日に仕事をしなくちゃいけなくなる。
だから俺は別の手段をとった。
「結!何したんだ?」
父さんが俺に言う。
俺が何かをしたことに気づいたんだろう。
当然だ、父さんが追いかけていた男が突然消失したのだから。
「消した」
わかりやすく答えたつもりだったけど、分からなかったみたいだ。
機械をつかえば写真に写ったん人間を消すことが出来る。
鉛筆で書いた人間の絵は消しゴムで消せる。
だから男が見えたから消した。
俺の持ってる知識を使って可能な限り説明したつもりだった。
殺したら死体が残るから事件になる。
冬眞達が受けたプリズンとやらではまだ生きている。
だけど僕の能力は存在そのものを否定する能力。
「なるほどね」
父さんと母さんは理解したみたいだ。
「でもその力はむやみに使ったらだめだよ」
ムカつくから消したなんて絶対にダメ。
母さんがそう言うから「わかった」って答えた。
「おーい、美希」
天音がやってきた。
母さん達を探していたらしい。
「ちょうどよかった。天音達襲撃受けなかった?」
「いや?お前ら何かあったのか?」
天音が聞くと母さんが説明した。
「なんでもありだな、結の奴。それならちょっと力を貸してくれ」
「何かあったの?」
「緊急事態だ、案の定やりやがった!」
そう言って茉莉とと菫と優奈と愛菜を見る。
なぜかびしょ濡れだ。
学は水奈を睨みつけている。
「普通やるだろ!?そんだけ度胸があるってことだからいいじゃねーか!?」
「3歳の子供がそんな度胸つけてどうするんだ!?大体悠翔は大人しくしてたのはどう説明するんだ!?」
「喧嘩なら後にしろ!今は問題を片付けないと!結、お前火を出せただろ!?すぐに出してくれ」
天音が俺にお願いする。
何があったんだろう。
アトラクションに水が流れていて船が浮かんでいるアトラクションがある。
それは機械で坂を上って行ってそして下り坂を落下する物だ。
水しぶきが通行人にかからないように屋根がある部分がある。
そして茉莉と菫達は思いついた。
「おい、チキン。勝負しねーか?」
「誰がチキンだ小便野郎。勝負ってなんだ?」
菫が聞くと茉莉はそのアトラクションを指差した。
「あの水しぶきを防ぐためにこの屋根あるんだろ?」
どっちがぎりぎりまで残っていられるか勝負しようぜ。
「私が水ごときでビビると思ってるのかアホンダラ」
「そうこないとな、次の一発で決めるぞ」
茉莉がそう言うと優奈と愛菜も加わったらしい。
「菫、分かってるだろうな。まさか愛菜達より先に逃げたりしねーだろうな?」
「ふざけるな。お前こそちびんじゃねーぞ」
そして4人は勝負を始めた。
ちょうど学はジュースを飲みながらなずな達と地図を見て相談していたらしい。
結果はドロー。
誰か一人が逃げ出すのを確認するまで意地を張ったらしい。
そして4人共水を思いっきり浴びた。
びしょ濡れの茉莉達を愛莉や恵美に見られたらヤバイ。
そんな大惨事になって学は気づいたそうだ。
で、俺達を探していた。
「……ってなわけだ。急いで火を出してくれ」
「天音、火くらいじゃ乾かないんじゃないかな」
「じゃあ、あれだ!熱風を出してくれ。火傷しない程度に」
人を消すことに比べたらそのくらい簡単だろ?
天音がそう言うので試してみることにする。
「その必要はありません。騒ぎを起こすつもりですか?」
愛莉とじいじ達が来た。
さっきの騒ぎで人が集まっていたので気になって様子を見に来たらしい。
天音と水奈は笑っていた。
「やっぱりやらかしたか……」
神奈がそう言ってため息をついている。
「子供だからしょうがないだろ?」
「天音の言う通りですね。……問題はそこじゃありません!」
親がついていながら止めようとしなかった理由を説明しなさい!
「大地!あなたもでしょ!どうして止めなかったの!?」
「さすがに最後まで動かないなんて分からなかったんだ!」
天音が小さい時にやらかしたのを思い出した時は茉莉達が水を被っていたそうだ。
「水奈も他人事だと思うなよ!3歳がする行動じゃないだろ!」
「3歳でそんな度胸あるんだからすげーじゃねーか!」
「そうじゃないだろこのバカ。お前はどんな娘に育てるつもりだ」
「結、火は出したらだめ。騒ぎになる。冬夜の力は簡単につかったらいけないよ」
じいじが言うのでやめておいた。
「き、着替えはあるしとりあえず着替えさせた方がいいんじゃないかい?」
菫のじいじが言うと晶が「そうね……」と答えた。
ちょうどキャンプ場に移動する時間だしいいだろうと言って遊園地を後にした。
消した男がどうなったか?
別にどこかに閉じ込めたわけじゃない。
消し去ったんだ。
精々行方不明者が増えるだけだろう。
(2)
「いや、参ったな……」
僕たちは夜キャンプ場でBBQを楽しんでいた。
学は神奈さんや母さんに叱られていた。
誠さんも頭を抱えていた。
相手が悠翔だったら「少々のやんちゃくらいしょうがないだろ」で済む。
しかしやったのは優奈と愛菜だった。
「絶対にお前の日ごろの教育の結果だぞ!」
神奈さんに水奈はかなり怒られていた。
もちろん天音は母さんにこってり叱られていたけど。
善明も晶さんに絞られていた。
「善明、ごめん。私もどうしてああなったのか理由が分からなくて」
「いいよ、子育ては僕も責任あるんだから」
翼も悩んでいるみたいだ。
「お前らは子供も規格外の事やらかすよな」
光太はそう言って笑っていた。
「でも陽葵はどうしておとなしいんだ?」
「大人しいのは私が見てる間だけだから」
翼が答えた。
翼は大変らしい。
陽葵達が何もしなくてほっとしていたら結を怒らせる馬鹿が出てくる。
結の理由が正しいから叱ることもできない。
せいぜい「少しやりすぎだから加減しなさい」くらいだ。
それで相手の親が引き下がってくれたらいい。
あまり翼にうるさく言うと恵美さんが出てくる。
どうしてか?
結を怒らせる原因の8割くらい先に結莉や茉莉に手を出すか揶揄うかくらいだから。
だから天音も翼と一緒に幼稚園に行く。
すると恵美さんが気づく。
恵美さんも天音一人では手に負えないと頻繁に訪れるらしい。
いない理由は夕飯の買い出しか幼稚園に呼び出されるか。
なずな達とお茶するときは恵美さん達に知らせておく。
しかしさすがに「幼稚園に呼び出された」なんて事を知らせたら園長の首がいくつあっても足りない。
知らせなくても行き先が決まってるから感づいてしまう。
天音も翼と相談しているそうだ。
その度に反省しているらしい。
「私達もちょっとやりすぎたかな?」
そう思うらしい。
母さんに相談すると「だから言ったでしょ」と笑っているらしい。
母さんは二人が育児で困惑しているのを楽しんでいるんだそうだ。
手を貸してやってもいいけどまだ4歳。
これから先もっと大変な問題を必ずしでかすだろう。
ずっと母さんの手を借りるつもり?
そう言われたら自分で何とかするしかない。
翼は善明によく相談している。
まだ陽葵と秋久はいい方だ。
今も大人しく肉を食べている。
「大地はどうなの?」
僕は大地に聞いてみた。
「叱る理由がなくて困ってるんです」
大地はそう言って笑った。
茉莉も結莉も大地の前では大人しい。
「パパー」
と抱き着いてくるくらいだ。
「あまり天音を困らせたらいけないよ」
そのくらいは注意した。
しかしその注意の仕方が問題だったみたいだ。
翌日暴行した子供を呼び出してリベンジする。
「お前のせいで天音が苦労してるんだぞ。いい加減にしろ!」
そう言って菫と痛めつけるそうだ。
すると子供は学習する。
「どうしたの?」
と、保母さんに聞かれても「転びました」と真実を隠す。
しかし保母さんをごまかすことはできない。
「女の子らしくしなさい」
絶対に天音の前で言えない。
天音が怒らなくても天音が恵美さんに相談して恵美さんの耳に届く。
そして大地が呼び出されて叱られる。
「遊はどうなんだ?」
水奈が遊に聞いていた。
「父親って大変だなって今日味わった」
遊も今日はもう疲れて暴れる余裕もないらしい。
「もういいだろ?」
そう言っても琴音は何度でもメリーゴーランドに乗りたがるらしい。
「たまにくらい父親らしいとこ見せなよ」
なずなはそう言って二人をカメラに収めているらしい。
「遊はよくやってくれるようになったよ。だから動画に収めてるの」
将来琴音がお嫁に行くときにきっと遊のいい思い出になるからと撮っているそうだ。
「なんでそんなに苦労するんだ?」
天が言った。
男は仕事して金稼いでくるんだから子育てくらい嫁に任せておけばいいだろ?
だから仕事してないんだろ?
子育てが仕事なんだから任せとけばいいんだよ!
すると善明が言った。
「天……それは絶対に母さんの前で言ったらいけないよ」
「なんでだよ?」
「……すぐ分るよ」
善明は遅かったことを悟ったようだ。
「天……あなたの子供でもあるのよ。少しは協力しようとか思わないの?」
天は晶さんの声を聞いて青ざめた表情で振り返る。
「ちょっと天を借りてもいいかしら。みっちり教育する必要があるみたいだから」
だれも晶さんを止めようとしなかった。
「この裏切り者ー!!」
そんな天の悲鳴を聞いていた。
「でも、天はああいってるけど手伝ってくれるんですよ」
繭がにこりと笑って言う。
毎日帰ると娘の綺羅の寝顔をしっかり見ているそうだ。
「やっぱりそうなるよな」
遊は天と同感の様だ。
「やっぱり娘だとそうなるのか?」
粋が聞いていた。
「そうだな。ほら”よく娘は誰にも渡さない!”っていうだろ?」
光太が説明する。
そのくらい娘は可愛いんだと力説していた。
「大地はそんなふざけた事言ったら殺すからな」
天音が大地を睨みつける。
大地は天音を見て笑う。
「二人とももう相手を見つけたからね」
結莉が結婚するときは僕と一緒に祝杯をあげるよと言う。
「なるほどな」
粋にはいまいち伝わらないらしい。
そんな粋を見て花が言う。
「娘欲しいなら私頑張ってもいいけど?」
娘が欲しいと願えばきっとできるだろうし。
「い、いや。出産って大変なんだろ。何度もそんな目にさせられないよ」
粋は花に苦労をかけたくないと思っているらしい。
だけど花は首を振る。
「粋は態度で示してくれた。私にも快にも同じくらい愛情を注いでくれる」
そんな粋との子供なら私だって何の不安もなく産めるから。
「……帰ったら頑張るか?」
「さすがにテントの中は嫌だしね」
いい家族を作ってるんだな。
と、なると問題は水奈だ。
「いい加減にしないとゲーム機売りに出すぞ!」
「ま、学は私にどうやってストレスを解消させる気なんだ!」
学が相手してくれるのか?
花は粋が相手してくれるって言ったぞ!?
「今でも育児に手こずってるお前がこれ以上子供作ったら不安以外何もないだろうか馬鹿!」
神奈さんが来た。
「ゲームくらいいいだろ!?天音だってやってるぞ!」
「ば、馬鹿!余計なこと言うな水奈!」
「天音……まだやっていたの?」
母さんも一緒だったようだ。
「ちゃんと結莉達が幼稚園にいないときにちょこっとやってるだけだって!」
「天音はそれでとりあえずいいとして水奈はいつやってるの?」
「こ、子供が寝てるときに……」
とはいえ3歳だ。
茉奈達と同じように幼稚園に通っている。
そしてその回答を母さんは予知していた。
だからにやりと笑う。
「あれ、たしか天音と対戦するゲームだよね?」
「そうですけど?」
天音が必死にジェスチャーを送っているけど水奈は気づかない。
「一つ聞いてもいい?もうそろそろ夜と昼寝くらいしかしないと思うんだけど」
「まあ、そうですね」
母さんの罠にはまっていることに気づかないようだ。
「おかしいわね。幼稚園は午前中しかないはずだったけど。どう説明するの?天音」
「ひ、帰ってから昼寝してるからその間にするだけだよ」
「午前中にゲームして結莉達が昼寝してる間もゲームしてるわけ?」
「ちょっとくらい息抜きしたっていいじゃん」
「……で、いつ家事をしているの?」
「ちゃんとやることはやってるよ」
朝、結莉や大地達を送り出してから家事をするらしい。
夕飯だってちゃんと結莉達が起きてから買い物にいったりしているそうだ。
「……愛菜ちゃんたちはいつゲームを見てるの?」
母さんが突然愛菜たちに話を振って来た。
「夜だよ!」
「寝なくていいの?」
「ママ達が起きてるから起きてるー」
「水奈は誰と遊んでるの?」
必死に天音がジェスチャーを送っている。
「わ、私だってちゃんと夜家事をした後に……」
「それは何時ごろなの?」
「あ……」
「天音、どういう事?そもそも夜はどうしてるの?」
そういって大地を恵美さんと母さんが睨む。
さすがに隠し事は通じないみたいだ。
天音は言った通り夜にゲームをしていた。
それを見て「結莉もする!!」と主張する結莉。
茉莉も面白そうに見ている。
大地は必死に結莉達を寝室に連れて行こうとするが天音は予想外の手段に出た。
「二人ともやりたがってるし買ってやろうぜ」
そう言ってゲーム機とソフトを部屋に置いたらしい。
美希と僕は思い当たる節があった。
「ねえ、芳樹。膝枕して♪」
「結莉眠いの?まだ朝だよ?」
「うぅ……だめ?」
「別にいいけど、夜眠れなくなるよ?」
「寝ないから大丈夫」
そんなやり取りを聞いた結は不思議で翼に聞いたらしい。
夜は寝るものじゃないのか?
もちろん美希はちゃんと説明したけど、それでも結莉が寝ない理由が分からなかった。
その理由が今判明した。
「大地、お前何ばらしてんだよ!ふざけるな!」
「あんなゲーム買ってくるなんて言わなかったじゃないか」
コミカルなキャラがアクションするゲームとか箱庭ゲームを想像していたらしい。
そう言うゲームなら教育にも役に立ちそうだしいいかと許可したらしい。
「ふざけてるのは天音でしょ!何考えてるの!?」
「別にホラーとか殺して埋めるとかそう言うのじゃないからいいだろ!」
父さんだってやってたと主張する。
確かに父さんはゲームが大好きだ。
それでも「娘の前でするのだけはやめてください!」と母さんが説得してたらしい。
小学校くらいで天音がゲームやりだしたら全部水の泡になったけど。
父さんが買ってくるゲームをやってるわけだから当然だろう。
その度に父さんたちは喧嘩してたな。
翼はどういうわけかああいう残酷なゲームは苦手だった。
母さんに似たんだと言っていたな。
まあ、母さんが怒るのも無理はない。
「このボケナス!頭ぶち抜くぞ!」
そんなことを孫娘に言われたら怒るに決まってる。
「愛莉ちゃんも言われたのね……」
恵美さんも言われたみたいだ。
と、いうことは……。
「祈だって一緒だぞ!」
天音は周りに飛び火させていく。
「まあ、よくやるよ……」
翼がそう言って笑っている。
「パパ、花火打ちたい」
BBQが終わる頃茉莉達がやってきた。
「天音ライター貸して。菫の尻にロケット花火ぶち込んでやる」
「上等だ!善明、私にもライター。茉莉の頭に風穴開けてやらぁ!」
天音達はもう反論する余地がなかった。
「結、花火しよう?」
「親がいないと無理だよ」
「旦那様、ここは私に任せて」
美希がそう言うので茉奈と結を連れて花火に行った。
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