姉妹チート

和希

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Encounter

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(1)

「あ、先輩。久しぶりっす」
「ああ、久しぶりだな」
 
 昼の休憩時間に食堂で弁当を食べていると後輩の佐伯恵梨香が誰か男を連れてきた。

「隣いいっすか?」
「ああ、いいよ」

 同僚の女性と昼飯を食ってたくらいで怒る梨々香じゃない。

「で、一緒にいる男は?」

 お前にも彼氏できたのか?

「やだなぁ。そんなんじゃないっすよ」

 俺が突然異動させられた後の後任に選ばれたのがこの斑鳩雄太郎。
 2人とも確かに俺より後年下だけど、理由がある。
 俺はキャリア組、2人はノンキャリと呼ばれる組。
 ノンキャリだから出世に年数がかかるけど、そこもちゃんと理由がある。
 2人は地方公務員。
 つまり高卒で受験を受けた。
 立場的には俺は上だけど、実績は二人の方が多い。
 それでも恵梨香は俺を先輩と呼んでいた。
 あまり気にしてはいないけど。

「先輩が異動させられてから踏んだ蹴ったりっすよ」

 恵梨香がそう嘆いていた。
 捜査の方針が机上の空論になっている。
 防犯カメラから特定すればいい。
 だけど防犯カメラに写っていたところで名札をぶら下げてる馬鹿はいない。
 その為に恵梨香はもっと周辺に聞き込みをと主張するが人員を確保してくれない。
 犯人のアジトを突き止めても「令状が下りるまで待て」と言われて何もできない間に逃げられる。
 FGはともかくリベリオンは昼間に公園で銃を平気で打ってくる連中だ。
 日本の警察官は発砲するまでにいくつかの条件を満たなければならない。
 例を挙げると「斧を持った犯人が自分が構えて宣告したうえで振り下ろして来たら打っていい」ということだ。
 斧を持っているだけの状態なら銃を構えるだけしか認められない。
 だからリベリオンを相手にするには警察は常に不利な状況に立たされる。
 もちろん捜査する人間は防弾チョッキくらいは装備する。
 しかし相手が斧などだと意味がない。
 防弾チョッキで防ぐことが出来ない。
 あたりまえだ。
 腕や足を狙ってこられたらひとたまりもない。
 昔ネットでドラマを見た事がある。
 領土に不法侵入してきた某国の人間を捕まえようとしたとき、最初は警察の特殊部隊が出た。
 もちろん銃を持っている。
 しかし発砲許可が出るまで撃つことはできない。
 
「投降しないと撃つぞ」

 そう警告した。
 相手はその返事にグレネードランチャーを撃ってきた。
 撃ってきたんだから反撃できると誰もが考える。
 しかしそうじゃない。
 警察だって上層部は官僚だ。
 そんな許可を出して野党に文句を言われたら自分たちの首が飛ぶ。
 だから誰も許可を出さなかった。
 不法侵犯をしてきた相手に対して何をすることも許されず、ただ「捕まえてこい」というだけ。
 自衛隊も動員したが同様の理由でやられるだけだった。
 それも理由がある。
 半世紀近く昔の事だ。
 阪神大震災の時に当時の知事は自衛隊の災害派遣を求めようとした。
 しかし野党の政権で首相はパーティに参加していた。
 その場で許可を出せばいいのに「反戦活動」を謳っていた政権が自衛隊の出動を認めるわけがない。
 世論もあって災害派遣に出たものの、平和をうたう与党は「自衛隊は憲法違反だから補給物資を受け取らないでください」とまだ火災が続いてる現地で叫んでいたらしい。
 それが後になって父さんたちが巻き込まれる事件の原因だった。

「拉致被害者なんていない!」

 そう言って拉致した責任者を釈放して祖国に送還した政治家がいた政党だから普通なんだろう。
 その後も拉致被害者の件については一つも触れようとしない。
 さすがに災害派遣に自衛隊を運用することに文句は言わなくなったけど。
 話を元に戻すけど、結局誰も責任の押し付け合いになる状態で現場で犠牲者をいたずらに増やすだけの状態だった。
 自衛隊を出したら中国がなぜか文句を言う。
 その文句を聞いて逃げ出す自衛隊の幕僚。
 事件は現場で起きているとよく聞くけど会議室でも事件が起きていた。
 最後はなぜか首相が戦闘ヘリの使用を許可する。
 もうそんな状態になっていたらどのみち自分の政権は先がない。
 そう諦めがついたんだろうか。
 その事件の後ですぐに後輩の役の人が首相に「俺が責任とります」と言っていた。
 そんな後輩に首相は言った。

「これから必要なのはお前のような若手の政治家だ」

 責任を取るのは年寄りでいい。
 遠坂のお爺さんも同じことを言っていた。
 そういう時に自分が部下の責任を取る事が出来る人間が上に立つべきなんだと言っていた。
 そしてそういう責任を取れる部下を選びなさいと教えられた。

「で、そんなにひどい状態なの?」

 俺は恵理子に聞いていた。

「まあ、同じ管轄だからいいっすよね?」

 そう言って恵理子が話した。
 茜達から話を聞かない理由が分かった。
 リベリオンはSHに手を出す前に先にFGを潰すことを考えたみたいだ。
 抗争はアルテミスとジハードの抗争の図式に変化した。
 そこに神谷の意思があるのか分からない。
 しかし神谷は失態を犯した。
 それはエリツィンの恋人の壊滅。
 しかも拠点のモスクワまで破壊された。
 報復はするだろうけどその為には地元でしっかり拠点を作らないといけない。
 だからまず邪魔なFGを排除する。
 ついでに敵対企業のアルテミスを潰せるならその方がいい。
 地元にアルテミス対ジハードの抗争を持ち込もうとしている。
 で、そうなるとFGも子供たちだけでは太刀打ちできない。
 原川組の本物の暴力団を集めているらしい。
 拳銃と小銃で勝負になるのかと思ったけど、まあ原川組も馬鹿じゃないのだろう。
 リベリオンの重要人物の家に火炎瓶を投げ込んだり、ヒットマンが狙っていたり抵抗しているらしい。

「そろそろ時間だよ。恵梨香」

 斑鳩がそう言うと弁当箱を仕舞って部署に戻った。
 俺も部屋に戻る。
 特にすることがない。
 事件のほとんどがFGがらみだから、俺は首を突っ込むなと言われている。
 しょうもない迷い犬の捜査とか、男の下半身を突然見せられた少女のフォローをしたり。

「おつかれ、ゆっくり休め」

 定刻になると俺は家に帰る。
 しかし妙に気になる事があった。
 リベリオンの性質も考えていうけど原川組の襲撃があるような状態で警察が警備に回らないはずがない。
 個人的にはリベリオンの奴が死のうと関係ないけど、警察がそんな立場なわけがない。
 ぶっちゃけていると、警察の警備状況が漏れてるんじゃないか?
 そして俺に抗争について話しているときにじっと俺を見ていた斑鳩。
 あの男がどうも気になる。
 警察署を出て車に乗ると少し考えてから、梨々香に連絡する。
 梨々香はとっくに仕事をやめていた。

「ちょっとお爺さんの家に寄って帰る」
「何かあったの?」
「少し相談したいことがあって」
「じゃあ、私も夕飯待ってる」

 片づけが二度手間だからと言っていた。
 りえちゃんに連絡をして遠坂家に向かう。

「どうしたんだい?」

 お爺さんが聞いていた。
 俺は今日聞いたことと気になったことをお爺さんに説明した。
 お爺さんも衰えてはいないようだ。
 その顔つきは現役時代のような表情だった。

「……確かに妙だね」

 俺の考えは当たっていたみたいだ。
 その推測から出る結論はただ一つ。
 警察署の対策本部からFGへ情報をリークしている人間がいる。
 俺の予感が正しいならそいつは……。

「どうしたらいいと思いますか?」
「……こういう時にまず必要なのはしっかり証拠を固める事だ」

 曖昧な状況だけで捕まえようとしても感づかれて逃げられる。
 感づかれないように水面下で証拠固めをすること。

「だから、今回の場合は純也君が動いたらいけない」

 部外者が動き出したらすぐばれる。
 適任者はその恵梨香って女性警官だろうけど、それもダメ。
 相手は恵梨香の相棒だ。
 恵梨香はポーカーフェイスを続けられるほどじゃない。
 直情型の恵梨香に頼むことはできない。
 じゃあ、誰に任せる?
 他の捜査本部の人間でも同じじゃないか?
 悪戯に疑惑を持ち行ったら捜査自体が頓挫するかもしれない。
 と、なると……俺が思いつくのは……。
 そんな俺の考えを読んでいたようにお爺さんは頷く。

「そうだ、警察は動いたらいけない。私から言えるのはそれだけだ」

 この家にも盗聴器がついてるかもしれない。
 そのくらい疑って行動しなさいとお爺さんは言った。
 だから俺は今後やろうと思っている事を敢えて伏せていた。

「それはいいんだが、ちょうどお爺さんたちにも純也君に相談したいことがあってね」
「何かあったんですか?」
「純也君の今後なんだが……」

 俺は梨々香と結婚する。
 当然子供も作るだろう。
 そうすると今の家では狭いから引っ越すことになる。
 だけど俺は将来お爺さん達の世話を買ってでた。
 だからいずれはこの家で暮らすだろう。

「まあ、そうですけど。それ問題ですか?」
「う、うむ……」

 困っているお爺さんを見てりえちゃんが笑って答えた。

「それならもう家に引っ越して来たらどうだ?ってパパさんは思ってるのよ~」

 ひ孫の顔もすぐ見れるし。
 梨々香の面倒もりえちゃんが見れる。
 俺は別に問題ないけどお爺さんには問題なのだろうか?

「この家は冬夜君の家と違って防音してる部屋が無いのよ~」

 愛莉が父さんと泊った時は愛莉の声がすごかったらしい。

「それなら大丈夫ですよ」

 俺は笑って答えた。
 だってこの家で梨々香としたことくらい何度もあるから。
 いまさら気にすることでもないだろう。

「なら、結婚式の前にするか後にするかくらい決めておいて欲しい」

 部屋の片づけがあるから。
 それだけ聞いて俺は家に帰った。
 家に帰ると食事をしながら梨々香に事情を話す。

「私の声漏れてたのかな?」
「なるべくいないときとか寝てる時を狙っていたし……」

 そもそも俺もそんなにがっついてなかったからな。

「私はいいよ。お爺さんとは昨日今日知り合ったわけじゃないし」
「分かった」

 俺達もいよいよ結婚か。
 出来ればそれまでに片づけておきたいけど無理だろうな。

(2)

「カミル達は悪いけど部屋にいてくれないかな?」
「どうしたの?ママ」
「ちょっと大人だけで大切な話があるから」
「わかった~」
 
 美希がそう言うと子供たちが部屋に戻る。
 美希と翼と純也と茜と父さんと母さん、誠さんと神奈さん、望さんと恵美さんがいた。
 話は純也が説明した。
 それを聞いて父さんは僕を見ている。
 また僕に押し付ける気なんだろう。
 だけどこれはSHの問題。
 茜と誠さんと恵美さんにはすでに伝えてある。
 間違いなく斑鳩とかいう男で間違いないと結論が出ていた。
 問題なのは裏付けする決定的な証拠がないということ。
 それも時間の問題だと3人は話している。

「いつでもつるし上げてやるわよ?」
「遠坂のお爺さんも言ってた。渡瀬本部長に知らせているらしい。信頼ある部下が内部で調査していると言ってた」

 しかし、僕は違うことを考えていた。
 別にSHの行動を探られてるわけじゃない。
 わざわざ勝手に二組がつぶし合ってるのに手を出す理由があるのか?
 これを利用する手はないだろうか?
 最近平和だと思っていたのにはそういう理由があった。
 わざわざ片方潰して真っ向勝負に持ち込むのは得策なのか?
 何もしないでも勝手にやりやってるならさせてやればいい。
 なんとなくアイデアが湧いてきた。

「空、さっきから黙ってるけどどうしたの?」

 翼が声をかけてきた。

「翼、今はそっとしておいてあげて。空は何か妙案が浮かんだみたいだ」

 父さんはそういってにやりと笑う。
 皆がいつも言っている。
 僕は空の王だから堂々と構えていたらいい。
 王に手出しする馬鹿がいたら私達が葬ってやる。
 そして九州の覇権どころか世界を相手に喧嘩してるSH。
 うん、なんとなく決まった。

「3人にお願いがあるんだけど」
「どうしたの?」
「その斑鳩って男の動きを相手に感づかれないように探ってほしい」

 その斑鳩って男の身辺を全部暴いてほしい。

「そんな事容易いけど、始末した方が早くない?」

 恵美さんが言うと僕は首を振った。

「空も物事の見方が分かるようになったんだね」

 望さんが言うと頷いた。
 相手はリベリオンの情報と警察の動きをFGに流している。
 恵美さんの言うように斑鳩を捕まえたらその流れはなくなる。
 それってもったいなくないか?
 
「茜達は絶対気づかれてないんだろ?」
「神谷の情報突き止めるのに比べたらこんなの菫でもやるよ」
「え?」

 僕が驚くと茜が笑った。
 菫にPCは買い与えてないけど茜がいる時に興味を持っていた菫にレクチャーしたらしい。
 菫の部屋には茜がひそかに与えたノートPCがある筈だと茜が言った。

「私も誠さんに教えてもらったんだけど、子供の方が発想が凄いから呑み込みが早いんだよ」
「俺としては茜に男の抱き方を教えてやりたかったんだが……いてぇ!」
「お前はどうしてそういつも同じ馬鹿をやらかすんだ!」
「それはパパに教えてもらおうかな」
「いけません!」
「茜それは止めた方がいい」

 翼が言った。

「なんで?」
「茜は聞いてなかったの?」

 父さんは動画の真似をするだけらしい。

「お前まだそのくせ治ってなかったのか?」
「愛莉はそれで十分だって言ってくれるから」
「トーヤ、夫が抱いてくれてるのに不満なんて言うはずないだろ」
「……で、空の作戦を聞きたいんだけど」

 父さんが話を変えたので続けた。

「絶対にバレてないってことだね」
「私の体かけても誓うよ」
「茜、いい加減にしないと怒るよ!」

 翼の機嫌が悪くなっていく。
 ややこしくならないうちに結論を出そう。
 
「その斑鳩ってやつを使ってどちらの動きもつかみたい」
 
 何もしてこないなら放っておけと思ったけど、そういう状態なら利用しない手はない。
 上手くいけばこちらに仕掛けるタイミングを潰せるはず。
 確か父さんは「対の先」って言ってたっけ。
 その絶好のタイミングをじっくり見極めよう。
 いつもそのタイミングが分からずにやり返すという方法をとっていたけどこんな都合のいい話は無い。
 父さんも同じ考えだったようだ。
 
「それでいいんじゃないかな?」

 ただし正確にタイミングを見極めなさい。
 一度しか使えない切り札だ。
 こっちから仕掛けるのは一度だけ。
 純也の立場もあるからそのタイミングで内通者を抑える。
 その一度で可能な限り叩き潰す。

「お前の息子はどんどん成長してるな」

 誠さんが言う。

「そりゃそうだよ。僕が空の歳の頃には空の面倒で手一杯だったよ」

 母さんと2人で育児に奮闘してたらしい。
 それに比べて翼や僕は育児をしながらこんな厄介な話も処理してるんだ。
 同じ年の頃の差で言ったら空の方が上手のはずだよと父さんが話した。

「次こそは片桐家の子供をうちにくれよ」
「まあ、縁があればそうなるんじゃないかな?」
「だといいけどな」

 そう言って誠さんや純也達は帰っていた。
 僕達も風呂に入って寝室に入る。

「どうしたのですか?」

 美希はベッドに入らずに突っ立っている僕を見て言った。

「いやさ、気になる事があって?」
「さっきの話?」
「まあ、そうだね」
「どうしたの、私にも言えないの?」
「言っても怒らない?」
「どういう意味?」

 まあ、いいか。
 美希に聞いてみた。

「僕、上手くやれてるかな?」

 ぽかっ

 僕の言葉の意味を理解した美希はすぐに僕を小突いた。

「私は旦那様しか知らないのですよ。何を基準に決めたらいいのですか?」
「そこだよ」
「え?」

 母さんだって父さんしか知らないはずだろ?
 どうしてわかったんだろうって。

「旦那様は知らないのですか?」
「美希は何か聞いてるの?」
 
 僕が言うと美希は笑って言った。

「片桐家の男って本当に同じなんだね」

 美希は母さんから聞いたそうだ。
 父さんは母さんとそういうDVDを見ていたらしい。
 父さんに渡すのは誠さん。
 そりゃ確かに気づくね。
 父さんは母さんと一緒に見ていたDVDと全く同じことをしていたらしい。
 僕だって翼が教えてくれないと何もできなかった。
 父さんと僕の違いは気持ちが伝わっているかだそうだ。
 それは母さんに聞いたから間違いないという。

「だから今のままでかまいません」

 そう言って美希は僕をベッドに誘う。
 いつものように美希と心を通わせながら眠っていた。
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