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Relation
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(1)
「2人ともすごい!」
「まじすげーっす!」
結莉と楠木晴斗さんが驚いたのは俺と海翔がサーフィンで遊んでいるから。
最初は晴斗さんに教えてもらった。
「波乗りに興味あるんすか?」
そう聞かれたので、前の日に母さんも一緒にボードを買いに行った。
海水はしょっぱいけど飲まなきゃいい。
水の上だから涼しいのかな?と思ったのがまず一つ。
結莉の家に遊びに行った時に海翔と見てたアニメがもう一つの理由。
理屈は分からないけどロボットが空の上でボードに乗って飛行していた。
とても気持ちよさそうだったのでやって見たかったけど。うちの近所じゃ空には電線とかあって面倒だ。
あまり高い場所を飛んだら駄目と母さんに言われたのでそれなら海ならいいのかなと思って海翔と一緒に晴斗さんにお願いしてみた。
晴斗さんはサーフィンが得意だと聞いていたから。
コツをつかむとあとは海翔と遊んでいた。
海翔はまだ小さいから疲れてすぐ寝る。
そのくらいの時間になったら俺もサーフィンを止めて茉奈と山を作って遊ぶ。
茉奈は毎年同じことをしてるのに飽きないのだろうか?
毎日飽きずに喧嘩してる茉莉と菫がいるけど。
「卒塔婆があったからお前の墓標にしてやるよ!」
「ほざけ茉莉!てめえの額にどでかい穴開けてやらぁ!」
そう言えば前に菫達が言ってたな。
「尻の穴二つにしてるやる!」
「元から二つあるわ馬鹿垂れが!」
希美が穴をあけるのが好きだというのは理解した。
しかし理解できないことがある。
お尻の穴が二つ?
どういうことだろう。
山を作りながら茉奈に聞いてみると、茉奈は困っていた。
「なるほどな、美希は教えてやってないのか」
天音がそう言うと俺は首を振った。
「まあ、結には無いけど女には二つあるんだよ」
「どうして?」
「天音!結に余計な事教えないで!」
母さんが慌ててきた。
「美希が教えてやらないから茉奈が困ってるじゃねーか!」
天音が反論すると母さんはため息をついた。
「結。結は男の子で茉奈は女の子。それは理解してる?」
母さんが聞くとそのくらいは分かると答えた。
すると母さんは次々と聞いてきた。
どうして母さんにはおっぱいがあって男にはないのか?
天音にもないとか言ったらだめだと言っていたのであえて触れなかった。
でもそれも予測済みだったらしい。
「天音だってちゃんと女性なんだからあるよ。結莉達はそれを吸って育ったんだから」
ただし大小の差は絶対に口にしたらいけない。
それで傷つく女性だっているんだから。
それだけではないらしい。
反対に俺にはあって茉奈には無い物があるらしい。
トイレがどうして男女に分かれてると思う?
女性はどうして立ったまま用を足せないと思う?
色々聞いてきたけど分からなかった。
「今は結は男で茉奈は女。それだけ理解しておけばいいから」
母さんはそう言った。
穴の数の違いも男と女の違いなんだ。
それだけ知っていればいい。
どうなっているのかはいつか母さんが教えてあげる。
今はそれ以上の知識を知る必要はない。
それを聞いていた天音が言う
「もう来年は小学生なんだろ?子作りの知識くらい教えてやっていいんじゃないのか?」
「だからそうやって余計な知識を結に聞かせないで!」
小1で女子の裸に興味持つ変態に育てたくない。
ちなみに俺は女の子は食べ物じゃないって聞いたからあまり興味なかった。
しかし逆に興味を持ってほしい女の子もいるようだ。
「朔!てめぇ、告ってきたのはいいけど何もしてこねーじゃねーか!?私に魅力があったんじゃないのか!?」
茉莉が突然怒り出した。
朔も慌てている。
せっかく水着も新しいの買ってもらったのに褒めてもくれないのはどういうことだと怒り出す。
それは朔が悪いとは思った。
だって父さんがそういうのはとりあえず褒めておけと言われたから。
将来もっとすごい難関が待っているらしい。
茉奈の水着を僕が選ぶ時が来るらしい。
理由は分からないけど。
「茉莉、諦めろ。お前は将来も今の体型とさほど変わりねーよ」
天音がそうなんだから。
ちなみに翼も母さんに比べたらそこまで大きくない。
それも言ったらいけないと聞いていたので触れなかった。
「けっ、菫の胸がでかくなったってAV女優になるくらいしか使い道がないから心配するな」
「なんだと!?」
「ホルスタインみたいな乳して男にもまれたいだけなんだろ?そんな変態ならいくらでも用意してやるよ」
「その変態すら興味を示さない茉莉が言っても哀れにしか思えないけどな」
「……変態に嬲られるかここに埋められるかくらいは選ばせてやる。どっちがいいボケナス?」
「それはこっちのセリフだこのまな板が!!」
「ほざけ雌牛!!」
徐々にエスカレートしてきた茉莉と希美を宥める母さんと天音。
そろそろ止めないと愛莉がやってきたら大変なことになる。
「なんて言葉を教えてるんですか!?」
そう言って愛莉達に怒られるのが目に見えてるから。
母さんが愛莉に怒られるのは可哀そうだから俺が手助けすることにした。
えーと、こういう時はどうするんだっけ?
あ、思い出した。
両手をパンと合わせてそれから右手を砂浜にあてる。
茉奈は不思議そうに見てた。
驚いたのは茉莉と菫だろう。
2人の間に無数の砂を固めて作りだした串が出来上がっていた。
「いい加減にしないと天音達困ってるよ?」
俺がそう言うと2人とも何も言わなくなった。
「そろそろ夕飯だぞ」
父さんがやってきた。
俺は遊ぶのをやめてシャワーを浴びて着替える。
基本的に女子の方が時間がかかるんだそうだ。
髪が長いからとかいろいろ理由があるらしい。
外で待っていると茉奈達が出てきた。
テントに戻りながら茉奈に聞いてみた。
「どうして男に比べられたくないのに女同士で比べようとするの?」
「私は平気だよ」
「どうして?」
僕が言うと茉奈は笑顔で応えた。
「誰になんて言われても結は私のしか見ないんだから分からないでしょ?」
「そうなの?」
「そうだよ」
「ふーん」
なんかよくわからないからとりあえず俺達を待っている肉の事だけを考えよう。
(2)
子供たちが肉を焼いている鉄板に群がっている。
もちろん美嘉さんが火傷しないように見張っているけど。
母親同士で何か相談があるらしい。
愛莉たちは固まっていた。
そしてバカ騒ぎしている誠や桐谷君達。
自然と僕と石原君と酒井君、大地と善明と学がいた。
「どうだい?育児の方は?」
酒井君が聞いていた。
「本当にこのままでいいのか悩むときが多々ありまして……」
善明がそう答えていた。
大地も同じらしい。
愛莉が注意しようとするけど恵美さんが護身用にと渡したりする。
あまり石原家の方針に介入しない方がいいのかと悩んでいた。
善明の所はそれはない。
主導権を握っているのは翼。
愛莉のやり方をちゃんと見ていたみたいだ。
菫はともかく陽葵と紀子は大丈夫だろう。
「学はどうなの?」
僕が聞いてみた。
「いや、俺もどうしていいか分からなくて……」
学は自分の母親くらいしか相談相手がいない。
しかも一番信頼しないといけない水奈が天音と無茶やってるのは天音達が子供の頃と変わりない。
父親に色々聞こうにも誠と桐谷君の言うことを真に受けていたらまずいことくらい分かってるらしい。
かといって水奈を責めるわけにはいかない。
自分が働いている間常に責任をもって子供たちを見てる……はずだ。
一番やっかいなのは学なのかもしれないな。
問題はそれだけじゃない。
優奈も愛菜も菫や茉莉を見て真似をしている。
どうなるか想像がついてしまう。
「悠翔と茉奈はどうなんだい?」
「それなんです」
「どういうこと?」
学が説明した。
悠翔達が帰ってきたのも気づかずにゲームをしているらしい。
優奈と愛菜はそれを見ている。
悠翔と茉奈ははさっさと着替えるととりあえずキッチン周りを片付けてそれから部屋を掃除するらしい。
それからお菓子と飲み物を用意して優奈たちに与える。
その間に水奈が買って来た買い物を見て献立を予測して炊事を始めるそうだ。
たまにカンナや亜依さんがやってきてそんな光景を見ているらしい。
「何やってんの!?」
そうやって何度も水奈を叱っているらしい。
「やっぱりその話になってたか……」
振り返るとカンナ達が来ていた。
「私達もちょっと水奈はまずいんじゃないかと思ってるんだけど……」
そう言って亜依さんが誠や遊たちと騒いで遊んでる水奈と天音を見ていた。
「私達もこのままいくとまずいかなって思ってね」
恵美さんでもまずいような気がしてきた。
そりゃどう見ても美希のような女の子じゃないしね。
だけど石原君は笑っていった。
「恵美には悪いけど僕にはどうすることもできないよ?」
「望は孫娘が心配じゃないの?」
「そうじゃないよ、出来ることがあるならするけど僕は祖父だよ」
孫娘をどうしても甘やかしてしまう。
僕や酒井君もそうだろう。
だから不安なんだ。
天音や茜、冬莉の時は愛莉も手を焼いてたからね。
むしろ一番大変なはずの結や陽葵と紀子が奇跡なんだ。
それでも美希や翼は上手く子供に躾けている。
よほどの馬鹿が現れない限り大人しい。
それはカミル達も一緒だった。
だけど翼も美希も愛莉も口をそろえて言う。
「それはあの子たちは父親を見ているから」
「皆冬夜さんを見ているから」
翼と愛莉が言うと亜依さん達が頭を抱える。
「まさか孫の教育でまで苦労するとは思わなかった!」
さすがにあそこまでいくと、子育てに苦労している子供を見てるだけってわけにはいかないだろう。
なんらかの口出しをしないとろくでもないことになる。
なんかいい知恵があれば貸してほしいと愛莉たちがやってきたわけか。
……ああ、愛莉が言っていたな。
あれを利用するか。
「とりあえず食事をしようよ。子供たちが寝た後にあの子たちにちょっと話がしたい」
「何かいいアイデアが思いついたのですか?」
愛莉が言う。
「そんなに大したことじゃないよ」
そう言って僕達も酒を飲んで肉を食べた。
BBQの後は子供たちだけで花火をしている。
泉達がいるから大丈夫だろう。
水奈と天音も遊びたそうだったけど、呼んでもらった。
そうすると自然と誠と桐谷君達も来る。
「天音と水奈は娘をどうするつもりなの?」
「え?」
2人が聞き返す。
前にも愛莉に聞かれたの覚えてる?
「翼と天音の子育ての差を説明しなさい」
「ま、まあ。私の時も愛莉に苦労させたのは悪かったと思ってるよ」
だから愛莉には感謝していると天音は言う。
だけど僕が聞きたいことはそんな事じゃない。
「もう一度天音と水奈に改めて聞く。二人にとって子供って何?」
ただ、数を競うために作ったとか馬鹿げた事言ったら僕も黙ってないよ?
「ちょっとくらい元気があったほうがいいじゃないか?」
天音の言葉を聞いた愛莉が何か言おうとするのを僕が止める。
「冬夜、俺も天音に同感だ。いまからそんな教育ママしててもしょうがないだろ?」
誠が言うと誠に返した。
「誠は水奈の家に行ってないんだったね」
「ああ、神奈がこれ以上問題を作るなっていうから」
「そのくらい水奈の子供は深刻だぞ」
結や優翔がいるから制御が効いている。
あまり大事になる前に秋久が止めるから何とかなってる。
誠の孫だって例外じゃない。
何かしらの能力を持っている。
一つ使い方を間違えたら大事件だ。
「それは結を中心に制御してるから大丈夫。そう冬夜さんは言ってましたね?」
「そ、そうだぞ。パパはそれで大丈夫って言ったじゃないか」
愛莉と天音がそう言った。
「だから幼稚園にいる間はいい。そういう暗黙のルールがあるから」
だけど孫たちが家に帰ったらどんな制約があの子達を守るんだ?
僕がそう言うと天音達は黙ってしまった。
結莉だって例外じゃない。
芳樹の目が無くなったらやりたい放題やるって聞いてる。
それで親の役目を果たしてると言えるの?
「カミルとカミラ、紀子は知ってるよね」
「うん……」
「あの子達ですら愛莉や美希はしっかり指導してるよ?」
僕や空が帰ったら「おかえり~」ってやってくる。
食事の作法ももうしっかり身につけた。
翼が困ってるのは娘が善明を狙ってることくらいだ。
多分それで怒る翼を見るのが楽しいんだろうけど。
その程度くらいしか問題を起こさない。
「だから僕も聞きたい、水奈と天音と翼。何が違うの?」
「……私達は母親失格って事か?」
天音が不安そうに言う。
今日はしっかり言わないと同じ事を繰り返すだろう。
「そうは言ってない。違いがどこから出てくるの?って聞いてるんだ」
「分からねーよ!父親の差じゃねーのか!?」
「じゃあ、学はどう説明するの?」
「私達だってちゃんとやってるぞ!」
「本当にそうかい?」
そう言うと2人とも何も言えなくなってしまった。
「いくつか話をしてあげる。その前にまず言っておく。母親失格とかそんな問題はどうでもいい。二人はれっきとした母親なんだ」
そう言って恵美さんを見る。
大体理解しているはずだ。
「そういうことね。ここで”子供なんて産むんじゃなかった”なんて泣き言言ったら私達も承知しないわよ」
2人は僕達を見ている。
「麗華が子供を攫われた時を覚えてる?」
光聖と玲衣が誘拐された時、どれだけ動揺していたか。
「美希がカミル達を引き取った時、翼が紀子を引き取った時……二人の反応を思い出して」
それが母親なんじゃないの?
血のつながりなんて関係ない。
ただ、自分の下に子供がいる。
それだけで二人は喜んでいたんだ。
「私だって赤ちゃん産んだ時は嬉しかったよ」
「私だって嬉しかったよ」
それは翼に負けないという。
そんな事は言われなくても分かってる。
きっと大地や学だって同じだ。
「冬夜、回りくどいことは止めろといつも言われてるだろ?」
誠が言うけど僕は首を振った。
この二人に自覚させないとまた同じことを繰り返す。
「カミルとカミラ、それに紀子ですら美希や翼をママと呼ぶ。そう納得させている。その方法に気づかないとずっとこのままだよ?」
だけど二人にはわからないらしい。
だから気づいた愛莉が天音にヒントを与えた。
「天音は私の何を見てきたの?」
「え?」
「あ!!」
大地と善明と学は気づいたらしい。
だけど二人はまったく分かっていないようだ。
もう一つ話をしようか。
「遊はああ見えて琴音の相手をしてる。その結果琴音は遊をからかって遊んでいる」
その意味が分かるか?
そろそろ気づいてほしいんだけど。
水奈は気づいたようだ。
「姿……ですか?」
水奈が言うと僕は頷いた。
翼や愛莉は母親であろうと努力している。
翼はその苦労を見て育ったってのもあるけど、やっぱり子供を託された喜びの方が大きいだろう。
だから大切にしようとしている。
菫が多少問題を起こしても子供を信じている。
そんな翼に苦労をかけたくないと陽葵達も思っているのだろう。
でもそれは問題じゃない。
だって子供を信じているのは水奈も天音も一緒だろ?
子供を守ろうとしているのは分かってる。
自分の体を痛めて産んだのだから当たり前だ。
だから二人には翼が何をしたのか分からないのだろう。
そんなことしなくても母親という証明が出来ているのだから。
だからもう一度聞くよ。
「水奈や天音と翼の違いが分かる?」
「苦労?」
「努力?」
2人が答えた。
まああってるだろうけど。
「さっき水奈が答えたじゃないか?姿だよ」
水奈だって覚えてないか?
娘の手作りチョコと言って差し出されたカレールーを我慢して食べた誠との思い出。
そういう積み重ねが絆を深めていくんじゃないのか?
水奈や天音は子供たちが幼稚園から帰って来た時何してた?
愛莉ママからは聞いていたよ?
「どんなに苦しくても辛くても関係無しに子供たちは必死に生きようとしている」と……
「……それって今からでも間に合うのかな?」
天音が聞いてきた。
理解はしたみたいだ。
「カミラ達や紀子の話はしたよね」
まだ間に合うよ。
「わかったよ……家に帰ったら私も頑張ってみる」
「……愛莉も恵美さんも多少のやんちゃは大目に見てやって。この二人がそうだったんだから」
「そうね……」
「水奈は私がやっぱり様子見に行くよ。亜依だけに任せられない」
カンナもそう言った。
水奈を信じてないわけじゃない。
ただ、突然ちゃんとしろと言われても何をしたらいいかわからないだろうから。
不安そうにしている水奈にカンナがそう言って安心させていた。
「結局冬夜が解決するのか」
「まあ、娘のことくらいは口出しするさ」
基本は愛莉に任せているけど、愛莉に頼まれたら解決策を探すしかない。
だけどそれは誠が劣っているとかそういう問題じゃないぞ?
「例えば誠司の問題は僕にはどうにもならない」
前に冴との話してたじゃないか?
「自分の子供のことくらい把握してるってことか?」
「誠は自分の娘の事なら何でも知ってるんだろ?」
「当たり前だろ。下着の好みから好きな体位まで何でも知ってるぜ」
今のは僕のせいじゃない。
誠が自爆しただけだ。
「……誠。お前その情報どうやって仕入れた?」
「え?そ、そんなの普通にメッセージで言ってたろ?」
「ああ、言ってたよ。SHの女子グループでだけな」
水奈が誠を睨みつける。
下着の事は多分前に言ってた洗濯物を物色して把握したんだろう。
しかしそんな女子の雑談をどうして誠が知ってるかだ。
天音がすぐに茜に連絡していた。
誠くらいになればグルチャに侵入くらい容易いだろうけど管理者が茜だ。
気づかれたらすぐに追い出される。
だからもっと馬鹿な真似に出た。
「茜、俺用のアカウントくれよ」
「いいよ~」
茜は何も考えずに誠用のアカウントを用意したらしい。
「トーヤ。私も一つ相談があるんだがいいか?」
「どうした?」
なんとなく想像つくけど。
「トーヤと誠。父親としてのこの差は何なんだ?」
「お、俺だって娘の事は大事にしてるつもりだぞ」
「それがどうしてそういう行動に走るんだ!?」
悪いがその仲裁は僕には無理だからな。
あとはいつも通り騒いでいた。
花火が終わる頃「子供を寝かしつけてくる」と言って水奈達が子供たちを連れていく。
「とりあえずは大丈夫なのかしら?」
恵美さんが聞いてきた。
「どうだろ?」
すでに作られた性格はそう簡単に変わらないのは子供たちがそうだったろ?
「それなのよ!秋久は善君や善明にそっくり!なんか頼りないところがあるの」
片桐家の血が全く出てこない。どうなってるの!?
晶さんが言う。
大丈夫、きっと死神の名前を継いでくれるよ。
海翔も大地に似るのかと思ったらなんか違うようだ。
結の後ろをずっとついてくるらしい。
年上の男の子がいないからそうなったんだろうか?
「にいに」と結の言うことを聞いているらしい。
「空もお兄さん欲しいと思った?」
愛莉が聞いていたけど空は首を振った。
「翼と天音がいたから……」
これ以上問題を作りたくないと思ったそうだ。
「空、それどういう意味?」
「そうだ空。どういう意味だ?」
まさに自ら問題を作ってしまった空。
今年は本当に平和にやれている。
そう思っていた。
「2人ともすごい!」
「まじすげーっす!」
結莉と楠木晴斗さんが驚いたのは俺と海翔がサーフィンで遊んでいるから。
最初は晴斗さんに教えてもらった。
「波乗りに興味あるんすか?」
そう聞かれたので、前の日に母さんも一緒にボードを買いに行った。
海水はしょっぱいけど飲まなきゃいい。
水の上だから涼しいのかな?と思ったのがまず一つ。
結莉の家に遊びに行った時に海翔と見てたアニメがもう一つの理由。
理屈は分からないけどロボットが空の上でボードに乗って飛行していた。
とても気持ちよさそうだったのでやって見たかったけど。うちの近所じゃ空には電線とかあって面倒だ。
あまり高い場所を飛んだら駄目と母さんに言われたのでそれなら海ならいいのかなと思って海翔と一緒に晴斗さんにお願いしてみた。
晴斗さんはサーフィンが得意だと聞いていたから。
コツをつかむとあとは海翔と遊んでいた。
海翔はまだ小さいから疲れてすぐ寝る。
そのくらいの時間になったら俺もサーフィンを止めて茉奈と山を作って遊ぶ。
茉奈は毎年同じことをしてるのに飽きないのだろうか?
毎日飽きずに喧嘩してる茉莉と菫がいるけど。
「卒塔婆があったからお前の墓標にしてやるよ!」
「ほざけ茉莉!てめえの額にどでかい穴開けてやらぁ!」
そう言えば前に菫達が言ってたな。
「尻の穴二つにしてるやる!」
「元から二つあるわ馬鹿垂れが!」
希美が穴をあけるのが好きだというのは理解した。
しかし理解できないことがある。
お尻の穴が二つ?
どういうことだろう。
山を作りながら茉奈に聞いてみると、茉奈は困っていた。
「なるほどな、美希は教えてやってないのか」
天音がそう言うと俺は首を振った。
「まあ、結には無いけど女には二つあるんだよ」
「どうして?」
「天音!結に余計な事教えないで!」
母さんが慌ててきた。
「美希が教えてやらないから茉奈が困ってるじゃねーか!」
天音が反論すると母さんはため息をついた。
「結。結は男の子で茉奈は女の子。それは理解してる?」
母さんが聞くとそのくらいは分かると答えた。
すると母さんは次々と聞いてきた。
どうして母さんにはおっぱいがあって男にはないのか?
天音にもないとか言ったらだめだと言っていたのであえて触れなかった。
でもそれも予測済みだったらしい。
「天音だってちゃんと女性なんだからあるよ。結莉達はそれを吸って育ったんだから」
ただし大小の差は絶対に口にしたらいけない。
それで傷つく女性だっているんだから。
それだけではないらしい。
反対に俺にはあって茉奈には無い物があるらしい。
トイレがどうして男女に分かれてると思う?
女性はどうして立ったまま用を足せないと思う?
色々聞いてきたけど分からなかった。
「今は結は男で茉奈は女。それだけ理解しておけばいいから」
母さんはそう言った。
穴の数の違いも男と女の違いなんだ。
それだけ知っていればいい。
どうなっているのかはいつか母さんが教えてあげる。
今はそれ以上の知識を知る必要はない。
それを聞いていた天音が言う
「もう来年は小学生なんだろ?子作りの知識くらい教えてやっていいんじゃないのか?」
「だからそうやって余計な知識を結に聞かせないで!」
小1で女子の裸に興味持つ変態に育てたくない。
ちなみに俺は女の子は食べ物じゃないって聞いたからあまり興味なかった。
しかし逆に興味を持ってほしい女の子もいるようだ。
「朔!てめぇ、告ってきたのはいいけど何もしてこねーじゃねーか!?私に魅力があったんじゃないのか!?」
茉莉が突然怒り出した。
朔も慌てている。
せっかく水着も新しいの買ってもらったのに褒めてもくれないのはどういうことだと怒り出す。
それは朔が悪いとは思った。
だって父さんがそういうのはとりあえず褒めておけと言われたから。
将来もっとすごい難関が待っているらしい。
茉奈の水着を僕が選ぶ時が来るらしい。
理由は分からないけど。
「茉莉、諦めろ。お前は将来も今の体型とさほど変わりねーよ」
天音がそうなんだから。
ちなみに翼も母さんに比べたらそこまで大きくない。
それも言ったらいけないと聞いていたので触れなかった。
「けっ、菫の胸がでかくなったってAV女優になるくらいしか使い道がないから心配するな」
「なんだと!?」
「ホルスタインみたいな乳して男にもまれたいだけなんだろ?そんな変態ならいくらでも用意してやるよ」
「その変態すら興味を示さない茉莉が言っても哀れにしか思えないけどな」
「……変態に嬲られるかここに埋められるかくらいは選ばせてやる。どっちがいいボケナス?」
「それはこっちのセリフだこのまな板が!!」
「ほざけ雌牛!!」
徐々にエスカレートしてきた茉莉と希美を宥める母さんと天音。
そろそろ止めないと愛莉がやってきたら大変なことになる。
「なんて言葉を教えてるんですか!?」
そう言って愛莉達に怒られるのが目に見えてるから。
母さんが愛莉に怒られるのは可哀そうだから俺が手助けすることにした。
えーと、こういう時はどうするんだっけ?
あ、思い出した。
両手をパンと合わせてそれから右手を砂浜にあてる。
茉奈は不思議そうに見てた。
驚いたのは茉莉と菫だろう。
2人の間に無数の砂を固めて作りだした串が出来上がっていた。
「いい加減にしないと天音達困ってるよ?」
俺がそう言うと2人とも何も言わなくなった。
「そろそろ夕飯だぞ」
父さんがやってきた。
俺は遊ぶのをやめてシャワーを浴びて着替える。
基本的に女子の方が時間がかかるんだそうだ。
髪が長いからとかいろいろ理由があるらしい。
外で待っていると茉奈達が出てきた。
テントに戻りながら茉奈に聞いてみた。
「どうして男に比べられたくないのに女同士で比べようとするの?」
「私は平気だよ」
「どうして?」
僕が言うと茉奈は笑顔で応えた。
「誰になんて言われても結は私のしか見ないんだから分からないでしょ?」
「そうなの?」
「そうだよ」
「ふーん」
なんかよくわからないからとりあえず俺達を待っている肉の事だけを考えよう。
(2)
子供たちが肉を焼いている鉄板に群がっている。
もちろん美嘉さんが火傷しないように見張っているけど。
母親同士で何か相談があるらしい。
愛莉たちは固まっていた。
そしてバカ騒ぎしている誠や桐谷君達。
自然と僕と石原君と酒井君、大地と善明と学がいた。
「どうだい?育児の方は?」
酒井君が聞いていた。
「本当にこのままでいいのか悩むときが多々ありまして……」
善明がそう答えていた。
大地も同じらしい。
愛莉が注意しようとするけど恵美さんが護身用にと渡したりする。
あまり石原家の方針に介入しない方がいいのかと悩んでいた。
善明の所はそれはない。
主導権を握っているのは翼。
愛莉のやり方をちゃんと見ていたみたいだ。
菫はともかく陽葵と紀子は大丈夫だろう。
「学はどうなの?」
僕が聞いてみた。
「いや、俺もどうしていいか分からなくて……」
学は自分の母親くらいしか相談相手がいない。
しかも一番信頼しないといけない水奈が天音と無茶やってるのは天音達が子供の頃と変わりない。
父親に色々聞こうにも誠と桐谷君の言うことを真に受けていたらまずいことくらい分かってるらしい。
かといって水奈を責めるわけにはいかない。
自分が働いている間常に責任をもって子供たちを見てる……はずだ。
一番やっかいなのは学なのかもしれないな。
問題はそれだけじゃない。
優奈も愛菜も菫や茉莉を見て真似をしている。
どうなるか想像がついてしまう。
「悠翔と茉奈はどうなんだい?」
「それなんです」
「どういうこと?」
学が説明した。
悠翔達が帰ってきたのも気づかずにゲームをしているらしい。
優奈と愛菜はそれを見ている。
悠翔と茉奈ははさっさと着替えるととりあえずキッチン周りを片付けてそれから部屋を掃除するらしい。
それからお菓子と飲み物を用意して優奈たちに与える。
その間に水奈が買って来た買い物を見て献立を予測して炊事を始めるそうだ。
たまにカンナや亜依さんがやってきてそんな光景を見ているらしい。
「何やってんの!?」
そうやって何度も水奈を叱っているらしい。
「やっぱりその話になってたか……」
振り返るとカンナ達が来ていた。
「私達もちょっと水奈はまずいんじゃないかと思ってるんだけど……」
そう言って亜依さんが誠や遊たちと騒いで遊んでる水奈と天音を見ていた。
「私達もこのままいくとまずいかなって思ってね」
恵美さんでもまずいような気がしてきた。
そりゃどう見ても美希のような女の子じゃないしね。
だけど石原君は笑っていった。
「恵美には悪いけど僕にはどうすることもできないよ?」
「望は孫娘が心配じゃないの?」
「そうじゃないよ、出来ることがあるならするけど僕は祖父だよ」
孫娘をどうしても甘やかしてしまう。
僕や酒井君もそうだろう。
だから不安なんだ。
天音や茜、冬莉の時は愛莉も手を焼いてたからね。
むしろ一番大変なはずの結や陽葵と紀子が奇跡なんだ。
それでも美希や翼は上手く子供に躾けている。
よほどの馬鹿が現れない限り大人しい。
それはカミル達も一緒だった。
だけど翼も美希も愛莉も口をそろえて言う。
「それはあの子たちは父親を見ているから」
「皆冬夜さんを見ているから」
翼と愛莉が言うと亜依さん達が頭を抱える。
「まさか孫の教育でまで苦労するとは思わなかった!」
さすがにあそこまでいくと、子育てに苦労している子供を見てるだけってわけにはいかないだろう。
なんらかの口出しをしないとろくでもないことになる。
なんかいい知恵があれば貸してほしいと愛莉たちがやってきたわけか。
……ああ、愛莉が言っていたな。
あれを利用するか。
「とりあえず食事をしようよ。子供たちが寝た後にあの子たちにちょっと話がしたい」
「何かいいアイデアが思いついたのですか?」
愛莉が言う。
「そんなに大したことじゃないよ」
そう言って僕達も酒を飲んで肉を食べた。
BBQの後は子供たちだけで花火をしている。
泉達がいるから大丈夫だろう。
水奈と天音も遊びたそうだったけど、呼んでもらった。
そうすると自然と誠と桐谷君達も来る。
「天音と水奈は娘をどうするつもりなの?」
「え?」
2人が聞き返す。
前にも愛莉に聞かれたの覚えてる?
「翼と天音の子育ての差を説明しなさい」
「ま、まあ。私の時も愛莉に苦労させたのは悪かったと思ってるよ」
だから愛莉には感謝していると天音は言う。
だけど僕が聞きたいことはそんな事じゃない。
「もう一度天音と水奈に改めて聞く。二人にとって子供って何?」
ただ、数を競うために作ったとか馬鹿げた事言ったら僕も黙ってないよ?
「ちょっとくらい元気があったほうがいいじゃないか?」
天音の言葉を聞いた愛莉が何か言おうとするのを僕が止める。
「冬夜、俺も天音に同感だ。いまからそんな教育ママしててもしょうがないだろ?」
誠が言うと誠に返した。
「誠は水奈の家に行ってないんだったね」
「ああ、神奈がこれ以上問題を作るなっていうから」
「そのくらい水奈の子供は深刻だぞ」
結や優翔がいるから制御が効いている。
あまり大事になる前に秋久が止めるから何とかなってる。
誠の孫だって例外じゃない。
何かしらの能力を持っている。
一つ使い方を間違えたら大事件だ。
「それは結を中心に制御してるから大丈夫。そう冬夜さんは言ってましたね?」
「そ、そうだぞ。パパはそれで大丈夫って言ったじゃないか」
愛莉と天音がそう言った。
「だから幼稚園にいる間はいい。そういう暗黙のルールがあるから」
だけど孫たちが家に帰ったらどんな制約があの子達を守るんだ?
僕がそう言うと天音達は黙ってしまった。
結莉だって例外じゃない。
芳樹の目が無くなったらやりたい放題やるって聞いてる。
それで親の役目を果たしてると言えるの?
「カミルとカミラ、紀子は知ってるよね」
「うん……」
「あの子達ですら愛莉や美希はしっかり指導してるよ?」
僕や空が帰ったら「おかえり~」ってやってくる。
食事の作法ももうしっかり身につけた。
翼が困ってるのは娘が善明を狙ってることくらいだ。
多分それで怒る翼を見るのが楽しいんだろうけど。
その程度くらいしか問題を起こさない。
「だから僕も聞きたい、水奈と天音と翼。何が違うの?」
「……私達は母親失格って事か?」
天音が不安そうに言う。
今日はしっかり言わないと同じ事を繰り返すだろう。
「そうは言ってない。違いがどこから出てくるの?って聞いてるんだ」
「分からねーよ!父親の差じゃねーのか!?」
「じゃあ、学はどう説明するの?」
「私達だってちゃんとやってるぞ!」
「本当にそうかい?」
そう言うと2人とも何も言えなくなってしまった。
「いくつか話をしてあげる。その前にまず言っておく。母親失格とかそんな問題はどうでもいい。二人はれっきとした母親なんだ」
そう言って恵美さんを見る。
大体理解しているはずだ。
「そういうことね。ここで”子供なんて産むんじゃなかった”なんて泣き言言ったら私達も承知しないわよ」
2人は僕達を見ている。
「麗華が子供を攫われた時を覚えてる?」
光聖と玲衣が誘拐された時、どれだけ動揺していたか。
「美希がカミル達を引き取った時、翼が紀子を引き取った時……二人の反応を思い出して」
それが母親なんじゃないの?
血のつながりなんて関係ない。
ただ、自分の下に子供がいる。
それだけで二人は喜んでいたんだ。
「私だって赤ちゃん産んだ時は嬉しかったよ」
「私だって嬉しかったよ」
それは翼に負けないという。
そんな事は言われなくても分かってる。
きっと大地や学だって同じだ。
「冬夜、回りくどいことは止めろといつも言われてるだろ?」
誠が言うけど僕は首を振った。
この二人に自覚させないとまた同じことを繰り返す。
「カミルとカミラ、それに紀子ですら美希や翼をママと呼ぶ。そう納得させている。その方法に気づかないとずっとこのままだよ?」
だけど二人にはわからないらしい。
だから気づいた愛莉が天音にヒントを与えた。
「天音は私の何を見てきたの?」
「え?」
「あ!!」
大地と善明と学は気づいたらしい。
だけど二人はまったく分かっていないようだ。
もう一つ話をしようか。
「遊はああ見えて琴音の相手をしてる。その結果琴音は遊をからかって遊んでいる」
その意味が分かるか?
そろそろ気づいてほしいんだけど。
水奈は気づいたようだ。
「姿……ですか?」
水奈が言うと僕は頷いた。
翼や愛莉は母親であろうと努力している。
翼はその苦労を見て育ったってのもあるけど、やっぱり子供を託された喜びの方が大きいだろう。
だから大切にしようとしている。
菫が多少問題を起こしても子供を信じている。
そんな翼に苦労をかけたくないと陽葵達も思っているのだろう。
でもそれは問題じゃない。
だって子供を信じているのは水奈も天音も一緒だろ?
子供を守ろうとしているのは分かってる。
自分の体を痛めて産んだのだから当たり前だ。
だから二人には翼が何をしたのか分からないのだろう。
そんなことしなくても母親という証明が出来ているのだから。
だからもう一度聞くよ。
「水奈や天音と翼の違いが分かる?」
「苦労?」
「努力?」
2人が答えた。
まああってるだろうけど。
「さっき水奈が答えたじゃないか?姿だよ」
水奈だって覚えてないか?
娘の手作りチョコと言って差し出されたカレールーを我慢して食べた誠との思い出。
そういう積み重ねが絆を深めていくんじゃないのか?
水奈や天音は子供たちが幼稚園から帰って来た時何してた?
愛莉ママからは聞いていたよ?
「どんなに苦しくても辛くても関係無しに子供たちは必死に生きようとしている」と……
「……それって今からでも間に合うのかな?」
天音が聞いてきた。
理解はしたみたいだ。
「カミラ達や紀子の話はしたよね」
まだ間に合うよ。
「わかったよ……家に帰ったら私も頑張ってみる」
「……愛莉も恵美さんも多少のやんちゃは大目に見てやって。この二人がそうだったんだから」
「そうね……」
「水奈は私がやっぱり様子見に行くよ。亜依だけに任せられない」
カンナもそう言った。
水奈を信じてないわけじゃない。
ただ、突然ちゃんとしろと言われても何をしたらいいかわからないだろうから。
不安そうにしている水奈にカンナがそう言って安心させていた。
「結局冬夜が解決するのか」
「まあ、娘のことくらいは口出しするさ」
基本は愛莉に任せているけど、愛莉に頼まれたら解決策を探すしかない。
だけどそれは誠が劣っているとかそういう問題じゃないぞ?
「例えば誠司の問題は僕にはどうにもならない」
前に冴との話してたじゃないか?
「自分の子供のことくらい把握してるってことか?」
「誠は自分の娘の事なら何でも知ってるんだろ?」
「当たり前だろ。下着の好みから好きな体位まで何でも知ってるぜ」
今のは僕のせいじゃない。
誠が自爆しただけだ。
「……誠。お前その情報どうやって仕入れた?」
「え?そ、そんなの普通にメッセージで言ってたろ?」
「ああ、言ってたよ。SHの女子グループでだけな」
水奈が誠を睨みつける。
下着の事は多分前に言ってた洗濯物を物色して把握したんだろう。
しかしそんな女子の雑談をどうして誠が知ってるかだ。
天音がすぐに茜に連絡していた。
誠くらいになればグルチャに侵入くらい容易いだろうけど管理者が茜だ。
気づかれたらすぐに追い出される。
だからもっと馬鹿な真似に出た。
「茜、俺用のアカウントくれよ」
「いいよ~」
茜は何も考えずに誠用のアカウントを用意したらしい。
「トーヤ。私も一つ相談があるんだがいいか?」
「どうした?」
なんとなく想像つくけど。
「トーヤと誠。父親としてのこの差は何なんだ?」
「お、俺だって娘の事は大事にしてるつもりだぞ」
「それがどうしてそういう行動に走るんだ!?」
悪いがその仲裁は僕には無理だからな。
あとはいつも通り騒いでいた。
花火が終わる頃「子供を寝かしつけてくる」と言って水奈達が子供たちを連れていく。
「とりあえずは大丈夫なのかしら?」
恵美さんが聞いてきた。
「どうだろ?」
すでに作られた性格はそう簡単に変わらないのは子供たちがそうだったろ?
「それなのよ!秋久は善君や善明にそっくり!なんか頼りないところがあるの」
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晶さんが言う。
大丈夫、きっと死神の名前を継いでくれるよ。
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愛莉が聞いていたけど空は首を振った。
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そう思っていた。
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