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1stSEASON
班決めと予定決め
しおりを挟む(1)
11月。
木々が色づき始める頃。
そして僕たちには修学旅行が目前に迫っていた。
準備も始まる。
諸注意や説明。班の編成や自由行動の計画決めなど。
同時に修学旅行のお蔭で他の学年より早く期末テストが始まる。
「じゃ、じゃあ班を……」
「なあ、一緒に行動しようぜ」
「私もまぜてー!!」
まゆみちゃんに仕切れるはずもなく勝手に班が決められていく。
「冬夜君、一緒だよね!」
「トーヤ、一緒に回ろうぜ」
「面白そうだな、俺も一緒に、良いだろ?冬夜」
てなわけで僕の班は僕、誠、愛莉、カンナの4人に決まった。
「……自由行動の計画をきめてください」
しょげるまゆみちゃん。どんまい。
「でさ、どこ行く?」
「うーん……大阪でしょ?私はどこでもいいよ」
愛莉は、GWに行ってるもんな?
「大阪城行こうぜ!」
「誠……もっと楽しいとこいかね?例えばこことか」
カンナが示したところはとあるテーマパークだった。
「神奈そこはやめたほうがいいよ。自由行動の時間に回り切れない。混んでるし移動距離もあるし」
「そうか……」
残念そうなカンナ。
「冬夜はどこ行きたいんだよ?」
誠が聞いてきた。
「どうでもいいけど、時刻表確認しなくていいのか?」
「へ?」
「え?」
「はあ?」
三人とも同じリアクションだった。
「冬夜……お前地元から出たことないのか?」
「ないよ?」
三人とも笑い出す。
「トーヤ笑わせるなよ!」
「冬夜お前らしいぜ!」
「冬夜君、心配しなくていいんだよ」
何かおかしい事言ったか?
「それは大丈夫だからさ、とりあえず行きたいとこ言ってみろよ!」
行きたいところかあ。
うーん……思いつくところが無い。
「なんでもいいから言えよ」
「なんでもいいのか?」
3人がじっと見る。
言うだけタダか……。
「……日本橋」
「なんだそれ?」
誠が聞く。
「……メイド喫茶行ってみたかったんだよな」
沈黙が流れる。
「冬夜君!真面目に考えて!!」
「トーヤお前ヲタかよ!」
二人に怒られた。
誠は一人腹を抱えて笑っていた。
(2)
その日も家で勉強をしていた。
誠が来るまでの単なる時間つぶしだ。
カンナは集中していない。
修学旅行の事で頭が一杯のようだ。
珍しく、愛莉も同じようだ。
時計を見ながら今か今かと待ち構えてるように見えた。
そして6時過ぎ頃。
ピンポーン
二人が反応する。
階段を上がってくる音がする。
誠だ。
「こんばんはー」
誠がジャージ姿で現れた。
「待ってたよー」
「おつかれー」
二人が誠に声をかける。
そして、修学旅行の会議が始まった。
結果……
梅田のテーマパークと複合商業施設に決まった。
殆どカンナと愛莉のごり押しだが。
まあ、そこならホテルとそんなに離れてないしのんびりできそうだ。
決まった後は雑談になる。
夕食を一緒に食べようとすると。
「あ、うちでもう用意してあるからもう帰るわ。じゃあな」
と誠は帰って行った。
夕食食べた後は再び勉強だ。
いつも通りの時間を過ごす。
夕食を食べた後はいつも通り勉強。
21時を回った。
いつも通りカンナを二人で送り、愛莉を送りとどける。
そして帰ろうとしたときだった。
「冬夜君ちょっといいかな?」
愛莉が声をかけてきた。
「なに?」
「ちょっとうちにきて」
……なんだろう?
(3)
部屋に案内されると愛莉は部屋の外に出て行った。
お茶とお菓子を持って戻ってくる。
これは長話かな?
時計を見る。
GWの旅行の時の土産だろう。
マスコットキャラの置時計だった。
22時を回っている。
こんな時間に男を連れ込んで親は何も言わないんだろうか?
愛莉が座ると僕から話を切り出す。
「話って何?」
「神奈と誠君の事」
「二人がどうかしたの?」
「いや……別れてそんなに経ってないでしょ?平気なのかな?って……」
「もう2か月も経ってるんだぜ?平気だろ?」
「そっか……」
「話ってそれだけ?」
「ううん」
まだあるのか?
「……あれから神奈とはどうなの?」
「どうなの?って?」
「だから、なんかあったりしないの?」
「そんな心配をしてたのか?」
「そりゃそうだよ。あんなことあったんだし……」
そりゃそうか。
「何もないよ。心配するな」
「そう?ならいいけど……」
どことなく不安そうな愛莉。
そんな顔しないでくれよ。
どうしたらいい?
どうしたら不安を拭える?
静かに時間が流れる。
「愛莉ちゃん~そろそろ時間も遅いし~」
時計を見たら23時を回っていた。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
そう言って立ち上がりドアノブに手をかける。
背中に何かが密着した。
神奈の腕が僕の腰に手を回す。
「少しだけでいいからこのままでいさせて」
僕の体は硬直していた。
「うん……」
「愛莉!!」
愛莉パパの声だ。
愛莉がパッと離れる。
「じゃ、また明日ね」
「うん、じゃあまた明日」
急いで部屋を出る。
愛莉パパと愛莉ママに挨拶して家を出る。
ふと2階の窓を見上げる。
窓から愛莉がこっちを見てる。
目が合うと手を振ってにこりと笑う。
僕も手を振って家に帰った。
(3)
お風呂に入って部屋に戻る。
スマホを見るとメッセージがあった。
「さっきは変なことしてごめん」
愛莉からだ。
「気にしてないよ」
と、返信した。
どうしたんだろうな?急に。
カンナといる時は普通なのに。
いつも考えていたのだろうか?
うーん……。
こういう時は誠に相談するべきか?
誠の言葉を思い出した。
「揺らぐなよ」
僕は揺らいでないけどな。
どうしよう?
スマホの着信履歴を開く。
愛莉の番号を選択する。
発信音が鳴る。
「冬夜君?」
当たり前だが、愛莉の声だ。
「愛莉さっきのことだけど」
「うん……」
「大丈夫だから、僕……揺らがないから」
「うん……」
「ずっとずっと愛莉の事好きだから!」
「うん……」
「だから……悲しい顔をしないで」
「ありがとう……、もう大丈夫」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
なんかもっと気の利いた事言えないのか!俺
ボキャブラリの無さにため息が出る。
そんな時スマホが鳴った。
メッセージだ
「大好き♡」
愛莉からだ。
「僕も大好きだよ!」
すぐに返信した。
……寝たみたいだ。
返信が来ない。
ま、いいか。
これからはカンナとの付き合い方も考えよう。
愛莉を悲しませたくはない。
どうしてそんなに愛莉にこだわるのか?って……。
それはまた今度の機会に。
おやすみなさい。
(4)
どうしてあんなことしたんだろ!?
冬夜君が帰った後後悔した。
重い女に見られたかな?
冬夜君何も言わなかった。
泣きたい。
とりあえず謝ろう。
メッセージを送る。
「さっきは変なことしてごめん」
返信が来ない。
いよいよ嫌われたか?
いやだ!!
しばらくして返事が来た。
「気にしてないよ」
良かった。でも一言だけ?
その後着信が鳴った。
冬夜君からだ!
直ぐにとる
「冬夜君?」
「愛莉さっきのことだけど」
「うん……」
何だろ?
「大丈夫だから、僕……揺らがないから」
「うん……」
分かってる……
「ずっとずっと愛莉の事好きだから!」
「うん……」
ありがとう、でも本当に?
「だから……悲しい顔をしないで」
私悲しい顔してた?
心配かけた?
ていうか心配してくれてたの?
「ありがとう……、もう大丈夫」
少しだけ元気が出た。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
そこで電話は終わった。
好きなのはわかった。
でもどうして?
その理由を聞いたことが無い。
「私が告白したから」
なんて理由だったらどうしよう?
聞くのが怖い。
気がついたらメッセージを送ってた。
「大好き♡」
すぐに返事が来た
「僕も大好きだよ!」
好きって言ってくれるのは良いけど。
その裏付けが欲しい。
好きって言う根拠が聞きたい。
その時はまだ想像もつかなかった。
冬夜君がどれだけ私を想っていたのか……。
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