優等生と劣等生

和希

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1stSEASON

理由

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(1)

「ダメか……」

県体3回戦。
結果2-0で負け。
結局誠はろくにプレーをさせてもらえなかった。
この時点で、誠の中学サッカーは終わってしまった。

「お疲れ様」

帰りに私は誠にメッセージを送る。

「サンキュー。これで神奈と夏はエンジョイできるな」
「私は受験があるからどうかな?」

まあ、愛莉のペースだと十分遊びそうだが。
でも、誠無理してないか?
誠が家に帰りつ着く頃の時間を見計らって、私は立ち上がる。

「悪い、ちょっと外行ってくる」
「どうしたんだ?」

相変わらず鈍いトーヤ。
サッカーしてる時とは大違いだ。

「誠君に電話でしょ~?行ってきなよ~」

愛莉はそう言ってほほ笑む。

「ああ、そう言うことか」
「冬夜君鈍いんだから~」

そんな会話を聞きながら冬夜の家を出て、誠に電話する。
誠はすぐに電話に出た。

「あ、神奈。どうした?もう帰る時間か?」
「いや、ちょっと気になってさ」
「何が?」
「あんまりくよくよするなよ……サッカーって一人でするもんじゃないだろ?」
「……かといってチームメイトのせいにもできないから」
「まあそうだけど……」

どうにかして誠を励ましてやりたい。
何かないか?
私が考えている間も電話は続いていた。

「後で迎えに行くから。そのとき話しない?」
「え?あ、ああ……」
「心配してくれてありがとう、じゃあ、勉強頑張って」
「誠、……一緒に勉強しないか?」
「え、冬夜の家でか?」
「ああ、奨学生って言っても試験あんだろ?今からでもしておいた方が良いよ」
「そうだな、神奈と一緒に居る時間も出来るしな」

そう言って誠は笑う。

「じゃあ、また後でな」

そう言って誠は電話を切った。
私はトーヤの家に戻り話をする。

「実は誠のことなんだけどさ、明日から一緒に勉強していいかな?」
「私はいいよ!大歓迎!」
「いいけど、誠はどう言ってるんだ?」
「良いってさ」
「ならいいんだけど」
「ちょっと冬夜君!」

そう言うと愛莉は、冬夜に何やら耳打ちしている。
きっと、私と誠のことを話しているんだろう。
ちょっと恥ずかしい。
うつ向く私。

「ああ、そういうことか」
「しーっ、声が大きいよ」

そんなやりとりを楽しんでる愛莉。
私も愛莉みたいになれるかな?

ピンポーン。

勉強をしてると呼び鈴が鳴る。
誠か。
私は道具を片付ける。
今日は珍しくトーヤも下に降りていた。

「誠、明日からなんだけど……」
「ああ、神奈から聞いたか?よろしく頼むわ」
「分かってる。今日はその……残念だったな」
「やっぱお前を頼むべきだったぜ」
「そんなことないよ。相手の方が1枚上手だったよ」
「うーん悔しいな」

そんな会話をしている。
話に割り込んでいいんだろうか?

「あ、神奈。帰ろうか」

誠は私を見つけるとそう言った。

「あ、ああ。トーヤまたな」



帰り道。

なんて声をかけたらいい?
下手な慰めは誠をイラつかせるだけだし。

「ダメだよな。トーヤに頼り過ぎてた。自分から動くことが出来なかった」
「サッカーの事はよくわからないけど……トーヤもああ言ってたし、あまり自分を責めるなよ」
「分かってる……、でも今日は悔しくてさ……神奈、ちょっとだけお願いしていいかな」

そう言って誠は立ち止まる。

「私に出来る事なら」

すると誠は私に抱きついた。
心臓がバクバクなってる。
前はそんな事なかったのにな。
泣いてるのか?誠。
私はそっと誠を抱き返す。

「ねえ、神奈さん。明日遊びにいかね?」

突然誠が言い出した。

「週末じゃだめか?」
「いいよ、ただ……二人で行きたい」
「……いいよ」
「ありがとう。じゃあ、次の日曜日に!」

誠の表情が明るくなった。
誠が喜ぶなら……いいや。

(2)

カンナが帰った後もしばらく、勉強をしていた。
誠とカンナの話をしながら。
大体喋ってるのは愛莉で、その話を聞きながら勉強をしていた。

「冬夜!そろそろ時間よ」

母さんの声だ。
愛莉に声をかける前に愛莉は片づけを始めていた。
愛莉を家まで送る。

「じゃあ、また明日ね」

そう言って愛莉が家に入るのを見届けて僕も家に帰った。




「冬夜ちょっとそこに座りなさい」

家に帰ると父さんが険しい表情でリビングのソファーに座っていた。
何も言わずに、言われたとおりに父さんと対面に座る。

「お前、亜子と話をしていたな」

亜子の話か。

「まあ、少しは……」
「何か聞いてないか?」
「何を?」

とりあえず愛莉とのやり取りは伏せておこう。

「何も聞いてないか……」

ため息を吐く父さん。

「何があったの?」

逆に僕が質問すると母さんが変わって答えた。

「亜子ちゃんね、一人で実家に引っ越ししたんだって『お婆ちゃんが可哀そうだから』って……」

……?

「それが何か問題あるの?」
「一人でよ!この受験前に何を考えているのか……」

確かに亜子の行動は分からない。

「そう言う話は聞いてないよ」
「『そう言う話は』ってことは他の事は聞いてるのか?」

しまった!

「大した話じゃないよ。愛莉の話とか、彼氏はいないとかそんな話だよ」

嘘はついてない。

「そうか、すまんな。今日はもう遅い。休みなさい」
「うん、おやすみ」

そう言って部屋に戻る。
亜子、何を考えてる。
何がお前をそうさせた?

一人で悩んでいたが、答えは出ない。
寝よう。
そう思い、照明を消して眠りについた。

(3)

週末。
市民プール。
涼を取りに老若男女問わず訪れる。

「水着似合ってるね」

そういう誠も程よく筋肉がついて整った体だった。

「ありがとう」
「じゃ、泳ごうか?」
「……プールに来て本気で泳ぐやついるか?」

ていうか人で溢れてて泳げないだろ?

「あ、そっかぁ。思いっきり泳いで発散しようと思ったんだけどな」

がっかりする誠。

「発散するなら他行くか?」
「いいよ、こうして神奈の水着姿見れたし。ちょっとゆっくりしていこう」

そう言う事をさらりと言うところがトーヤと違うところだよな……
私の手を取る誠。


こういうの初めてかも。
水の掛け合いとかしながら周りのカップルと同様にいちゃつけてる?
少々戸惑いながらも誠に合わせて行動する。


……少し疲れた。
時計を見ると12時をまわってる。

「そろそろ行こうか」

そう言うとそそくさと更衣室に行く誠。
忙しい奴だな。
私も更衣室に行く。

更衣室を出ると誠が待っていた。

「腹減ったし、なんか食べ行こうぜ」

そう言うと誠は私の手を引っ張る。

帰りにハンバーガーショップに寄る。
誠もトーヤばりによく食べる。
ハンバーガー3つくらいにポテトとコーラを頼んでペロッと食べた。

「さて……と、神奈まだ時間あるよね?」
「あるけど?」
「カラオケ寄っていかね?」
「いいけど」

思ったより元気あるな。


カラオケを出たら時間は18時をまわっていた。

「じゃ、そろそろ帰ろうか?」
「そうだな」

私の家の前まで誠は送ってくれた。

「じゃ、明日からよろしく頼むな」

そうだ、明日から誠も一緒に勉強だ。

「ああ」

そう言うと誠は自転車に乗る。

「待てよ!」

私は誠を呼び止めていた。
理由は特にない。
誠は振り返り私を見る。

「どうした?」
「折角だからうちに寄って行かないか?夕食くらい食ってけよ」
「でも神奈の家親いないんじゃ」
「飯くらい自分で作るよ!」

誠は何か考えてる。
そしてポケットからスマホを取り出す。

「もしもし母さん?俺だけど……」

母親と話してるみたいだ。

「うん、わかった。」

電話が終わった。

「良いってさ。あんまり遅くなるなよって釘刺されたけどな」

笑いながらそう言う誠。
誠を家に案内する。

「さてと、何食いたい?」

冷蔵庫の中身を確認しながら誠に尋ねる。
大体の物は作れそうだ。

「カレーライス」

へ?

即答だった。

「女子の料理っていえばカレーライス、肉じゃが、ハンバーグが定番だろ?」

まあ、男子の中ではそうなのか?

「まあ、いいけど……」
「っしゃあ!俺も手伝うよ。何したらいい?」

トーヤと違って積極的だな。
……まただ。トーヤを引き合いに出すのは止めようって決めたのに。

「なあ、神奈。何したらいい?」
「あ、ああじゃあ米を研いでもらえるか……」
「任せとけ」

こうやってわいわいやりながらご飯作るのは初めてだな。
……とりあえず誠に包丁持たせるのは止めとこう。
危なっかしい手つきでジャガイモを切る誠を見てそう思った。


……あとは煮込むだけ。

「あとはいいよ、私一人で出来……!?」

突然誠は私を抱きしめる。

「やっぱ、この距離やばいわ……」

そうだよな、普通の男子ならそうだよな?
そして突然解放される。

「ごめん、神奈つい……」
「いいんだよ」
「神奈?」
「いつでもいいんだよ。私は誠のものだ。好きな時に抱いて、好きな時に……」
「神奈……」
「と、とりあえず飯にしようぜ。腹へったろ?」
「ああ……」

カレーを食べた後、洗い物も手伝ってくれた。その後ゲームしてテレビ観て……あっという間に時間は過ぎる。
テレビも見ずお互いの顔をじっと見つめ合いなんかそれっぽいムードになった時。
誠のスマホの着信音。
はっとしてお互い離れる。

「もしもし……母さん?……うん、わかった」

そう言って電話を切ると誠は言った。

「そろそろ帰って来いって母さんが。彼女の家にいるって言ったのまずかったかな?」

時間は21時をまわっていた。

「そうだな……」

なんか肩透かし感が半端ない。

「くそぅ……、あと少しでアレ使うチャンスだったのにな」

冗談で言ってるのか?
いつも持ち歩いているのか?

「また次の機会だな」
「機会があれば……いいのか?」
「そこは誠の頑張り次第だな」
「っしゃあ!」

誠は本当に積極的だな。
ここまで積極的なら彼女なんてとうに作っていたんだろうに。

「なあ?なんで彼女いなかったんだ?私が振った後でも作ればよかっただろ?」

誠なら可能だろ?

「そうだな……彼女が居なかったわけじゃないけど続かなかった。理由は多分神奈と同じだと思うよ?」
「……なるほどな」

容姿とかそう言うのばっかりに気を取られて本質を見てくれない。
そんなところか。

「なんで私だったんだ?」

誠はそっと口づけして言った。

「人を好きになるのに理由がいるかい?」

ドキッとした。

いや、要るだろ?あるだろ?
でも何も言えなかった。

「なんてな……」

おどけた風にみせる誠。

「私は理由ならあるよ……」
「え?」
「誠の優しさかな」
「それは違うよ神奈。俺の優しさなんて冬夜のそれに比べたら汚いものだよ。振られて傷心の神奈さんなら一押しすれば落とせる。そんな打算があったんだ」
「トーヤの名前を口にするな!」
「神奈?」
「もうトーヤの事を引き合いに出すのは止めてくれ。私はたった今誠を本当に好きになった。それが打算的でもなんでもいい!ただ誠がそこにいた。それだけで理由は十分だろ!」
「神奈……」
「んじゃ、また明日からな!よろしくな!」

そう言って私は家に戻る。
しばらく放心していた。
気付いたらスマホが鳴ってる。
誠からだ。

「誠?」
「今家についたところ、今日はありがとう。おかげで気が晴れた。で……さっきの話だけど」
「ああ、さっきは私も悪かったごめん。誠が悪いわけじゃない。私が勝手にあたってただけだ」
「俺も理由を探してた……でも本当にないんだ。二人を気遣う神奈を見ていたら胸をしめつけられる思いが……気づいたら好きになってた」
「それで『好きになるのに理由がいるかい?』か……」
「くだらない理由だと思われるかもしれない。神奈の見た目に惹かれただけかもしれない。でも……」
「いいんだよ……」
「それで私を好きになって、私も誠が好きになった。それでいいじゃん」
「神奈……」
「改めてよろしくな」
「ああ、よろしくな」

それで電話は終わった。
その後メッセージが届く

「好きだ!!」

誠らしい一直線な言葉だな。
私も返しとこう

「私も誠が好きだ!」

やっとトーヤの事を忘れられる。
これでいいんだ。
そして私の新しい恋の話がはじまる。
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