優等生と劣等生

和希

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1stSEASON

決戦の日

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(1)

12月6日

化粧台の前に座る。
髪の毛セットOK
黒いワンピースOK
もちろん下着もとっておきのを準備した。
着替えも用意した。
シャワーは浴びた。
化粧もした。
香水も少しつけた。今度は気づいてくれるかな?
もっとつけた方が良いのかな?
でも香水の匂い嫌う男子もいるって聞いた。
やめとこう。
お勉強道具……よしっ!
あとは……プレゼントだね。
バッグの一番下に敷く。
これで気づかれないはず。
これで準備は万端。
何度も鏡で確認する。

問題ないと納得すると、バッグを持って部屋を出る。

「行ってきま~す」
「は~い、いってらっしゃい」

冬夜君の家の前。
なぜか緊張で指が震える。
落ち着け、落ち着け私。
そう言い聞かせ、呼び鈴を押す。

「は~い」

摩耶さんの声だ。

「遠坂ですけど」
「あら、愛莉ちゃん?ちょっとまってね」

ガチャっとドアが開く。

「はい、いらっしゃい」

いよいよ決戦だ。

(2)

「冬夜ー?愛莉ちゃん来たわよ」

母さんの声だ。
足音が聞こえてくる。
ドアの前で止まりガチャっと音を立ててドアが開く。

「お~っすって……。うわ、なんだよその気合の入り方」

カンナが驚いてる。
ノートから視線を上にずらすと、黒いワンピースを着た愛莉が、手には白いコートを持っている。

「なんだ?どこかでかけ……いてっ!」

誠が頭をたたく。
そして耳打ちする。

「何があったか?とりあえず容姿褒めておけ」
「あ、愛莉、今日は随分お洒落してるね。似合ってるよ」

こんなもんでいいのか?
満足したらしい。
にっこり笑うと、いつもの定位置に座る。

「わ、私ちょっとお手洗い」

そう言って席を立ち部屋を出るカンナ。
そのカンナからメッセージが。

「愛莉には黙っとけ。化粧!香水!!ていうか気付け!」
「どうしたの?」

愛莉が尋ねてくる。

「な、なんでもないよ。それよりまた香水つけてくれたんだね。化粧も似合ってる」

どんな香水の匂いだったか忘れたが、多分前にプレゼントした香水だろう。


あっていたようだ。
愛莉の機嫌が良い。
でもなんでこんな夜遅くに化粧やら香水やら……。
どちらかというと香水より髪の毛から漂う仄かなシャンプーの香りの方が気になるわけで……。

「あ……」

誠が短く言葉を発した。

「どうしたんだ?誠」

スマホに目をやる誠。

「そうかそうか、今日は12月6日か!遠坂さん冬夜の家にお泊りなんだね!」
「うん」
「そうだけどそれがどうかしたのか?」

また誠にどつかれた。
なんなんだ一体?
カンナが部屋に戻ってきた。
何もなかったのように誠の横に座る。
まあ、いつもの定位置だ。


21時半頃。

「そろそろ俺たちは帰ろうか?神奈」
「そ、そうだな。じゃあなトーヤ」

そうして二人は道具を片付けそそくさと部屋を出る。

「ちょ、ちょっと待てよ」

慌てて二人を追いかける。

玄関で二人を呼び止める。

「どうしたんだ?今日の愛莉。なんか様子が変だけど。二人はなんか知ってるみたいだけど……って痛ぇ!」

カンナに小突かれた。
そして囁くように言った。

「どんだけ鈍いんだこの馬鹿!明日はお前の誕生日だろ!何を企んでるのかまでは知らないが多分トーヤへのサプライズだよ!いいか!?あくまでも自然にふるまえ!何かしてきたら素直に喜んでやれよ」

あ、そうだった。それで泊まりに来たんだ?

「あ~そういうことね」
「あ~じゃねーよこのド阿保!そろそろ戻れ!勘ぐられるぞ」
「わかった、二人共気をつけてな」
「ああ、明日はちょっと遅めに来るからな」
「そ、そこまで気を使わなくても」
「トーヤにじゃない愛莉に気遣ってるんだよ」

続いて誠が耳打ちする。

「冬夜。愛莉さんがいない間にアレ枕の下にでも用意しとけ。多分今夜は仕掛けてくるぞ」

どくん!
そういや一度仕掛けたんだっけ……。

「落ち着けよトーヤ。しっかりな」

そう言って二人は帰った。

そうか、あの時言ってたもんな。

『惜しかったね。次の機会……冬夜君の誕生日かな?楽しみにしてるね』

いかん、なんか緊張してきた。

(3)

「うーん……」

服には気づいてくれた……、褒めてくれたのは多分誠君に言われてだろうけど。

「はあ~」

化粧と香水にも気づいてくれた。多分神奈が知らせたんだろうけど。
私はその場に寝そべった。

「私って魅力ないのかな~?」

なんでこんなに気合入れたのか?
でかけるのか……って言おうとしたよね……?
違うよ、どれだけ鈍い冬夜君でも分かりやすいように誘惑したつもりなのに。
もうあと2時間もすれば貴方の誕生日なんだよ?
私言ったよ?楽しみにまってるって……。
結果私の見事な空振り?
どうしたら、貴方をその気にさせられますか?
いつもの私だったら、ここで挫けて泣いてる。
泣いてたまるもんか!
今夜こそ絶対決めるんだから!


それにしても冬夜君遅いな。
また、二人に何か吹き込まれてるのかな?

ガチャ

ドアが開いた。
すぐに起きる。

「ごめん、お待たせ」
「いいよ」
「ごめん」

いいってば……

「えーとあの、その……」

何が言いたいの?
彼を見ると時計を気にしてる。
ただいま22時ちょいすぎです。

「あと2時間か」

ぼそっと呟いた。
確かに聞こえましたよ。
やっと気づいてくれたんですね。

「お風呂は入った?」

はい?
シャンプーの香りに気づかなかったの?香水の匂いで分からなかった?

「入ってきたよ」
「そ、そうか……え、えーと。寝る前に化粧落とした方がいいんじゃないかな?」

ガタン!!

私は机を叩きつけて立ち上がった。
驚く冬夜君に、言ってやった。

「化粧落としてくる」

自分でも驚くほど冷たい言葉だった。
もう呆れてものも言えない。
洗面所で化粧を洗い落とす。
涙と一緒に流れていく。
もうやだ、帰りたい。
そんなに化粧似合いませんか?
私がおしゃれするのがそんなに気に入らないの?
全部冬夜君の為にやってるのに。
冬夜君の馬鹿!!

(4)

「化粧落としてくる」

凄く怒ってたけどとりあえずは部屋から出した。
今のうちに机にしまい込んでたアレを取り出し、枕の下に隠す。
待てよ……。

どうやって使うんだこれ?

慌ててスマホを触る。
今頼りになるのは誠だ。
誠にメッセージを送る。

「あれってどうやってつかうんだ?」

すぐに返事が返ってきた。

「この馬鹿!事前に調べとけ!今慌てるなよ。今夜は諦めろ。出来る限りのスキンシップで誤魔化せ」
「誤魔化すってどうすれば……」
「んなもん、自分で考えろ」

カンナも一緒に居たんだろうか?
カンナからメッセージが

「この間抜け!いいかこれ見たら今すぐスマホしまえ!後は流れに任せろ!ひょっとしたら愛莉が使い方知ってるかも」

あ、愛莉が……。
女子ってそういうものなのか?
けど流れに任せるって……。
ガチャ
帰ってきた。
慌ててスマホをしまう。

「何してるの?」
「いや、スマホの充電を……」
「そう」

すごく沈んでる……。
僕、また愛莉を傷つけた?
愛莉を泣かせた?
重苦しい空気の中二人は勉強していた。
耐えられなくなり、口を開いた。

「あのさ……、本音で話し合えるようになろうって言ったよね?」
「うん」
「今言ってもいい?」
「うん」
「……やっぱり愛莉は化粧しない方が可愛いよ」
「……それが本音?」
「……え?あ、いや」

これはミスった。多分ミスった。いや絶対ミスった。

「どうせ似合わないわよ!化粧も香水も黒いワンピースも!私はどうせ子供だよ!!」
「落ち着けって愛莉」
「怒らせておいてよく言えるね!何よすっぴんの方が似合うって!私だって化粧そんなにしてないから下手っぴなのわかってるよ。でも少しくらい褒めてくれてもいいじゃない!」
「ごめん」
「いいよもう、こんな事するんじゃなかった!全部冬夜君の為にって思ったのに」
「気持ちは嬉しいよ」
「今更遅い!」
「違うんだよ愛莉……悪いのは僕なんだ」
「そうよ!!」
「そうだよね、鈍感で、デリカシーが無くて女性を褒めるのが下手で。誠と違ってそんなに女性と付き合ったこともないからよくわからなくて。化粧の件は謝るよ」
「化粧だけ!?」
「香水はなんとなくだけど気付いた。あ、前と同じだって。でも髪の毛のシャンプーの香りの方が好きで……あっ!」

さっき自分が放った一言がミスだったことが分かった。
どれだけ頭悪いんだ僕。

「さっき、下に降りたときカンナ達に言われて初めて気づいたんだ。自分の誕生日の為に色々してくれてるんだって。嬉しかった」
「そうよ!それを台無しにしたのは誰!?」

もう全部話そう。
それでだめならしょうがない……いやだけど。
僕は枕の下に隠してあったアレを取り出した。

「!?」
「これを隠すために愛莉を部屋から出す必要があってそれで……」

自分で言ってて間抜けだとは分かってる。
でもここから説明しないとわかってくれそうにない。

「それで化粧を落とせって?」
「うん」
「じゃあ、すっぴんの方が似合ってるってのは」
「ただの誤魔化し」
「でもさっき謝ってた」
「なんかのテレビで見たんだ若い間はむやみに化粧しないほうが良いって、でも違ってたんだね。ごめん」
「……あきれてものも言えない」
「本当は言いたかった、愛莉はどんな格好でも可愛いよって。でもちゃんと見ずに何でも褒めるのは良くないと思ってそれで」

自分の好みで言いましたすいません。

「……冬夜君はいつもそうだ。肝心な事をはぐらかして余計な事ばかり言って」
「そうだね」
「どんな格好も似合ってるって言ったよね?」
「うん、きっとかわいい」

……っておいおい。
なんかワンピース脱ぎだしてるんですけど。
それはやばいだろ。

「ちょっと待って灯り消すから!!」
「つけたままでいい……。似合ってる?」
「うん、綺麗だよ」

正直正視するにはまぶしいくらいでちゃんと見れてないけど。

「寒い……」
「あ、暖房温度上げるよ」

と、リモコンを取ろうとしたとき愛莉は抱き着いてきた。

「愛莉……」
「冬夜君も脱いでよ……。ずるいよ」
「寒いから布団の中でいい?」
「私だって寒いよ」

観念して服を脱ぐ。
暖房しているとはいえ上Tシャツ下トランクスは寒い……。

「布団に入ろ?」

我慢できずに言うと彼女は先にどうぞと言わんばかりに促す。
先に失礼しまーす。
そのあとお出でと言わんばかりの仕草を見せるとすぐに飛び込んでくる。
………
……


このあとどうすればいいんだ?

(5)

いつも冬夜君はずるい。
怒らせるだけ怒らせて、あとで本音を言って喜ばせてくれる人。
……今回は凄く間抜けな理由だったけど。
そういうところが好きなんだ。

ちょっとだけ意地悪してみた。

「どんな格好も似合ってるって言ったよね?」

冬夜君は「うん」って言った。
だから思い切ってワンピースを脱いだ。
寒い!

「暖房をつけるよ!」

その前にやることがあるでしょ?
私だけ脱いでるの?
冬夜君は脱がないの?

「冬夜君も脱いでよ……。ずるいよ?」

冬夜君は私に言われるがまま服を脱いだ。
私が脱がせてるみたいじゃない!……そうだけど。
抱き着いて密着する、冬夜君の体温が伝わってくる。
同時に心臓の鼓動も伝わってきた。
私の鼓動も伝わってるのかな?
布団の中に入る。
いつもならすぐ寝ちゃう冬夜君。
今夜はそうはさせないんだから。
密着してるから分かる。
冬夜君はしっかり反応してる。
よかった、私に魅力が無いわけじゃないみたい。
まだちょっと早いけどキスをして色々して……。
色々?
冬夜君は硬直している。
しょうがないなぁ。
まあ、慣れてないんじゃしょうがないか。

「ブラ取れる?」

冬夜君は首を横に振った。
仕方ないから自分で取る。
ついでに下も脱いじゃえ。
冬夜君も悟ったのか観念したのかわかんないけど脱ぎだした。
やっぱり思ったより筋肉がついてる。

「あのさ……」
「な~に」
「その……見ても良いかな?」

どうしてそう言うことを聞くかな?

無言でうなずく。

すると冬夜君は布団の中へもぐりこむ。
しばらくして冬夜君は布団の中から顔を出す。

「その冬夜君のも……見て良い?」
「うん……」

私も布団の中に潜り込む。
うん、きちんと反応してる。
布団から顔を出すと冬夜君が抱きついてきた。

「愛莉!」
「はい!」
「……えーっとここからどうすればいい?」

……この男は。

「冬夜君の好きにしていいよ」
「好きにしても良いって言われても……」
「でもちょっとだけまって、あと30分だけ」

冬夜君は時計を見て意味を理解したらしい。
30分が凄く長く感じた。
その間ぴったりくっついて私を離さない冬夜君。
時計が0時を指した。
私は冬夜君と熱い口づけをかわす。

「お誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「あ、プレゼントがあるんだ」
「え?これがプレゼントじゃないの?」

そんなわけないでしょ!

私は一旦ベッドから出てバッグから青い包装紙の箱を取り出す。
冬夜君はベッドに腰掛け箱を開ける。
中にはタオルが2枚あった。
ピンクと青のタオル。
……気づいてくれるかな?

「あ、これ……」

気付いてくれた。

タオルにはそれぞれT.KとA.Tと刺繍が居れてある。
もちろん自分で入れた。

「ありがとう」

冬夜君は喜んでいた。

「これでこれから先こんなことがあっても大丈夫でしょ?」

そう言って笑う。
もう怒りはなかった。

再び布団の中に入る。

「えーとさっきの話だけど」
「言ったでしょ、好きにしていいんだよ」
「と、言われても……」

んー本当にかわいいなあ。

「冬夜君胸に興味あったみたいじゃない、触ったりしても良いんだよ」

そう言って目を閉じる。
ぴたりと冷たい感触がする。

「あ……」

吐息が漏れる。

「ごめん」
「謝らなくていいよ……続けて」

しばらく密着してた。
まあ、初めてなら仕方ないか。

「あ、あのさ……ごめん。今度勉強しとくから」
「無理しなくていいよ、そのうち自然と覚えるだろうから」
「あ、あとさ一つ聞きたい事があるんだけど……」
「……な~に?」

浮かれてた。
楽し気に聞いてた。
それは失望に変わった。
冬夜君は枕の下に隠してあったモノを取り出す。

「これの使い方知らない……?」

失望は怒りに変わった。

「馬鹿!!」

(6)

次の日目が覚めると隣には愛莉が寝ていた。
もちろん一糸まとわぬ姿で。
昨日は失敗した。
アレの使い方を聴いたら「馬鹿」と一言一蹴されて、ふてくされて寝てしまった。
そんな恰好をしていたら……。
僕は彼女に抱き着いて眠っていた。

「冬夜君起きて、摩耶さん来ちゃう」

そう言われて目が覚めた。
そして自分の置かれてる状況に気づく。
愛莉は部屋着に着替えると(当然臆することなく堂々と)僕も服を着る。
そうして下に降りて朝食を食べる。

「昨日物音が凄かったが何かあったのか?」

あ、愛莉の怒声が響いたかな?
何かを言おうとすると愛莉が代わって答えた。

「何もなかったです」と。

すごくとげのある言い方だったけど……やっぱり気にしてるのかな?
後で部屋に戻ったら聞いてみよう。

「そうか、まだまだ冬夜も子供だな」

はい、おっしゃる通りです。
まだまだ僕には早かったようです。
落ち込む僕。
朝食を済ませると、部屋に戻る。
誠たちがくるまでまだ時間がある。
先に勉強をするかと思ったら、愛莉がPCをつけだす。

「パスワード入れてないんだ。ガード緩いぞ冬夜君」

そう言ってブラウザを開いて検索サイトを開く。

「これで調べたら?」

なにを?

全く分かってない僕にイライラしたのか愛莉が検索ワードを入力する。

……の使い方。

ちょ……ま……。

「これで次から大丈夫でしょ?冬夜君の場合その前に問題あるけど」
「ご、ごめん」

本当に情けないな。

落ち込む僕に愛莉は優しい言葉をかけてくれた。

「冬夜君のペースに合わせるよ。時間はたくさんあるんだから。でもイブの時にはもう少し進めると嬉しいな」

調べておきます。


やがて、カンナと誠がやってきた。
カンナと愛莉が何やら話してる中誠が耳打ちする。

「昨夜はどうだった?」
「何もできなかった」
「何もってキスくらいはしたんだろ?」
「まあね……その先が分からなかった」
「お前アレ使う前の問題じゃん」
「そうだな……」
「しょうがねーなぁ、今度教材をもってきてやるよ」
「教材ってなんだよ」
「ちょっと誠君、冬夜君に変な事吹きこまないで」

愛莉が怒っている。

「い、いや。冬夜が余りにも不甲斐ないものだから」
「それでも冬夜君なりに頑張ってくれたんだよ」

ば、馬鹿余計な事を。

「へえ~どう頑張ったのかな?トーヤは……」

ニヤニヤしながらカンナが聞いてきた。

「どうって……一生懸命私の事……包んでくれたよ」

そう言って勉強の準備を始める愛莉。

「もっと具体的に言ってもらわねーと」
「神奈しつこい!早く勉強するよ!」
「ちぇっ、愛莉、愛莉と私とどっちが早いか勝負しないか?」
「神奈!!」
「次の勝負はクリスマスイブだな」
「う……それは無理」

そうだよな、無理だよな。

「神奈急に言われても」

なぜか誠も狼狽えている。

「なんだよどいつもこいつも情けないなぁ」

そうかもしれない。
でも着実に進展している。
すごくゆっくりだけど。
アレの出番はまだ当分先だろうけど。

使用期限……大丈夫かな?
そんな心配は杞憂におわるのだった。
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