優等生と劣等生

和希

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2ndSEASON

入学式

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(1)

「冬夜君おはよ~」

久々の声だ。
僕はベッドに腰掛けていた。
愛莉は隣に座る。
僕は愛莉をじっと見る。
誕生日以来ずっとしていることだ。
化粧は中学生の時と同じ、軽くしているようだ。
でも今はそれより……

「制服似合ってるよ」

こっちだよな?
抱きつきはしなかった。
まだおろしたての制服に身を包んである、お人形のような愛莉に今抱きついたら、服がしわくちゃになっちゃうだろ?
しかし愛莉はそんなことお構いなしに抱き着いてきた。

「ありがとう~♪」

嬉しそうな愛莉。
頭を撫でてやる。

「冬夜君が優しい~。嬉しいなぁ~、また元に戻ってるんじゃないかって心配してたんだ」

ちゃんと気をつけてるよ。

「そろそろ下降りようか」
「うん、カンナも来てるよ」


下に降りるとぎょっとした。

「よぉ」

短く挨拶するカンナ。

スカートの丈はまた随分と短く、化粧もばっちりしてあった。
初日から大丈夫か?

「カンナスカートの長さ大丈夫?」
「ん?高校生ならこのくらい普通だろ?」
「自転車で通学するんだよ?その……」
「あ、そうか」

そういうとその場で、スカートの丈をもどそうとするカンナ。
思わず目を背ける。

「カンナ!ここじゃダメ!!冬夜君部屋借りるね」
「なんだよ、ちゃんと下に着てるってば」
「いいから早く!」

そういうと2階にカンナを押しやる愛莉。
その間に朝食と準備を済ませた。

(2)

学校までは自転車で20分ほど。
親はあとで来るらしい。
クラス表を見る。
3人とも同じクラスだった。
教室にむかう僕たち。
席は名前を50音順で割り振られていた。
僕の前にカンナ。
少し離れたところに愛莉がいた。
愛莉の周りには男子が既に群がっている。
ろこつにめんどくさそうにしている愛莉。
だが、そんなこと男子には関係ない。
なんとかお近づきになろうと懸命になる男子たち。
すると突然席を立つ愛莉。
こっちに向かってくる。
どうしたんだ?
すると驚くほど大胆な行動に出た。

「冬夜君~」

といい、腕をつかむ。
ちょ……まて……。
それで事態を察したのが半分ほど自分の席に戻った。
諦めの悪いあとの半分に向かって一言

「悪いけど私彼氏いるから」

その間僕の腕は愛莉に捕まれたまま。
大体の男子が去って行った。
残った数名の男子は無視して自分の席にもどると、読みかけの小説を読みだす。
待機してる間は針のむしろだった。

「何でこんな奴が彼女と……」

そんな視線を一身に浴びていた。
そんな僕を見てカンナは笑っていた。

(3)

入学式が終わると教室に戻り。
担任が入ってくる。
まだ若い女性の先生だった。
まゆみちゃんに似てるかな。
性格は全然違うけど。

水田真理。独身。
容姿は普通。

担任の自己紹介が終わると、学校の軽い説明があって。その日は終わった。
さてと僕も帰るか。
すると後ろから僕を呼び止める声が。

「待てよ!」

確か…桐谷瑛大だっけ?

「何か用?桐谷君」
「瑛大でいいよ!で、どっちと付き合ってんの?」

は?

「愛莉と付き合ってるけど?」
「でも音無さんとも仲良さげじゃん。可愛いし、遠坂さんと付き合ってるなら俺音無さん狙っちゃおうかな?」
「……言っとくけどカンナにも彼氏いるよ」
「マジで!?」
「うん、学校違うけど、じゃあね」
「ガーン」

ショックで立ち直れそうにない瑛大を放っておいて教室を出ると、愛莉とカンナが待っていた。

「さ、帰ろうか?」
「あ……う、うん。」
「どうかしたのか……?」

様子がおかしい僕にカンナが聞いてきたが愛莉は聞く耳持たない。

「いいのいいの。いこ?神奈」
「あ、いやでも。トーヤなんかあるみたいだぞ」
「どうせラーメン食べようとかそんな事考えてるんでしょ?」

お見通しでしたか。

「でも今日昼ごはん外で食べるって……」
「ファーストフードでいいでしょ」
「コスパ的にはラーメンの方が」

早い安い美味い!
文句ないじゃないか!

「私は別にラーメンでもいいけどな」

カンナが助け舟をだしてくれた。

「う……」

よし、もうひと押しすれば行ける!
そのも一押しをカンナがしてくれた。

「じゃ、私とラーメン食べに行くか?トーヤ」
「……わかったわよ。私も行く」

やったあ!
って浮かれてるわけにもいかないよね。
愛莉機嫌悪くしてないかなあ?
ちらっと愛莉の顔色をうかがう。
怒ってはないみたいだけど、何か浮かない顔をしている。
こういう時はあれだな。
僕は愛莉に耳打ちする。

「帰りに家こない?」

愛莉はにっこり笑う。

「うん」


ラーメンは美味しかった。
意外にも女子2人にもウケが良かった。
良かった~。

帰りにコンビニよろうとしたら、流石に愛莉に怒られた!

「ジュースだけだよ!」
「絶対だよ!……チキンなんて買おうとしたら本気で怒るからね」
「わ、わかったよ」

ごめん、愛莉には逆らえないんだ。おにぎりやサンドイッチもさようなら。
今回は見張りが厳しい。
会計済ませるまでずっと見てた。

(4)

カンナを家に送ると愛莉と家路につく。
愛莉の家の前で一旦見送る。

「じゃあ、いつもの時間に」
「うん」

そう言って愛莉は家に帰った。
家に帰ると昼寝して、ご飯食べて、お風呂浴びて部屋でゲームしてた。
いつもの時間に呼び鈴が鳴る。
階段を上がってくる音がして足音は部屋の前で止まる。
そしてノック。

「どうぞ」

愛莉が部屋に入ってくる。
ゲームが途中だったので「適当に座ってて」と言うといつもの位置に座った。
ゲームを切り上げると、愛莉の隣に座る。
とりあえず愛莉の容姿をチェックする。
いつもの部屋着だ……。
あれ?あのネックレス。
これだ!

「それつけてくれてるんだね」

ネックレスについて話題を触れた。
嬉しそうにネックレスを触る愛莉。

「気づいてくれたんだ、似合うかな」
「前にも言ったと思うけど似合ってるよ」
「ありがとう」

いつもならぴょんとはねてよろこんで抱き着いてきそうな愛莉なのに今日は妙に落ち着いてる。
やっぱり何かあったのかな?
昼間のあれ気にしてるのかな?
ここはストレートに聞いてみよう。

「ひょっとして昼間のあれ……気にしてる?」
「ちょっと違う……」
「僕に落ち度があったなら謝るよ」
「冬夜君は悪くないと思う」

良かった……って、んなわけないか。
何かあったのは間違いない。
だって、声が落ち込んでるから。
聞いて良いのか悪いのか……こういう時って黙って話聞いてやれって誰か言ってたっけ?

「……本音で話しようって言ったよね」

都合の良い言葉だよな。
本当に本音で話せてるのかわかんないけど。
しかし愛莉の口は固く閉ざされたまま。
どうしたの?
俺またポカした?
でも俺悪くないって言ってた。
けれど、どう考えたって昼間の出来事が原因じゃないか?
色々考えた結果。

「ラーメン嫌いだった?」

何とも間抜けな答えだろう?
言ってしまったと思った。
また大喧嘩かなと思った。
だけど愛莉は首を横に振っただけだ。
こういう時はどうしたらいいんだ?
ストレートに意見をぶつけてしまえばいいか。
聞くのが怖い。
また別れようとか言いださないかな?
……なるようになれ!
僕は愛莉の肩を抱き寄せる。

「どんなことでも受け止めるからさ。ちゃんと話しよ?」

すると愛莉は僕を抱きしめる。
そして一言。

「私の事嫌いにならないで」

……へ?
どうしてそうなるの?

「私嫌な女だよね。口うるさいし、おせっかいだし、我儘だし……今日のお昼も……」

やっぱりそれが原因か。
でもさ……。
それ嫌いになる原因?

「それが本音?」

愛莉は黙ってうなずいた。

「愛莉、根本的に間違ってるよ?」
「え?」

愛莉は顔を上げる。

「口うるさくて、おせっかいで、我儘で……それが愛莉の可愛い所じゃん」
「でも冬夜君は、神奈みたいになんでも許してくれる女子の方がいいんじゃないの?」

愛莉にはそう映ってるのか?

「多分さ、世間的にはイチャイチャしてるって見えてるんじゃないかな?僕は少なくともそう思ってる」
「そうなの?」

愛莉が聞いてくると僕は頷いた。

「だから、愛莉は今のままでいいんだよ。何も気にすることは無い。そこが可愛いんだから」
「私嫌われたんじゃないか?って思ってた。なんでも許す神奈の方が良いんじゃないかって思ってた。だから私不安で」
「カンナの事はもうただの友達だよ。愛莉が気にすることは無い。愛莉が僕に言ってくれたように。堂々としてていいんだよ?僕の彼女は愛莉なんだから」

慰めになったかな。
愛莉は泣き出した。
黙って受け止める。

「ごめんね、ごめんね」

理由もなく謝る愛莉。

「大丈夫だよ」

そう言ってやるしかできなかった。
それで多分間違ってないと思う。
ごめんな……。


愛莉を家に送る。

「じゃあ、また明日な」
「うん、またね」

そう言うと僕も家に帰る。

「待って!」

愛莉が僕を呼び止める。

「今日はありがと……少し気が晴れた」
「それはよかった」
「明日が休みだったらよかったのに」
「なんで?」
「……怒るぞ?」

そう言うと僕のもとに駆け寄り抱きしめる。

「ずっとこうしていられたじゃない」

ああ、そう言うことか。

「また週末家にきたらいいよ」
「冬夜君が家に来ればいいのに」
「……どっちでも一緒じゃね?」
「そうだね」

やっと愛莉が笑った。

「それじゃ」
「うん」

そうして愛莉が家に入るのを見送る。
そして僕も家に帰った。

こうして僕たちの高校生活が始まった。
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